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13. 01. 10

肯んぜず!

これまた月曜日の話。
月曜ですから、がんセンターでの診察を受けにいったのです。

そうしますと内科外来の待合室の端で
車いすに乗ったおじいさんとその付き添いの
(たぶん)息子の嫁さんと内科のお医者さんが
話をしていました。

そのおじいさんの近くの椅子しか空いて
いなかったので、謙介、その椅子に座って本を
読んでいたのです。 
聞きたくはなかったのですが、
そのおじいさんとお嫁さんとお医者さんとの話が
聞こえてきました。

そのおじいさんは謙介のような素人が見ても
顔色も悪くて、元気もなさそうで、
これはただごとではないよね、ということが一目で分かる
ような病状のようでした。
(まぁだから地域の拠点病院のここに来ていた訳でしょうけど)

胸水がたまっていて、、、、それが胸のあたりを
圧迫して、呼吸もしにくくなっていて、酸素ボンベを
借りて呼吸をしている、ということが聞こえてきました。

で、病状も深刻なようなのですが、
「病状が急変したら困るし、そうなったときに家だったら
即応の処置ができないから、入院したほうがいい。」と
そのおじいさんの主治医とお嫁さんがおじいさんに
言っているのですが、そのおじいさん「入院は絶対に嫌。」と
肯んじないのです。

「病気を治さないといけないよね。」
と主治医に言われるとそのおじいさん、「うん」と首を
縦に振ります。
「だけど家に居たら、すぐに処置ができんよ。どうするん? 」
とそのおじいさんの主治医は言います。
おじいさん、そう言われたら無言になってしまいます。
しばらくしてお嫁さんが
「入院したほうが、お医者さんにすぐ診てもらえるでしょう? 」
と言っていましたが、、謙介がおじいさんの顔を見ると
「わしは入院なんてぜーったいに嫌だ。」と書いてありました。


「どうして病院は嫌なの? 」と主治医が聞きましたら
おじいさん「病院に入院したら家族が来ないから。」とのお答えです。
お嫁さんは「毎日来るから。」と応えていました。
「でも嫌。」

とうとう主治医は根負けしてしまって
「そうしたら今日は一旦家に帰るのでいいから、
よくご家族と相談してきてください。」と言って説得を
ひとまずそこでおいたようでした。

もしかしてその説得がそのおじいさんの息子であれば
変わっていたかもしれません。
「死ぬんと、治るんとどっちがええ?病院に
入って、お医者さんの元で、ちゃんと治してもらったほうが良かろ? 
死んでもええの? 」
息子だったらそれくらいのことは言ったかもしれません。
自分だったらそれくらいのことは言いますもん。


息子の嫁も、主治医もありていに言ってしまえば
「他人」ですから、息子ほどはっきり言って入院させる、
ということはできないでしょうし、
あそこまで拒絶しているおじいさんにそれは無理だとあきらめたようでした。
確かに病院、というところは家と違って好き勝手なことが
できません。

寝るベッドも自分がいつも家で寝ている寝具とか形態とは
違うでしょうし、食事だって病院の食事は、、治療食、という
位置づけですから、ただでさえ味付けが薄味だったりして
味気ない上に、特にここのがんセンターの食事は、
まずいので有名ですし、、。

例えば俺が入院していたときの朝食はこんな具合でした。
食パン2枚(トーストのように焼いていないそのままの食パン)牛乳
お味噌汁(具は白菜・ニンジン・ねぎ) 白菜のおひたし、 ゆで卵、バナナ

パンは日によって、バターロールになったり
コッペパンになったりしましたが、後の献立は全部和風でした。

ですからおじいさんの気持ちも分かります。
でもねぇ、あの状態だと、病状が急変でもしたときに
病院の中だったらお医者さんがいて、即応体制が取れますが
家だと、そういうのは無理でしょう。


そのおじいさんは俺が診察室に入って、診てもらって出てきたときは
もう居なかったので、その後、どうなったかについては
分かりませんが、、。


長年やってきた生活習慣を
入院、ということで、変えなければならない、
というのは、お年寄りにとってとても難しいことだなぁ、と
おじいさんの抵抗を見ていて思ったことでした。


(今日聴いた曲 大橋純子 ペイパー・ムーン
 1976年 音源はシングルレコード 大橋さんの
 歌の中で一番好きな曲ですね。)

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いなかのせいかつ」カテゴリの記事

Comments

お爺さんの頑固さが、ちょっと羨ましいです。
やっぱり、家族との暮らしっていうのも離れがたいものなのでしょうね。
お嫁さんも面倒を見てくれてるようですし、落ち着いた良い家庭なのでしょう。
将来、僕はどうなるのでしょう。
何も考えず病院で暮らすことになりそうです…。

