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15. 03. 13

印泥を練る

ソウルの世宗文化会館(せじょんむなふぇがん)で
斬りつけられたマーク・リッパート大使、
どこに入院していたのかな、と思ったら新村(しんちょん)の
セブランス病院だったそうで。

実はこのセブランス病院っていうのがソウルで
一番古い西洋式の病院なんです。
李朝の最末期くらいからあった病院です。
今は延世大(ヨンセデ)の組織の中の病院です。
この病院には国際医療センターというのが
あるので、そこで治療をしていたのだろうと思われます。

セブランス病院って、
以前はソウル駅の前にあったのですが、
今はソウルの西の新村のほうに移転してしまいました。
その元セブランス病院のあったソウル駅前の
ところにはセブランス財団の事務所の
ビルが残っていますが。

謙介、東大門の国立メディカルセンターにでも
運んだかな、と思ったのですが、、、
セブランス病院だったようです。
まぁせ宗文化会館のある太平路(テビョンノ)から
だったら、セブランス病院まで一本道でもありますし、、。


退院されたようで、療養と職務と大使さまも
暫く大変だろうな、と思います。

そういえば世宗文化会館で思いでしたのですが
その文化会館の裏に謙介がソウルにいたころ
ソウルで唯一スパゲッティというのか「イッテリア料理」
を出すお店があったのを思い出しました。
味は、、、いや、まぁ、、(笑)

話は変わって今日ははんこのお話。
正式にははんこと言うのか、
はんこを捺す時の印肉のお話です。


はんこを捺すときってみなさんは
たぶんシャチハ○なんかのインク式の印判
を使っている人が多いんじゃないですかね。

あれだと簡単に捺せて、インクもすぐに乾いて
ということになりますか。

謙介は書道で自分の作品を仕上げた時、
作品に落款を捺します。

その関係もあってハンコを捺す時は
今も印泥(いんでい)を
つかっています。

それからもうひとつ印泥を使う理由があります。

実はシャチハ○のハンコのあの朱色の色が
あまり好きではないから、なのです。

あのシャチハ○のハンコの色より
もうちょっと赤みがかった色のほうが
白い紙に捺した時に赤がよく冴えてきれいなんです。

そういう二つの理由で今も印泥を使っています。


ですが実際問題として
今ではもう書道とか日本画を描く人以外は
印泥なんてもう使う人もいないでしょうね。


謙介は上海の西冷印社の美麗という印泥を
つかっています。ここの印泥は2種類ありまして
一つは「光明」という印泥です。
この光明は日本のシャチハ○のインクと大体同じ色です。

もう一つが美麗。美麗のほうが赤みが濃くて
白い紙に捺した時にくっきり鮮やかに見えます。

お値段的には光明のほうが
安くて美麗のほうがやや高い。(笑)
光明のほうは安っぽい朱色で美麗のほうが
高い分だけ捺した時の見栄えもいいのです。

さて、これが謙介の持ってる美麗の印泥です。
Birei1
いかにも中国っぽい容器でしょ。(笑)


あけてみましょう。
Birei2
最初は一面に平らに入っているのですが
それを周囲から中央に寄せていっては、戻しして
練っていきます。はじめ買った時はプラスチックのヘラが入って
たんですけどね、、、どこかに行ってしまいました。
今では割り箸の使った後の分とかで、練っています。
練るといってもそう難しいことはありません。

みなさんがよくつかっているシャチハ〇のものと
ちょっと色の比較をしてみましょうか。


Birei3

美麗の印泥のほうが赤みが強いことがお分かり
いただけるのではないか、と思います。


書道の作品の落款ですが
捺す場所にそれはそれは神経を使います。

落款は赤いでしょ。
その赤を作品の中のどの位置に
持ってくるかで、作品が引き締まったり
気が抜けた作品になるか、まったく変わってくるのです。
画竜点睛を欠くといいますが
書道の作品の中ではその落款を捺す位置次第で
作品の見栄えが変わってくる、ということもあるのです。
ですから折角字が上手に書けても
落款を捺す場所で失敗しちゃった、
というようなことも起きるのです。

じゃあ、失敗しないようにするためにはどうするのか、
ですが、別の紙に落款を捺して、その捺したものを
切り取るわけです。そしてその紙を捺す前の作品の上に
仮置きしてみて、ここでいいか? こっちのほうがいいか?
とか見て検討します。それで、こっちのほうがいいや、と
なったら、正式に印泥をつけてその場所に落款を
捺すのです。

