« パソコンのリプレイス | Main | 潮干狩り »

13. 04. 29

からっぽの美術館・からっぽの図書室

国立新美術館の「アートライブラリー」の運営業務を、
○善が落札したのだけど、土壇場になって
スタッフが揃えられない、無理、って文字通りのドタキャン
やってたって。


ここの美術館って、確か自館では何のコレクションも持たずに
単なる貸しギャラリーなのに美術館ですぅ、って言ってるところ
だったよね。

そうか、美術館部門が貸しギャラリーなら、
図書室も自分とこでやる気はないわけだ。


だけど、○善、スタッフが揃えられなかった、
って、どうしてできなかったんですかねぇ。
図書館員のスタッフが、
美術に特化していたから難しかったのかな?

○善という会社はそういう図書館スタッフの
人材派遣もやっている会社なので、
人が集められなかった、って、ちょっと不思議な
気がします。
全然専門外の仕事、っていうんではなくて、
ちゃんと○善という会社の業務内容に入っている
仕事ですからできないといけないはずですが。

ただ、
もういまや図書館のスタッフがそういう外部委託に
なっている、っていうのは全然珍しいことでは
ありません。

謙介の住んでいる中国・四国地方にある
大学図書館のうちのいくつかの大学の図書館は、
その大学の職員さんではなくて、本屋さんからの出向の人が
図書館員をやっている、っていう図書館もあります。

たとえば○善から派遣されている職員だけで
やっている大学図書館もあれば、
○善もいるし、○脇書店もからの出向の人もいるし、
というふうにいろいろな人が入っている図書館もあります。

○善から派遣されている人だけの図書館は、
そこの図書館の本は当然全部○善から購入しなければ
なりません。紀伊国○から買いたいとか
熱帯雨林からネット経由でというようなことはできません。

世間の人は市立図書館を蔦屋が運営した、って大騒ぎしていますが
本屋が図書館やってる、なんてのはもう普通にあるんです。


多分そういうことって知らない人が多いとは思いますが。

図書館なんて、使えないと意味がありません。
本とか研究紀要とか学会誌の所蔵があるかどうか
もし、その図書館にない場合だったら、どこにその文献を持ってる
図書館があって、取り寄せにはどれくらいかかるか
さっと手続きをしてくれたり、○○について調べたいのですが
どんな資料を見たらいいでしょうか? と聞いたら、
こういう資料はどうでしょう、ってささっと相談に乗ってくれて
打てば響くような回答を返してくれる有能な司書さんが
いてくれないとどうしようもないと思うけど。

でもまぁちゃんとしたレファレンスのできる司書を置かないで
図書館を単なる貸本屋程度でいいんだ
って思えば蔦屋の運営程度でいいんでしょうね。

それはともかく。
あの美術館って六本木にあっておしゃれな建築物で
設えだけ見れば派手で目だって、という建物ではありますが。


どういう運営方法なのか、って見てみれば、
美術館を貸しギャラリーとしか捉えていない。
図書室もスタッフは外部委託する。
どうみても文化を創ろう、とかいう気概の全く
ないような帳尻あわせだけのただの箱ですね。

文科省って人間を創るための役所でなかったのですかね。


大体が建物の名称だって国立新美術館と言ってるけど、
本当は国立ではないんですが。(笑)
(一応、国から分離している「どくりつぎょーせーほーじん」)
なのに、国立なんて付けてるし。

目立ついれものだけ、麗々しく作っておいて、
中身はからっぽ。

あんなやる気のない美術館で、何をしようとしたって
ろくなもんじゃねえや、って思います。

まぁ外部発注する美術館も美術館なら
契約しておきながら人材がそろえられなかった○善も○善ですし。
どっちもどっちじゃねえか、って思いました。


つまるところ
両方のやる気のなさがよーく分かる、っていうような
ニュースだと思いますけれども。


(今日聴いた音楽 メランコリー 歌 梓みちよ
 ♪乃木坂あたりでは 私はいい女なんだってね
 ということで。
 この曲、吉田拓郎さんの曲でしたね。
 よく聞くと、ああ拓郎さんの曲だな、って
 メロディの進行とかに特徴が出ててそう思います。)

|

« パソコンのリプレイス | Main | 潮干狩り »

