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13. 10. 04

新明解

こないだ、仕事場の人と辞書の話をしました。
その人は今、辞書の説明の言葉の転変を
調べているのだそうです。

で、三省堂の新明解(国語辞典)の第4版と
第3版までは買ったんだけど、初版を誰か
持っていないかなぁ、ということだったのですが。

ふふふふ。

え? う、うそ、持ってるの?

当然です。

ということで持ってきたのでした。

じゃーん。
Sanseido1


箱をあけてみましょう。
Sanseido2

なんたって年季が入ってます。

この辞書を買った時のことはよく覚えています。
あの当時、辞書ってまだ重々しくて、装丁も
暗い感じのばかりだったのですが、
三省堂の新明解だけとってもスマートな明るい
ぱっと目を惹くような箱の装丁だったのです。

あ、この辞書かっこいい、と思いました。
どこの会社の辞書か、と思って見てみたら
三省堂でした。
英和辞典もその当時三省堂のクラウンを使っていたので
三省堂の辞書はいい、という印象が頭の中にあって
じゃあ、国語辞典もこれにしよう、ということになった、と思います。

大学で国文学科に入って、
予習・復習でそれまで以上に国語辞典は頻繁に
活用するようになりました。
アルバイトで日本国語大辞典全20巻も買いました。
それから諸橋の大漢和辞典も買いました。

当然辞書の解釈の文章も
それぞれ気にするようになりました。

それとともに各いろいろな国語辞典の特徴も先輩から聞いたりして
自然に教えられるようになって。
その時に聞いたのが、三省堂の新明解は、比較的新しい言葉にも
敏感に対応していて、他の辞書には収録していない新語でも
結構収録されているということでした。

日本では本の最後に奥付、というページがあります。
外国の本だと、表紙の裏側、ごく最初に出てくるのですが、
日本では「奥付」というくらいで一番最後にあります。

その奥付のところにその本のデータがいろいろと載っています。
Sanseido4


こういうのを書誌情報というのですが、
そこに「版」と「刷」の記載があります。

版を変える、ということは、内容も一部修正が加わって
原版自体が変更になる、ということですよね。

ただこの辞書の場合は、初版を1972年に出した後、
同じ版だけど、見出し部分に赤を使った二色刷のものを
1年後の1973年に出した、ということで、
この辞書の版は、1972年に出た初版というわけです。


新明解国語辞典の謙介の持っている初版本の
動物園の説明では、

 鳥獣・魚類などを(自然に近い状態で)飼い、観覧者に見せる
 公園風の施設

というまぁありふれた説明だったのが、。

有名なのは新明解の第4版の動物園の記述ですよね。


これがその問題の(笑)第4版。

Shinkai4


この辞書では、
上の説明が以下のように書き直されています。


 生態を公衆に見せ、かたわら保護を加えるためと称し、
 捕えてきた多くの鳥獣・魚虫などに対し、狭い空間での生活を
 余儀なくし、飼い殺しにする、人間中心の施設


これについては動物園関係者からいくらなんでもこの説明では、、
ということでクレームが入って、しゃあないなぁ、ということで
今ではこんなふうに書き直されています。

  捕えて来た動物を、人工的環境と規則的な給餌とにより
  野生から遊離し、動く標本として一般に見せる啓蒙を
  兼ねた娯楽施設。

ちょっと毒気が抜けちゃいましたね。

これが今の最新版の7版です。
Shinkai42


4版よりもちょっとサイズが大きくなりました。

Shinkai43

ページ数も若干の増加。

今度は「不倫」でーす。

第4版 
   男女が越えてはならない一線を越えて関係を持つこと。

でした.。
「越えてはならない一線」というところが、なんだか辞書の説明というより
非常に文学的な表現だなぁと思います。


それが第7版では

   人倫に反すること。また、その様子。 特に、妻のある男性が妻以外の
   女性と、また、夫のある女性が、夫以外の男性と肉体関係を結ぶこと。(様子)

と変更になっています。
ついでに「間男」とか「妾」とか「情を通じる」とかいうような言葉も調べてみたんですが、
まぁオーソドックスな説明しかなかったので、ちょっと、
なーんだ、とか思ってしまいました。

