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13. 07. 15

美文字ってよくわからん (その1)

昨日実家から仕事場の街に帰る途中、
琴平の町を通ったのですが

駐車場の料金が値上げしていました。
いつもは300円なのですが、昨日は500円に。

どうして急に値上げしてるのかと思ったら、
世間は3連休だったのですねぇ。

謙介は土曜も出勤、日曜だけ休みで
今日、月曜も通常通り出勤でした。
3連休なんて、どこの話? です。

しかし駐車場の料金で、
ああ、世間って3連休だった、って
気づくってどうよ。(笑)


さて。

美文字がブームなんだということですが。
ホントなんでしょうか。

で、見ると、『30日できれいな字が書ける大人のペン字練習帳』
というのが出ている、とありました。

そういえば、本屋の平台で置いてあったのを見て
ぱらぱらと中を見た記憶があります。

かつて、ワープロ単独機が普及しはじめた時に、
結構あちこちから聞いたのが、
これで汚い字からのコンプレックスが解消できる、
という声でした。

その時に、ああ、そうか、字が汚い、ということは
結構その人の中で大きなコンプレックスになって
いる人が多いんだなぁ、ということを改めて感じました。

人のコンプレックス、の原因って本当に
人さまざまですね。

身長、体重、から、×××の長さ、というふうな体のこと。
自分はなぜにこうも顔が、、というような容貌のこと。

すぐに人の言ったことに影響される、とか、
気が弱い、というふうな性格的なこと。

それから、今お話したように字が汚いというような
ことまで、、、。

その方の話を聞いてみると
コンプレックス、というのは、本当にいろいろあって
その人の行動に影響を与えていることが結構あるなぁ、
としみじみと思います。

という話を謙介がすると、
お前は字を習っていたのが自慢だろうから、
こんな話をするんじゃないか、けっ!
思われる方がおいでかもしれません。

とーんでもない。

謙介は字を親からそれはそれはやかましく言われて
やかましく言われるどころか、うまく字が書けないと
親から殴られる叩かれるというのは日常茶飯時でした。


何せ巨人の星なんていう番組をリアルタイムで見ていた
年代です。小学校の朝礼で、生活指導の先生が
巨人の星はいい番組だから、
あれを見ろ、というようなことを言ってたのですよ。

まぁ世間も親もそれで普通だ、ってみんな信じて疑いも
しませんでしたから。


だもんで字を書くのだって根性・努力・気合でした
いやいやしてたのに、殴られてもう本当に字の練習を
していたのです。

そこまでして練習させられたので、正直
ものすごいトラウマがあります。

小学校、中学校、字の展覧会やら
書写コンテストがある、と言えば、
先生は謙介のところに、はい、これを書いて、
って話を持ってくるわけです。

そうしたらまた家に帰って
殴られつつ字の練習をしないと
いけなかったんですから。 
みんなが遊んでいるのに、こっちは、墨をすって
半紙を拡げて、です。

で、散々殴られて叩かれて作品を作って出します。
そうしたら、やがてコンテストの審査があって、
金賞とか取るわけです。

そうしたら朝礼で校長先生から表彰状の伝達が
あって賞状をいただくわけですが、、。

あのころの小学生にとって
何ができたらいいか、といえば
問答無用で野球でした。

野球ができる子は、尊敬されますが
野球どころかそれ以前の
何せ運動神経の全くないとろい奴は
馬鹿にされた、というのかいじめの対象になったわけです。

お習字ができたってそんなもの、、、。
そこに加えて全校朝礼の時に、校長先生から表彰状を
もらう、なんていうのはいじめの対象にしかならないのです。

字を書く過程で親からどやされるわ、
賞状をもらったらクラスでいじめに遭うわ
まったくろくなことがありませんでした。


字が下手でコンプレックスがある、と
いわれますが、こっちだって
字の練習を強制的にさせられて、
トラウマになってて、
それはそれはしんどいのです。

で、大人が30日間練習をして、
きれいな字が書けるのか、
ということなんですが、、。

結論をはっきり言ってしまいますが、それは
基本的には無理だと思います。


今、基本的に無理、と言いました。

じゃあ、基本的でない例外的な場合があるのか
ということなのですが、
そういう例外的に字が良くなる場合があります。

それは何かと言えば、
小学生とか中学生の時に字を習っていたかどうか、です。
昔、その人が小学生とか、中学生の時に字を習っていた人は
練習をしたら、さび付いていたものが戻ってきます。