おげいじゅつ」カテゴリの記事

Comments

美術館や図書館って、外部委託してるなんて知りませんでした…。
コストを抑えるのにはそれが良いのかもしれませんが、なんだか釈然としませんね。
しかし、落札したのにドタキャンって、何かあるような気がするんですけど…。
入札ってことは、予め条件は決まってるし、事業内容も分かってるし、それを踏まえたうえで応札したのでしょうけど、それを撤退って…。
しかし、国も〇善も、本当にどっちもどっちって感じですね。
日本の文化事業って、こんなものなのでしょうか。
情けないです。

Posted by: まさぜっと | 13. 04. 29 PM 10:13

---まさぜっとさん
 たぶんこのことは国の行政改革と関係するのだと思うのですが、小泉さんの行政改革以前に旧文部省は9万人ほど職員がいたのです。
 というのが、文部省の役人から、国立大学の教職員から、国立大学の医学部の看護師さんから、国立博物館の職員・学芸員、その他いろいろなスタッフぜーんぶ入れてその数だったのです。
 ところがぎょーせーかいかく、とやらで公務員の数を減らさないといけない、って、真っ先に言われたのがこの文部省で、国立大学は無しにして、国立美術館も無しにして国立博物館も全部国の機関から切り離して独立行政法人、という訳のわからないものにしてしまいました。
 結果、正規の文科省の役人は2000人になったのです。ここからは算数ですが9万-2000人で、8万8千人も公務員の数が減った、と。
 まぁ建前上はそういうことになっています。だから謙介は一応その「建前通り」に国立じゃないじゃないか、って言っているわけなんですけれども。(笑) まぁいれものは派手派手しく見せていますが、内容なんて大したことないですよ。おしゃれな外装より、中身なんですが、その中身が、、は、あ、、まぁ、、あれなわけです。
 ○善、業務内容に入っていてできない、って、ちょっと変ですよね。なんかあったのか? とやっぱり思っちゃいますよね。 

Posted by: 謙介 | 13. 04. 29 PM 10:35

ごく最近まで「骨太の・・・」というキャッチフレーズが霞ヶ関で流行っていましたが、建物だけが立派、という意味だとすれば実に残念です。
「質実剛健の・・・」を目指してもらいたいものです。
宮内庁書陵部のように、永続性のある文化継承業務を担当できる国の事業を、戦後67年も過ぎたわけですから真剣に考えてもらいたいですね。
大戦で散逸した国家財産、民間財産についても、再収集を考えても良いのではないでしょうか。
こういう部分は民間ではなかなかできませんので、それこそ国の果たす役割が大きいと思います。
○善には学生時代からかなりお世話になっていますよ(専門書)。

Posted by: タウリ | 13. 04. 30 PM 6:33

---タウリさん
骨太、というのは骨格がしっかりしている、ということと、少々のことで揺るがない、ということなんでしょうね。骨格の中身にすが入っていて、骨粗しょう症では困ります。文化事業というのはお金がかかりますよね。大体が文学部の人間なんて、実学の学部の連中から言わせると「無駄の極致」みたいに言われてしまいます。「私は」と「私が」の違いは人の生き死にに関係するんか、とか言われたこともあります。ですから今のような不景気な世の中になるととても旗色が悪くて、無駄飯くらいとか、言われて肩身が狭いです。 でもね、我々は祖先からいろいろな文化遺産をいただいていますよね。それを後世にきちんと継承させていかなければなりません。そのためには、おっしゃるように大がかりな援助とか行政のバックアップが必要です。民間だと会社が倒産したとか景気が悪くなった、ということで援助が簡単に打ち切られることもありますもんね。でも、肝心の文科省があれでは、、ちょっとお先真っ暗、という気もします。 クールジャパンも結構なのですが、もっとオーソドックスな日本文化だって危機的な状況です。金になるからならないから、っていうような側面からだけで判断しないで、永続的かつ系統的な文化財保存の方策をお願いしたいです。

Posted by: 謙介 | 13. 04. 30 PM 8:26

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference からっぽの美術館・からっぽの図書室:

« パソコンのリプレイス | Main | 潮干狩り »