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14. 01. 16

仕事なんて

00010061

「あの日」からまもなく19年が来ます。
(写真は神戸大学からお借りしました。)
謙介が韓国から一時帰国したのは、
1995年の1月4日のことでした。

釜山からのフェリーボートは1月3日の夕方に出航して
翌日の午後、晴れた神戸港に到着しました。
桟橋から新交通システムで三宮に出て、
さんちかから、センター街を通って元町を
まわって、再び三宮に戻って、、


その十数日後、神戸と淡路島はあの地震に
見舞われることになったのでした。

あのころは成人の日は1月15日でした。
15日が日曜だったために、
16日の月曜が振り替え休日でお休みで、
その休み明けが17日の火曜でした。

あれからもう20年近くなりますが、今もなお
成人の日が来ると、どうしても記憶が
あの日にむかっていくのです。
このことについてはまたいつか書きたいと思います。


さて。今年の成人の日、
13日の朝、ご近所から電話がありました。
「貝の口結び(男子の帯の結び方)がわかんないので
やってくれない? 」
前に日本史と国語の勉強を見てあげていた子が
今年は成人式です。
彼は紋付羽織袴の正装で式に出る、ということでした。
ということで、にわか着付け係になって、今年成人式の
(元高校生)男の子の着付けを手伝うことになったのでした。

何とか貝の口結びを仕上げて、袴を着せて、送り出すことが
できたのでした。ふう。

彼が成人式から帰ってきてお礼に来たので、
ちょっと話をしたのです。

彼は今、東京の大学に在学中です。

「卒業したらそのまま東京にいるの?
こっちに帰ってくる? 」
「東京は人が多くて、、いまだに慣れないので
たぶんこっちで就職することになると思います。」
「どんな仕事に就きたいの? 」
「うーん、まだよくわかんないです。」
「自分の専門だってまだ決まってないし、、。」
「就職口だってなかなか、、。」

ということで、かつて謙介さんが
就職してすぐに経験した仕事のことを話しました。

謙介が今の仕事に就いたのは、中国から帰国する時、
恩師に紹介していただいた仕事でした。
最初の仕事で、体を壊してしまいました。
精神的にもしんどい仕事でしたし、
勤務時間も無茶苦茶でした。
(その仕事の勤務は朝の7時過ぎから
明け方の4時5時という時もありましたから) 

ちょっとこれはどうしようもないなぁ、と思っていたら
ソウルで仕事があるよ、ということになって、韓国に行くことに
なったのでした。
でも数年経つと、恩師が今度は「いつまでも外国におらんと
はよ、帰ってこい。」と言って今の職場を紹介してくれたのです。

ただその仕事は最初の仕事からすれば、
3割くらい重なっている仕事ではありました。
でも、後の7割くらいは違っていて、、
俺に務まるのかなぁ、という心配が大でした。
でも、これしか仕事はありません。
何とかしなくては、と思って、この仕事に就きました。

最初の5,6年は仕事上のことでいろいろと誤解されたり、
嫌な目に遭うこともありましたし、
どうして俺がこの仕事をしなくちゃいけないんだよ、
という仕事もありました。一度相手が最初に言ったことと
暫くしてから真逆なことを言いだして、人に命令してきたので
その時は大噴火したことがありました。
嫌なことも多々ありましたけれども、、。

今では今の職場の中で、
何とか自分の進む方向も見えてきましたし、
おそらくこのままでやっていくのだろうな、という
感じはしています。

でも振り返って考えてみると
今の自分の場所をきちんと確保するまでには
ずいぶんな年月がかかったなぁ、と思います。

就職して最初に赴任した仕事場は、
何度もお話しましたが、離島だったために
スタッフが限られていて、人手が足りないので
仕事はなんでもしました。

自分は専門が○○であって、
これは専門外なのでできません、
なんて言えないのです。

同僚が「こっちだってわかんないのやってるんだからさ、
キミもちょっと勉強してね。人手が足りないんだから。」
ということで、よくわかんないことはテキストを見たり、
人に聞いたりしながらやっていました。 

本当ならばその仕事は資格が要るのです。
専門の勉強をして、単位が認められたら
都道府県に申請して免許をもらいます。

そうしてその免許の要るはずの仕事の採用試験だって
あるのです。またその試験が非常に難しい。
採用人数は各都道府県毎年2、3人しか採りません。
採らない年だってあります。

