作品の評価について
昨年の10月から今日までだったのですが、うちの近所の美術館で、
青〇繁と坂本繁二〇の展覧会をしておりました。
青木〇の「海の幸」、「わたつみのいろこの〇」も展示される
ということで、展覧会の会期中、2回、見に行ってきました。
青木〇の海の幸は、もうずいぶん前に、一度、謙介の
実家の街で展覧会があった時に見たことがあったので、
今回は2回目、ということになりました。
青木〇の絵を知ったのは、高校生の時でした。
高校生の一時期、日本の近代美術の画集を眺めることばかり
していた時期があって、、その時に青木〇も
坂本繁二〇の絵も集中的に見た記憶があります。
ただ坂本繁二〇については、中学の時に、学校中の
廊下のいたるところに近代の日本の名画が
飾ってあって(岸田劉〇の麗子〇とか
この坂本繁二〇の馬の作品だったかと思う)
それを見ていて、坂本の名前は知ってはいました。
でも、謙介の目を捉えて離さなかったのは
青木〇のほうでした。
というのが、「わたつみのいろこの宮」もそうですが
日本神話に題材を得た作品があったから、ということでしょう。
青木〇は、その才能もありましたし、
自己研鑽に励んで、さまざまに意欲的な
作品を美術展に出品します。
自分は、これで勝負するんだ、と思って
精力的に取り組んだ作品が
期待外れのようなことにしかなりませんでした。
要するに画壇からは、「ちょっとねぇ」という
評価しかもらえなかった、ということなのでしょう。
世の人は、何らかの賞に入賞する、ということに
なると、評価も上げるし、人のうわさにも上ります。
しかし、そうでないと一顧だにしない、という
場合も多いです。 それまで何も言わないでいて
何とか賞をもらったとたん、掌を返したように
ワーワー言い始める、ということです。
小説家でも、芥川龍之介賞とか直木三十五賞をもらったら
急に周囲の態度が変わる、ってありますもんね。
私の書道の先生が前に言っていたことがありましたが、
先生、日展に出していて、最初数年間はかすりもしなかった、
3年連続落選だったけど、審査委員が変わったとたん、10年連続で
入賞するようになった、ということを話していたことが
ありました。その先生最後は日展の審査員までしてましたけど、、。
自分も書道の作品を書きますし、友人には
何人か書家として、活動している人もいます。
なので、いろいろな書道展の審査ということの話をよく
聞きます。
たまに大学の時、一緒に字を書いていた友達と
連絡を取ることがあって、「(展覧会に)出してる?」
ということを聞くことがあるのですが、
「出してへんよ」「え? なんで」「謙介、分かってるやろ」
「まぁなぁ、、出す気にならへんわなぁ」というような
会話で終わるわけです。
まぁ、展覧会の審査なんて、そんなものだろうと、
思います。実力とか公平なんて、無理無理の世界です。
展覧会に出して、賞をとろうと思ったら
簡単です。その書道展で有名な先生に弟子入りして
その先生の書いてくださるお手本通りに忠実に
書けばよろしいのです。
高性能のコピー機になって忠実に書けたりすると
もうバッチリです。
一度、書の展覧会に行って作品を見てみてください。
同じ書体、同じ傾向の作品が何点もあるのです。
つまり、先生がお手本を書いて、それ通りに書いた
作品が入賞しているということです。
本来は決してそうであってはいけません。
自分でどの語句を書くか選び、
それにふさわしい字体を、練習の末に
作り出さないといけないのです。
その作品にふさわしい字体は、古典の作品を
下敷きに、そこから、自分なりにその字体を解釈して
行って、新しい書体を編み出す、という作業が必要です。
書道の作品制作をしようとする時に、
有力な先生に弟子入りして、その先生に
お手本を書いてもらって、それを稽古する
ということは、そんなものは邪道です。
ところがそんな姑息なことをする人が
余りに多いのです。だって、先生にお手本を
書いてもらってそれを写すだけだったら
簡単ですもん。そういう人は、基本ができて
いないから、すぐに分かります。
書道を習っているとかいう人に、、
お手本以外の字を「この字書いてみて」と言って
他の字を書いてもらうと、
えええええ、どうしてこんな字しか書けないの?
というくらい下手ですもん。
お手本の字しか練習して
書いていないから、応用が利かない。
他の字を書かせたらものすごく下手な人がいます。
結局我流で書いてしまっていて、、、
謙介なんかはそこで、その先生の指導法を見て
しまいますです。きちんとした書作家の
育成をしている人か、適当に自分のお手本を渡して
書かせて出させているだけの人か、ということを。
だからさー
展覧会で入賞するなんて、その程度のもんだよ、
と、今の謙介だったら、青木〇に言ってあげて
いたと思います。
あなたの絵は素晴らしいですよ。
決してしょげることなんてないのです、とも。
でも、それで入賞したら、世の中の評判も上がって
あちこちから引き合いが来て、
作品を多く描くことができて、、、ということに
なっていたかもしれませんね。
世評は侮れない、ということなのでしょうか。
結局のところ、世間の大多数なんて、やれ
何とか賞をもらった、ということでしか
評価のできない、という人が多いのでしょう。
客観的な一つのポイントではあるかもしれませんが
それが評価のすべてでもないでしょうにねぇ。
やれやれ。
そんなことを思いながら謙介さんは
国の重要文化財に指定されている
青木〇の「海の幸」と「わたつみのいろこの宮」
眺めていたのでした。
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