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10. 11. 15

セカチュー

日曜日の夕方。
風邪も何とか治ったので
高校生に臨時で古典を見ることに。
今回は漢文。「鴻門の会」。


勉強が一通り終わった後で、高校生Bくんから質問。
「何で中国って、あんな急にドタキャンしてきて
日本のせいだ、って言ってくるんですかね?」
そら、自分が一番偉いと思とるからでしょ。
どうしてあの国、なんで中国って言うのか知ってる? 」
「え?」
「自分のところが世界の中心だと思っているからよ。」
「え、そうなんすか。」
「世界の中心だから中国、って言ってるわけで。
だから正真正銘セカチューのちゅうさん。」
(って、中華思想なんてものすごくあらっぽく言ってしまったら
そういうものじゃないか(笑)って
思うのだけど、最近の高校では中華思想って
教えないのだろうか?)

「あの国ね、予定がわからない、予定が変わる、
っていうのはしょっちゅうだからね。」
「よくあることなんですか。」
「それが普通だと思うけど。
俺が蘇州にいたときもさ、人民委員会の何とかさんに
会いたい、ったって、いつになるかわかんないの。
だから予定が立てられない。
それで、もう忘れたころになって○日に
市の人民委員会まで出頭されたし、なんだよ。
って、もうねぇ、出頭命令だからさー。会ってやるからな、ふん。
ありがたいと思え、ってさ。こうだもの。だから今回もそうでしょ。
お前らがごちゃごちゃ文句ばっかり言ってるから
会ってなんかやらねえぞ、でしょ?
前だって、何か大きな災害があったときに、救援金を出します、
って言うだけ言って、結局、出すのやめた、っていうときもあったよ。
言うだけだったらタダでしょ。」

「えらそうな態度ですね。」
「えらそう、じゃなくて、えらい、って思ってるんだもの。
なんたってセカチューのちゅうさんだからさー。
日本はします、って約束したら、
ちゃんとするよ。本当に日本人って
まじめで誠実だと思うけど。
だけどセカチューさん、ますますこの傾向ってひどくなると思うよ。」
「どうしてなんですか?」
「俺がさー中国にいた時に、一応あの国にも歌のベストテン
というのがあったわけ。」
「歌のベストテン? 中国の?」
「そうそう。」
「その中の2位だったか、3位が、
計画産児の歌、っていうの。」


「けいかく、さんじ、ですか?」
「さん、はお産のさんね。
一組の夫婦に子どもは一人がよい、っていうの。
セカチューさん、人口が増えすぎたら「ごじゃのハゲ」って
いうんで一人っ子政策を推し進めたわけですよ。
で、ちょうよはなよと育てられてきた
連中がこれから国の要職の位置にくるからさ。
せかちゅーのちゅうさんの上に「ちょーわがまま」が付く人間が
国の上のほうに行くんだもん。そりゃもう傲慢度天下一品に
なるんじゃないか、って簡単に想像できるよ。」

「でも、そういう相手と付き合わないといけないんですかね。」
「まぁねぇ、中国なんて昔から権謀術数の国だったしさ。
自分の言い分通すためだったら、
誰に対しても平気で法螺だって吹くし
はったりだってかまし放題だし。
でもね、それは今に始まったこっちゃないしさ。
論語にだってそう書いてあるじゃないか。」

「孔子の時からですか?」

「論語に
「民は之に由らしむ可し之を知らしむべからず」
 (たみはこれによらしむべしこれをしらしむべからず
人民には為政者の施政方針に従わせればよいのであって、
その理由など説明する必要はない。)ってあるけど、
21世紀の今だってそのままであって
全然変わってないじゃない?」

あ、ほんまや。」
「(と、納得できてしまうところが、、。)
「だから基本的にあの国ってそういう国なんだ、って
知っておいたほうがいいと思うなぁ。」

それとね、その一人っ子政策というのは
もうひとつ特徴があってね。
はい?
人口を抑制してたから、やがて人口のピークが来たら
あっという間にあの国の人口分布が少子高齢化の
老人国になるの。
少子高齢化が始まったら、その傾斜の度合いは
日本よりすごいことになるかもしれないね。