ところが人手が足らない、ということで
何の資格のないはずの謙介さんが
「臨時免許」というのをあてがわれて、
それでその仕事をやっていたのです。


そんな安易なことでいいの?
って言いましたが、
「だって、ほかに誰もいないんだからさー
仕方ないでしょ。しないといけないことは
山のようにあるんだから、、」
でおしまいです。

やがてそのうちに時間ができて、
就職した友達と会うようになって
いろいろと聞いて分かったのは、みんな仕事に就いたら
同じだった、っていうことでした。

友達だって、英語なんて全然できないのに、
とってもフレンドリーで陽気な性格という理由で
外国(主にアメリカ)との交渉窓口担当になった、とか
言うし、、

就職したら、資格なんて持っていなくたって
あんたが担当者、って言われたら、
なんでもやらなくちゃなんない、って
どこの職場でも同じなんだ、とその時に
わかったのです。

別の友達は2年から3年くらいで
セクションが変わっていったそうで、、
それが財務系だったり、法人の事務室だったりして
その都度経験したことのないような仕事ばかり
だったり、とかで
本当に困った、って言っていました。

謙介、就職の面接のときに、専門は○○です、
って言われて、面接官も、そういう認識で面接をしてくれたし
その専門分野だから、っていうことで
採用になった謙介さんでしたが、

就職してその年に、何をやったかと言えば、
コンクリートをこねて
型枠に流す作業でしたよ。 


そんな全然専門とは関係ない仕事だった上に
自分の専門の職種ではあったわけですが(一応)
その職場で自分の本当の専門が生きたこと、って
100仕事量があったとして、そのうちの10パーセントくらい
あったかなぁ、、。

後の90パーセントなんて
全然専門とは関係のない仕事ばかりです。

就職する前になんとなくイメージしていたその仕事と
実際の間のギャップって、それはそれは大きかったです。

そんなことより、仕事をうまく前に進めるために
職場の人間関係をどうするかとか
雑多な書類の作成・提出と言ったこととか
こまごまとしたことが山のようにあります。
で、正直、そういうふうな一見、本来の仕事とも思えない
雑用のほうが自分の全仕事の90パーセントを
占めたりしているのです。


改めて外から見たその仕事のイメージなんて、外から見て
目立つ一部分だけのイメージでしかないなぁ、ということも
よーくわかりました。
現場なんて人手が足りないから、っていう理由でもうなんでもあり、です。


そんな中ではありましたが、仕事場での業務の中で
何とかして自分の興味のある方向を
見つけて、伸ばしていきました。そうやって
自分の場所を見つけていきました。

これが自分の「依って立つもの」なんだろう、って
いうものが明確になるまで、振り返るとやはり20年近く
かかったなぁ、という気がします。

そうやって仕事を経験してきて思うのは、

仕事で自分の専門を生かせるような機会なんて
そうそうあるものではなかったですし、
資格を持っていなくたって、あんたが係よ、
って言われたらしなくちゃなんない、ということが
普通にあるよ、ということです。

そんな理不尽なことがほとんどなのが仕事であって
その中で、あるときは自分を出して周囲と対立したり
あるときはおさえて妥協したりしながら、
まぁもっと簡単に言えば、押したり引いたりしながら

最終的に自分の存在の意味とかスタンスを
仕事の中で見つけていくのが仕事の意味なのかなぁ、と
思っています。

自分があきらめないでここまできたのは
やっぱりなんでも見てみたい、やってみたい、
っていう好奇心があったから、かなぁ、という気がするよ、
というような話をしたのでした。

彼がどんなふうに聞いていたのかはわかりませんが。(笑)
謙介は仕事ってそんなふうなものだ、って思っています。


(今日聴いた音楽 春の予感 -I've been mellow-
 歌 南沙織 資生堂のCM曲でしたね。
 ♪はーるにさそわれた わけじゃない、、
 って今もこの時期が来たら歌っていたりします。 
 あ、竹野屋のまりやさんの 「不思議なピーチパイ」も
 なんだかこの時期、この二つの曲が交互にエンドレスで
 耳に聴こえてくるのです。)


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