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16. 04. 20

瀬戸内国際芸術祭2016・春会期(その5)

この作品は、藤山哲朗さんの『赤い窓の回廊』という
作品だそうです。


Ykk
で、この「窓」はYK○のアルミサッシを使っています。
というのが、この沙弥島からほんの5分ほどのところに
YK○の工場がありまして。 そこでアルミサッシを
作っているのです。 

沙弥島会場の諸作品の統一した
テーマが、この島のある坂出とか、瀬戸内、という
ものを強く意識した作品、ということになっています。
YK○というと全国的な企業ではありますが、
坂出の人にとってみれば、地元の会社、という意識も強いのです。
これもまたそのひとつ、ということだと思います。


この浜辺から北西に浜伝いに歩いていくと
「下記の元の人麻呂」←うちのパソコンのソフト
かきのもとのひとまろ、と入力するとこんなふうに
転換されてしまいます。やれやれ。


「下記の元の」ではなくて、
柿本人麻呂さんの石碑があるのです。
万葉集の巻2 220番の歌、人麻呂さんが
この沙弥島で歌を詠んでいるのにちなんだ石碑です。

この220番歌の詞書は、
「讃岐の狭岑の島の石の中に死れる人を視て 
柿本朝臣人麻呂の作れる歌一首幷に短歌」とあります。

Hitomaro

長歌は「玉藻よし 讃岐の国は 国柄か 見れども 飽かぬ 神柄か」と
はじまります。 

「玉藻よし」は讃岐にかかる枕詞ですが、
以下、讃岐の国を褒め称えた歌詞が続きます。
こういう歌を「国褒め歌」と呼びます。

それで、どうして国褒めという行為を行うかと言えば、
古代の人もあちこちと旅行をしたわけですが、
旅行の移動の途中で異郷を通過するときに、
まずその土地の神さまに祈りをささげて
旅路の無事を祈ったからです。

この詞書からみると、何らかの事情でこの沙弥島の
岩場に死体が流れ着いていた、それを見て
人麻呂さんが作った歌、ということですね。

その亡くなった人を見て、人麻呂さんは、より一層強く、
旅の途中、船が難破したり、さまざまな厄災に
遭ったりせずに、無事に目的につけるように、
という祈りを込めてこの地で、歌を作ったのでしょう。

そして、行路の国や土地、
ここでは当然この沙弥島のある讃岐の国の神に

「ここはすばらしい土地、なんて素敵なところなんでしょう」

と歌を詠むことで、その土地の神さまのご機嫌を良くしていただき、

「そんな素晴らしい土地であるところの讃岐の神さま、
お願いだから無事に通してね♪」

と祈りを込めて歌ったのがこの歌
というわけですね。


その歌が歌われた(のではないか)という場所に
石碑が建てられて、それが上の写真、ということなのでした。

国褒め、という儀礼は古代ではよくおこなわれていた、と
考えられます。

旅だけでなくて、農耕の儀礼としても、こういう国褒めは
行われました。
この素晴らしい土地の神さま、どうか作物のお恵みを与えてください、
と祈って、どうか天変地異が起こらないように、
作物がたくさん採れるように、と祈ったのです。

沙弥島の北側から、今度は西側に移動しました。
ここには、海に面して 
五十嵐靖晃さんの『そらあみ-島巡り-』 という作品がありました。
この網は、アートの作者と、沙弥島の人が協力し合って
編み上げた網だということです。

Tateami

それからさらに浜を奥の方に行ったら、
坂出市の万葉会館があります。
Hitomaro2

ここの2階には万葉集関連の図書も結構置いてありました。

謙介、自分の上代文学関係の本、将来、ここに寄贈しようかなぁ、
とふと思ったりしました。ここだったら使ってくれそうな感じです。

Hitomaro3

ここには、蓮沼昌宏さんの『12島の物語回遊式アニメーション』が
ありました。今回の瀬戸内国際芸術祭の
それぞれの島のストーリーが作られていて、
それをぱらぱらまんがの形式で見せてくれるものでした。

Patapata
男木島、女木島、小豆島、直島、高見島、犬島、沙弥島、、豊島、
大島、粟島、伊吹島、そしてこの沙弥島、と12の島のそれぞれの
島のストーリーはくすっと笑えるもの、ファンタジーのもの、
いろいろなタッチのストーリーがあって、それぞれに楽しく面白いもの
でありました。


そして最後に見たのが、インドのジティッシュ・カラットさんの作品
『Rippled Sky for Hitomaro』でした。

Ki

木からぺろんぺろんと水が噴射されて、その出方がとっても
のっぺりとした感じで、、思わず笑ってしまったのですが、
作品解説を読むと、結構考えられた、テーマで、あれまぁ、と
びっくりしてしまったのでした。


解説には、

「島の港を守る防波堤。
ここに水を使った作品を設置し、
海と島を遠景として見せ地続きとなった
沙弥島が本来は「島」であった姿に
気付かせる作品。
島に残る柿本人麻呂の伝説に基づき、
静かかつ荒々しい海を作品で表現する。」

とありました。

うーん。謙介的には、全然荒々しい、という感じはしなくて、
のんびりした感じで、面白かったんですけどね、、。

こういう気候のいい時期に
鳥のさえずりを聞きながら島を巡って、
いろいろな発見とか驚きの経験をする、
というのは、なかなか楽しいものですね。

以上が沙弥島会場で謙介が見た作品でした。
春は春でいろいろと忙しくて見学が
遅くなってしまったのですが、
夏と秋は、もっと計画的に回ろうと
ちょっと反省をしたのでした。

長くなりましたが以上が今回の
瀬戸内国際芸術祭2016春会期のお話でした。

最後までお付き合いくださって、ありがとうございました。

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