経済・政治・国際

09. 07. 16

どいつもこいつも

政治のことは書かない、ことにしていたのですが、
今日は例外的にちょっと書きたいと思います。

まぁ傍目で見ていて、アホか、と思うような
今の日本の政治のありさまで、
あきれ果てる、という感慨をお持ちの方も
たくさんおいでのことだろうと思います。

実はこないだの月曜にがんセンターに
行ったとき、出た話のなかで、
「肝炎の法案はこの国会で
成立するかなぁ。」 という話も少ししました。
「たぶん無理でしょう。」って言ってたんですけど。

肝炎の治療のことはこのブログでも何度か
取り上げてきているので、ずっとお読みくださって
いる方なら、あ、と思い出してくださると思うのですが、、。

今、肝炎の患者について管轄をしている役所は
正しくは厚生労働省ではありません。(笑)

ええ。確かに表向きは厚生労働省です。
しかし、もう何度も言っているように
肝炎の治療については、厳しい付帯要件が
つけられています。

過去に一度でも肝炎の治療をして失敗している患者さんは
(治らなかった患者さんは)もうその時点でアウトです。
あなたは治療の補助はしません、ということです。

なぜか。
財務省が肝炎治療の補助については、
これだけの金しか出さんぞ、と言っているわけです。
ですからその金にあわせて肝炎の治療者を
選定するとしたら、一度ダメだった人は
一度でもしているから、ダメ、というのが今の
国の方針です。
財務省が渋って金を出さないのです。

その一方で毎日全国で120人の人が肝炎のために
亡くなっています。通年で考えると約44000人の
人の命が亡くなっています。
こういう事情があるから、本当の肝炎の患者の生き死にの
首根っこをつかんでいるのは財務省、と
俺が言う理由はそこにあるわけです。


肝炎の治療については、今は
リパビリンという薬とインターフェロンの注射の併用
療法が行われています。
よく肝炎のセミナーで、治癒率が上がった、
最近はほとんど治るようになった、とふざけたことを
言っている医者がいますが、
そんなもの数字のトリックです。
確かに以前インターフェロンの注射だけの時に較べたら
治癒率は上がりはしました。

しかし、このリパビリンという薬を飲みつつ、インターフェロンの
注射をする、という治療法は身体にものすごい負担を
与えます。何度も言っていますが、体力の4割くらいを
持っていかれるようなしんどさです。
治療は48週。大体1年間続きます。
どれくらいしんどいかと言うと、
階段で2階に上がるのさえ、途中の踊り場で、一息
休憩しないと上がれないくらいのものなのです。
あわせて食欲がなくなります。本当に欲しい食べ物が
なくなります。おまけに吐き気だってするし。
髪の毛は3分の2くらい抜けてしまいますし。
謙介はこの治療法を実はもう2度やっています。
2度もやって治ったのか、
治っていません。というか、次第に悪化しています。
簡単に治る治る、なんてふざけたことを言いやがって、と
申し上げたのは、治らなかった本人がこうして言って
いるのですから、もう治験者は語る、っていうようなものです。
治るたって、実数はせいぜい半分くらいのものです。
後の半分は治りません。


さっきも言ったようにこの治療法はすごくしんどいのです。
だから、あまりのしんどさに途中で止めてしまう人が
結構います。
そうして治療が終わっても、以前は終わったら急カーブで
薬に痛めつけられていた体力が回復するのが実感できた
のですが、この前した時は、全くそうした回復、は感じられ
ませんでした。そのしんどさ、今もずっと引きずっています。
こういうしんどい治療法です。

そういうわけで、100人がはじめたとして、
最後まで完走して治療をし終えられるのが
80人くらいだそうです。
100人で治る人が50人だと50パーセントですが
分母が80人で、治る人が50人だとどうなります?
63パーセントに上昇します。
そういう途中でリタイアする人の数をはずして
治る治る、と言っています。

それから、治療中は、このきつい薬のせいで
一時的に治ったみたいになる場合があります。
でも、治療が終わったら、また元に戻ってしまう、
そういう患者さんも一応「反応があったから」という解釈で
それは効果があった、とカウントしています。

一時的に数値が動いたって、そんなもの
最終的に治ってないじゃん、と、素人の俺なんかは
思うのですが、そういう一時的に数値が
改善した人も入れるわけです。
ね。インチキ臭いったらありゃしません。

新聞の全面広告で「肝炎は治る病気です」
とどこやらの製薬会社が広告を出していましたが、
言い方が悪くて申し訳ないのですが、
正直なところ、
どこのボケがどの面下げて言うとんのじゃ、
うそをつくのも、ええ加減にさらさんかい。(失礼しました。)
とさえ俺は思いました。


そうしてこの治療法はその経済的な負担も大きいわけです。
それで財務省が渋っているわけです。
インターフェロンのお注射が保険3割適用で1回が
約10000円です。このお注射は週に1度打ちます。
リパビリンという薬の1カ月分が70000円です。
このお薬、おフランス製なんだそうです。
おフランス製の「劇薬」です。
だって、リパビリンの使用説明書の冒頭に
赤い字で大きく「げきやく」って書いてあるんだもん。
7万というのは、
保険の3割適用で、このお値段です。薬と注射で
あわせて11万くらいかかってしまいます。

今回の国会でこの肝炎の法案が通っていれば
この11万が、患者の最高負担額が1万程度になる
ということだったのですが、
与党はあんな調子でごちゃごちゃしている上に
対する野党は一切の審議拒否をしました。
そしてこの法案は審議未了でパアになってしまいました。

まあね。謙介は、今の医学では治りません、って主治医にも
はっきり言われていますし、
自分はまぁ仕方がない、と受け止めているのですが、そんな
俺のことはともかくとしてですよ、この肝炎の病気で
毎日全国で120人の人が亡くなっていってるわけです。
毎日120人が亡くなっている。
そうした人の命が今、この瞬間もどんどん
喪われていっているのに、野党の連中ときたら
一切の審議拒否って、
それはないだろうよ、と思うのです。
臓器移植法のときは、「私は人の命は大切をする」とか
「我が党は一人の命を大切にする。」とかなんとか
言ったくせに(そう、くせに ですよ。)肝炎の患者さんに対する
法案は切り捨てです。
そんなヤツの命はどうだっていいんです。


できるならもうちょっと生きたい、と思ってがんばっている
人だってたくさんいます。大体が人の命の大切さに軽重が
あるのでしょうか?こっちの命は重い、こっちは軽い、なんて
そんなこと許されるのでしょうか。

臓器移植の法案はマスコミ的に目立つから審議する
肝炎は、政党の宣伝上目立たないからしない、
結果的にそう言われても仕方ないような
幕切れです。
お金が出せないでは治療が受けられない。
お金の切れ目が命の切れ目になる病気です。
治療を受けない以上は、この病気はほとんど治らない
病気です。

まったくどいつもこいつも与党も野党も
一体人間の命を何だと思っているのでしょうかね。
こういう時はとりあえず政治的対立は一時棚上げにしてでも
法案の成立を最優先にする、というべきでは
ないのでしょうか。
しかし現実はそれを置いて
ただただ自分の主張ばかり、です。

人の命を大切にするとか何とか政党が口では
言ってても、具体的な事実としてこれでは
どこが大切にしようとしているのか、と言いたいです。
結果を見たら、そんなもの切捨てているだけです。

国会議員なんて、本当にろくでもない連中じゃないか、
と謙介は思うわけです。

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