« ととねいちゃんの雑誌 | Main | 肝を冷やした話 »

16. 06. 12

噴飯物

最近やたら同じような変な質問を
あっちこっちから受けるのですよ。

「字を書くときにチャイナ服着たことある?」
「ない」
「チャイナ服着たら、きれいな字が書けるの?」
「書けると思う?」
あまりにばかばかしいので、
答える気にもなりませんでした。

どうしてそんなことを聞いてくるのか、と思ったら
一連のマスゾエ知事の政治資金についての
弁護士の調査発表の中に
絹のチャイナ服を買った、というくだりがあって。


で、書道の際に着用すると筆をスムーズに
滑らすことができる、とおっしゃったんだとか。

で、弁護士の前で服を着用して実演した、と。
そんでもって、「マスゾエ知事の件のチャイナ服が
墨で汚れていたことを確認した、趣味の書道を
政治活動に取り入れていることから問題なし
と認定した」ということだそうな。


あのね。
字を書くときって、スムーズに筆を走らせるだけが
能ではないのです。

筆の抑揚、それから筆の速度には
緩急をつけないといけません。


書道を習う、というと、大抵の人は字の書き方を学ぶ
としか思って思っていない人が非常に多いのですが
それは大きな間違いです。

字の書き方だけ学ぶのではありません。
筆の動かし方も勉強するのです。

筆にはいろいろな材質の毛の筆があります。
イタチ、タヌキ、ウマ、ニワトリ、ヒツジ、サル、
それぞれ毛の質について、紙に筆を置いた時に
どのような動きをするのか、ということも
何枚も書いて、身体に覚え込ませる、という
修練をするのです。

イタチとかウマとかタヌキの毛は剛毛といって
毛の質が固いのです。毛が固いので
物理で言うところの支点が固定しますから、
要がぐらぐらしないわけで、初心者でも
楽に字を書くことができます。

それに対して羊毛は毛がくねくねしていて
安定してくれません。

よほど紙の面に対して筆を垂直に持っていかないと
筆先が寝てしまいます。

筆先が寝ると線が軽くなりますし、汚い線の字になります。
ですから、羊毛の筆はよほど垂直に
真上から力を下すようにして筆を
扱わなければならず、習熟した筆あしらいの
技量を要求されるのです。

それから、紙の上で筆の穂先をどちらに向けるか、
どちらに向いた状態で筆を動かすか、
ということも技術として習得しなければならないのです。

紙の上で筆をどう動かすか。

それがうまくできてはじめて字だって書けるわけです。
字の練習を何百枚とするのは、
5万いくらある漢字、それぞれについて
筆をどう動かせばいいのか、
それを身体に覚え込ませる、という習練をしているのです。
そうやって体の動かし方、筆の動かし方を学んで
はじめてまともな字が書ける、ということです。

マスゾエ知事の御説のように
筆の速度をつけて速書きすると
筆と紙の摩擦が減りますから
線が軽くなります。

「スムーズに筆を走らせる」のを至上命題として
そんな服を購入する、というのですよね。

チャイナ服なんか着る前に
身体の柔軟運動とかストレッチでもして
書いたほうがよっぽど字のためにはいいと
思いますけどね。

それからマスゾエ知事のそのチャイナ服が
墨で汚れていた、ということですが。


亡くなりましたけれども、謙介が行書を習った
中島皓〇先生は、字を書いていて墨を服や手に
つけるのは、下手な証拠! といつも言っておいででした。

先生、いつも白いシャツで字を書いておいででしたけど
墨が飛んで汚れた、ということはついぞ見たことがありませんでした。

謙介も最初のころは、あちこちに墨を飛ばしていて
服やらひどい時は部屋の壁まで墨が飛んだことが
ありましたけれども、、
先生に師事した最後のほうは、全然服も手も汚れなくなりました。
先生が、「謙介もやっと服を汚したり手を汚したりせんようなったなぁ」
と褒めてくださったほどです。(それもあって覚えているのですが)

要するにまぁ墨を服に飛ばす、というのは
決してほめられたことではない、ということですね。

まぁ知事のあの説明なんて、苦し紛れの
取ってつけたような屁理屈弁解なのですから、
こじつけられるものは何でもかんでも
平然とこじつけをしているのでしょうが、、。

以上、書道を50年近くやってきた人間から見て、
変だなぁ、と思う点について
疑義を呈しておきました。


|

« ととねいちゃんの雑誌 | Main | 肝を冷やした話 »

おげいじゅつ」カテゴリの記事

Comments

最初聞いたとき、チャイナ服と書道が結びつかなかったのですが、中国旅行の際に書道用具と一緒にチャイナ服を買ったので「チャイナ服で書道」となったのですね。
書道用具は都知事として揮毫を求められる場面が多いから、チャイナ服は中国の要人と会談するときに着用して話題のきっかけとするため。別々に説明すればもうちょっと説得力もあるのに、しどろもどろで情けない限りです。
母は彼の著書を読んで「東京からたびたび九州まで戻ってお母さんの介護をした」と信じていたので、今回の騒動で激しく落胆しています。

Posted by: mishima | 16. 06. 13 at 오후 1:48

---mishimaさん
字の書き方については、今までも何度も言ってきたのですが、身体全体で書かないといけません。そんな服の滑りを気にする程度では
全然お話にならないです。つるつるした布地の服を買うのであれば、柔軟体操とかストレッチでもして、身体がよく動くようにしたほうがよほどいい字が書けると思うんですけど。mishimaさんのおかあさまだって、都知事選挙の時にマスゾエに投票した人間は、今回のことで、失望・落胆していると思うんです。この期に及んで、まだじたばたしているようですし、、。本当に情けないと思います。

Posted by: 謙介 | 16. 06. 13 at 오후 8:01

チャイナ服と書道の結びとそれの因果関係の説明は私は知らなかったのですが、服と書道の関係話は聞いたことはありません。夏場に素肌では汗が紙につくので、暑さこらえて手甲をはめる、というぐらいですね。うーん、なかなかにチャイナ服は理解しがたいところはありますね。

Posted by: ヒシ | 16. 06. 13 at 오후 10:46

---ヒシさん
 ばたばたしていてお返事が遅れて申し訳ありませんでした。 牽強付会というのか、言うのもバカバカしい屁理屈をこねた、としか思えませんよね。チャイナ服と書道の関係なんて、そんなもの最初からないんですよね。
「しょうもない」ことを言い訳にするから、結局追い込まれて辞職せざるを得なくなった、という感じですね。

Posted by: 謙介 | 16. 06. 16 at 오전 10:01

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91870/63741589

Listed below are links to weblogs that reference 噴飯物:

« ととねいちゃんの雑誌 | Main | 肝を冷やした話 »