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16. 04. 15

現実を知らないで批判するのもねぇ

ちょっと前にリンク先の正憲さんが
老資金、というテーマで何度か
文章を書いておいででした。
今日はそのことと関連がある話です。


こないだ某私立高校の校長先生が
スーパーで万引きだか窃盗をして
つかまっていた、というニュースがありました。

「生活が厳しい」というのがその理由だった、とか。

こういうことをするのは言語道断だと
謙介も思います。やったことは悪いです。

ただね、そのニュースの反応を見ましたら、
以下のようなコメントが多数あったのが気になりました。

 おにぎりを万引きするほど生活が苦しい校長がいるって、
 信じられない。

 校長の給料ってかなり高いし、
 ボーナスに各種手当てもつくのに。

というようなことがずらずらと書かれていました。

あの校長先生がやったことは悪いけれど、
一方で上のような反応も謙介は
「何も実態を知らんくせに」と
腹立たしく思っちゃうんですよね。


この校長先生、お年は63歳でした。
神戸の私立高校を退職して、四国の高校に来た、
ということでした。

大抵の高校の先生は60歳で定年ですから、
で、正規の常勤職員でなくなり、
60歳以後は1年契約の雇用という形になります。

お給料は60歳までにもらっていた給料の6割くらいに
なって、大幅に減ってしまうのです。

そのことを知らないで批判する人が
あまりに多かったように思うんですよ。

校長の給料ってかなり高い、っていうのは、
50歳代の校長で正規の職員であれば、の話です。

しかし60歳を過ぎての校長先生の
給料は、一旦他校を退職した再雇用の人ですから、
お給料の総額だって、20万円あるかどうか、なんです。

そこからいろいろと諸経費を引かれたら、
1か月のお給料の手取りって10数万でしょう。


それからボーナスだって出るかどうか、わかりません。
再雇用の非常勤職員ですと、ボーナスは出ない、ということも多いです。
もし仮にボーナスがあったとしても、数万円程度
ということになろうかと思います。

それくらいの給与なんですよ。

それでこの校長先生、
もし仮に実家が四国の田舎で、
先祖代々からの土地とか家があって生活の拠点も
こちらで、というのであれば、それでもぎりぎりながら何とか
やっていけていたかもしれません。

でも、ご実家が神戸ということです。

生活が2か所に分かれている、ということです。
2カ所の生活を維持しようと思ったら経費も結構かかるでしょう。
四国と神戸を行き来する交通費もバカになりません。

加えて家に扶養家族がいたら、
その経費だってかかります。

校長先生という立場であれば、
冠婚葬祭の出費だって多いかもしれません。

今回の「批判的な反応」の中に、
校長だったら1000万以上は
もらってんじゃないの? とありましたが、
それはあまりに60歳以上の雇用形態を知らない人です。

この校長先生のお給料、実際のところは
せいぜいもらっても200万円台でしょう。

もちろん仮にこういう事件がなくて、平穏のうちに
行ったとしても、65歳で雇用は打ち切りになる、
というようなことだっただろうと思います。

非常勤職員ですから、退職金はありません。

そういう実態ですから、
その校長先生が捕まった時に言った
「生活が苦しい」という言葉は、
決して嘘とも思えないのです。

謙介としては、現実の生活の厳しさを率直に表現した言葉だった、
と思います。

だからといって万引きするようなことは
ダメにきまってますけどね。


そういう実際の給料の状況を知らないで、
自分の中の思い込みだけで批判している人が
あまりにも多かったので、謙介腹立たしく思った
ということだったのです。


先のことを、いろいろと考えると
自分も本当に頭が痛くなります。

やれやれ。

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