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23. 05. 13

パイプオルガン

Ikunoさんが先日、パイプオルガンの記事で文章を書かれていました。


謙介は、パイプオルガンか、、ああ、懐かしい、とか思ってしまいました。
と、いうのが、前の職場にそのパイプオルガンが
ありまして、、。これです。

Img_7744

せっかくのパイプオルガンですから年に何回か
演奏会をしよう、ということになりまして、、。
まぁそこまでは良かったのですが、、。

何の因果か 何かのご縁だったのでしょうねぇ。そのパイプオルガン
演奏会実行委員というようなお役目をしろというようなことに
なりましてですね、、。
最初の話でえは、演奏会の当日、会場整理とか受付をやってもらえれば、、
という話で、そう拘束時間はないのよ、という話でしたが、、


実際はポスターの作成から、オルガンのマイスターをお呼びしての
調律の日程調整から、オルガニスト(すべて海外の方)の
滞在日程の調整という事前の準備から、演奏会広報、
前日の会場設営、当日の受付、後始末等々、
で、これらの仕事は本務の仕事以外の仕事なので、、
演奏会が近づくたびに、本務の仕事と、演奏会の仕事と
二つが一度に来てとんでもなく忙しかったです。

オルガン演奏会に拘束されっぱなしで、、

あ、そういう演奏会実務のことじゃなくて
パイプオルガンのことでしたね。
職場にあったオルガンは、1981年に日本人のSさんという方が
造られたものでした。Sさんがドイツにパイプオルガンの技術を
学んで、マイスターとなって帰国されてしばらくして取り組まれたもの、と
聞いています。
パイプオルガンとお付き合いをするようになって
設置後も定期的にメンテナンスに来られていた
このマイスターからいろいろな話を聞きました。
パイプオルガンはやはり普段からよく使ってもらいたい、
というお話が印象に残っています。
日頃からよく使って、楽器全体をよく鳴らすようにしておいて
もらいたい、ということでした。そうすることで
楽器隅々の部品が動き、それが結局メンテナンスにも
なっている、というお話でした。

楽器全体を鳴らすようにする、というのは
そのオルガン全体の音程や仕組み、能力まで熟知していなければ
できないことであって、実は本当に難しいことです。

さっき演奏会で外国からのオルガニストを招聘して
というお話をしました。演奏会自体は日曜日1日だけでしたが、

オルガニストの方は金曜日に関空経由で日本に来られて、
国内便に乗り換えてうちの職場最寄りの空港に来られました。
そして金曜の午後からオルガンと向かい合われる
ことが多かったです。

オルガンの演奏楽譜というのもあったりはするのですが
さっきも言ったようにオルガンの規模とか鳴らせる音程とかは
そのオルガンによってまちまちなので、演奏はやはり
オルガニストの裁量でさまざまに変化をする、という
ことになります。
オルガニストは金曜日午後、土曜日全日、
日曜日午前中とかかって、オルガンの能力を
調べ、音を鳴らしてみて、演奏曲をさまざまな鳴らし方で
弾いて、曲を仕上げていきます。
オルガニストによると、あっという間に短時間で
オルガンの状態を見て曲の音合わせをし終えてしまう
人もいたかと思えば、土曜日の試奏が延々とかかって
夜の9時過ぎまでかかった人もいました。
招聘したオルガニストは毎年出身国替わりで来られました。
謙介の担当した5年間では、フランス、スペイン、
ドイツ、ベルギー、アメリカ、というようなことでした。

いつだったかは忘れてしまったのですが、
一度、現場にいたメンテナンス担当のマイスターが
直接オルガニストに頼んでくださって、
オルガン全部の管を使って鳴らすような演奏を
してもらったことがありました。
ホールいっぱいに響き渡る重層な音、
その響きの余韻、、、、、

その日も演奏会準備で走り回ってくたくたで
謙介はホールの椅子に沈み込んで「はぁ」と
座っていたのですが、その迫力ある演奏を聞いて
身体じゅうの血がものすごい勢いで駆け回りはじめた
ような気がして、すっかり元気になったことがありました。

さっき演奏会の実務について、もろもろの
うっとうしいことがお仕事があるというお話をしましたが、
それでも謙介が嫌になってしまわず、
退職までこのボランティア業務を担当していたのは、そういう
オルガンの力を知ったから、ということも
あったから、かもしれません。

今ではオルガンが日常にあった生活からすっかり遠ざかって
しまいましたが、その「遠ざかり」がちょうど
めんどくさかったもろもろの仕事を忘れさせて、
オルガンとのちょうど良い距離を作ってくれて
いるようにも思ったりするのです。

 

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おげいじゅつ」カテゴリの記事

Comments

 紹介した記事のパイプオルガン,パイプが3万本を軽く超えるってことでしたが・・・それを全部使って演奏したら,荘厳を取り越して騒音になりそうですね(苦笑)

 ピアノでも,演奏家によっては,事前の楽器の調整と音合わせに神経質なほど時間をかける方もいるそうで。誰だったか忘れましたが,演奏旅行には常に3台くらい運んで,その中から一番状態のいいのをその日の演奏会に使う,とか・・・,

 それはともかく,オルガン好きとしては謙介さんのアシスタントして,マイスターや演奏家の活動や生の音を経験したかったです〜(苦笑)

Posted by: Ikuno Hiroshi | 23. 05. 14 PM 2:43

---Ikuno Hiroshiさん

 Ikunoさんのご紹介のパイプオルガンは、パイプを全部ならしたら、ちょっと怖いような音になるのでは、と思いました。しかし、うちの前の仕事場のパイプオルガンでさえ、パイプの数が結構多くて、ひえええと言っていたので、世界最大になるともう怖いとさえ思ってしまいます。 パイプオルガンは、一度、身近できいてみたかったのですが、前の職場で身近に接することができたのは、(もうああいう機会は2度とないでしょうから)本当によい経験でした。そう思うとやはりその時はしんどくても、何事も経験で一度はちゃんとやってみないといけないのですね。そういうことも思います。

Posted by: 謙介 | 23. 05. 14 PM 11:14

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