それとオリンピックやって、万博やって、って
これまでは「ガンガン押せ押せ路線」で来たけど、
それがいつまでも続けられるとも思えない。
今までいろんな矛盾はあったけど、それこそ
勢いの中でかき消されていた、わけで、
そうした大きな問題がいつだって表面化して
大きなうねりになるのかわかんないし。

ただね、孔子さん、別のところで
「信なくば立たず」とも言ってるけど、さ。(笑)

それとね。俺の知ってる中国の人たちは
あの国の政府とか党の中枢なんて
すぐ賄賂を要求しまくるやつらばっかりで
あんなもの、腐りきってる! って怒ってた。
そういう怒ってる連中、すごく多いよ。
だからちゃんとあの広い国をあの政府は
把握しきれていないわけでさ、
(とはいえ、どこぞの国もなんですけど、、。
以前にそのころ阪神にいたエモトが、「ベンチが
アホやから野球ができひん」といって現役引退しましたが
「トップがアホやからこの国の先行きに希望がない。」
と、おらは言いたいぞ。)

ただまぁあの国にもいろいろな考えの人がいるからね。
一枚岩では決してないよ。ウエブで見てたり
報道機関が伝えないだけで、そういう表に出てこない
人の意見って、やっぱりわかんないし、、
決して表に出てきている人の意見だけが
中国に住む人の意見じゃない、し。
あんだけもめてた時期に、ちゃんと実家の街では
中国からの訪日団がきて、普通に話をして
友好を深めて帰国してるしさ。

そんな話をした。


それからセカチューさんが出たので、韓国のことも。
最近、やたら韓国企業に学べとか、韓国のなんとかは
すごい、っていう主に経済方面での記事を見ることが
多いんだけど、謙介そういう記事を読んでいて
なんだか読んでて、ちょっと???だったりすることもあるの。
あんた、韓国人のメンタリティを知って、その記事書いてる?
って思うんだけど。

俺が思う韓国企業のすごいところって、
確かに気合一発で、無理な注文でも「ハイ、やります! 」って
いうところ。
日本の企業なら、どれくらいの儲けがあるか、とか
原価はああで、こういうリスクがあって、でも、こういう
儲けも、、などなどと慎重に見極めようとする。だもんで
その分析のために時間がかかる。
だけど日本企業が請け負った品物は、予定通りに
計画通りのものが来るだろうしその完成度だって
すごい! 完璧! ということになる。

でも韓国は違うの。
全然できそうになくっても何でも「ハイ、やります! 」って
とりあえず言う。 それも社長というのか責任者がそう言う。
時には、「え、そんな額でいいの? 」っていうような
もので請け負ってしまう。 できるかできないかは
あんまり考えない。 請け負ってから考える。
赤字が出たってケンチャナヨ。(オッケーオッケー) 
だから決断が異様に早い。 


日本企業が競り負けてる、っていうのは、たぶんこういう
出された課題にどこまで速く回答できるか、
という部分ではないかなぁ、って思う。

こんな条件じゃ無理じゃないか、っていう商談でも
韓国の会社はじゃんじゃん引き受ける。
でもね、問題はその後なんだよー。

まず韓国のものは品物の品質が一定しない。
こっちのはちゃんとできてるけど、そっちのねじ穴が
ぐらぐらしてた、とかあるし、、。
最初から話を煮詰めて商談していないから
違約問題だってしょちゅう起こってる。
それから会社が長続きしない。
韓国の会社で長年続いている老舗の会社って、
ほとんどない。
大体が、気が短い人が多いから
作ったけど、すぐにこんなの、ダメ
って放り出すとか、止めにしてしまう。
有名になったらすぐ手を抜くとか、
その会社で有名だった人が引っこ抜かれてよそに移る。
長続きはしない。
前にも言ったけど1年で同じ建物で3回店の改装があって
違う店になるなんて、ごく普通なんだよ。


そういうふうに韓国の人って飽きっぽい。
だから永続的にメンテナンスの必要な商品の
契約なんかになると、その後の修理はできない。
4、5年経ったら、別会社になった末に責任は、さぁねぇ、、
「チャル モラゲッソヨ。」(よくわかんなーい。)
なんていうことは普通にある。

