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11. 10. 31

「その後」のこと

話は今年の8月24日に遡ります。
謙介が自分の今やっていることでの
共同発表をした日のことです。

あの時の参加者の中で、ひとり、周囲とすごく雰囲気の
違う人がいました。
彼があんまり違ったのでよく覚えていたのです。

その人だけ、濃厚に体育会系だったのです。
と、謙介が言うと、あ、そういうことね、
と考える向きも多々おありでしょう(笑)が、
うーん、おそらくその想像はあんまり当たっていないと
思われます。
だってタイプじゃなかったんだもん。
おほんえへん。

先週の月曜日、その体育会系の方が
所属する仕事先の人と
話をする機会がありました。

「そうそう、そちらの○○さんにも参加していただきましたよ。」
と俺は言いました。
「元気な人でしょ。」
「ええ、すごい元気な人でした。
○○さん、って、どことなく他の人にないような
独特な雰囲気がありますよね。」
「そうかもしれないですね。あの人ちょっと前まで
○○球団の野球選手だったですから。」
「あ、だからなんですね。」と謙介は
思わず言ってしまいました。
「どうかしましたか? 」と聞いてきた相手の声は
やや不安そうでした。
「いや、こちらの話を最後まで本当に熱心に話を聞いて
くださっていたのですが、終わってからの質問が
すごくストレートな質問のしかたで、
おもしろかったんです。」と言ったら
「ああ、なんとなく想像できます。
彼は何でも直球勝負ですから。」
という返事でした。
そのあと、俺も深くは聞きませんでしたが、
野球選手をやめて、全く異なる職種に就いた彼の
今の状況を想像すると、どうして彼が野球をやめたのか
なんとなく想像はつきました。


はてさて昨日の日曜日、例によって
高校生2人の入試対策の勉強を見ていました。
謙介の入試講座ですが、来月でお役御免になりそうです。
Bくんのほうは何せ特技で全国3位なので
大学のほうが放っておかず、複数大学から
うちに来てくれないか、というオファーが来たそうで。

その中には大学名を聞いたら、あれま、というような
大学もあったのですが
「そこは断りました。」
「どうしてなの? 」と聞いたら
尊敬できる指導者がいないから、
ということでした。

で、Aくんのほうも学校推薦で入試を受けることになったとか。
「学校推薦だったら試験なんかないのと違うの? 」と
聞いたら、「小論文入試があるんです。」
ということで、小論文の書き方、ということで
もうこれだけは、というところに絞って話をしました。

勉強が終わって先週のプロ野球の
ドラフト会議の話になりました。
何せ2人の同級生が某球団からの
1位指名でしたから。

「大丈夫ですかね。」とBくん。
「え? 」
「あいつ、チキンですけどね。」
「え、そうなの?  」
「毎週金曜日、うちの学食、肉うどんの日なんスよ。」
「ふん。」
「で、うちの学食の肉うどんは肉、自分で好きなだけ
入れてええんです。」
「え、どんなシステムになってるん? 」
「おばちゃんに肉うどん、言うでしょ。そうしたらうどんと
だしのかかった丼をくれて、横に肉の入った容器があって
そこから好きなだけうどんの上に載せてええんです。」
「なんとまぁ太っ腹なシステム。」
「そやけど、その容器の肉がなくなったら肉うどんは
おしまい、なんです。」
「そらそやわなぁ。」
「で、俺が行った後で、あいつが何度か来よったんです。」
「ふん。」
「俺が載せようとしたら、あいつ肉うどん食うなよーって
言うんです。でも、そんなんオレは聞けんから
うるさいわ、オレの自由じゃ、って
言って睨んでやったらびびっとったもん。」
「え、Bくんが睨んだら怖がってた? 」
Aくんが、「こいつが眼、飛ばしたらものすごく怖いです。」
「そんなことやないわー。」
「怖いわ。俺やって黙るわ。」
「違うわ、あいつがチキンなだけや。」

まぁとりあえずBくんが睨んだら彼は黙った、と。
そいつがプロ野球みたいに競争の激しいところに
行って大丈夫なのか、というところに
Bくんは疑問を呈している、と、いうことらしいです。

「まぁでも、日常は怖がりでも、マウンドの上に立ったら
人が変わって、心臓が強くなるのかもしれないしさ。」
「そんなのあるんですか? 」
「あるある。普通にあるよ。
だってね、自動車のハンドル握ったとたんに
人間性の変わる人なんてものすごく居るから。」

