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12. 06. 06

22年の後に(3)

さて、庁内に入ってみます。これが受付の部分。
ここも庵治石が使われています。

Uketuke

受付の横に、棚があります。
前にフランスからお客さんが来たときに
この棚を譲ってほしい、という話があったとか。
なんとなくルコルビジェ風ですもんね。この棚。

Uketuke2

この建物を特徴づけることとして
前にも言いましたが、市民がフラッと県庁に入ってきて
そこで憩える場所を作りたい、
というのが大きなテーマでした。
ですから県庁の一階には職員の執務している部屋は
一切ありません。南側は新聞とか雑誌を読んだり休憩したり
するコーナーが南側にあって、真ん中のコアの部分に
階段、トイレ、湯沸し室、エレベーターがあって、
逆の北側には県民ギャラリーがあります。

コアの部分の外壁には
猪熊さんの「和敬静寂」 というタイトル
の大壁画があります。

Genchan1


家具は剣持勇さんのデザインです。
以前には、ここがメインの来庁者の休憩所だったので
新聞とか雑誌が結構たくさん置いてあったのですが、
今ではそういうコーナーは新しい本館のほうに移動しました。
Kenmotsu

みなさんが剣持さんのデザインの作品で
多分一番よく目にするのはこれでしょうかね。
この容器のデザインが剣持さんの作品です。
Yakult


センターコアにしたのは、
この写真を見てもらったら
わかるでしょう。
Hiroi


柱がなくて広々としています。
柱は外の窓枠のところに柱があるのですが
少なくとも視界に入る部分には柱は
ありません。
だから空間が広く使えます。


それから謙介、長年の謎が解けました。
前から、この石の間の丸い金具の蓋は
何か、と思っていたのですが、、。


Yuka


この蓋を外すと柱を差し込める穴が開いていて
そこに柱を差し込んで、パネルを取り付けると
簡単にパネルの掲示板、もしくはパーテーション
ができるようになっているそうです。
この場所を即座にギャラリーにすることができるように
なっているんですよ、ということでした。
これで長年の疑問が氷解しました。
なるほど、そういう仕掛けがあったのですねぇ、、。

コアの部分に湯沸し室、エレベーターホール、トイレ
階段を全部まとめてもってきています、

Elehall

エレベーターの階数表示の横に
以前は「若さを誇る職員は階段を利用しましょう」
というプレートが貼ってあったのですが
今はなくなっていました。

階段ですが、この階段の幅は180センチです。
丹下さんが日本人のサイズでどれくらいが
適当か、さまざまな実験を行って割り出した
寸法だそうです。コンクリートと松の木材の組み合わせですが、
違和感なく使っています。

Kaidan_2


5階に上がります。
以前は5階は議会関係の課があったのですが
今は文化事業推進関係の各課が入っています。

Heya

そう天井、低くて圧迫感があるとも思えないのですが。


窓を開けて外に出ています。
うわぁ、と思わず声が出たくらいバルコニーから
風が通ります。
バルコニーに出て実際に高さを見てみると
ここでもやはりそう低い、という印象はありませんでした。
下から見たら相対的に狭そうに見えるのですが
そうそう低い、という感じもしませんでした。

Barukoni

本庁舎の見学を終えて

今度は低層棟のほうに向かいます。

今日は何も行事がなくて使っていないので
がらーんとしています。

Hall3


荷物棚は、1階の受付と同じ構造
Nimotutana

県庁ホールの入り口です。

ドアはこの地の名産の漆器、後藤塗の扉です。赤が非常に効果的で
なんだか小津さんの映画の構図みたいな感じがしました。
Hall1


後藤塗の漆は
最初はちょっと茶色みがかった色なのですが
時間が経つにつれて朱色が表に出てきます。
Tobira
この扉が設置されて半世紀が経過しました。
最初はたぶん茶色がかった赤だったであろうこの扉も
時間の経過とともに、こんなふうな
赤い扉へと変化したのでしょう。

入ってみます。

Hall

壁面の色は
桂離宮の障子の意匠を
使っているのだとか。
まぁそう言われたら、そうか、、。


Katura_2

22年前。

この場所で謙介の人生にとって
結構意味のある書類をもらいました。

まさか22年経ってまたここに来るなんて、、
なかなか感慨深いものがありました。

ホールに入って、椅子に腰掛けて、
説明を聞きながら、その22年前のことを
いろいろと思い出していました。

記憶と言うのは単に埋もれているだけなのですね。
何かのきっかけがあると
これまですっかり忘れていたことも
糸がつながったようにさぁっと思い出すのです。
まさにこのときがそれ、でした。

記憶がよみがえってから、
ああそうか、あれからもう22年なのか、と思いました。

振り返ってみると月並みな表現になってしまいますが
本当に月日の経つのは
なんと早いことでしょう。

         ×         ×          ×


ホールの案内で、この県庁舎の見学会もおしまいです。
再び最初の集合地点の玄関までみんなでやってきて
解散、となりました。資料を準備いただいて、懇切丁寧な
案内をしてくださった県の方にお礼を言って解散しました。

