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10. 12. 15

ミンバンウェイ

今日は15日。

毎月15日と言えば
韓国では民防衛(ミンバンウエイ)の日。

ソウルにはじめて行ったとき、
今もある、市庁前(しーちょんあっ)の
ソウルプラザホテルに泊まった。
伊丹空港からJLのダグラスDC10で
金浦空港に着いた。
それまでは、ほとんど教科書の「紙」の上でしか
見ることがなかったハングル文字が
急に自分の中に四方八方から飛び込んできた。
(当たり前だけど。)

あのころは、帰りの飛行機をリコンファーム
(予約再確認)しておく必要があったので
金浦空港のJLのカウンターへ行って
「リコンファーム、プタッカムニカ?」
(リコンファーム、お願いできますか? )
とアガシにつげた。これが俺の「普通」に遣った韓国語の
最初の言葉になった。

金浦からは、はりこんでタクシーに乗った。
まだ、黄緑色のポニーという車のタクシーが
ソウルの街を走っていた。(もうポニーの最後の
最後の時期ではあったけれど)
タクシーのウンジョンウィサニム(運転技師様)は
俺の「シーチョンアッ」もろくに聞かないうちに
とりあえず東に向かって走り出していた。


車はすごい速度でどんどん市内に入った。
写真でしか見たことのなかったソウル駅の
前を通り、南大門の前を
通った。俺はもう一度言った。「市庁前の、
ソウルプラジャホテルお願いします。」
「アラッソヨ。」(わかった。)
車は徳壽宮の前の大漢門を左に見て、
市庁前のややこしい
ロータリーを走りぬけると、プラザホテルの
車寄せに、すんごいブレーキ音をあげて停車した。


ホテルに着いた翌日が15日だった。
(だからはっきりと覚えている)
フロントのアジョシに朝、博物館に行こうとしてカギを渡すと
「今日は民防衛(ミンバンウエィ)の日ですからね。」
と念を押された。
あ、そうか、と思った。
俺が韓国語を習い始めたときに周囲から言われた言葉で
一番多かったのが、「韓国語って、やばくない? 」

まだあのころは韓国の政治状況も不安定なままで
韓国の中央情報局(KCIA)なんていうのがあって
後に大統領になった金大中氏を日本にまできて
拉致していたり、韓国国内でも毎日のように
学生デモが起きていたし、
北との緊張状態ということでいえば、日本のマスコミにさえ
北朝鮮が掘った韓国へのスパイ用のトンネルが見つかった
なんていうニュースもあって、韓国=恐い国、というイメージが
大きかった。

もしくは、脂ぎったオッサンが、カジノに行くか
キーセンツアーに行くか、だった。

今とは全然違うのなぁ、、。

俺の韓国語のクラスは
単に言葉だけの学習ではなかった。
歴史はもちろんのこと、今の韓国で流行っているもの、
韓国の人たちの日常、1年間の生活、というふうな
ところまで教えてもらった。
そういう中で、「民防衛の日」についても
聞いてはいた。
「いい、民防衛の日、って聞いたら、
何時から演習があるのか、ちゃんと
信用のできそうな人にちゃんと聞いておくこと。
まぁサイレンが鳴るから、分かりそうなことでは
あるけど、その時間は絶対に家から外に出てはダメ
だから。もし、出てたら、ご近所一帯が共同責任
とか追及されて罰せられたりするからね。」
「ひえええええ。そんな怖い行事があるんですか? 」
「私(先生)がソウルにいたときは、通常はお昼間に
やってたんだけど、訓練だからたまに夜に実施
した時もあってね。」
「夜もするんですか? 」
「もうね、家中のカーテンも閉めて、電気も消して
じっとしておかないといけないの。」
「ひええええ。」
「それどころじゃないのよ。高速道路を
通行止めにして、そこをジェット戦闘機の
滑走路にして離発着の訓練だってするんだから。」
「高速道路が滑走路ですか。」
「そう。でもまぁ、、そんな大した時間はしないから。
ものの15分くらいだからね。」
「はい。」
そんなふうな教えられ方をしていた。

俺はその時のことを思い出しながら聞いた。
「ミンバンウエィの訓練は何時からですか? 」
「おふとぅーし。(午後2時) 」
「時間は15分くらいですか。」
「そうですね。民防衛の旗が立って、
サイレンが鳴るからねぇ、、。まあ15分くらいだと
思うよ。」