こういうのを見るのも結構おもしろいです。
読書っていうんじゃないですが、そこそこ楽しめたりします。

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Comments

最近は辞典を開くことが少なくなりました。
何でもググってしまっています。
家にもあったなと探してみましたら、国語辞典と漢和辞典、英英辞典、和英辞典、日韓辞典、韓日辞典がありました。
意外に残っているものだというのが率直な感想です(苦笑)。
それで、国語辞典ですが、小学館の「現代国語例解辞典」でした。昭和61年の初版第6刷版です。
「まったり」という言葉はまだ載っていない頃です。
「動物園」は「各種の動物を集めて飼育し、一般の人に見せる施設」という、ごくごくオーソドックスな記述でした(苦笑)。

十数年前に流行った『現代用語の基礎知識』という本は面白かったですね。
精度はともかく、その時代の言葉が載っていましたので良かったです。
「性」についてオープンになり始めた頃でしたので、そのページがとても多かったです。
思春期だった私にはすごく刺激的だった。
自分の性向を自覚し始めた頃でもあったため、それで調べて“異常ではない”ことを知ることができました。

辞典というのはその時代を反映しますので、史書と同じく、そのものが学問的価値がありますね。

Posted by: タウリ | 13. 10. 06 at 오후 5:37

---タウリさん
実は「まったり」って、元は京都の方言なんです。最近では「まったり過ごす」というような遣われ方になっていますが、元は京都の食べ物に遣われる言葉で「まったりしたお味」という遣い方だったのです。それは、ギトギト脂っこくもなくて、かといってさっぱり、でもないと。最初はあっさりしている感じなのだけど、よく食べてみると後になるについて濃厚というのか芳醇というのか、そういうふうにさっぱり、とこってりの中間のようなお味のことをまったりとした味、といっていたのですが、、いつの間にか味覚表現から、変わっていました。こういうふうなのも、タウリさんのおっしゃるように時代を反映する、というのか、時代によって言葉の意味が変化をしていく、ということの典型だと思います。「現代用語の基礎知識」いっとき、「知恵蔵」とか「イミダス」とか類似のものも出ていましたが、やはりネット社会になって、すぐに言葉が調べられるようになって、そういうものも消えて行ってしhまいました。今は「現代用語の基礎知識」だけに戻ってしまいましたですね。

Posted by: 謙介 | 13. 10. 06 at 오후 9:34

うちにも新明解ありますよ。確か四版だったかな。
版が重ねられるに従い無難になってきているようで、辞書マニアからは失望の声が上がってるとか。
毎年発表される流行語大賞は「現代用語の基礎知識」の出版社が主催。毎年新しい言葉を載せるために「新語」「流行語」を盛り上げたいのでしょうね。

Posted by: mishima | 13. 10. 08 at 오후 5:58

---mishimaさん
清水寺でやってる今年の漢字だって、漢検のところが主催でやってますしね。 でもあの後、漢検、正常化したのでしょうかね。
そうですよね。なんでもひも付き企画です。
あの新明解の個性的な語釈は編集主幹の山田忠雄せんせいの執筆、と聞いていますが、ちょっと毒が(笑)少なくなっておもしろくなーい、という気がしますよね。

Posted by: 謙介 | 13. 10. 08 at 오후 9:49

夫が辞書の編纂やってましたので、大変さは良く知ってます(日本語ではないのでまたちょっと違うかもしれませんが)こんなによく読んでいただければなによりかと。

Posted by: アリクイ | 13. 10. 10 at 오후 9:14

---アリクイさん
中学・高校の時は、国語・現代国語の予習で辞書をひいて意味調べをしてただけだったんですが、大学に入って、国語学(昨今は日本語学というそうですが。)の授業に出るようになって、もう辞書は片時も離せないようなものになってしまいました。語釈も興味深いのですが、それぞれの用例もまた「へえー、こういう解釈だったのか。」ということが改めて分かったりして、おもしろいと思いました。辞書の編纂は本当に地道で大変なお仕事だと思います。そうした編纂員の方々のおかげで、こうしていろいろと勉強できると思います。本当に感謝感謝です。

Posted by: 謙介 | 13. 10. 10 at 오후 11:05

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