奈良へ(2)
ここから春日大社に行きます。細かな春雨のような雨が降り始めました。
このお社の参道は、やはりこの道が「神さまの通り道」でもある、ということを
改めて思い出させてくれるような道だと思います。
木々の間を道はお社へと、、。
途中でこんな灯篭がありましたよ。奈良そごうなんてとっくに
なくなって、今やなんたらよーかどーになってしまっていますが、
石造りの灯篭はこうして今もあります。
だんだん本殿に近くなってきました。
そうだったんです。どうして謙介、急いでいたのかといえば、夏越の神事が
午後の3時からあって、その後は、この茅の輪くぐりができたからです。
と、言っても3時前からこの茅の輪はあって、みんな適当(笑)に
くぐってはいたのですが、、でも神事の後のほうが、、ねぇ、、。
茅の輪は帰りにくぐることにして、春日大社の本殿でまず参詣を
いたしましょう。
参詣を終えて、本殿の庇の下から外に出てみましたら
もうさっきとは比べ物にならないくらいの大粒のしかも
結構激しい雨が降っていました。
こらあかんわ、ということで、持ってきていた傘をさしました。
そうしてさっきの茅の輪をくぐって、今年の上半期の穢れとか
過ちを払っていただきました。
雨はますます激しくなってきました。
ですが、木々の間から見える緑はよりいっそう鮮やかさを
増したように見えました。
春日大社から近鉄の奈良駅まで、帰りも歩いて帰ろうと
思っていたのですが、雨が激しいので、奈良交通のバスで
帰ることにしました。
奈良のバスも自分のいる停留所の3つくらい前にバスが来たら
ランプが点灯するようになっています。
見ると、破石町(わりいしちょう、と読みます)にバスがいました。
前回もお話しましたが
結構いろいろなガイドブックを見ると
若草山とを同じものだと書いてある記述を
よく見ます。
若草山は芝生に覆われていて山焼きをするのが
若草山であって、御蓋山は春日大社の後ろの
春日山の別名です。今、この写真に写っているのが
正しい御蓋山(三笠山)です。
若草山と御蓋山は別の山なんですよ。
雨のせいで、芝生の緑がいっそう鮮やかでした。
確かにジトジトして、行動も制限されたりするのですが、
その一方でこんな美しい緑の原を見られたことは
とてもよかったです。
それに人がいない、というのも、、(笑)
やがて高畑のほうからバスが来ました。
バスはさっき歩いた道を逆に走り、
あっという間に近鉄奈良駅に到着したのでした。
東向商店街、お店、何か変化があったかなぁ、
と思って、通ってみました。
さすがに時間がなかったので餅飯殿までは
行きませんでしたけれども。
以前のままのたたずまいである古道具屋がある一方で
老舗のお菓子屋が改装してきれいになっていたり
全国チェーンの食べ物の店ができたりと
やはりいろいろの変遷・転変があったことが
見てとれました。
前回三笠まんじゅうの老舗の湖月がつぶれてしまった
話をしました。 というのが、その湖月のすぐ横に
京都のお菓子屋がきて、同じような三笠のお菓子を
売り出してしまい、それがもとで潰れてしまったのです。
その隣にできた新参者のお菓子屋、
ウエブ上はさすがに三笠は出していないのですが、
実際は、その老舗の隣に店を作って、
同じ三笠を売り出しました。
そちらのほうは、工場で大量生産で作ってるみたいですから
安い値段で大量にできてしまいます。
確かに湖月以外にだって三笠を売ってる店は
奈良にいくらもありました。
でもね、ちょっと離れた場所にあって
それぞれ共存共栄していたのです。
あんなふうに隣同士、ということはなかったですね。
新しい店は間口が広く明るく、若い人に入りやすい
店舗でしたし、お菓子の単価も安いし、
どう見ても、あとから来たほうがお商売上手
という気がしました。
ある程度の歳を経た人なら
老舗の湖月のほうがいい、というかもしれませんが、
湖月は修学旅行の生徒とか10代20代の人に入りやすい
という店では決してありませんでした。
あの通りを行く人なんて圧倒的に若い人のほうが
多い通りですからねぇ、、。
まぁそういうことで、淘汰の末に
湖月はなくなってしまった、ということです。
この経緯を考えると、老舗という立場の店が
新しい時代にどうベクトルを広げていかないと
いけないのか、ということを考えさせられます。
京都の虎○は、老舗の看板を出しながら
パリに支店を出したり、お茶の心得のある
人からはさんざん馬鹿にされながらも
カシス味だのブルーベリー味の羊羹を作ったり、そういう新しい
ものを取り込もうとする努力はしています。
湖月も通行人の年齢層にでも合わせて「せんとくんまんじゅう」だか
「バンビーノせんべい」みたいなものをやはり
作って売らないといけなかったのかもしれません。
やはり老舗、というだけではなくて
伝統の上に絶えざる革新性、というのが
必要なのだ、ということを思いました。
でもまぁ、商店街で売っているおみやげを見たら、
目立つところに鹿のシールを貼っただの
抹茶だのっていうものを使って「和風スイーツ」だの
