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17. 08. 07

あまりになにもない

この時期、というわけでもないのですが、、、。

古い戦前の写真を見るのが好きです。


写真に撮って、残すのですから、
そうした写真というのは、

その街を代表するような立派な建物だったり、
繁華な街並みとか
名所旧跡であることが多いわけですね。

ただ謙介的に、ことに惹かれるのは、繁華な街並みを
写した写真です。

そういう写真には、垂れ幕とか
店の看板とか、もちろん当時の人が写っています。

そこに写っている人を見て、
どんな生活をしていた人なのだろう、
と、つい、あれこれと想像してしまうわけです。

先日、機会があって、戦前の広島の
写真を見ることがありました。

昭和10年の写真でした。

今は平和公園の一角になっている
旧の中島本町に慈願寺、というお寺が
ありました。そのお寺の小さな山門が
写っていました。

その門前では「盆灯篭」を売っていました。
ですが、その売っているおばさん、
暑さのせいで、灯篭の置いてある樽の横の
長い床几に横になって、涼んでいる、
というのか、うつらうつらしているようでした。
(それで商売になっていたのか 笑)

そこには、夏の昼間ののんびりとした
時間が流れているかのようでした。
おそらく蝉の鳴き声だって聞こえていたでしょう。
夏休みの子供たちの歓声だって聞こえていたでしょう。

街をゆく物売りの声だって響いていたかもしれません。
そうした日常がこの街にはあったのです。

そしておいて、10年後の写真を見るのです。
そこには、全く何もない、というのか
あまりになにもない、のです。

当時の中島本町は広島でも屈指の賑やかな
街であった、と記録にあるのですが、、、。

人の暮らしの跡はもちろんのこと、
その写真にはただただがれきの荒野がそこに
あるだけです。

そのお寺のあった場所からそう遠くないところに
建っている原爆資料館へも何度も行きました。
そこには、数々の遺品が展示されていますが、
それは「まだ、遺品として残ったもの」
ということなのでしょう。

原子爆弾の炸裂直前まで、その街で生きていた
おびただしい人の生活、暮らしのありさま、
そうしたものを想像しようとする意識の
一切を、その原子野は拒否している、
と謙介には映りました。

あまりにそれまでの生活がそこで断ち切られてしまって
いて、本当にそこから次が、もうどうしようもないのです。

それが却って
戦争、というものの意味、を自分に強く語りかけて
来た、ということです。

戦前の広島の写真を見ながら、そんなことを
思ったのでした。

今日聴いた音楽は、もうこれしかありません。
広島と言えば、、、。

この歌、森山さんが歌っていたのですね。

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Comments

 ・・・つ,釣られてなるものかと我慢してましたが,やっぱり無理でした >らら福屋〜♪(笑)
 ベタな短調コード進行で始まって,一気に明るくしてしまう力技,子供の頃から耳について離れない名CMソングであります(微笑)

 平和記念公園のあるあたりが町だったというのは,現状からは全く想像できませんよね・・・
 スマートフォンのアプリで,ARを利用して公園内の要所要所で往時の中島本町の町並みが見られるような仕組み,まだできてないんでしょうか?

Posted by: Ikuno Hiroshi | 17. 08. 09 at 오전 1:01

---Ikuno Hiroshiさん

中島本町だけあってもいいと思うのですが、、
ご存知とは思いますが、ヒロシマ・アーカイブ というサイトがありまして、これがIkunoさんのおっしゃったのにやや近いかな、という気もします。
http://hiroshima.archiving.jp/index_jp.html
それと、首都大学東京の渡邉先生が、戦前・戦中の写真について、彩色加工をするプロジェクトをしています。これも興味ある試みかと思います。
https://twitter.com/hwtnv

Posted by: 謙介 | 17. 08. 09 at 오전 6:00

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