「讃岐うどん」について考える
前回なべやきうどんの話をしたので
そのついでで今日はうどんの話をしたいと思います。
実は香川県以外の方のお話を聞いて、
誤解をされている人が
とても多いなぁ、と感じることに、
さぬきうどんの「コシ」のことが
あります。
どうもうどんの麺が単に堅いのを
コシがある、と勘違いしている人が
多いみたいなのです。
謙介が良く行くうどん屋の麺です。
ちなみにこれで250円です。(もちろんめんつゆは添えられてきます。)
いつも見るたびに「美しい」と思う麺です。
うどんのコシというのは、かたい、というものではなくて、
食べたときに麺自体にゴムのような口の中で弾力が感じられること、
それがコシです。
うどんの麺がかたいのは、単にうどんをゆでる時間が
不足しているのだと思います。
かたいのと弾力があるのは違います。
かたい麺を食べる、というのは、
もしくは食べ方に問題があるのかもしれません。
と、いうのがこういうことです。
うどんはいったん茹でられ、ざるにあげられた後、
急転直下、今度は急速に冷たい水で麺を洗う、という
工程が入ります。
そうすることによって、一旦湯だってふやけた麺が
冷水のためにきゅっと引き締まるわけです。
問題はその後ですよね。うどんの食べ方はさまざまなのですが
麺の茹で方は一定です。
つまり、その引き締まった麺のまま、
冷たいぶっかけうどんなんかの
ように、そのまま冷たい状態で食べると、
その引き締まったままの
状態の麺を食べる、かための麺になります。
ところが、そのあと、かけうどんにするとか、
しっぽくうどんにするとか
もう一度麺を煮込んだり、
麺がもう一度茹でられたりすると、
加熱によってまたちょっと柔らかさが戻る、
ということになりますね。
ですから冷たいうどんにしたら、
麺が締まったままの状態でかたいでしょうし
あたたかいうどんにしたら、
ちょっと穏やかな麺の状態になります。
それとせっかく麺はよくても
その店のつゆとの相性もありますね。
麺は麺で自己主張、だしはだしで自己主張が強すぎると
両方がうまく調和しないで、おいしくない、ということもあります。
とにかく
その店の麺がかたいのか柔らかいのか
一番それが分かるのは、
釜揚げうどんで食べてみるといい、
ということでしょうか。
麺をゆでて、
そのまま茹で汁ごと桶に入れて
そのまま持ってきてくれます。
水で引き締める工程は
ありません。
結構いろいろなところで「讃岐うどんはかたいから嫌」
と言っている他地方の方のお話を聞くのですが、
そんなゴリゴリしてて、かたいだけの麺なんて、
謙介だって嫌です。
うどん屋の数ですが、人口98万の県に、800軒以上あります。
ただ、正確な端数を入れた数字までは分かりません。
と、いうのが毎月何軒かのお店が閉まりますが、
それでもまた新しい店がどんどんできますから。
ですが、たまによそでうどんを食べると、
うどんそのものが高級料理化していて
驚くことがあります。
一度東京でここはおいしいの、と
言われて連れていってもらったお店の天ざるが
1200円だと聞いて驚愕してしまいました。
確かにお店はおしゃれで
インテリアとか照明も凝った造りで
ピアノのジャズ音楽なんかがBGMにかかっていて
おしゃれな店ではありましたが、でも、うどんというものに見合った
価格というのがあるように思います。
大阪でも、心斎橋でちょっと1杯きつねうどんを食べただけで
お代が800円、と言われて驚いたことがありました。
まぁ心斎橋、という場所もでしょうし、ビルの賃貸料とか
人件費、光熱費、もろもろがかかってそういうお値段になるのかぁ、と
思いました。その店に行くのにエレベータに乗っていきましたから
そういうものも経費でついてくるかもしれません。
コンビニでも店のドアが自動ドアのところと
手で押して開けるドアのところがありますが
自動ドアですと経費が客一人当たり2円余計に
かかるということを聞いたことがあります。
1200円のうどんだと、
おひとりさまならともかく、家族3人とか4人で行って
ちょっとうどんを食べて、サイドメニューもついでに取ったりしていたら
軽く5000円近くかかってしまいます。
うどんでその値段は嫌だなぁ、いくらおいしい、って
言われたって、、。
香川でしたら、うどん1杯ですと
高くても250円ですし、(中には200円でおつりの来る店も多々あります)
上に海老の天ぷらを乗せても+100円か150円見当ですから
350円くらいでとりあえず海老の天ぷらの乗ったうどんは食べられます。
謙介の行く店にしても、もとは倉庫を改造した店です。
こんなの。
ここは以前は運送会社の荷捌き所というのか
トラックターミナルだったのです。
中だってこんなふう。もう倉庫を改造しました、
っていう感じがありありでしょ。
ここで麺をもらったり、上に載せるものを取ったりしてお金を
払います。
お金を支払った麺を温めなおしたりだしをかけたり
ねぎをかけたり七味をかけたり、するコーナーです。
マヨネーズやソースがあるのは、一緒にフライを買った人が
