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10. 09. 15

奈良へ(その3)

藤原京資料館を出て、今度は三輪大社に向かいます。
やっぱりここまで来たら、三輪大社に行かないわけには
いかない、ですよね。
車で社殿近くまで行きます。
駐車場、ラッキーなことに建物の陰のところが
1台急に空きました。
「やっぱり日ごろの行いがええ人間は違うなぁ。」とか何とか
もうおっさんの2人、絶好調です。
車を降りて社殿に向かいます。
大神神社、と書いて「おおみわじんじゃ」と読みます。

Oomiwa1


Oomiwa2


木々の鬱蒼と茂る参道を歩いて本殿に向かいます。
友達「ええとこ連れてきてくれたわー。ここものすごくええわー。」
と彼も三輪大社がすばらしい、と言っています。
この神社、不思議なことに出雲の神さまがお祭りしてあります。
どうして奈良に出雲の神さまなのでしょう、
ということもありますが、前にも言ったように
この奈良には天皇家の氏神を祀った古いお社がありません。
それまでなかったからこそ、明治になって
橿原神宮を造営して、ようやく天皇家の氏神の神社が
奈良にできたわけです。 ですから明治に入るまで
伊勢まで行かないと天皇家の神社はなかった、のです。

これもなかなかに興味深いことです。

ご存知のようにこの三輪山は古代から山全体が
信仰の対象とされてきました。
なのでこの神社、拝殿こそありますが、神さまをお祀りしている
建物はありません。山がご神体ですから。
下のこの写真はあくまで拝殿です。

Oomiwa3


額田王の歌にもありますよね。
三輪山をしかも隠すか雲だにも 情けあらなも隠そうべしや
山容がおおどかで、本当に美しい山です。古代の人が霊山としてあがめた
気持ちがよく分かります。

Miwayama


大和の好きだった小津安二郎監督は
映画の中で、この三輪山を何度か登場させていました。
小津さんは東京の生まれでしたが、育ったのは
伊勢の松阪(まつさか)でしたから
奈良なんて心理的にも地理的にも近い場所だった、と思います。
伊勢の人は山の向こうは大和、
そんなふうに思っていたはずです。

映画の『麦秋』の中でも、大和に住むおじさんが、上京して、
北鎌倉に住む主人公の紀子の両親に向かって、
いいかげんで奈良に戻れと諭すせりふが出てきますよね。
「奈良はええぞ、まほろばじゃ。」
そして、結婚が遅れていた紀子がようやく結婚することになって
一家は解体され、両親は大和に移ることになるのですが
その時の「奈良」の象徴として、この三輪山のカットが使われています。

奈良に住む人、謙介のように古代史をかじった人間は
三輪山と言うと、ああ!ということになるのですが、
それ以外の人に三輪山、と言ってもあまりはっきりとした
反応はないかもしれないですね。
でもいい山です。


三輪で食べるものといえば、三輪そうめん、ということに
なりはするんですが、最近の三輪そうめんって、
ほとんど奈良では作ってないんです。
どこで作ってるか、って? 長崎県の島原です。
そういうの、許されるんか? って思うのですが。
前にいただいた三輪そうめん○本の
製造地は長崎県島原市、とありました。

なので、別にここで三輪そうめんを名物だから、と言って
食べたいという気も、イマイチ起こらなくて、、、「何にしようかなぁ」と
ぼーっと前を見ていたら、目の前に王将があったので、
ついつい吸い込まれるように入ってしまいました。
やっぱり京都の人間の性ですかね。

ここの王将はファミレススタイルで、カウンター席は
なくて、みんなボックス席でした。
隣のボックスにおじいさんとおばあさんがいたのですが、、
おばあさん、我々がこちらのボックスに座ると、こっそりと
箸の入った容器をこちらに返してきました。
もちろん各テーブルに箸の入った容器なんて置いてあるのに
どうして、おばあさんがふたつも箸の容器を持っていたか
不思議です。
しばらくするとおばあさんのところに冷麺がきました。
おばあさん、一口食べてから、「まずい! まずい!」の
連発です。「こんな麺は、うもうない。市販の麺やないか!」
と怒っています。おじいさんはおばあさんをなだめるでもなく
先に来た定食を食べています。 おばあさん、さらに叫びます。
「あーまずぅ! 」
謙介は、まぁねぇ、王将の値段で、だったら、
こんなもんちゃうかなぁ、と思います。 おいしいの食べたきゃ
それなりのところに行かなきゃ無理じゃない? って思います。
この辺で言えば、ポパイのラーメンとか、
ちょっと車で行ったら天理ですし、天理には、天スタだって
ありますし。(天理スタミナラーメン) 普通に中華やったら橿原近鉄の
中に宮廷飯店、ってあって、ここもまぁまぁです。

