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11. 01. 07

japan

こないだのお正月の集まりで、今では漆の職人になった
Mくんが、「謙介さん、これ、プレゼント」と言って小さな桐の箱を
くれました。

Japan1

その場で開けたかったんですが、宴会ではいろんな人に
会ったので、話に夢中になって開ける機会はありませんでした。
帰ってからのお楽しみ、ということになりました。

Japan2
開けると黄色い布で覆われたものがあらわれました。
「漆」と書いてあるのは、手入れの方法を書いた小さなパンフレットです。

Japan3

中から現れたのは匙でした。
後からMくんのメールが追いかけるように来て、
これでコンソメスープとかお雑炊をどうぞ、と
ありました。

Japan4

丹念に木を削って、岩手産の漆を何度も何度も塗り重ねた、
とは最初に伺いました。
ちょっと分かりにくいのですが、お匙の口に当たる部分の薄さは
0.3ミリだそうです。
スープを飲んで、口の中に違和感が残らないような
薄さをあれこれと試行錯誤していったらその薄さが
一番だった、ということでした。
実は前に備前焼の人間国宝だった藤原啓さんの
焼いたお茶碗でお抹茶を点てていただいたことが
ありました。その時、あまりにお茶碗の縁が
口にぴたっとおさまるのに驚いたことがありました。
そういう角度ひとつにしても、毎日使っていく中で
考えに考えぬかれた角度、というものがあるのだ、
また名工という人は、それをさりげなく
本当に気づかれもしないほどに、しかも
きちんとそれを提示するのだ、とわかって
いまさらながらびっくりしたことがありました。

Japan5

漆で熱いスープ大丈夫? と聞いたのですが、
何度も何度も漆を塗り重ねてありますからね、
問題はありません、とのこと。本物の漆は
すごく強いものなんですよ、という話でした。
Mくん、手に持つ、ということにもよほど考えて
考えてこのフォルムにしたのでしょうね。
匙を持っても、匙の持ち手、ごく自然に手になじみます。


Japan6

前に奈良の古道具屋さんで見つけて、目が吸い寄せられる
ようになって買った江戸時代の漆の皿がありますが、
それだって、全然なんともなっていません。
漆がはげたら、また塗りなおしたらいいんです、という話でした。
ガンガン使ってくださいね、とも。
結構漆器を洗うときは他のものと別にしたり、
用心して、丁寧に洗う、とか、気をつけるのですが、、
ご注意は食器乾燥機にはかけないでください、程度でした。
今日の表題のjapanはもちろん「漆」のこと。
漆芸がこの国の英語表記の語になったように
日本にはさまざまな漆の工芸があります。
確かに漆の製品はそれなりに値段も張るのですが、
その分丁寧に使えば長く持ってくれます。

謙介の実家の街でも漆芸は盛んです。
この街には工芸高校があって
(決して工業高校ではありません。工芸高校です。)
その中に漆芸科という科があります。
漆芸科の生徒さんは、最初必ず漆にかぶれたり
しながら、それでも一生懸命に漆に取り組んで
新しい作品を作る、と聞きました。
この匙をくれたMくんも、Mくんのお父さんも
この漆芸科出身の漆職人です。


この匙、滋賀のたね○というお菓子屋さんに
納めさせてもらったんですよ、とのこと。

前に椅子職人のコースケくんが作った椅子が
京都の○イアットリージェンシーにおさめられた、
という話をしましたが、こういう技術の高い
プロの職人さんが居てくれる、ということこそ、
大切にしなくちゃいけないし、職人さんが
プライドを持って自分の技術を磨こうと
している。そう考えたら、この国もまだまだ
捨てたものじゃない、という思いを持てます。

中国や韓国だと職人さんは本当にさげすまれますし、
プロ意識だって持てません。


Mくんのお気持ちに感謝しながら
大切に使わせていただこうと思いました。


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Comments

漆塗りの匙はもちろん、黄色い布も桐の箱も素敵で真心を感じますね。

去年テレビ番組で漆器を作っている方が「もっと普段から使って漆のよさを味わってほしい」と話していらっしゃいました。やはり注意することは「食器乾燥機はダメ」程度でした。

我が家も奥の方にしまっていたお椀・茶托・お盆などを手の届くところに並べました。なかなか普段使いとまではいきませんが、目に見えるところに置くだけでも豊かになった気分です。

Posted by: | 11. 01. 07 at 오후 7:03

---(お名前お教えくださいね。)匿名の方

やはりちょっとしたことなんですが、日ごろのプラスティックではなくて、せっかくお持ちなら、本物を出してきてじゃんじゃん使ったらいいと思うのです。 いいものを、日々のくらしに使う、ということも、暮らしを豊かにする、という意味で、いいのではないでしょうか。

Posted by: 謙介 | 11. 01. 07 at 오후 10:27

先のコメントは私です。匿名ではなく、単純な入力忘れです。

仕事の時は「まず自分の名前を丁寧に書くこと! 大事なことです」と人には言っているのに恥ずかしいです。

失礼しました。

Posted by: エト | 11. 01. 11 at 오후 10:33

---エトさん
おけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。 
 謙介だって決して他の方のことは言えません。何せおっちょこちょいなので、しょっちゅうその手のミスをします。今年は、えへんおほん。もうちょっとそういう確認したら、防げるようなミスは少しでも減らしたい、と思っています。

Posted by: 謙介 | 11. 01. 11 at 오후 10:57

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