クール
え? もうなの?
ってうちのオフクロは言ったのだけど。
俺が時々日本史と国語を見ている高校生2人のうち
片方の彼のところに何校かの大学から
うちにこないか、というお誘いの知らせが
来たらしい。
「まだ2年生でしょ? 」
「いや、もう2年生だから、だと思う。」と俺は言った。
「やっぱりはよからツバつけて押さえときたいんやろか? 」
おかあさん。表現が、、、
でもまぁ、実際のところはそうなんだろうね。
彼は(前にも書いたけれども)とある技能で日本で3位なのだ。
この国で、彼より上の技術の人間が後2人しかいない、って、
やっぱりすごいと思う。
だけどさー、うちの家で、よかったら晩御飯食べて行ったら?
ということで謙介の作ったアジのフライに
タルタルソースなんかかけて食事してるところなんて、
どこにでもいそうなごく普通の高校生なんだけど。
「学校、ってどこから言って来たの? 」
「○○大学と△△大学と□□大学なんですよ。
だけど、○○は断ったんです。」(すみませんいつにも増して伏字だらけで)
「どうして? 」
「あの大学に自分の尊敬できる
指導の先生がいないんス。」
「で、じゃあ、△△か□□大学なの? 」
「うーん。ここも微妙です。」
「じゃあ、Bくんはさ、どこに行きたいの? 」
「■■大学なんですけどねー。」
「その■■大学からは、うち来ません? とか、言ってこないの? 」
「いやないです。でも、言ってこなくたって
俺、受験して、どうしてもそこに通りたいから。」
(彼には言わなかったのだけど、たぶん彼の全国規模の模試
の成績から判断して、■■大学はまず行けそうだとは思う。)
確かに○○って有名な学校ではあるけれど、
実際問題として、その大学にいってそこでの指導を受けて
彼の自分の能力がどの程度伸びるのか、
その指導者と彼自身が合うか合わないか、ということのほうが
きわめて切実で大きな問題だと思う。指導者が変わっただけで
スポーツ選手だって、成績がガラッと変わってくるものね。
別にスポーツ選手だけでもないなぁ、
俺だって書道、各書体の先生に
師事したけれど、合う先生、全然合わなかった先生、って
それぞれいたし、、。やっぱり自分の能力を伸ばそうと
するとき、その指導の先生が自分に合う、合わない、
はすごく大きなことだなぁ、と実感する。
でもその一方でいろいろなブログ見てたら、
何とか大学なんて聞いたことない、とか
偏差値○○で、バカばっか、とか書いてあったりするのも
よく見る。
自分が有名な大学入って、
そこにいる自分、っていうだけで
妄想でうっとり、したいんだろうか?
そういう人に聞きたいんだけど、
大学行って、何をするの?
そういう人って、そこんところが
ちゃんと決まってない人が多いだもん。
だから、そういうネームバリューとか偏差値で
選ぼうとするんだろうけど。
でも18歳じゃあ、やっぱり学校のネームバリューのほうを
とりますかねぇ。
でもねぇ実際大学に入ってはみたけれど、
学校でやってる研究の方向と
自分のしたいこと、興味を持ってることが全然違っていて、、
だから学校に興味を失って、行かなくなって、
そのまんま、学校を中途退学した、なんていう人、
結構いるもの。ひどい学校になったらさ、学科の人数の
3分の1がやめてしまう大学がある、って聞いたし。
まぁねぇ、、本当に自分が何をしたいのか、18やそこいらで
決めろ、って言われるのも、ある意味無理な話ではありますがねぇ。
でも、それにしても、自分にそういう興味が全然ないのに、
偏差値でそこだったら通るとか、ネームバリューでそこにした、
とかいうような理由で学校選んでも
仕方ないだろうに?
自分の将来を見据えた上で選ばないから、入ってからごたごたして、
で、結局学校をやめる、そういう人って結構多かったりする。
だから退学者だって多い、っていうことなんでしょ?
(経済的に無理になった、っていう学生は別として。)
だけど彼みたいに、しっかりと自分のことを見つめていて
その延長線上で、自分は、どうするのが
自分のこれからを伸ばしていくのに一番いい選択と
思うのか、っていうことがちゃんとわかっている子だったら、
先々大して不安はないんじゃないか、と思った。
(まぁ彼の場合、やりたいこと、っていうのがはっきりしてるし、、。
ある意味、楽ではありますね。だってさ、中には、自分が
一体何をやりたいのか、というところから、という人だって多いでしょ。
あ、でも、そういう人は焦ることはないと思う。
じっくり自分をよく見ていって、
自分にとって一体大切なのは何か?
