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16. 03. 15

順風満帆で流れに掉さす

この間、仕事場で同僚と話をしていて、
「え? 」と思ったことがありました。

謙介、会議の報告を聞いていたのです。

「Aさんが言ったことで、議論の方向性が
大体決まったんですよね。 そうしたら、
例によってSさんがハイと言って立ち上がって
反対意見を延々と言い出したんです」
「あ、それで会議がこの時間までかかったわけね」
と謙介が言いました。

「そうなんですよ。流れに掉さす、というのか、、」

「え? 」

と謙介そこで思わず声をあげてしまったのです。

謙介、「流れに掉さしたら、要領よく意見がまとまって
しゃんしゃんで終わりじゃないか」って言いました。

今度は同僚が「う、うそ」と言いました。

彼女「流れに掉さす、って、反対意見を言って
抵抗するっていう意味じゃないの?」と言います。

「違う違う、流れに掉さす、って船が流れに乗って
前にむかって進んでいるところに、さらに速度を
つけて加速させる、ってことなんだよ」

「逆だと思ってた」と同僚は言いました。

いまどきの人は、
棹さして、船をこいだことないですもんね。(笑)

川とか池の船は水深のそう深くないところで使います。
棹を川底に突きさして、ぱっと川底から棹を
持ち上げると、反動で船が前に進むでしょ。

川の流れで船が前に進んでいるところに
さらにそうやって棹を使って船を前進させるので
川の流れよりも余計に前に進みます。
だから事がさっさと進む、という意味なんです。


謙介、流れに掉さす、が全く逆の意味に解釈される
ようになったの、って、漱石先生の影響がありはしないか、
ってひそかに思ってるんですけれども、、。

漱石先生の『草枕』、こういう書き出しで
はじまります。

 智ちに働けば角かどが立つ。
 情に棹させば流される。
 意地を通とおせば窮屈きゅうくつだ。
 とかくに人の世は住みにくい。

漱石先生は「情に掉させば流される」
と書きました。
漱石先生の意味の捉え方は正しいのです。

でも、「情によって流されてしまうこと」を、
漱石先生は、否定的なニュアンスで書いています。

「情に流された結果」、
「とかくにこの世は住みにくい」と言っているのですから。

この否定的なニュアンスが、いつしか読者の頭の中に
「情に掉さして流されてしまってはいけない」
というふうに変換されて、加えて川舟の棹の使い方も
知らない人が増えてしまったこともあって
流れに掉さす、というのが
「反対する」とか「抵抗する」というような意味に
取るようになってしまったのでは、
と思ったりしているのです。

流れに掉さす、と言えば、いまどきの人は
反対するとか抵抗する、といったふうに
解釈している人が多いのですかね。

みなさんはどう思っておいでだったでしょう???
ちょっと聞いてみたい気がいたします。

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Comments

正解を思いつかないのですが、「水を差す」なら状況に合っているのでしょうか?
私は謙介さんの同じような意味で捉えていましたが、順調に流れているところに棒やら棹やらを突っ込んで引っ掻き回す、というような捉え方をしている場合があるかもしれませんね。
「役不足」や「情けは人の為ならず」も、間違った使い方をしている知人がいました。
私自身も間違った意味で覚えてしまっているものがありまして、「檄を飛ばす」や「当たり年」「しおどき」などは今でも使い方に自信がありません。
日本語というか、慣用句は本当に難しいです(^_^;)

Posted by: 正憲 | 16. 03. 15 at 오후 9:15

---正憲さん
水を差す、というのは、ぐらぐら沸騰しているお鍋に水を入れる、ということで、勢いを削いでしまう、という意味ですね。正憲さんの言葉のほうがいいのですが、、。流れに掉さすは、より加速させて勢いをつける、という意味になるのですが、、。自分の場合は「すりきりいっぱい」というのを、結構大きくなるまで、(大学の1回生くらいまで)なぜか「つめきりいっぱい」と覚えていました。一体どうしたらそんなふうに覚えるのか。慣用句ではないのですが、「ストックホルム」を「スコットホルム」と覚えていた友達がいました。大人になるとなかなか間違いに気づく機会も少ないですし、、気がついたらとんでもないことになっていますし、、大変ですよね。

Posted by: 謙介 | 16. 03. 15 at 오후 11:24

私もそういう場合なら「Sさんが水を差した」、もしくは「Sさんが茶々を入れた」と言いますね。
例によって、と言うことですからSさんの常の言動なのでしょう。Sさんの言動に一貫性があれば、反対が多くても「そういう考え方の人。自分の信念を貫く人」で立派だと思います。
ですが、反対ばかりの人は往々にして「目立ちたがり屋。主流派と仲が悪い人」なので、周囲は大変ですね。

Posted by: mishima | 16. 03. 16 at 오후 12:33

---mishimaさん
そうなんですよ。その会議中の反論もその日の気分なんですよね。たぶん反論してくるだろう、って思ってたら、しなかったり、こんなの反論するような余地がないやろ、って思ってたらそれこそ重箱の隅をつつくみたいにブツブツ言ってきたり、、。もういつも困っているんですよ。単なる「ふっかけ屋」だろうと思います。

Posted by: 謙介 | 16. 03. 16 at 오후 10:38

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