値段から言って、王将やもん、こんなもんやないか、って
思うけどなぁ、、、と隣のボックス席でますます
怒っているおばあさん(相当に依怙地そうな顔つきだった。)
の言葉を聞きながら、そう思います。

さて、お昼を食べて「今度はどこに行きたいの? 」
と聞くと「箸墓古墳! 」なんだそうで、、。
そんなのすぐよ、ということで早速行ってみます。
王将から車で10分程度。
大きな鳥居のところから狭い街中に入り、
旧街道のような道を北のほうに行くと、突然に大きな
古墳が現われます。 ここが箸墓古墳です。
この古墳の築造は3世紀中ごろ、と言われています。
形は美しい前方後円墳です。
実はこの古墳が卑弥呼の墓ではないか、という説が
あります。
箸墓、正式には倭迹迹日百襲姫命大市墓という陵墓です。
え? 読み方ですか?
「やまととひもももそひめのみことおおいちのはか」ですよ。
日本書紀の中の三輪山伝承の主人公とされている方ですね。
この辺は大市と呼ばれていました。文字通りの周辺から
人の集まってくる場所であった、と考えられています。

日本書紀にはこうあります。

倭迹迹日百襲姫命、大物主命の妻(みめ)と為る。
然れども其の神、常に昼は見えずして、夜のみ来ます。
倭迹迹日百襲姫命、夫(せ)に語りて曰く、
「君、常に昼は見えたまはねば、分明に其の尊顔を
視たてまつることを得ず。願わくは暫留まりたまへ。」
と言ったわけです。
そうしたら、大物主命さんは「まぁそういう気持ちも分かる。
明日、お前の櫛の箱に入っているから、おどろかないように
見てくれ。」と言ったのです。
さて翌日、倭迹迹日百襲姫命が言われたように櫛の箱を
あけてみると中にきれいな蛇が入っていました。
それを見たお姫さまは、「ひえええええ!」と叫びました。
蛇だった大物主さんは、パッと人の身体になって、
「だからびっくりせんといてくれ、って言うたやないか。
それやのに、そんな大声を上げて、、。ワシは
恥をかいたやないか。今度はお前に恥をかかせてやるからな。」
と言って三輪山に上っていかれたのです。
そこで倭迹迹日百襲姫命は後悔してどしんとしりもちをついて
その後、箸で陰部を突いて死んでしまいました。そうして人々は
そのお姫さんを大市に埋葬した、、。と、
だからこの陵が箸墓、と言うわけです。


このお墓、もちろん宮内庁の管轄の陵墓です。
ということで、えらそうな立て札が立っています。
なんか札がすごく新しい感じです。
ええ、昨日今日につけたような新しさです。
こんなの。
Hashihaka2

端から見た様子です。お墓が大きいので、横から見たのでは
どういう形になっているのやら、、ですね。
Hashihaka1

ここが正面の礼拝所です。
Hashihaka3

箸墓を見学した後、今度は「どこに行きたいの? 」
「纏向遺跡!」
「はいはい。」ということで今度はJR桜井線の、(あ、違った最近、桜井線って
「万葉まほろば線」という名前になったんだった。)その万葉なんたら線の
巻向駅に行きます。 この辺一体がその纏向(まきむく)遺跡です。
実はこの遺跡こそが邪馬台国の遺跡ではないか、と最近では考えられている
わけです。

Makimuku


ちょうど今、JR巻向駅の西側で発掘作業中なので、
そこに行ってみました。
現場の方にお伺いすると、この辺の遺跡は
「4世紀はじめごろの遺跡ですね。」ということでした。
この遺跡も場所によって年代が違っています。

しかし纏向、という地名は非常に古いもので
垂神天皇の纏向珠城宮(まきむくのたまきのみや)
景行天皇の纏向日代宮(まきむくのひしろのみや)
あたりから取られた地名だと思われます。

最近は考古学オタクも増えてきた、と聞きます。
古墳とか遺跡の説明会に場所によったら何千人もの
人が来るんだとか。 以前の全く人気のなかった
考古学研究の時代を知っている謙介にとっては、
思わず「うそやろ。」と言ってしまいたいような話です。

俺も学部生の頃、史学科の考古学教室にいた
友達に「頼むわ。」と言われて何度か遺跡の
発掘作業を手伝ったことがありました。
何せ、京都なんて、そこいら辺を掘ったら
平安京の遺跡が出てくるわけで、、(笑)