そういう短期的な瞬発力で言えば、韓国の会社が有利だと
思う。今の世の中、経営なんかじゃ意思決定の早急さが
求められているのと、毎日のように新商品が出て、その商品の
使用サイクルだって短いもんね。
つまり、短期の使用、利用で、1年とか2年の時期が来たら
また別のものに替える。 メンテナンスまでしながら、
永く使う、なんてあんまりしない、っていうふうな
今の世の中に適合している、ということで
言えば、確かに韓国の会社、ということになるんじゃないかなぁ。
だから、そういう今の社会に合ってる。

今はリストラされた日本の技術者が、韓国に行ってて
それで韓国の会社がそういう人たちを受け入れて、、という
こともあるし、それと今、ウォンが安い。韓国の輸出産業にだって
すんごい追い風になってるし。
(ただ、このウォン安状態がいつまでも続くとも謙介は思えない。)
まぁそういう点で、いま韓国企業がもてはやされている面があるかな、
とも思う。
やがてかの国の経済がまた変化をする時期だって来るだろう。
そうなったらまたぞろ経済紙なんて書くんだよ。
栄光の韓国の沈没、とか、って。
やれやれ、、。
だから経済誌なんてあんまり信用してないの。
目先のことしか書かないんだもん。


じゃあ日本の会社っていうのは、どこが長所なの、って言われたら

信頼性と永続性っていう面ではすごい、と思うけどなぁ。
永続性、っていうのは、会社が長続きしている、っていう意味の
永続性と、高品質の商品を、長年その高い水準のままを
維持しながら作り続けられる、というところ。
韓国の商品って、未だにケンチャナヨな(いい加減な)
ものが結構あるから。

どうして日本の会社って、そういう韓国企業の苦手な高品質とか
永続性とか、息の長い誠実なおつきあいを
します、そういうビジネスパートナーでいましょう、
っていうところでもっともっとアピールしないのだろう。

短期勝負はできません。けれども永く
あなたの会社と関係を築いていきたい、
品質は結局いいものをじっくり使ってもらうと
その違いなり良さが解ると思います。
単なる間に合わせではないんです、
というところをもっともっと出すべきじゃないか、って
俺は思うけど。
確かに今はそういう時代じゃないかもしれない。
けど風向きはきっと変わる。
外車でもドイツのワーゲンが評価が高い、
というのは、やっぱり故障が少なくて、品質だって堅実で、、
っていうふうなそうした長年の評価が今にずっとつながってる
ということでしょ。ヒョンデ(現代)の車、どうなりました?
やっぱり安くてもケンチャナヨ車では、ちょっとなぁ、って
日本人に思われたからでしょ?

日本と韓国と、両方の国を見てきて30年が
経ってしまった。 それぞれ国民性
というところも見てきたけれど、
大体がさ同じところで勝負しようたって無理なんだから
日本が得意の持ち場で勝負しないとダメだろうに?
(それってマーケティングの基礎の基礎だって
謙介は思うんですけどね。どこが自社の弱みで
どこが自社の強みで、じゃあ強みをアピールするには
どうすればいいのか、って、マーケティングの基礎じゃないの?
と文学部のトウシローが言っても仕方ないか。)
それと何か最近の日本って、気持ちで最初から負けてるように
思うぞ。

うちなんて、たいしたことなくてー。なんて
言ったら、外国では「たいしたことのないようなものはいらねー。」
って言われるんだからさ。増長するのは、ちょっと、、、って
思うけど、今の日本の会社ってマイナス思考ばっかりでさ。
韓国なんて自社の製品に自信がなくったって、
「そりゃもうバッチリです! 」って調子のいいこと
こいてる国なんだから。気合が大切だよー

日本の会社のそういう気の弱さが全体のムードになって、
沈滞をさらに呼んできているような気がするもん。
気の弱さでさらに不景気を呼び寄せてるような気さえする。
うちは商品で勝負です。
どこぞのケンチャナヨには
負けない水準と永続性があります! って
バシッと言ったらいいじゃないか。
そういうところ、この国はもっと自信を
持ってていいんじゃないか、って
俺は思うけど。


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