というような話をしました。


          ×       ×        ×


毎日の新聞を見ると、さまざまな試合結果とともに、
その選手のことが載っています。
新聞やマスコミは頂点に立った選手とか
目立つ選手のことは
大きく報道します。

本人の天性の才能、
それからその才能を伸ばす適格な
指導者による練習、
彼らの環境、

そうした条件が
たまたま奇跡的にうまく運んでいったときに
すごい結果が生まれるのでしょう。
改めてそれ自体「稀有」なことなのだ、と思いました。
「奇跡」と言っていいのかもしれません。
Bくんも自分がこの人の指導を受けたい、と思う指導者の先生がいる
学校に進む、と言っていましたが、彼がさらにそこで
技を磨いて、すごい人になっていって欲しいのは言うまでも
ありません。

ちょっと考えたら分かることですが
実際にはその競技をしている人なんて
日本中に何千何万といるのでしょう。
しかしそうした人のことはなかなか記事にはなりません。

まるで、その競技界には、その選手を筆頭に話題に上る
数人の選手しかいないような扱いです。
そんなこともあって
私たちは、どうしてもその競技で目立つところにいる人しか
目が行きません。


ドラフトで1位指名されたとしても
「その後」のことは分かりません。
彼自身の才能の伸びしろはもちろんのこと
行った球団の環境がうまく彼に合ったものだったか
その球団で彼に合った指導者にめぐり会えたか、で
その後は変わってくるでしょう。
本当にそれは難しいことです。
実際入団時にはものすごい評判になった
選手が、その後はすっかり鳴かず飛ばず、
っていう例はよくあるではありませんか。
西武にいった「あの子」はどうなったのか?

それとともに自分の目指していた道を
途中であきらめざるを得なかった人の
その後、ということも考えました。
どういうふうにして、その「気持ち」と
折り合いをつけたのか。
今はどう思っているのか。

そんな人のことは、よほどのことでもない限り
決して記事になることもないでしょう。
でも、そうした人のほうが格段に多いのも
事実です。

今の世の中、
企業や会社によるとイノベーションとやらで
どんどん経営の中心の軸足を変化させて
いつの間にか全然違う業種の会社になっていた
というところも結構ありはします。
ですが個人のレベルではどうなのでしょう。
確かに変わることのできる人はいいですが
特定の分野一筋でやってきた人は
なかなかそうはいかないのではないでしょうか。


自分が書道で伸びていくのを潔しとせずに
やめてしまったことも重ねあわせて
そうしたスポーツ選手の「その後」について
謙介はやはりどうしてもそこに
「思い」がいってしまうのです。

(今日聴いた音楽 ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
 作曲 交響曲第9番 ニ短調 作品125
 ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏
 指揮 カール・ベーム ソリスト省略
 1972年 ウィーンでの録音
 ♪いーる しゅとるつ にーでる みーりおーねん
  あーねすと どぅーぜん 、、のところが
  なかなかうまくいかずに困っているので
  ございます。)


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Comments

私は、努力したが叶わず諦めた経験がないんです。もちろん、叶ってばかりということではなく、全身全霊を込めて取り組むことがなかったんです。
なので、一時であっても頂点を目指そうと励んだ時代があるというのは羨ましいです。
もちろん諦めざるを得なかった時の落胆は大変な痛手だとは思いますが、一つのことに集中して燃えることができると言うのは、才能なんじゃないかと思います。

Posted by: mishima | 11. 11. 01 at 오후 12:20

---mishimaさん
そうですね。mishimaさんの言葉で自分のことを思い出したのですが、大学のころなんて日曜は朝から晩までずっと正座して字の練習をしていても全然苦になりませんでした。墨汁は使えないので、墨を1時間ぐらいかけてすって、そのあと、500枚くらい字を書いていました。でも全然疲れなかったですし、集中もできていました。今はそれが30分くらいしかできません。俺だけかと思ったら、周囲のみんなも同じようなことを言うのでやはりこれは「経年劣化」だろうと思われます。まぁそういうひたむきにひとつのことを追い求めることができていたのは幸せな時期であった、ということなんでしょうね。 それとともに、やっぱり、その後のことが気になるんですよ。運動選手として活動できる時間は限られています。しかもやはり適性というか向き不向きがあるから誰でも指導者にもなれない。しかし、人生は長いです。そうした運動選手をやめたあとのその人の人生はどうなんだろう。やめたときにどう自分の中で折り合いをつけたのだろう。その時自分の中であっただろう内的な葛藤がどんなふうに起こってどんなふうな経緯を経てどうなったのか、そこにやっぱり自分としては目がいってしまうんですよね。

Posted by: 謙介 | 11. 11. 01 at 오후 11:48

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