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16. 05. 17

展覧会ふたつ(その2)

展覧会は新しく建った平成知新館で開催して
いました。
Img_0747

この展覧会を先にご覧になったmishimaさんから
頂相の展示が多かった印象を受けました、という感想を
いただいていました。

そのお話を聞いて、まぁそういうことになるだろうな、
と謙介も思いました。

というのが、臨済禅は「不立文字」ということを
口やかましくいいます。

臨済の禅にもっとも必要なのは、あくまで仏性の実践、行であって、
文字によってその教えを老師から弟子へと伝えていくものではない、
ということです。


そのくせ、今や世界中で禅ブームとかで
仏教書の中で出版点数としたら
禅関連の解説書が一番多いのですけどね。(笑)


臨済の場合、お師家さん(老師ともいう)から
公案という問題が出されます。


接心という特別修業期間の時には
毎日必ず老師のところに伺って
いただいた公案の答えを口上しなければ
いけません。

ダメだったら、老師からちりんちりん、と小さい鐘を
鳴らされて、ハイ次の人、ということになります。

当然公案の答えなど簡単に出るものではなくて
場合によったら何年もかかった末に出ない、
というようなこともあります。

その間、老師からは、「まだ答えが出んのか、
この底なしのアホたれが! 」というような
きつい叱責の言葉も浴びせられたりします。

老師に接見すること何十回、(場合によったら
何百回)接見をしていただいてようやっと
出した答えが、まぁいいだろう、というような
ことも良くあるそうです。

単に頭で考えるのではなくて
日常の動作とか、いろいろな経験を経るところに
自分の中での発見や納得があって、
そこから導きだされる真の回答というのを、
やはり重要視するから、なのでしょうね。

ですから、歴史的な流れの中で、
禅宗に関連した書き物、というのか
文書は少ない、ということになるのは
必然だろうな、とは思いました。

展覧会ですから、やはり鑑賞の対象になるような
ものでなくては、いけません。そうなってくると
儀式の時に、特に法堂に歴代住職の
頂相(肖像画)をかけて供養をしますから、
書き物、というようなものは少なくて
そういう頂相が多いだろう、というのは
想像できたことではありました。

途中で展示品の入れ替えがあって、
前期には妙心寺の塔頭寺院のひとつ、
退蔵院の瓢鮎図も出てたようですが、
謙介はそれこそ、退蔵院で見ていましたので、
今回はいいや、と思いました。

今回の展覧会のサブタイトルにもあったように
臨済禅師と、白隠さんのそれぞれの遠忌記念
ということでもありましたから、
このお二人のそれぞれに由来した作品も
それぞれ出陳されていました。

謙介にとって白隠さんは本当に親しい存在です。

書道の手本としても白隠さんの字を見たことが
何度もありましたし、週に1度座禅に行っていたのですが、
座禅をする前には、必ずこの白隠さんが作った、
白隠禅師座禅和讃というものを読経してから
座禅に入るのでした。

これが座禅をするときに必ず持って行っていた本で
ございます。
Img_0805

そこには、般若心経、四句誓願文とかと
並んで白隠禅師座禅和讃が載っているのです。
Img_0806


一部紹介しますと、
最初は「衆生本来仏なりー」と
結構重々しくはじまるのですが、


辱く(かたじけなく)も此の法(のり)を
一たび耳にふるる時
賛嘆隨喜する人は
福を得(う)る事限りなし

いはんや自ら回向して
直に自性(じしょう)を證すれば
自性即ち無性(むしょう)にて
すでに戯論(けろん)を離れたり
因果一如の門ひらけ

無二無三の道直(なお)し
無相(むそう)の相(そう)を相として
行(ゆく)も歸るも餘所(よそ)ならず
無念の念を念として
謠(うた)ふも舞ふも法(のり)の聲

「さんたんずいきするひとは」というところと
「うたうもまうも のりのこえ」というところが
読みながら、なんだか表現が面白くて
いつも吹き出しそうになるのでした。

いやまぁ白隠さんは終始真面目に
作っていたと思うんですけどね。

白隠さんの和讃の中に出てくる直截的な言葉の選び方はまた、
書かれる文字や絵も、直截的というのか大胆な線や字で、
やっぱりその性格がはっきりと出ている作品だなぁ、
と思うのです。
今回はこの作品は出陳されてはいませんでしたが、
白隠さんはこんなふうな大胆な線の字を書きます。

Img_6

その言葉も、書かれた字も
どれも大胆で、直線的で。

見ていて白隠さん、そのものだなぁ、と
感じるのです。

そんな感じで、白隠さんの作品は見ていて
懐かしい気持ちにさえなりました。

何とか期日に間に合って見ることができて
良かったです。

名残は惜しかったのですが、午後は大阪に
行かないといけなかったので、これで京都を
後にすることにしたのでした。


Img_0750


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