「奈良名物」とか書いてあるようなものばかりで、、。
本当に奈良の産品を使ったお店ってあまりに
ないなぁ、と思いました。
通りを通る人が若くてあんまり物を
知らないのをいいことに、適当に「イメージとして
奈良っぽいようなものを並べておいたらいい。」
ということなのかもしれません。正式なものを置いても
ここの通りを通る人って正直なところ、ホンモノを
見る目のある人は少ないし、売れへんから
適当でええねん、ということかなぁ、とも思います。
でもねぇ、前に三輪そうめん○本の最高級品のそうめんを
頂いて、生産地を見たら、堂々と長崎県島原市、と書いてあって、、
それを見たときは、もう三輪そうめんって名乗るの止めろよ、
って正直思いました。
奈良県桜井市の三輪山の山ろく辺の気候を生かして作るから
三輪そうめんなのであって、そんなもの
長崎県製の三輪そうめんって、、、
じゃあ、札幌製の沖縄そばってオッケーなのか、
ということですけど、、許されます? そんなの。
ということで、いろいろのことを考えさせれた奈良でしたが
古事記の展覧会を見るという義務を
果たすのと、春日大社で夏越のお祓いを受ける
ということをふたつともすることができたので
また近鉄の快速急行に乗って、大阪に戻りました。
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Comments
謙介さんの訪問地は僕が行ったことがある場所がほとんどなかったのですが、今回やっと重なる場所が出てきました。
もう10年以上前になりますが、奈良の春日大社に行ったことがあります。
初詣でしたが、午前の早い時間だったのでスムーズに参拝できました。
荘厳な雰囲気ですよね。
今も変わらないのでしょうか。
またお参りしてみたいです。
奈良国立博物館もたびたび訪れました。
ちょうど薬師寺で平成の大改修があったときで、薬師如来像が“避難”していたのです。
薬師如来像を間近に見ることができるということで、改修の間に2度行きましたよ。
お茶をした記憶がないので、参拝し、博物館を観覧した後は早々に大阪に引き返していたと思います。
最近は沖縄そばのインスタントラーメンがたくさん販売されています。
どこで作っているのでしょうね(苦笑)。
食べてみると、実際のものとやはり違いますよ。
本土の方が「これが沖縄そば?」と思われたら困るなと何度か感じたことがあります。
Posted by: タウリ | 12. 07. 11 PM 10:02
---タウリさん
大学のときからの奈良出身の友達は、奈良なんてのんびりできるお店があらへん! とぶつぶつ言うのですが、俺は決してそんなことはないと思います。それが、仮にコンビニで買ってきた何か飲み物とかスイーツでもかまいません。東大寺の北側のほうに行って木陰の芝生の上で、座って飲んだりしても、やはりなんだかゆっくりとした気分になれます。奈良国立博物館、いいですよね。以前は、この博物館の道を隔てて北側に日吉館っていうお金がないけど、奈良の古い寺を回るのが好きな学生のための宿がありました。奈良は明日香村なら明日香村、山の辺の道なら山の辺の道、斑鳩なら斑鳩、と、場所を決めて、その場所をゆっくりと時間をかけて集中的にまわるのが一番いいように思います。今回は、時間がなかったので、こういうまわり方になってしまったのですが、また近いうちに奈良のどこかに行きたいと思っています。
一度、松山で沖縄そばを食べたのですが、期待が大きかったのか、タウリさんのお話のようにおいしくない分だったかで、いまひとつでした。一度本場のおいしい沖縄そばをいただきたいと思います。
Posted by: 謙介 | 12. 07. 11 PM 11:16
沖縄に来てから思ったんですが,沖縄そばってホント,ラーメンほどじゃないですけど,千差万別ですねえ。
ある人が絶賛してても,他の人はけちょんけちょんにけなしてたり。
まあ,それだけバラエティに富んでいるので,いくつも訪ねて自分好みの麺と汁,具のあるお店を見つける楽しさってのも,ありますね(微笑)
Posted by: Ikuno Hiroshi | 12. 07. 12 AM 12:50
---Ikuno Hiroshiさん
そうなんですか。こちらのうどんみたいですね。どこそこの店のがうまい、と噂を聞いて行って食べても、自分的には、なんだこの程度か、と思ったり、いろいろな人には、いまひとつだの、個性がない、と言われていても、たまたま寄ったときの気候とか、体調とか、おっちゃんの麺の出来具合によって、え? 悪いとか書いてあったけど、全然そんなことないやん、って思ったりしますよね。 そういうお店をあちこちまわるのがまた楽しみでしょうね。いずれにしても、やっぱり東京とか大阪で沖縄そばは食べるのではなくて、沖縄の空気とか日差しの中で、沖縄の人たちの中で食べないと、本当の味が分からないような気がします。
Posted by: 謙介 | 12. 07. 12 AM 9:15