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10. 04. 12

立つとき

先週、金曜日、今年度うちの仕事場に
着任した人の歓迎会がありました。

え? 謙介さん、あなた宴会なんてめったに出ないのに
どうしたのさ?

会場に到着して、席に座って、したり顔で
式次第のペーパーに目を落としていたら
あとから来た違うセクションのよく話す人が
そんなふうに言ってきました。


ふふふふ。昔から言うではありませんか。
「ぬすっとの昼寝も訳がある。」とか。
別においらは盗人ではありませんけど、
今回の歓迎会、温泉地にありながら、
なぜだかイギリス志向のホテルでいたしました。
何年か前に歓迎会をした時は、ここのホテルの「ビクトリアの間」で
したのですが、今回は「アルバートの間」でした。


このホテルね、玄関にいるドアマンは無論、
入ったらロビーから客室まですべて諸式イギリス風なのです。
とはいえ、このホテルの建っているのは温泉地なので、
諸式がオールドイングランドを標榜しているのにのに、
大浴場、とか、露天風呂、というのがあるわけですよ。
ロビーには重厚な書棚が並んでいたりして
どう見ても西洋なのですが、浴場への戸をあけたら
畳のお部屋があって、障子のような戸があって、
その向こうに脱衣場なんかがありまして、どう見ても和風のしつらい。
一体この無秩序感は何なのでしょう。(笑)

と、散々文句を言っていますが、あ、どうして謙介がこのお食事会
に出たか、ということですね。
「このホテルで宴会をする人はもれなく
当ホテル大浴場および露天風呂をご利用していただけます。」というふうに
なっているわけです。

ホテルの浴場ですから、
そこいらの銭湯とはやはり豪華さが違います。
浴室内は総御影石張りでした。
露天風呂も檜造りでこれまた豪華でした。
もちろんホテルの風呂ですから、タオルとか、かみそりとか
石鹸はちゃんと備え付けがあるし、、。
ですから謙介なんか、7時からの宴会なのに、5時50分にホテルに
着いて、のんびりお風呂に入ったり出たり。
そうして時間も近づいてきたので
風呂から上がって
7時前に会場に行った、というわけです。

そうして、会場のアルバートの間のお椅子に座って
これからお食事お食事、と思っているところに、
「あら珍しい。」と言って、顔なじみの
他のセクションの人が来たのでした。

会が始まるまでにまだ少し時間があったので
話をしていました。彼が聞いてきます。
「あのさ、こないだ退職した、Oさん、あいさつに来た? 」
「あ、そういえば、他の人は来たけど、Oさんは来なかったなぁ。」
「そやろ。」
「え? どうしたん? 」
「そうやと思ったんや。」
「どうして? あいさつに来なかったん?  」
「あのな、それはあいさつに行かなかった、っていうのか、
あいさつなんてようせんかったんやと思うで。」
「ええええ。どうして? 」
「あの人な、もう次に移る、っていうこと、ずいぶん前から
計算に入れてたんや。そやから○○さん(Oさんの上司)
が、もっと仕事に身を入れてしてください、って言っても
全然仕事してなかったもん。」
「ああ、、なぁ、、。」
そうか、と、思ったあの人なら目端が利くというのだろうか。
どんどんとキャリアを積んで上へ上へと上がっていく、というのか
そういうことをしていく人だろうな、と思ったから。
「何度か言われてたけど、、。」
「Yさんは来た? 」
「ふん。 彼は来た。そやけど、何かね、あの人、ずっと前から
鬱や鬱や、と言ってた割には、ものすごく元気にあいさつしにきた。」
「鬱とや違うよ。」
「え? 鬱とは違うん? 」
「そんなの、ウソウソ。そんなん仮病や。鬱、とか言っておいて
碌に仕事をせんと次に行くところ探しよったんやもん。そやから、
Yさん元気やったやろ。」
「うん。えらい元気やったわ。」
「でもまぁ、一応あいさつには来たんやな。」
「まぁね。お世話になりました、言うて帰ったけど。」

「まぁなぁ、最低限の礼はまだYさんのほうが持ってたか。
だって、いくら言いづらい、ったって、最後なんやし、、
それに謙介はOさんの仕事手伝ったり資料揃えて
あげたことやってあるんやろ。」
「うん。あの人、いきなりやってきて、これとこれとこれとこれと、、
ってずらずらと30くらい資料集めて、っていうから、集めてきて
渡したこと、何度かあるよ。」
「で、あいさつなし、なんやろ。」
「うん。なかった。最初もなかったけど、、でも、最初は
うちの組織をよう知らんかったからかなぁ、と思ったんやけど、、。」
「知らんかったら、なおさら本人が来て、よろしく、いうて
頼むのが礼儀やろ。」
「まぁ、謙介の仕事でもあったしね。」
「それにしたってや。」
「あ、そういえば、思い出したわ。」
「あの人、一回も俺のところに来て、あいさつしたことなかった。
いつもメールで用事だけ言ってくるだけで。」
「ほら見てみ。Oさん、謙介のことなんか、上にのし上がっていくときの
道具のひとつにしか思うてないよ。」
「まぁ、そういう係りやったし、、。」
「そんなん、甘すぎ。大体が、ちん○に毛の生えてもないような
ガキならいざ知らず、ええ歳したおっさんやろ。」
「おっさん、って。(笑)」
「そやろ? なんぼ口でありがとうございます。のメールでいつもどーもだの
言ったところで、その人のしてきたことを見たら、その人の程度が
知れると思うで。」
「まぁそれは確かにそやね。口より態度やろね。」
「あ、はじまるで。」
そう言って、そこでその話はおしまいに。


正面の司会ブースにこの会の幹事がやってきました。
ものすごく緊張しているのがここからでも手に取るように分かります。

去り際、というのもの、謙介も就職してからずっと、さまざまな人の去り際
をいろいろ見てきた訳ですが、
本当に上手に去る、というのもものすごく難しいなぁ、
と、改めてそんなことを思ったのでした。


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Comments

今まで何人もの中途退職者を見送ってきましたけど、退職日が決定した瞬間に「後は野となれ山となれ」の心境になってしまう人が多いですね。
転居や病気などの事情がある人を除いては、今の職場に不満を持っていたんだろうし、どうせ今の職場の人間とは今後付き合わないから他人がどうなろうと知ったこっちゃ無いということでしょう。
倫理のよりどころが「身近な人に迷惑をかけない。悪く思われない」ところにあって、「自分の仕事を全うする」ではないことがよく分ります。

Posted by: mishima | 10. 04. 13 at 오전 11:18

---mishimaさん
うちの仕事場も毎年何人かの人が定年だったり、他の仕事場に移る、っていうんで退職していきます。そういう去り際を見届けるのですが、
 なんだか見ていたら、正直言って「ああはしたくないなぁ。」というような終わり方の人が結構います。でもまぁ、そういう俺が「なりたくない。」と思う人って、結局のところ、次のステップにするためにしかうちにいなかった人なので、そういう最後でも「別に? 」って思っているんでしょう。人間の去り際について言った格言って、やっぱりあれこれとあるのは、そういう去り際に「その人」の人間性が出る、ということだから気をつけなさいよ、ということなんでしょうね。ホントに気をつけないと、ってそういうさまざまな人の去り際を見て思いました。

Posted by: 謙介 | 10. 04. 13 at 오후 11:38

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