転害門は正面から入れませんから、よこっちょから
東大寺の境内に入ります。
入ってしばらくまっすぐ東へ歩いていきます。
そうしたら、今度は塀がありますので、それに沿って
さらに行きます、、と。
見えてきました。
と、言ったって、なんだこりゃ、というものですが、、
これだったら分かります、よね。
正倉院でございます。はい。
今、ちょうど正倉院の外側の公開がありまして、、
それを見て写真を撮る、ということも
今回の旅のミッションでございました。
正倉院は、本当に奇跡のような建物です。
もし、この建物が大仏殿の南側にあったとしたら、
こうして現在までこの建物が残ることはなかったでしょう。
当の大仏殿も、大仏殿の前にあった塔も何度も火災に遭って
います。
正倉院がこの東大寺の北側のひっそりとした場所に置かれた
という位置関係が、よかったのだと思います。
この位置関係も昔の人の知恵だと謙介はいつもこの場所に
来るたびに思うのです。
謙介は、この北側の静謐なたたずまいが本当に好きです。
大学時代も、授業が休講になったり、時間ができたら
この東大寺の北側に来て、芝生の上に座ったりして
ぼーっとする時間をよく持ったものでした。
何十年ぶりかにこの場所に来れたことは
本当にうれしかったです。
正倉院を出て水門町の写真家入江泰吉さんの旧宅に行ったのですが
新型コロナ感染拡大防止なのでしょうね。
本来の休館日は月曜で、行ったのは金曜でしたが
閉まっていました。
ちょうどお昼になったので、この旧宅の横にある
喜多○というお蕎麦屋さんに入りました。
ここのお蕎麦は更科系の白いお蕎麦で、上品な感じの
お蕎麦でした。 ふわふわ卵のお蕎麦、
というのを注文しました。
ふわふわ卵の中に、ゆずの皮が忍ばせてあって
その香りが何とも言えないアクセントになっていて
おいしくいただきました。
お蕎麦をいただいて、県庁の東側の
交差点を左折して、東の方に行きました。
このあたりからの東への道が謙介は本当に
好きです。
以前はこの並びに、日吉館という奈良に来た
古美術、歴史研究の人が良く泊まる旅館が
ありました。ここのおばあちゃんが仕切っていた
旅館だったのですが、この名物おばあちゃんが
亡くなって、旅館の営業も終わりになりました。
謙介も万葉集の調査で、毎日毎日住んでいた京都と
奈良を往復して調査をするのは時間がもったいない
時があって、その時はこの日吉館を利用させて
もらったものでした。
今は日吉館の跡は、更地になってしまっています。
この日吉館の前が、奈良国立博物館です。
(国立じゃないってば。ぶつぶつ)
今、ちょうどお水取りの展示と、国立博物館の
「なら仏像館」になっている旧本館を建てた
当時のいきさつについての展示をしていました。
この旧本館の設計は片山東熊でした。
東熊の工部学校での卒業制作の設計図も展示されていました。
建物の意匠の横に、精緻な英文筆記体の説明が
ありました。さっき精緻な、と言いましたが
本当に美しい筆記体で、ペンで書かれた精緻なものでした。
建物の意匠もきれいでしたが、その英文の美しさに
謙介は感心しました。
その卒業制作の裏側に指導教官のコンドルの
評が書かれていて、英文、構成はよくできているけれども
過去の研究について、飛ばしたりした部分がある。
それと、設計の中のいくつかの部屋が狭い、
というようなことが書かれていました。
若いとねー、よくやっちゃうんですよ。
自分のやったことが一番すぐれていると思って
過去の研究史の整理とか、実証結果の整理を
すっ飛ばして、自分のやったことだけ書くの。
自分が一番偉い、とか思ってるからねぇ。(微笑)
でも若い才能と情熱がほとばしったような
設計図は圧巻でありました。
展覧会を見て、博物館を出て西に行きました。
奈良県庁舎に行きます。
快晴、というわけではなかったのですが
まぁ晴れていたので、眺望はどうだろうか、
ということで、一般開放されている
屋上に上がってみたのです。
スカッと晴れ、ということではありませんでしたが
それでもそこそこ見ることができました。
これは東側。手前に三角形の山が見えているの
わかりますか? これが阿倍仲麻呂さんが
三笠の山に出でし月かも と詠んだ三笠山なのでございます。
こちらは東北方向。若草山と大仏殿。
二月でしたがうららかな日で、
上がってよかったと思いました。
さて。ミッションもほとんど終わりました。
あと一つ。
近鉄の奈良駅に急ぎました。
奈良から今度は東大阪の枚岡へ。
奈良から大阪難波行の快速急行に乗って
学園前まで。ここで後続の各停に乗り換えて
枚岡まで行きました。
最後に河内国の一宮、枚岡神社を参詣しました。
お参りを終えて、枚岡から阪神尼崎行の各停に
乗って大阪難波まで。
難波からOCATへ、でバスに乗って帰った、という
ことでした。
今回もお読みくださってありがとうございました。
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