生存証明としての音楽会
恒例の第九の音楽会、
今年もステージに立って歌うことができました。
今年は諸般の事情でいつもより開演時間が2時間ほど遅くて
夕方の5時からでした。 楽屋入りは11時です。
まぁこの日は朝から晩まで1日中ホールの中、というのは
変わらないのですが。 人がぞくぞく集まってきます。
すでに楽屋にはオケの方々、合唱団のメンバーも半分くらいが
来ていました。
県民ホールは文字通り「城内」にあります。
ここ最近、お城の見学者が増えているとか。
やっぱり大河ドラマの影響でしょうね。
このお城の設計をしたのが黒田如水(黒田官兵衛)ですからね。
椅子の色はオリーブ色。
香川県の県花・県木はオリーブなので、それにちなんだ色です。
明治時代に新政府が雨の降らない土地への作物として
オリーブを導入して、熊本と三重と香川に
それぞれオリーブを試験栽培させてみたのですが
熊本と三重は全滅で香川だけが生育が成功して
以来、小豆島を中心にオリーブの栽培が盛んです。
それで県花県木がオリーブになったとか。
オリーブなんて地味だよな、と思っていましたが
最近はオリーブもずいぶんと知名度が上がってきたように思います。
例のオリーブオイル好きのもこみちさんも
何度も小豆島に来ています。
でもやっぱり地味ですよね。
ステージって、客席から見るとこんな感じですが、
舞台裏から見たら↓こんなふうです。
ステージも椅子の運び込みが行われて、準備が急ピッチで
整えられていました。今から合唱だけの発声と最終確認の練習です。
合唱の練習が終わって出てみるとオケの方々がスタンバイされていました。
今からオケのゲネプロです。
この後、指揮の飯森泰次郎先生が来られて合唱団・ソリスト・オケの
最終リハーサルを行い、いよいよ本番になりました。
終わってからの合唱団の解団式です。
マエストロ、ソリスト、オーケストラ、みなさん残ってくださって
参加してくださいます。
本当に毎年毎年ステージに上がって、、。
音楽会が始まるまでは、もう来年は出ない。
こんな面倒くさいことやってられるか! とか思うんですよね。
特に今年はまだ 体力が戻っていなくて完璧でなかったので
より一層そんな気持ちが強くありました。
でも、ステージに上がって、歌いあげると、
ああ、今年もやり切ったなぁ、という充実感が何とも言えませんでした。
まさに体の中から熱いものがこみあげてくる、という感じなのですね。
きっとフルマラソンを走った人もこういう感覚なんじゃないだろうか、とか
ふっと思ったりしました。
みんなそれぞれにしんどい生活を抱えているのだろうと想像します。
そんなしんどい毎日ですが、それでも
ここに集まり、飯森先生のタクトに合わせて
演奏し、歌いました。
それは長い人生の中ではほんの一瞬のことです。
でもこのことが自分の人生の中では
大きな宝物になっているように思います。
おそらくはほかの人たちも
同じような思いを抱えているのだと思います。
それだからこそ、みなさん、しんどい思いを抱えつつも
こうしてまたステージに立とうとするのでしょう。
自分が生きて、ここにいて。
存在証明のための音楽会なのでしょう。
この「第九」は、曲もさることながら、そうした自分自身の思いとか人生と
重なる部分があって日本人にとりわけ好まれているのかなぁ、と
思いながらホールから帰ってきました。
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Comments
大きな立派なステージにたたれたんですね。謙介さんの歌ってる姿をリアルに拝聴したいです。
寒くなってきましたね。お体の大切にご自愛ください。
Posted by: holly | 14. 11. 13 at 오전 9:49
---hollyさん
もうね、参加することに意義のある、
というオリンピックのような演奏会です。(笑)でもね、みなさん一生懸命で
その姿が素晴らしいといつも思うのです。
Posted by: 謙介 | 14. 11. 13 at 오후 3:46