そのためにはどうしなければいけないのか、
っていうのを考えたらいいと思うし、、。
だけど彼の場合は、自分のやりたいことがちゃんと
決まっていて、加えて、そうした自分の将来線の上に
クールな現実認識がきっちりできているところがすごい。
それがすごい記録をたたき出している、彼の理由」なんだろうね。
彼ね、本を読むのは大嫌い、って言うんだけど、
でもね、教えてて、どこが大事なことなのか、どこにポイントが
あるのか、っていうのをパッと見きわめるセンスがすごくいいの。
で、どこの大学にするのか、親と相談してるの? って聞いたら
「いえ、まだです。うちの家、極端に
家庭内の会話が少ない家なんス。」だってさ。
「じゃあ、一人で決めたの? 」
「まぁ、今のコーチと、、ですけど、、。」
あ、そりゃそうか。部活の指導者がいるだろうな、。
だけど本当に勉強を見ているこの2人には
これから先々、がんばって欲しいなぁ、と、
おぢさんは切に願うのでありました。
だけど、おぢさんのほうも、だんだん大変になってきました。
今年と来年と二年間続く特別研修の
いよいよ自分の研究テーマを出さないと
いけない時期になりました。
プロジェクト・イノヴェーションの素案だそうで。
実施可能な計画案を作り、
今度の研修会で発表して
来年度、それを実施して、
評価を行う、というところまで最終的に持っていくことに
なっています。
案は何とかできました。
今週は、いろいろとうちの組織の中で
ほかのセクションの人と話をして
計画の実行に向けて、調整をしていかないと
いけないのでありました。
これがねぇ、、。
現状だってわかってる。何をしないといけないのかだって
わかっている。方法だってこうかなぁ、とわかっている。
でもつい、「あ、めんどくさ。」という気持ちが先立っちゃうところが
フレッシュな高校生ではなくて、「おぢさん」なんです、よねー(笑)
やれやれ。また忙しくなりそうです。
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Comments
昔はどうしてもその大学に入りたくて、全学科を受験するなんてひとも結構いたみたいですが、今はそういう受け方は減ったようですよ。不況もあって、ひとりが受験する学校の数も少なくなっていますし(受験料もバカにならないですもんね)地方の学生は地元の大学希望にせざるをえなかったり。大学に入学してからも、ダブルスクールで勉強して、その学費稼ぎにバイト…サークルやクラブの加入率は私や謙介さんの学生時代に比べて激減しているそうです。就職状況が悪すぎて学生さんも追い詰められています。自分が何に興味があるかゆっくり考えたり、いろいろなことに挑戦してみる時間をもつ余裕を持たせてもらえませんもの。落ち着いて勉強に打ち込める環境にある方は恵まれているのかもしれません。ただ、大学への進学率があがったので、勉強したくない子や明らかに学力不足の子が入学するようになってしまい、先生としては頭の痛いところらしいですよ。
娘が受験した医学部に関してはとても単純、私立大は学費の安い順に偏差値が高いんです。
Posted by: アリクイ | 10. 11. 18 AM 6:19
---アリクイさん
俺の知ってる大学生の子も、本当は都会の4年制の大学に行きたかったのですが、彼の下に後2人、弟妹がいるから、っていうんで、地元の短大に行って、就職する、って言ってました。就職活動の時期も今はあまりに早くなりすぎで、大学の3年になったらすぐ、なんてことになっていますよね。今からゼミで、専門教育を、受けて、大学の大学である研究とか勉強をはじめる、という時期に、企業の都合かどうかしりませんが、就職活動なんて、もうむちゃくちゃとしか思えません。(まぁあまりにむちゃくちゃだ、っていうので、近々是正される、とは聞いたのですが。) そうですね。不景気であまりに「ぎすぎす」してきてしまった結果、大学の時だから、若いときだから、ってのほほん、と、自分の好きなことに打ち込める、という時間も余裕もなくなってきているようですね。そういえば、講義の空き時間に近鉄で奈良まで行って、東大寺の裏(正倉院のあるあたり)でねっころがって空をボーっとみていたことを思い出しました。今の学生さんに、そんな余裕は、、もうないのかもしれません。若いときだからこその、時間の使い方とか、経験の積み方、っていうのもあっていいんですが、、、。
Posted by: 謙介 | 10. 11. 18 AM 11:15