これをお読みのみなさんの中にも
ソウルに実際にいらっしゃっしゃって
「チハチョル(地下鉄)」に乗った方も
おいでだと思う。
ソウルの地下鉄に乗るとき、日本の地下鉄と
何か違いに気づかなかっただろうか?
あのね、日本の地下鉄より、ソウルの地下鉄の
駅の乗り降りのほうが疲労度が高い、って思う。(笑)
どうしてか、と言えば、日本の地下鉄より
韓国の地下鉄のほうがもう一階分深いところに
ホームがあるから。日本が地下2階にホームが
あるのが普通だったら、韓国の地下鉄は地下3階。
え? まだ下なの? っていう感じ。
どうしてか、と、言えば、もし、万が一のことが
起こった場合はシェルターになるから。
地下鉄の入り口のところにちゃんと
「テピソ」(待避所)って書いてあるしね。
だからより深いところに作られている。


2時前、あ、もうそろそろだ、と思った。
俺はその時、ホテルに戻ってきていたのだけど
サイレンがやたら鳴りはじめた。
俺は先生から言われたように 部屋のカーテンを
閉めて、ベッドの上でじーっと座っていた。
別に外に出るとかしないなら
本を読んでも何をしててもよかったのだけど。
それが民防衛の最初の経験。


一時南北融和していた時期なんかは
民防衛の日は、3月から11月までの
毎月15日になった時期もあったみたい。
今年もその予定であったらしいけど、
何せ、先月の23日にああいう
延坪島に北からの砲撃が
あったばかりの15日だから、絶対
何にもしない、とは思えなかったんだけど、
ニュース見たら、やっぱり、って思った。

今年は、北の砲撃があったから、

「実際の状況に効果的に対処するため、
15日午後2時から全国同時民防衛
特別避難訓練が実施される。」と聞いた。
全国民を対象にした避難訓練になるそうで、
これほど大規模な演習は、
1975年に民防衛法制定以後、初めてのことらしい。

今回の訓練は、地下鉄の駅、地下歩道、
地下駐車場など、日常生活の中で
接近可能な地下避難施設に実際に行って、
避難してみる、とある。だからお部屋の中で
お籠りしているのではなくて、民防衛事態発生時に、
人はどう動いて、どこに避難をしないといけないか、
実際に歩いてみてその確認をしたり、どういう
危険があるのかを確かめるのも目的のようだ。

やはり危機意識が非常に
高まった中で行われたのではないか、
と思う。

      ×      ×      ×

で、「高麗」つながりでもうひとつ。


今日、来年第27回こんぴら大歌舞伎の出演者・演目の
発表がありました。来年は高麗屋さんが中心のようです。
座頭は松本幸四郎で、後、染五郎、中村梅玉、立女形の
中村芝雀等々総勢約130人が出演とのこと。


第1部は時代物「熊谷陣屋」と、「河内山」。
河内山は歌舞伎座のさよなら公演と同じく、
幸四郎と梅玉で、だそう。
第2部は「鈴ケ森」。それから舞踊で「藤娘」。
それから復活上演の狂言「鯉つかみ」。これは
染五郎の二役だそう。

それで
藤娘なんだけどさ。
藤娘、って、歌舞伎をよく見る人でさえ、
単に舞踊の演目、って思ってる人がいるけど
それは違う。

藤娘、は、女の子が山に行って藤の花を挿して
戻ってくる、という舞踊なのだ。

じゃあ、なぜ藤の花を挿して山から下りてくるのか
といえば、山に行って、その娘さんの住む地域の山の神さまから
一人前の女性になった、という「成女戒」を授かって
きた、というしるしなのだ。
藤の花のようにいくつもの小さい花が密集して
下に垂れ下がったような状態で咲く花を昔の人は
ことのほか、神聖な花として尊んだ。
藤の花はそうしたその女の子に土地の神さま
のたましいが宿った、という意味と、その儀式が無事に終わった
ということの象徴でもあった。 つまりは神さまの依り代で
あった、ということ。

だから、藤娘の踊りはおめでたい踊りになってるの。
藤娘の踊りがあでやかなのは、そういう裏に意味が
あったから。
そういうことであの演目はにぎやかで華が
あるでしょ?

