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10. 11. 08

音楽会

今年も自分がステージに立つ音楽会の日がやってきました。
音楽会の日は割と晴天の日のことが多いのですが
今年はめずらしく雨の天気です。
8時50分に楽屋に入ります。

Daiku101

関係者以外立ち入り禁止でも、
今日は関係者(笑)なのでどんどん中に入ります。(毎年の突っ込みですが。)

Daiku102


控え室に服とか道具を置いたら、すぐにステージに行きます。


Daiku103

まだオケの座席の設営にまでなっていません。


Daiku104
座席もまだこんな感じです。


先に合唱団だけ、柔軟体操とか、発声練習とか
事前のウォーミングアップをします。

Daiku105


Daiku106

いよいよマエストロの登場です。
今年は、飯守先生、叙勲後はじめての公演で
いつにもまして張り切っていらっしゃった、感じです。

でもすごいですよね。
70歳で、じゃんじゃん身体を動かして
交響曲の指揮をされるのですから、、。
もうそれだけでびっくりします。

休憩の後、ステージに行こうとしたら、
袖で飯守先生にお会いしたので
「このたびはおめでとうございます!」と
直接申し上げることができました。
「いやいや、みなさんのおかげですよ。」
とちょっとはにかんだみたいな表情でのお返事でした。

書道界で、勲章欲しさにあちこちで陰で
工作をしまくっていた人を何人も見てきましたが
そういう人って、似たような雰囲気があります。
80代になっていても、お会いしていて、雰囲気だとか
そこから立ち上ってくるものに何か「ナマグサさ」が感じられて
仕方がありませんでした。でも、飯守先生には
そうした嫌な臭いが一切ありませんでした。
清澄な感じがしました。


オケ合わせの前に合唱団だけ一度通しで歌ってみます。


この後、オケも入ってゲネプロがありました。


Daiku108
ゲネプロも終わり、お弁当をいただいて、いよいよ着替えです。
とはいえ、まだテンションはあげません。

コンサートが始まって、主催者のあいさつがあっても
まだまだ横になって寝ています。
今日は第九の前に序曲レオノーレがあります。
レオノーレが終わってもまだのんびりです。
第二楽章がはじまったころ、舞台袖に整列します。
ここでも大して緊張しません。のんびりしています。

無駄に早くからテンションをあげていたら、おっさんは
疲れてしまいます。 何事もメリハリが大切です。

第3楽章の前にステージにあがります。
ゆったりと心地よいゆるやかな第3楽章に
ねむくなりそうです。
でも、実際はこの辺から少しずつテンションをあげていくわけです。
そうして男声独唱が立ち上がって
「違いま! こんな音でやおまへんのや!」
と今まで第一楽章から延々とやってきたことを全否定する
歌いだし直前でアドレナリン最高にもっていきます。
そんでもって「フロイデ! 」と一発かますわけです。

いや、ちょっとまぁ「かます」は表現があははは、、ですが
マエストロはこの日の指示は「それまでたまりたまったものを
このフロイデで爆発させてください。」ということでしたから
一発かます、というのは意味的に間違いでは
ないように思われます。

今年は、ドイツから独日協会の方が視察に来られていました。
歌はもうはじまってしまったら、後は一気呵成に進んでしまいます。
ちゃーららちゃーららとうねるように
勢いを増していく曲はあたかも阿波踊りの興奮
と似ているように思います。阿鼻叫喚というのか
忘我恍惚というのか、、。そういう心境です。
そうしていつも気がついたら「ゲーッテルフンケン」と
いつの間にやらオーケストラが駆け足で
最後の部分の演奏を行って、曲は終わっているのです。

公演が終わりました。
今年は、うーん。自分の中ではいまひとつの出来でした。
いつも最後のあたりになったら、自分の身体が包み込まれるような
幸福感が味わえるのですが、(ランナーズハイじゃなくて
なんといえばいいのでしょう。シンギングハイ、でしょうか。)
そういう生きていてよかったー、という充足感が
今年はいまひとつ希薄だったように思います。
なんだか片方で白けている自分がいて、その歌を
歌っているのをじーっと見ている、という感じでした。
とはいいながら、 
ドイツの方々からはリップサービスとは思いますが
すばらしい、感銘を受けた、とのお言葉をいただきました。
でも、さすが独日協会の方だと思いました。
鳴門の板東捕虜収容所でのドイツ兵による
第九の初演のこともよくご存知でした。

ステージを降りたときは、いつも充足感と、寂寥感の入り混じった
ちょっと複雑な気持ちになります。
Daiku100

実は第九の演奏会にむりやり謙介を引き込んだのは
友人の奥さんのショーコさんでした。
(彼女も高校の時の同級生だけど)
人を巻き込んでおいてですね、当のショーコさんは
一昨年、がんで亡くなってしまいました。
今年は、風邪ひきから何とか立ち直ったばかり、
ということもありましたが、できはいまひとつだったなぁ、
と反省しています。
それでも亡くなったショーコさんのためにも
自分は生きて毎年歌を歌っているのだ、という
行動は示さないといけない、と思っています。
生きてステージに立って、歌を歌うことが、自分の中での
ひとつの目標になっています。
それは山登りをする人が、○○山に毎年登るのを目標に
している、というのと同じじゃないか、と思っています。
そういう人の目標に比べたら、本当に、ちっぽけなものかも
しれません。 でも、自分の中で、今年も歌えた、
ということは自分がこうして生きている、という証明でも
ありますし、そう考えてみると大きな喜びです。