そういうものを使って味付けをするためです。
で、好きな席に行っていただきます。
冬場はストーブはあるんですけど、何せもとが倉庫でしょ。
がらーんとしているので、あんまりストーブの効果はないんです。
それより店が立て込んできたら、人の集まる効果であたたかくなるほうが
早いんですけど、、。
リラックスして食べたい方には
ソファー席だってあります。(笑)
(ちなみに上の写真のもののお代ですが、かけの小が180円
ちくわの天ぷら80円で合計260円です。)
ね、だから大人3人が食べて1000円でおつりがくるわけです。
(もちろん今年の4月1日以降の話ですよ。)
この辺のうどん屋で豪遊しようと思えば、1人分500円もあったら
できます。
ワンコインの豪遊。(笑)
後ろにステージがあって、古いエレクトーンが
置いてありますが、だれかたまにオンステージを
するのかもしれません。(謎)
後、よく行く店なんてこんなところです。
たとえばここ。
お店の人にうどんの玉数を言うと、麺をどんぶりに入れて渡してくれますから
それで温めたり、うどんに載せるものを自由にとるわけです。
うどんのセルフ、というのはこういうことです。
それから代金を払うと、お出汁のところに行って、お出汁を注いだり
ねぎとか天かすを載せたりして、好きな場所に行って食べます。
最近の言い方で言えば、
「食べる側がフリーでカスタイマイズドできる余地が非常に大きいとか、
供されるうどんについて、フリーハンドの余地が大きく残されているのが魅力」
とでもいうのでせうか。
書いててちょっと恥ずかしくなってしまいましたけど。(笑)
これはまた別の店ですが、こういうふうに
ここでもおっちゃん釜の前でうどんを温めているでしょ。
ここはまたお店の方法が違っています。
最初、うどんの玉数を釜の前でうどんを茹でているおばちゃんに申告します。
そうしたらおばちゃんがうどんの玉を丼に入れてくれますから、
そのままもう一度温めるとか、そのまま醤油だけかけて、よこにある天ぷらだの
フライを別皿にとったり、できたうどんに葱を散らすとかして、食べます。
終わってから、玉数や一緒にいただいた
コロッケやフライを自己申告してお金を払う、というシステムです。
ここの麺はこんな感じ。
この店だって、もともとは地元の人しか来ませんでしたから、
自己申告の後払い、というシステムで来ているのだろうと
思います。最近は県外の人がものすごく増えましたけど、、。
それからここ。
ここは釜揚げとか、冷やしうどんが名物です。
これは釜揚げの小。250円です。
しかしうどん打ちを仕事にする人
(うどん店)は毎月のようにできますが、
またその一方で閉店する店もたくさんあります。
うどん屋の利益って、本当に少ない、
って思います。 しかも小麦粉をこねて
足で踏んで、その後、のばして麺にして、
とその工程を考えたら結構重労働です。
重労働の割に、利益が少ない。
ということで、謙介の実家の周辺の
おいしいの有名と言われていた店も
ここ数年のうちに何軒も店を閉めてしまいました。
決して流行っていない店ではありません。
連日大賑わいで、お昼なんかは行列が
できていました。 地元の人はおろか
全国的にも名前の知られた店でしたが
それでも閉店してしまいました。
うどん打ちの重労働、
それに見合った儲けだって出ない、
ということでは、若くて体が動くうちはいいですが
年を取ってきて、体は動かなくなる、それに見合った
利益が出ない、では何のための店だかわからなくなって
閉めてしまう、という場合も多いです。
それはともかく。
さっきも言ったように、
日本で一番面積の狭い県であるにもかかわらず
何せうどん屋は800軒以上あって、その店その店で
麺の特徴が全く違うわけです。
加えて食べる側の麺の好みも完全に十人十色
です。
ちなみに香川県民に「あなたの好きなうどん屋はどこ? 」
と100人に聞いてみたら、100人が100人ともそれぞれが
違った店を言うように思います。
食べロ○で、評価が高い、とされている店でも
「あそこは好かん」という人だってざらにいますし、
評価が低い店でも、あそこは好き、という人も
います。
ですからうどんに限っては食べロ〇はあんまり
当てにならないようにも思います。
それに同じ店でも行く時間によって麺に大きく違いが
出ますからね。ベストの時間は11時半から13時
くらいまででしょうか。 ゆでる⇒締める⇒うどんを出す
⇒うどんが売れる、で、うちたてのうどんが食べられますから。
これからは気候も良くなってきましたから
店の外で、のんびり食べる、というのも
ありですね。
たかがうどん、ですが、本当にされどうどんなのだ、
と改めて思いました。
(今日聴いた音楽 NHK にっぽん紀行 テーマ音楽
旅のはじめに ピアノ演奏 ウオン・ウインツアン
のんびりとした旅に出てみたくなるような のびやかで
心のひだに沁みるような音楽です。大好きな曲です。)
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