セメン菓子ふたたび
セメン菓子については前に一度取り上げたことが
あったのですが、、。
それと今日のお話は尾籠な表現が
ありますので、お食事時はあまりお勧めいたしましせん。
小さい時に祖母からセメント菓子を寝る前に
食べさされたことがありました。
味はすっかり忘れていたのですが、、、
(なんだか落雁のようなものだった記憶があります)
名前だけはしっかり覚えていました。
だって普通なら結びつかないような
「セメント」と「菓子」なんだもん。
で、あの「セメント菓子」というのがいったい
何だったか、ということが分かったのが、
つい数年前のことでした。
場所は大阪の四天王寺の門前。
そこにセメント菓子の看板のあるお店を
見つけたのでした。
でも、それを商っていたのは
お菓子屋ではありませんでした。
薬屋さんだったのです。
とりあえずそのお店に入って
「セメント菓子、ってありますか? 」
と尋ねました。
お店の人は、「今は作ってませんねん」
という話でした。
あれは正しくは「セメント菓子」ではなくて「セメン菓子」という
こともその時にききました。
固めるセメントではなく、駆虫成分のサントニンを含む
セメンシナというキク科の植物の略称からきているので
セメン菓子、ということも教えていただいたのです。
でもね関西では固めるセメントも語尾の「ト」を抜いて
みんな「セメン」って呼ぶんです。だからセメン菓子と言ったら
セメントのお菓子かと思っていたのですね。
ただそのあと、お店の人の言った
一言が衝撃的でした。
「虫下しの薬やからねあれは、もう今は作ってませんよってなぁ」
なんとあれは虫下しの薬だったのです。
と、言ったって、今の人に「虫下し」って言っても
分からないかもしれませんね。
以前は農作物に化学肥料を使っていなくて
人糞を使っていたわけです。
つまり汲み取り式のトイレで、糞尿をためる槽から
汲み取ったものを肥桶で運んで、それを畑の一隅に溜めておくツボを
設けておりましてそこに入れて、しばらくその糞尿を
発酵させておいて、それを畑の肥料にして
撒いておりました。
で、そのつぼは畑の端っこのあまり目立たないところに
ひっそりとあったものですから、以前はそこに
小学生がよく落ち込んだりする「事件」がありました。
そのツボを「野壺」と呼んだのですが、関西は
語頭に「の」がつく場合は「の」が「ど」に
変わるということがあります。
ですから「野壺」が「ドツボ」になったのです。
困ってしまうことを「ドツボやんけ」というのは
ここから来ています。
つまりは、その糞尿のツボに墜ちてしまう、
ということですね。墜ちたら困り果ててしまうでしょ。
今は「ドツボ」という言葉で残っていますが。
だもんで昔は田舎に行くと、そこここにそういう
糞尿を発酵させるのつぼがありまして、
非常に臭くてですね。
野壺から流れ出る臭いを「田舎の香水」
と呼んでいたのでありました。
謙介の居た右京区は区とかいいながら
すんごい田舎でしたから、農村地帯でした。
で、右京区から京都の市内にお百姓さんが
そういう糞尿を集めにまわっていたのです。
京都の街がおいおい水洗化していって
糞尿があつめられなくなると、
今度は鶏糞に肥料が変わりました。
今はもう全国チエーンの量販店の並ぶ
右京区の丸太町沿いも、以前はそこここに
養鶏の鶏舎が建っていました。
その鶏舎から出る鶏糞を肥料に使っていました。
しかし鶏糞も臭いです。
やがて太秦に映画村ができたあたりから
そうした鶏舎はみんな駐車場にかわっていきました。
それでも1970年代から80年代の初めまでは
丸太町沿いに田畑があって、そこで鶏糞を使って
居た記憶があります。だって本当に臭かったんだもん。
そういう糞尿が肥料だったので、昔の小学生は
おなかの中にギョウチュウとか回虫といった寄生虫が
いました。今の検便は胃腸の調子を見るためですが
昔の検便は体内の寄生虫を見るためもあったように思います。
それでその寄生虫を体外に出す薬として
虫下しの薬を飲まされたりしたのでした。
それがやがて肥料が化学肥料になって
そういう寄生虫の心配をしなくてよくなったために
虫下しの薬も必要がなくなり、
セメント菓子の販売もやめたのだろうと思います。
で、時は21世紀の2015年9月のことでございます。
がんセンターの内科外来でございます。
前回の採血の結果を見ながら主治医が
謙介さん、好酸球の値が高いねぇ、と言ったのです。
花粉症なのはうなづけるなぁ、、
好酸球はアレルギーの人が数値が高くなるのだそうで、、。
「ただ好酸球の高くなる要因がもう一つあってね」
と主治医は言ったのです。
「せんせいそれはどういう理由からですか?」と聞くと
「寄生虫が体にいたら高くなります」
「寄生虫ってサナダムシとかギョウチュウとか
回虫っていうようなあれですか?」
「そうです」
「いまどきそんなものいるのですか? 」
「いますよ。輸入物の有機野菜の中には、
人糞で作ってるのが結構ありますからね」
ということでした。
「化学肥料ではないでしょ。人糞だったら。」
とせんせいはおっしゃいました。
そのあとで先生は
「何でもかんでも有機野菜が良いように言う人もいるけど、
寄生虫の害っていうのもあるからね。」と言いました。
謙介はその時久しぶりに昔は当たり前に言われていたことを
思い出したのです。人糞肥料から化学肥料にかわった時に
これで寄生虫の害が無くなるぞ、衛生的になる、
とお百姓さんが言っていたことを。
セメント菓子がまた要るようになるかもしれないねぇ
とか少し思いました。
まぁマリア・カラスさんのようにおなかの中に
サナダムシ飼ってた人もいるけど、、。
好酸球の値の高いのは、しばらく経過をみてみませう、
ということでおちつきまして、
結局ギョウチュウとか回虫の検査はしなかったんですけどね。
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