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15. 05. 18

The End of Summer

Img_9185_2

季節は「麦秋」ですね。
さて。この麦は何麦でしょうか?
大麦でしょうか、それとも小麦でしょうか?

これは大麦なんです。

で、こっち↓が小麦
Komugi


大麦は麦ごはんにしたり、麦みそを作ったりします。
大麦の中の二条大麦は麦酒の原料ですよね。
小麦はそりゃもう、うどん(笑)とかパンを作ったりします。

そろそろ麦刈りのシーズンですね。
麦を刈ってしばらくしたら今度は田植えをして稲を栽培、
ということになりますか。

あ、今日は穀物としての麦の話じゃなくて、
映画のお話です。

今までどうしようかなぁ、と思っていたのですが
こないだ、ようやっと決心がついて、小津さんの
『小早川家の秋』のDVDを買ったのでした。


Img_9178_2

買って久しぶりにじっくりとまた作品を見て
やっぱり買って良かったなぁ、と思いました。

この作品、読みは「こばやかわけ」ではなくて
「こはやがわけ」です。「ば」の濁音が登場人物から
発せられた時にきれいに聞こえない、ということで
「こはやがわ」という音にしたそうです。

そういう聞こえの音のために普通の言い方とはちょっと違った
言い方にする、ってたまにあるんですよね。
NHKアーカイブスもそう。

正しい英語の発音であれば、「アーカイブズ」ですが
Nhk
「ブズ」と濁音が続くと汚く聞こえるので「アーカイブス」としたとか。

この映画の感想については前に書いたことが
あったので、ここでまた繰り返しは書きません。


今回また見て、ただやはり最後がくどい、と思いました。

後半部。
主人公だった造り酒屋の主人(二代目中村鴈治郎)が
一度心筋梗塞で倒れた後で復活して、
結局浪速千栄子の「お妾」さんの家で
亡くなってしまいます。


いよいよ最後近くになって
葬列が木津川の橋を渡っていくのですが、、。
その川で洗い物をしていた土地の農家の夫婦
(笠智衆と望月優子)に会話をさせるのです。

最初にカラスがそこいら辺にたくさん居るシーンを
映して、「誰か死んだんやろか」と奥さんに言わせた後で、
さらにもう一度死についてくりかえさせます。

今度は焼き場の煙突から煙が出ているシーンを映して
「また一人死んだんや」
「人は死んでも、その後から新しい命が
「せんぐり、せんぐり生まれてくる」
という会話をさせて、やがてこの作品は終わります。


だけど今までの小津さんだったら
台詞で語らずして余韻で悟らせる、
という方法を採ってきたはずなのに、
ここではわざわざ、望月さんと笠さんの夫婦に
ダメ押しのように「死」について語らせているのです。

この部分、ちょっとくどい、と思いました。
焼き場の煙突から煙が上がって
カラスが居る中、橋を葬列が渡っていく。
それだけで良かったんじゃないか、と思いました。


観ている側は、
その前、主人公が亡くなった時に長女(新珠三千代)が

「頼りないお父ちゃんやと思てたけど、お父ちゃんの力で
それでも何とかこの小早川の家が持ってたんや」

と亡くなった父のことを思って泣くシーンが挟まれているので

それだけで観ている側にはこの小早川家の当主の
「死」の後のこの一家がどうなっていくのか、
ということも伝わるんじゃないか、と思います。
だからここでダメ押しは要らない、と思ったし
「くどい」と感じたのです。

『東京物語』では東山千栄子さんのおかさあんが
亡くなった後のことについては、
いくつか象徴的なカットで見る側に振っておいて、
その結果を悟らせるようなようにしているだけなんですけどね。
「語らずして語らしむ」というのか、スクリーンの「余白」で
監督は描かずにそれを見せていたのですが。
小早川家の秋では、その部分を台詞にして
言わせてしまった。その野暮さが本当にもったいなかった
と謙介は思います。


この映画、できたのが昭和36年なんですけど
昭和35年前後の奈良・京都・大阪の風景が
何か所か出てきているので、そっちの話で
盛り上がって両親からいろいろな話を聞くことが
できましたです。(それができただけでもこの映画の
DVDを買った意味もあったか、と思います。)


今日のタイトル、『The End of Summer』は
「小早川家の秋」の英文タイトルです。

小早川家が「最後の光芒」を放ったひと夏の物語。
どなたがつけたタイトルかは寡聞にして知らないのですが
この英文タイトルがこの映画のストーリーすべてを
言い表していて興味深い、と思いました。

(今日聴いた音楽 大阪市歌 大阪市音楽団演奏
 ライナーノーツは記録がどこかに行ってしまって
 不明です。 荘重でなかなかいい曲だと思います。
 市歌の中ではなかなか良いような気がします。
 単に個人的趣味に合っている、というだけかも
 しれませんが。)

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