街中に買い物に行くときに、自転車で
この建物の前は通っていたのですが、
今回のこのツアーに参加して後はやはり
この建物に対する見方がすっかり変わってしまいました。

それから、建築と書道には共通点もあることが
分かりました。
書道の作品制作でもそうなのですが
見ている人間に気をつかせないようにして
それぞれの字の大きさ、位置を少しずらしたり
変化させたりして、最終的に作品になったときに
まとまりとか構成を強く印象付けるものにするために
視覚的な処理をすることがよくあります。

そうした視覚処理は字形以外で、字の線にもします。

墨をここでは掠れさせてみようとか
ここではたっぷり使って濃い墨色を出そう
とか、そういうテクニックがあるんですよ。
ただ、漫然と字を書いているように見えるのは
あれは撮影用です。(笑)

今回建築の話を聞いて思ったのは
建築にもそういうところがあって、
なんだ書道でやってることと同じじゃないか、
ということでした。まるっきり似てる、
という部分があって、ちょっとびっくりしました。


こうした発見があったこともひとつ収穫だったように
思いました。もちろんここに書かなかったことで
勉強になったことは山ほどあったのですが、、。
本当に参加してよかった、と思いました。


ただ、この建物がありますね。
はい、見ました、だけでは、なかったのですね。

吉田の兼ちゃんじゃありませんが
専門家のガイドはやはり初心者の道案内として
非常に大切で必要なものだ、と深くそう思いました。


この街歩きツアー、別のコースであと数回参加する予定です。
また行ったらご報告したいと思います。


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Comments

 10年弱お世話になった広島県庁舎。
 こちらも,ちょっと似たところがありますね。設計はもちろん違ってますが。

 エントランスは,香川県庁舎と同じく広く空間がとってあります。違うのは,大半をガラスにしてる偽ピロティ(笑)
 背後の中庭には出られなくなってるのも,違いますね。ま,前面にかなりの面積で広場空間がとってあるから・・・南側に低層棟,北に高層棟と分けているので,圧迫感もないですし。
 その分,手狭になって後に建てられた背後の東庁舎は狭い敷地に20階建なものだから,圧迫感ありまくりで・・・ま,県警も入ってるから,それでいいのか(笑)

 それはともかく,1956年の竣工ということで,平和記念資料館や香川県庁舎と同じ時代思潮の中での共通点,なのかもしれません。
 ・・・さすがに,昨今老朽化と耐震性の問題が出てきてますが。


 あ,今ググってみたら,「公共建築百選」に選ばれてました。お仲間ですね(笑)

Posted by: Ikuno Hiroshi | 12. 06. 06 at 오후 11:39

---Ikuno Hiroshiさん
一昨年の夏の終わり、広島で出張があったときに、ついでに広島城に行ったんですが、その時に広島県庁の前を通りました。市役所のほうは宇品から電車に乗って市内に向かうことが多い謙介としては、前を通る頻度が高かったのですが、県庁はお城方面に行く、ということでもない限り、通らないので、おそらく一昨年が、初めてああ、ここが広島県庁なのだ、と意識して見たはじめだと思います。そうですね。広島の場合、特に平和・民主主義という言葉はやはり非常に重い意味がありますし、しかも1956年といえば、戦後まだ10年そこそこで、戦争の影響はやや薄れたといってもまだまだ濃厚にあったと思うのです。
そうした時代の流れというものが、設計段階で大きく影響していた、ということはあると思います。 でも、今回、建築の見方の入り口を聞いて本当にいい勉強になりました。

Posted by: 謙介 | 12. 06. 07 at 오후 6:52

わが滋賀県庁は佐藤功一氏設計で、早稲田大学大隈講堂や日比谷公会堂が兄弟建物みたいです。
「公共建築百選」からは落選(-ε-)
1998年に建設省50周年を記念して選定されたそうで、公共建築百選はおそらくこの50年間に建築されたものから選ばれたんでしょうね。
と言うことにしておきましょう。そうじゃないと、各都道府県から「うちの庁舎が入ってない!」って文句が出てきそうですから。
滋賀県庁の自慢は、正面階段のテラコッタ。もちろん、信楽焼(*^-^)
どの県でも地域の名産ははずせないですね。

Posted by: mishima | 12. 06. 12 at 오후 5:27

---mishimaさん、
実はですね、写真にある香川県庁の陶器製の椅子。あれ、実は信楽焼なんですよ。ふふふ。滋賀県産品がこんなところに。そうですね。やはり県の特産品をどこかに使って、というのは県庁の建物としては自然のような気がします。滋賀県庁舎、新幹線はトンネルの中ですから見えませんが、名神高速から見えますよね。滋賀県庁舎を見ると、あ、大津だ、という気がすごくするんですよ。

Posted by: 謙介 | 12. 06. 12 at 오후 8:23

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