本当に速くなったのか?
今日は「鉄ちゃん」関連のお話です。
こんな記事を見ました。
「関西の通勤電車は、どうして軒並み速いのか」というのです。
この文章を書いた人は、東京の人、なのでしょうかね。
「関西」の通勤電車が軒並み速いわけではないと
思います。
旧国鉄と競合路線にある大きな私鉄とが
速さ競争をした結果、速くなっただけじゃないですかね。
姫路まで行っている宇治川電軌もとい、山陽電車は
そうそう早くありませんし、、。
調べてみたら、たとえば南海電車のなんばから
和歌山市までの特急の表定速度は67.6キロなのですが、
京急のエアポート特快の表定速度は55.6キロです。
阪急の神戸線の特急は65.8キロです。
やはり記事のように関東と比べて、関西の通勤電車は速い、
ということになるのかなぁ、と思ったりしました。
ここに1955年8月の時刻表があります。
これと2016年現在とを比べてみると、
大抵の交通機関はスピードアップしています。
四国の鉄道なんて、地形の関係と、
ディーゼルカーもしくは蒸気機関車牽引の
客車でえっちらおっちら走るしかなかったものが、
電化や新しい車両の導入によって、
相当に速くなりました。
昭和30年、高松から高知までは準急の南風で
4時間10分かかっていたものが
今は特急しまんとで2時間10分です。
高松から松山までは準急で4時間かかっていたものが、
今は特急いしづちで2時間半です。
高松から徳島までは、昔は各駅停車しかなかったのですが、
それで2時間半かかっていたのが、今は特急うずしおで
1時間かからない58分くらいで行けてしまいます。
いしづちの表定速度が81.57キロ
しまんとが77.1キロ
うずしおが71キロですもんね。
こういう高速化の結果、2016年の現在では、
昭和30年の所要時間の半分の時間で
目的地まで行けるようになりました。
それで話をもとに戻すのですが、
関西の通勤電車は速いか? ということなんですけど、、
謙介、そう言われたら頭の中にはてなマークが点灯しちゃうんですよね。
謙介が京都にいた、1970年代、1980年代の
阪急の京都線の特急は、
京都の四条河原町から大阪梅田まで38分で走っていました。
それが今は46分になってしまいました。
しかも今の京都線の特急、
ダイヤ上の所要時間は一応46分、ということになっていますが、、
実際は淡路の駅のところで今、高架の工事をしていて、
徐行区間があるのでもっとかかります。
1980年代38分で走っていたのに、2016年は46分から50分です。
同じ路線で最大12分も遅くなっているのです。
それに対してJRは今も昔も新快速で大阪⇔京都間は
28分で走っています。
阪急京都線の特急の所要時間、46分というのは、
以前の阪急の急行の所要時間です。
以前の急行の停車駅が、今の特急の停車駅とほとんど同じなのです。
ちなみに昭和30年の阪急の京都線と、今の京都線は
始発・終点の駅が違うので
(このころの京都線は、大阪の天神橋から、京都の四条大宮まで)
単純に時間比較はできないのですが、
その時の特急もやはり38分で走っていたのです。
で、昔の急行並の時間がかかるようになってしまって
これではまずいと思ったのかどうかは知りませんが、
阪急は、とりあえず「急行」は廃止して(笑)
特急を通勤特急 特急と2種類作りました。
そして廃止した急行の代わりとして、
名前だけ速そうな「快速急行」を
作りました。
結果、停車駅がややこしいことになってしまって、
一々確かめないといけなくなりました。
特急の停車駅が
十三 淡路 茨木市 高槻市 長岡天神 桂 烏丸 河原町
通勤特急が
十三 茨木市 高槻市 長岡天神 桂 西院 大宮 烏丸 河原町
快速急行が
十三 淡路 茨木市 高槻市 長岡天神 桂 西院 大宮 烏丸 河原町
淡路の友達のところに行こうとしたら、通勤特急に乗ってはいけない、
西院か大宮で降りたければ、通勤特急か快速急行
(もしくは桂で、後続の普通とか快速急行に乗り換え)
というようなことになりますね。
謙介なんか、右京区に行くことが多いので、
西院とか、四条大宮で降りることが多いのですが、
この二つの駅は電車の種別によって停車したり
しなかったり、ということがあります。
ああめんどくさ。
遅くなっている、ということでいえば、
近鉄京都線の特急だって
京都から大和西大寺まで昭和30年に29分で走っていたのが
今は31分です。(昭和30年ごろは近鉄ではなくて奈良電でしたが)
近鉄の中で、メインの特急は大阪上本町から名古屋、もしくは鳥羽行の
特急なんです。京都線の特急なんて、メインと思っていませんから
古い車両で性能の落ちた車両の特急を走らせます。
京阪特急も昭和30年に大阪天満橋から京阪三条まで48分で
走っていたのが、今は51分です。(今は淀屋橋から出町柳までですけど
天満橋から三条の区間で計算しました)
京阪神間の私鉄の特急は、やたら停車駅が増えてしまったために
軒並み到達時間が昔に比べて遅くなってしまっています。
阪急の京都線の特急なんて、
戦前は、大山崎の阪急・国鉄の並走区間で、
当時の国鉄の看板特急「つばめ」を追い抜いて走る、
というくらい、速さを自慢していたものでした。
今はJRの新快速のほうが表定速度は78.3キロ
ですから、阪急の京都線の特急より、
10キロ以上表定速度が速いわけで、
国鉄の特急を追い抜いたなんて言う話は、
文字通りの昔語りのお話になってしまいました。
たぶん利用人口の減少で、停車駅を増やさざるを得なくなって、
もう昔のように速度が速いから特急、ということでは
なくなって行くのでしょう。
ということで、古い時刻表と2016年現在とを比べてみたとき、
関西の通勤電車は、昔に比べて、遅くなってる路線も
結構あるのです。 本当に速いのかなぁ?
という気がしてしまうのですが。
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Comments
東京に住んでいた頃は、通勤に電車つかいましたが今の田舎暮らしだとほとんど車で通勤で、あんまり深く乗換えとか速さとか考えたことがここ何年もないのですが、関西の方はせっかちなイメージがあって、なんだか電車も速いのかもってイメージがあるかもです。東京は、本数が多いイメージが通勤の時はあります。でも実際は、いろいろとちがうのでしょうね…。
どっちにしろ、通勤電車は、ストレスが減るのが一番ですね…汗笑。
Posted by: holly | 16. 10. 23 PM 6:01
---hollyさん
関西の通勤電車は、旧国鉄と私鉄の競争があったからです。国鉄への対抗意識は相当なものでした。同じ場所でも駅名を変えていますからね。大阪駅は国鉄だけで、阪急も阪神もみんな梅田ですし。速度の点でも、国鉄みたいにのろのろ走れるか、ということだったのでしょう。今は速度の競争があまりできなくなったので、車両のほうに移った、という感じです。東京の私鉄の電車って、どことなくみんなJRの車両の写し、という雰囲気がありますが、近畿の私鉄の車両は、阪急、阪神、京阪、南海、とそれぞれに個性的で、どこの会社の電車か、ということが分かるように思います。
Posted by: 謙介 | 16. 10. 25 PM 4:49