以前はシャチハ○のお手軽な朱印スタンプ台なんて
なくて、みんな印泥を使っていたのですが、
いったいいつくらいからですかね。
みんなシャチハ○のにとって代わったのって、、。

おそらく謙介くらいの年代が
実際に家庭にあって使っていたのを
知ってる最後の年代になるのかな、と
思います。

確かにね、印泥になるとしなくちゃいけない
作業があって、それが面倒っていうことも
あったでしょうね。

どういう作業をしないといけないのか、
というと、印泥を練らないといけないのです。

印泥の中にはひまし油が入っています。
これが夏にはゆるゆるになって
分離しかかるし、冬は印泥そのものが
堅くなりやすいんですよね。
それで数か月に一度くらいの割で
印泥を練るということをします。
そうすることで、印泥のコンディションを
整えることができます。

まぁそういうメンテナンスが必要な印泥ですが
その印泥の中に入っている油がハンコのほうに
しみて、印判そのものの乾燥防止の役目も
果たしてくれるのです。 特に木のハンコには
その油がいい影響を与える、と聞いています。

シャチハ○のインクは
化学物質ですからそういうわけにはいきません。

宅急便の受け取りとか郵便物の受け取りの
時に簡単にハンコというようになりましたけれども
改まって、契約とか書類にハンコを捺すという時が
ありますよね。

捺すことで新しい責任ができたり契約が発効したり
します。印泥を練ってハンコを捺す、ということは
やはりハンコを捺すことの意味について
お手軽じゃないんだよ、とハンコが伝えてきてくれて
いるような気が謙介はするのです。

(今日聴いた音楽 SAKURA 2006年 歌いきものがかり)
 

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Comments

勤務先の登記をお願いしてる司法書士は印泥を使っていますし、私が市役所に印鑑登録をしに行った時には、登録用紙への押印用に引き出しから印泥を出してくれました。
やはり印泥のほうが鮮明に押印できるし、印影も永く保存できるのでしょう。
ある僧侶から聞いた話ですが、経蔵の整理していたら40年くらい前に筆ペンで書かれた写経は、ほどんと色が消えていたそうです。今は筆ペンのインクも改良されているかと思いますが、墨や印泥といった古くからあるもののほうが、長期保存には向いているのでしょうね。

Posted by: mishima | 15. 03. 16 at 오후 1:03

---mishimaさん
やはり正式の契約書とか公文書になると
印泥になるのでしょうね。 筆ペンとか
墨汁というのは、墨ではなくて、単に
化学物質というのかインキですからね。
上等の奉書紙に墨をすって筆で書いた文書は
1000年はもちます。でも、CDとか
外付けのハードディスクにしても
数十年持つか持たないか、ですよね。
だから光学的な記憶媒体って全然信用
できないんですよ。
やはり伝統的な筆記具とか記録のほうが
長期保存がしっかりしていますよね。

Posted by: 謙介 | 15. 03. 16 at 오후 3:26

美麗の印泥のほうが赤みが強いのですね。
綺麗です。
金箔も赤金と青金が同じ金色でもあるのとよくにてるかもですね。僕は、赤金があたたかみがあって好きです。
僕も美麗の印泥ほしいかも。
日本で手に入るものなのですか?
大きな画材屋とか書道の道具とかあつかうお店にあるのですか?

Posted by: holly | 15. 03. 17 at 오전 1:24

---hollyさん
美麗の印泥ですが、書道用品のお店に
行けばあると思います。画材屋さんには
行ったことないのですが、日本画の
材料を扱うお店だったらあるんじゃ
ないでしょうか。
謙介は
もうずいぶん前に奈良の三条通の
書道用品のお店で買ったのですが。
今のご時世ですから、ネットの通信販売
もありはするんですけどね。ただやはり
ディスプレイの画面を通してみると色が
実際に見たのとは異なる気もします。 
なので実際に書道用品のお店に行って、
色をよく確認されたうえで
hollyさんの趣味に合う色を実際に見て
お決めになったほうがいいんじゃないか
と思います。今調べてみましたら福井に
水野公文堂とか谷口文栄堂とかありました
が、おそらくこのお店だと美麗くらいは
絶対にあると思います。

Posted by: 謙介 | 15. 03. 17 at 오전 11:34

福井のお店まで検索していただいてありがとうございます。今度、時間を作って行ってみますね。
(^0^)/

Posted by: holly | 15. 03. 24 at 오전 12:07

---hollyさん
ぜひ機会があったら行ってみてくださいね。

Posted by: 謙介 | 15. 03. 24 at 오후 8:27

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