俺のやったのは出てきた遺物をちびた歯ブラシで
シャカシャカとこすって余分な土を落とす、という
作業でした。 プレハブの冷房もなく、室温が40度近くになる
暑い暑い小屋で、何人かのバイト生とともに
一日シャカシャカと土を落とす作業に没頭する
わけです。 あんなこと好きでないと
絶対やれません。 で、一日の作業が終わったら
今度は酒盛りです。 もうねぇ、考古学教室
ってすごいんですよ。みんな日に灼けて真っ黒でしょ。
泥だらけでしょ。場所はプレハブの小屋だし、、。
いるのは全部汗臭い男子学生ばっかだし、、
考古学教室ってどう考えても、土木工事の飯場、
という感じでしたねぇ。
文学部の中でも、考古学教室だけ、ちょっと異質だった(笑)
なぁ、と言ったら、考古の連中に叱られそうなのでこの辺に
します。考古の連中は考古の連中で、
「自分たちが普通で、お文学がどーの
こーのと言ってる国文科なんて軟弱そのものやんけ」と
言っていましたけれども、
まぁどっちもどっち、じゃないですかねぇ。 

さて纏向遺跡も見学したし、、今度は謙介の行きたいところに
行くことに。

Keiko1


景行天皇陵です。 この御陵も纏向遺跡の
すぐ近くです。なんたって謙介の学部の時の卒業論文は
古事記のヤマトタケルの歌の実体推定でしたから
日本書紀でその部分に重なる景行天皇ももちろん
詳しく調べたわけです。 

それから続いて崇神天皇陵。全部同じ道沿いにあります。
この辺はいわゆる山之辺の道なので、こんなふうに車で、、じゃなくて
本当はもっともっと時間をかけて
ゆっくりと回ったほうがいいんですけどね。

Sujin1


Sujin2


この崇神天皇陵ではじめて管理の小屋に宮内庁の職員さんが
いるのを見ました。
ここを見学し終えたのが午後2時過ぎです。
そろそろ帰るかなぁ、ということで
天理ICから高速に乗りました。

今回は全部車で回ったのですが、本当に車にするか
歩く、もしくは自転車にするかは一長一短だと思います。
でもねぇ、奈良市内のレンタサイクルだと
電動アシストつきの自転車があるので
奈良坂なんか走るのも楽なんですよ。
だけど明日香村の自転車は全部ママチャリで
電動アシストどころか、変速機さえついていません。
なので本当にアップダウンの多い道路を走るのが
しんどいです。

ただ、自動車があれば本当に機動力が違っています。
2日目だって車があったからこそ明日香→吉野→藤原京→山之辺の道
と広範囲の移動が、それぞれわずか30分から40分でできたわけです。

広範囲の移動は自動車って、簡単便利でいいのですが
でも前にも言ったように、この辺は一木一草が本当に
きれいです。 ゆっくりと動くにつれて刻々と変化する景色
もまた本当にすばらしいです。また、ちょっとしたところにも
遺跡がたくさんあります。そういうものを見るには
やはり歩く速度で回るのが一番ではないか、と思います。

巨視的な目と微細な目と。 それぞれの旅の目的に
合わせて交通機関も選んだほうがいいですね。
今回は謙介の体調もあって、友達が「炎天下を歩かせて
疲れさせてはいけない。」と言ってくれたので、自動車の
移動になりましたけれど、、。

で、まっすぐ帰るかと思ったら、友達が途中で「腰が痛くなった。」
というので、高速を降りて暫時休憩します。
休憩したのは、、

Koshien3

ということで甲子園近くのスーパーでちょっと休憩をして
再び高速道路に上がって、橋を渡って帰路についたので
ございましたぁ。

Hashi

奈良の話はこれにておしまい!

ながながとお付き合いくださってありがとうございました。

さて、明日からまた出張です。
この夏、最後の出張ですが、
今度の出張が一番しんどいの。(泣)
 


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Comments

長時間の運転、お疲れ様でした(*^-^)
三輪大社、参拝したことないので、いつか是非と思ってはいるんですけど、僕にとって奈良は遠い遠い場所の印象なんです。
奈良公園周辺だけでなく、天理・桜井・明日香といった奈良の奥の方、未知の世界です。
あと、失礼を承知で思い切って言っちゃいますが、古墳や遺跡を訪問する楽しさが分りません(;´д`)トホホ…
やはり、その遺跡の関連人物の生きていた時代に思いを馳せるロマンなのでしょうか?

Posted by: mishima | 10. 09. 16 at 오후 4:46

---mishimaさん
そうですね。車だったらショートカットしていけるのですが、近鉄だったら、一度京都経由になりますし、それだったら、今度は行くところが限られますし、、やっぱり車で、のほうがアクセスに限って言えばいいかもしれません。 古墳は、そうなんです。やはり限られてししまうんじゃないか、でもそれにしてもなんであんなに考古学ファンが多いのでしょう?? 俺も謎です。

Posted by: 謙介 | 10. 09. 17 at 오전 6:23

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