藤娘、っていうと歌舞伎の中では単に舞踊で
派手な踊りの演目、って思ってる人がいるんだけど
そうじゃない。そこに深い意味があるから派手なことに
なってる。
女の子の人生儀礼に根ざした深い意味が
あって、そのお祝いの演目なんだよね。
でも、その辺の意味って全然理解されていないで
単なる舞踊としか見られていないような、
気がすごくする。

その女の子の人生にとっては
すごく大きくて大切な意味のある踊りなんだけどね。
だってその地域で通用する一人前の女の子に
なりましたよ、さあ、そのお祝いですよ、
っていう踊りなんだから。


 

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Comments

謙介さんおはようございます。
空母も昨日日本に帰港しました。
年末年始ベースの皆さんがゆっくり休暇を楽しめると良いなと思います。
毎朝潜水艦やら護衛艦を眺めて仕事に行くので、警戒のレベルを肌で感じます。
藤娘お勉強になりました。山には一人で入るのでしょうか?
何世紀くらいまでそういう習慣があったのでしょうか?
花にまつわるエピソードは興味がつきません。

Posted by: ラジオガール | 10. 12. 16 at 오전 9:58

---ラジオガールさん
実はですね。こちらは飛行機の東京便が結構遅延するんです。というのも、羽田の離陸待ち、というのもあるんですが、それとともに、ちょうど岩国基地に下りる米軍機の着陸コースと、東京便の民間機の着陸コースがひっかかっているんです。その場合米軍機が優先しますから、民間機は手前でウエイティングするんです。それで東京便がよく遅延します。それとともに仕事場の上すれすれにジェット戦闘機がすごい音でかすめるように飛ぶときがあります。俺の仕事場の辺もまた、そういう意味では、非常に間接的ではありますが、「空気」を感じることはあります。
藤娘ですが、地域の同い年で成年に達した人が何人か連れ立って入っていました。前にもお話したのですが、地域によって、藤の花だったり、もしくは青葉を髪に挿す、というところもあります。文字通りのエバ・グリーンで、その葉の持つ緑、力を自分の身体の中に取り込む、という意味があったようです。 そういった習俗ですが、民俗の先生に聞きますと、戦前まであった、というところもあるようです。
 というのか、今、ちょうどその季節なんですが、愛知県の北設楽郡一帯で花祭という徹夜の踊りの祭りがあります。その祭りの中で小さい子が紙で切った花の冠をかぶって踊るのですが、それも同じ意味合いと考えられます。そういうことでしたら、今もある、ということにもなりはするんですが。 それから、よく、男の子が高い橋の上から、バンジージャンプのように何十メートルも下の川に飛び込む、という行事がありますが、あれも成年式の儀式の変化です。ああいう危険なことをして一人前と地域の人に認められて、地域社会の一員になる、という意味があります。


そうして山の神さまに祈って、降りてくるのです。その部分が儀式で、降りてきて、男女が集って野遊びなんかをします。その部分が娯楽と

Posted by: 謙介 | 10. 12. 16 at 오후 11:03

藤娘といえばモデルは大津絵ですが、大津絵の藤娘には良縁のご利益があるらしいですよ。成人した男女の野遊びから縁結びの連想が生まれたんでしょうね。
こんぴら大歌舞伎、もう発表になったのですか。梅玉さんと芝雀さんと言えば、今月の顔見世良かったですよ!寺子屋での源蔵夫妻、緊迫が続く場面でこちらまで息を詰めてしまいました(o^-^o)

Posted by: mishima | 10. 12. 17 at 오후 12:43

---mishimaさん
そうですか。そういうご利益があるんですか。大津、最近、ちょっと滋賀にご無沙汰なので(もう10年くらい行っていません。)一度また大津、ご一緒是非したいなぁ、と思っています。おそらく野遊び、という考えがあった、と思います。ですから、そういう民俗の背景、っていうのがありますから、そういう昔の人の考え方とか思いの部分をやはり考えておきながら歌舞伎も見たりすることが必要じゃないかなぁ、と思います。 こんぴら歌舞伎、出演役者の正式な記者会見はおそらく来年の春と思われますが、演目等は、決定したようです。そういえば、学生時代に行っていたアルバイト先に、「私は武部源蔵の子孫」というおじいさんがたまに来ました。ホントだったのか、、今も謎です。

Posted by: 謙介 | 10. 12. 17 at 오후 1:33

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