ただ問題はその
「さび付いていたものがもとに戻るまでに
どれくらいかかるのか」
ということです。

ここに個人差が非常に大きくあるわけです。
それともう一つ、
「どれくらいまで勘が戻ってくるのか」ということも
ありますね。

なら、わしは小さいときに字を習わなかったから
いまから字を習ってもあかんのやな、
という方が出てくるかもしれません。


ですが、どうか誤解しないでください。
お習字としての整った字を書くことと、
書道の藝術作品を書くことは
まったく違います。

ここのところをごっちゃにしている人が
非常に多いのですが、
書道と言うのは線の美しさ、字の力強さ、個性を見ます。
ですから形が変でも
線が生き生きとした線だったり、
字からのインパクトがあったりして、
そこにほかの人にないような
魅力があればオッケーです。

醜もまた美なわけです。

書道であれば大人になってからはじめても、
その人の人生経験が出て、味のある字が書けます。


それがお習字とか美文字、ということになると
整ったいわゆる万人受けする、楷書の字、が良い、
というものです。

そうした字の場合は、かつて小さいときに習っていれば
字を書くときの身体の動かし方の基本を身体が覚えています。
だから、練習をしたら、その動きを身体が思い出すわけです。

何年も自転車に乗らずにいても、何年か経って
自転車に乗れるのと同じ理由ですね。
たまたま今は錆びついているだけで、もう一度やっているうちに
勘が戻ってくるということです。
こういうふうな人であれば、昔習ったものが取り戻せる
かもしれない、ということです。


そういう経験を小さいときにしていなければ
今から練習をしても、、謙介は正直言って無理じゃないかなぁ、と
思うわけです。


なぜって? そんなもの理由は簡単です。
身体が動かないから、です。

何度も言ってきたことですが、
字って指先で書いているのではありません。
少なくとも右半身全体を使って、
上手な人になると体全身を使って書いています。
逆に言えば、字を書くのが下手だ、という人ほど
指先とか手先だけで字を書こうとしてしまいます。
しかも、ものすごく力が入っていますから、
長く字が書けないのです。

スポーツのフォームでもそうでしょう?
うまい人って「力みがない」とか「フォームが自然で流れるような」
と形容されますが、字を書くときもそうです。
字が汚い、という人に限って、
やたら肩に力が入りすぎていたり、
指先、とか手先に力が入りすぎていることが多いです。

謙介なんか大きな字を書く前にはストレッチをしますもん。
そうやって身体の筋肉をほぐしてから書くものなのですよ。

おっさん、おばさんになると身体が固くなってしまいます。
で、どうしても楽をしようとして
指先、手先で字を書いてしまおうとするんですよね。

どうして歳がいくと字が下手になるか、と言えば
身体が固くなって動かなくなるからです。

そうして指先で字を書いてしまおうとします。
高校生が字を書くのと、おっさんが字を書くのは
身体の動きが全然違いますからね。(笑)

じゃあ、おっさん、おばさんが美文字を書くのは
無理なの?

ということですが、

文字「一字」「一字」という単位で練習をしても
字がきれいに書けるようになるっていうのは
なかなか難しいでしょうねぇ。


加えて、
独習帳では非常に難しいと思います。

どうしてか、と、言えば、字の先生と対面して
その先生がどのように字を書いているのか、
腕の動き方、字の空間処理の仕方、
ぜーんぶ見ないと、だめだからです。
ゆーちゅーぶに書道だか字の書き方っていうのが
いくつもアップされているようでありますが、
お手本のくせに、まともにきれいな字のお手本がない。
みんなペン先とか筆先だけしか映してないでしょ。
あれではダメです。

じゃあ、方法は何もないのか?
という質問が次に来ますよね。


その方法は無理かもしれませんが、
別の方法があるように思います。


というところで長くなりすぎましたので、
今日はいったんここで
措きたいと思います。

えー???もったいつけるなよー、さっさとやれよー

ええいやかましい!
以下次回。


(今日聴いた音楽 せつなさを殺せない 吉川晃司ですよ。
 いくつになっても、まったくかっこよいですねぇ。)


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