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18. 11. 21

来年、なんですけど、やっぱりするんで、しょうね

ちょっと今日は、旅行の話を中断して
謙介の専門の話をします。

もうすぐ11月23日が来ます。
世間的には、11月23日というと勤労感謝の日、
ということになってはいるんですけど、、。

宮中ではこの日、新嘗祭(にいなめさい)を行います。

新嘗祭って、
じゃあ誰が何をするのか、
ということなんですが、
天皇がその年に取れたお米をいただく、
という儀式です。

何? お米を食べるのが儀式なの?
っていうことですが、
古代の信仰として説明しますと、
この豊葦原瑞穂の国でとれたお米には
穀霊が宿っています。

で、それを、11月の23日にいただくのです。
どうしてそれが儀式なのか、と言えば、
旧暦に直すと、11月の23日というのは、
今の12月の20日ごろになるわけです。

つまり冬至の日です。
冬至の日ってどんな日ですか? (笑)
そうですね、1年で一番昼間が短い日です。
ということは、一番太陽の力が弱まる、
という日です。

天皇家というのは、天照大神の子孫ですから
基本的に太陽神を信仰します。

太陽の力が一番弱くなった冬至の日に
この豊葦原瑞穂の国で取れたお米を
いただくことで、このヤマトの国を治める
力を身につける儀式が新嘗祭の意味です。

天皇の即位後の初めて折には
大嘗祭をいたします。

大嘗祭の時は、占いでもって
悠紀の国と主基の国を決めます。

その決め方は、
亀の甲羅に火を当てて
その裂け方で、決めています。

そうしてその悠紀の国と主基の国で取れた
お米を大嘗祭の時にいただくことになっています。

平成に改元になった時の悠紀の国と
主基の国は、大分と秋田でした。

秋田・大分のそれぞれの県内でよい土地を
選んで、そこに悠紀斉田(ゆきさいでん)
主基斉田(すきさいでん)を作ってそこで
古式にのっとった形で田植えを行い、稲を生育させ
お米を収穫します。
そのお米を大嘗祭に使う、ということです。


即位の年には大嘗祭を行い、
そうして翌年からは、ずーーーーーーーーーっと
新嘗祭を挙行して、統治する力を今風に言えば
チャージしていったわけです。

実はこの繰り返し行事を行う、ということに
大きな意味がありました。

繰り返すことによって、その祭儀の意味が強められ
天皇の統治する力も強くなっていく、という意味が
あったわけです。

万葉集でも「つらつらつばき」とかいうふうな
同じ言葉の繰り返しがよくでてきますよね。

あと、例えば「いやさか」という言葉があります。
「さか」は「栄える」という状態ですが、
「いや」はいよいよいっそう」です。
つまり、単に栄えているのではなくて、
栄える状態がどんどんと重なって、
より一層栄えている、と。
この「より一層」というのを古代の人尊んだわけです。
「七重八重」とかいうでしょう。
単に一重ではなくて、何重にも重なったのが
勢いがあって、力があって、良い、とされました。


でもまぁ、今上天皇の場合は、
来年の4月30日まで、ということが
決まってはいます。
それでもまぁ、やはり儀式は儀式、
ということでしょうし、あと、5か月は
天皇でおいでになるわけですから、
今年も即位儀礼をされる、
ということなのでしょうね。

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