Posted by: まさぜっと | 13. 01. 11 at 오전 1:45

妙に入院したがる方、絶対に嫌と拒否する方、様々ですね。
私の大伯父は98歳で初めて入院しました。
前立腺の病気だったのです。
入院初日の晩に病院から連絡があり、付き添ってくれと。
行ってみると、徘徊しうなっている大伯父がナース・ステーションの前にいました。
それまで認知症の症状はなく、長く独りで暮らしていた方だったので驚きました。
急に環境が変わると体だけでなく心にも影響が出ることがあり、高齢者だと認知症が出たり、進んだりすることがあるとのことでした。

謙介さんが病院で見かけたお爺さんは、何となく自分のことを悟っていらっしゃったのでしょうか。
変わることがないなら家で、とお思いになっていたのかもしれません。

仕事をしながら、何が一番良いのか?ということを常々考えています。
しかし、いつも結論が出ません。
誰から見て誰にとって?ということを踏まえたときに、複数の人がいる場合にはそれぞれの答えが違っていることが多いからです。
結局は何(誰)を優先するか、ということを決めることがスタートになりますね。
この課題は永遠のテーマだと思います。

Posted by: タウリ | 13. 01. 11 at 오전 8:26

---まさぜっとさん

 やはり家にいる自由度と病院にいる不自由さを考えて、ということなのでしょう。
 家に居たら、自分のペースに周囲も全部あわせてくれるでしょうし、細かいことを言っても聞いてもらえます。 でも病院だと、完全看護と言いながらも、いろいろ制約がありますよね。がんセンターも今のところに移る前の病室は6人部屋が普通だったのです。(今は2人まで)家に居たら好きな音量で見られるテレビも、病院ではイヤホーンで見ないといけませんし、食事の時間も決まっていますし、献立も決まっています。 おじいさん、70代後半か、80代のようでしたけど、やはり家で長年自分のペースでやってきた人にとって、そういう集団の中で生活するのは苦痛でしかないのだなぁ、と思いました。もし自分が入院を告げられたら、と、思いました。 嫌々ですが、仕方なく入院はすると思いますけど、、。(笑)

Posted by: 謙介 | 13. 01. 11 at 오전 9:05

---タウリさん
 本当にこれは難しい問題だなぁ、と思います。
(なのでここに記しておこう、という気持ちになったのですが、、。)おじいさん、病気で不快な状況になろうとも、断固入院を嫌がっていました。それくらい、自由な生活のほうがいい、ということだったのだと思います。
 タウリさんのおっしゃるように

 誰から見て誰にとって?ということを踏 まえたときに、複数の人がいる場合には それぞれの答えが違っていることが多い からです。
 結局は何(誰)を優先するか、ということ を決めることがスタートになりますね。

この部分が本当に難しいですね。 少々の不自由はあるけど、病気が治ったらいいだろう? って家族や主治医は思っていても、おじいさんの優先順位からいけば、生活の自由度・快適さのほうが先である、ということですね。 一人ひとりに向き合った、、ということはよく聞くのですが、果たして、本当に一人ひとりに向き合おうとすると、別の人に大きな負担がのしかったりします。その辺の兼ね合いが非常に難しいことを実感しました。
 

Posted by: 謙介 | 13. 01. 11 at 오전 9:12

私の義母は入院大好きです…みなさんがちやほやしてくれるのがたまらないらしくて…この前も普通日帰り手術の白内障で二泊しました。娘は入院するのは帰れない島に住んでる人くらいってあきれてましたが、病院で毎日嫁だけでなく親戚友人を呼びつけて、女王様あつかいを要求してました。食事がまずい?気に入らなければ食べませんもん。でも病院が大好きで、ちょっとのことで騒いで病院に行き、大事に養生してますから私より長生きするのではないかと思ってます。ある意味健康法かもしれません。

Posted by: アリクイ | 13. 01. 11 at 오전 10:49

---アリクイさん
ああ、そういう病院、入院大好き、という方もおいでですね。病気で、食欲が落ちるから、といって外のおいしいお店の料理とかお菓子を差し入れしてもらって、、という方もおいでです。俺が入院していたときの同室の人も、「ここの飯はまずい」と言って、家族に外の食べ物を買ってきてもらって食べていたのですが、その関係でしょう、何かの数値が非常に悪くなって、主治医に、「外部からの持込の食べ物はダメ」とおきゅうをすえられていた人もいました。その人の性質とか、考え方によって、病院が好き、という人もいれば、自由が束縛されて嫌、という人もいて、、本当に世の中いろいろだなぁですよね。

Posted by: 謙介 | 13. 01. 11 at 오후 4:52

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