できるかぎり続けていきたいなぁ、と思いながら
ホールを後にしました。


おまけ。
これは何の木か分かりますか?
地味な木でしょ。

Daiku1011

近寄ってみます。実がなっています。
これはオリーブの木です。

Daiku1012
これがオリーブの実です。
ちょうど今、実の収穫の時期です。
小豆島では先日今年のオリーブ油の初しぼりが
あったそうです。


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Comments

こんにちは

思いっきり表現できるって、いいですね。
私は見たり聴いたりばかりなので、ちょっとうらうやましい。

Posted by: たく | 10. 11. 09 at 오전 1:42

アーレメンシェン、アーレメンシェン、アーレメンシェン、アーレメ~ンシェ~ン(笑)
僕は二十年近く前、まだピチピチの高校生の頃に歌ったのが最後です。第三楽章で眠くなりますよね(笑)
オリーブの実って思ってたより大きいんですね~!

Posted by: ともぞう | 10. 11. 09 at 오전 7:52

---たく さん
俺ね、思うんですけど、表現方法って、本当に人、それぞれだと思うんです。見たこと、感じたことを、すぐ感想にして言える人もいれば、それが自分の中の気持ちとか心に作用して、大きく自分の中で揺さぶられたり、いつまでも忘れないで在る、という人もいます。そういうことについて決して優劣はありません。すぐに言っちゃう人より、深く感動を沈潜させる人のほうがより大きな感動が永く続くかもしれないじゃないですか。決して、ご自身はこうだ、とお思いにならなくていいんんじゃないですか。深く大きな感動とか思いを得て、自分が大きく変わる、ということだってあります。俺はそういう方のほうがうらやましい、とさえ思いますです。

Posted by: 謙介 | 10. 11. 09 at 오전 8:44

----ともぞうさん
俺も第九をはじめて歌いはじめたころは、まだすれていなくて、、(笑)第三楽章、いつもだーらだーら、という感じなんです。なんたって食後だわ、ライトが当たって適当にあたたかいわ、おまけに眠気を誘う音楽だわ、と三拍子そろっているではないですか。(笑) そうしておいて、いきなり奈落の底に落とすようなことをベートーヴェンさんはやっちゃってるんですよね。まったく、、。でも、そのおかげで。目もしっかりと覚めて、ギユゥゥゥンとテンションは上がりますけど。

Posted by: 謙介 | 10. 11. 09 at 오전 8:50

謙介さん、こんばんは。私は、実は第三楽章が一番好きで、どうしてあんな美しい音楽を否定しなければいけないのか、今も良くわかりません。イデオロギーみたいなものなんでしょうか。

第四楽章は、EUの国歌のような扱いになっていますが、英国人やフランス人もドイツ語で歌うんでしょうかね。フランス人はともかく、英国人がドイツ語で歌う姿は想像がつきません。EU対中国なんてサッカーの試合はないでしょうから、歌う機会もないんですが。

蝶タイ姿の長身細身の謙介さんはテノールでしょうか?(勝手な妄想ですね。)

Posted by: まさぞう | 10. 11. 09 at 오후 11:30

---まさぞうさん
こんばんは。お返事が遅くなって申し訳ありません。これは想像なのですが、きっとベートーヴェンさんは、第三楽章を書いているときは、それなりに一生懸命書いたと思いますし、これでいい、と思っていたのではないでしょうか。でも次の楽章をどうしたらいいのか、とか、本当に使いたいメロディが、その途中で突然沸き起こってきて、あ、もう、これじゃない! これじゃない! って発作的に、それこそ音楽の演奏記号で言う [appassionato] になって、違う! 違う! と叫びつつ、シラーの詩を下敷きに今までのそうした流れとは違うものを、バーン、と持ってきたのかもしれないなぁ、なんて思っています。(全部謙介の推測ですが。笑)謙介の好きなのは、第四楽章の有名なMの前のオーケストラだけの演奏のところです。あそこ、なかなか芸が細かいですよね。あそこだって、延々と演奏してきて、最後、ホルンとか木管の「ッターッタ、ッターッタ、ッターッタ」とあって、その部分だけだと、どう展開させるかさっぱり分かりません。そうhしておいて、ターンタと入って「フロイデシェーネル ゲッテルフンケン、」と合唱になだれ込んでいくあの手練手管ったら。(笑)もう本当にベートヴェンさん、すごい、といつも謙介は思ってしまいますです。 

Posted by: 謙介 | 10. 11. 10 at 오후 10:06

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