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10. 04. 06

だからとうとうばったり倒れたりしたんだってばツアー

五条でおけいはん電車を下りて、地上に上がり、
暫くの間、国道1号線に沿って東に歩きます。
一号線が、五条通です。
東山の山すそなので、道はゆるやかながらも
のぼりになっています。
やはり清水が近いので、陶器を扱う店が多くなってきますね。
清水焼のお店があちこちに見えます。

(でももうこの清水のへんで清水焼は作られてはいません。
今は東山を越えた、山科(やましな)に、清水焼団地、という
場所があって清水焼はそこで焼かれています。ただ、そこは
清水焼団地といいながら、焼き物だけ、というのではありません。
焼き物、ときたら、高級なものだと、それを入れる桐の木で作られた
箱が必要ですよね。そういう桐箱を作る職人さんの工房も一緒に
あります。毎年夏に清水焼祭り、っていうのがありまして、その
時期にここに行くと、安い値段でいいものとか掘り出し物が
買えます。)

五条通をまっすぐ行くと本願寺の檀家さんのお墓を全部集めている
大谷本廟があります。学部の時にいつも一緒にいた
大阪は西三国に住んでいた友達も今はここに眠っています。
大谷本廟のほうに向かって軽く手を合わせて、今日は清水坂の
ほうに道をとります。

いやぁ、 いつき来ても清水さんはすごい人出です。
いとこは「うわー、抹茶あいすやって、すごい、すごーい。
へんないろの八つ橋がぎょうさん! 」とか言いながら、
変な観光客ごっこをやっています。しかし、京都弁で観光客ごっこしたかて
あきまへんがな。
「すごいすごいー」って、何がすごいんだか。
「いくちゃん、(いとこの名です。)あんた上京区民やないか。 」
「そやかて、清水さんなんてよほどの用事がないときぃへんもん、、、
なぁ、あの抹茶ソフトの抹茶って、ホンマに宇治の抹茶やろか? 
「まぁ抹茶言うたかて、ピンからキリまであるしなぁ、、。
どうせ、あんなの加工用の安い抹茶やろねぇ。」 
「そらそやろ。」 とか何とか。
そういいながら人ごみの中をえっちらおっちら登っていきます。

到着しました。

Kiyomizu1


しかし本当にすんごい人出でした。


どこからこれだけの人が湧いて出てきたのでしょうか。
こういうみんなてんでバラバラの方向で歩いているので
自分がこっちに歩こうとしたら、急に前に誰かが出てきて
立ちふさがれたり、というふうに歩くのに疲れるので
俺はこういう人ごみって嫌いです。

田舎なんか、別にわざわざ花見、ってしなくたって
そこいらに桜は咲いているし、おまけに人だって
ほとんどいません。


ちなみにこれが俺の通勤コースの桜です。
Inakanohanami

こんな風景を毎日眺めつつ出勤しています。
ちょっと見難いかもしれませんけど、
先週の土曜、俺は行事の関係で出勤だったのですが、
これだけ満開の桜が咲いていて、しかもこれだけ
いい天候でですよ、土曜の午後です。なのに桜の木の下に
ビニールシートを敷いてお花見してるグループなんて、
たったの2組でした。もうほとんど貸切です。
田舎の花見なんてこんなものです。

京都だって、地元の人間は
この時期、出歩くと「うっとうしい」と言って、
家に居るんじゃないかなぁ。うちのオフクロなんて
この時期は、「ぎょうさんの人出でかなんわ。」と言って
あんまり出歩かなかったですね。


もしくは、こっそりと、自分だけが知ってる密かな花見スポットに
出かけたり、というところでしょうか。
俺の住んでいた右京区だと、全国的に有名な御室とか
嵐電の高雄口⇔鳴滝間の桜の名所っていうのがありますが
それとは別に地元の人しか知らない
秘密の花見の場所、っていうのが結構ありまして。
そういうところで静かに花見をしていました。

なんでこうわざわざ人は多いわ、埃っぽいわの
ところに出かけてくるんだか。花見に来る、んじゃなくて
人見ですね。これじゃ。

ただまぁ、清水なんてしょっちゅう来るところではないですし、
この際、っていうので、結構好奇心満載で
あちこち行っては見ていたんですが。
(なので余計に疲れました。笑)

途中、あれ、レンタル着物ですかねぇ、
着物を着て、京都の街を歩く、とかで
歩いている人を結構見ました。
女の人ばかりでなくて、男の人も結構
いましたねぇ。

漢字検定の毎年恒例行事の「今年の漢字」のイベント、
清水寺もなんやかんやと文句を言っていましたが昨年だって
最終的に「やっぱり今年もやりましょう。」って引き受けたのは
この場所で貫主が漢字を書くと、宣伝効果がものすごいから、ということで
寺側がそろばんをはじいたからじゃないですかね。

だって、たいていの新聞・テレビ・ネットのニュースで出ますもん。
今年の漢字は何だったかなんて、どうせすぐに忘れて
しまうでしょうけど、漢字を書く場所が清水寺、っていうのは
ずーっと変りはしませんから。
見る側には自動的に刷り込みが
補強される、と思うのです。そうして、やはり観光客の思う
ことと言ったら、
「ああ、ここが、毎年恒例の今年の漢字の書かれるあの場所だよね。」
そう思って来る観光客だって結構多いんじゃないですかね。


清水の舞台から見たら、桜はまだこれから
というところでした。
冬から春にかけて、桜の木は木全体がどんどんあかく変化をして行きます。
木自体があかくなっていって、桜の木の植わっているところは
あかみがかったもやのような風情になってきます。
そうして、そのあかが極限にまで達すると
木の枝の先から、ぽつぽつ、と、花が開きます。

都会の人は今の時期になったら桜、桜、と言うのですが、
花が咲くまでの木の変化、って注意して見たことはありますかねぇ。
その木の色の変化、って、本当に木が生きてるなぁ、と感じられて
すごいなぁ、と思います。

Kiyomizu3
これが正真正銘の清水の舞台から、、ですね。
決して「飛び降り」はしませんけど。(笑)


奥の院から見たこのアングル見たさに
やっぱりたくさんの人が来ていました。

Kiyomizu5


これは西山の風景です。(乙訓・長岡京の方向)

Kiyomizu4


この遠山の景色ってちょっとドキドキします。

だって古典の作者が見た風景と同じものを
実際に自分も今この眼で見ている、という追体験を
しているわけじゃないですか。

(さすがにビルとか京都タワーは、まぁ、、措くとして)
この西山にしずむ夕陽は、清少納言も紫式部も吉田兼好さんも
見たのと同じ、ということですよね。

そうした人たちが見たのと、同じものを見て、
実際はどういうふうな景色なのかということを知っておく、という
意義は俺のように国文学を専門にやってきた人間には必要なこと
だと思います。 

仮に文章に「御室」と書かれてあっても、実際に京都市右京区の御室に
行ってその場所を歩いてみたり、歩いたときの空気や土地のにおいの中で
改めて光景を眺めてみてはじめて理解できるものがあるように思います。

同じ陽射しでも、マンハッタンと京都が同じか?
といえば、やはり全然違うでしょうし、その気候から来る
空気とか景色の見え方、だって違うと思います。


やはりそうしたことを自分の身体で追体験しておく、実際に
歩いてみる、というふうな経験を積むことは、専門的に作品理解を
しようとすれば絶対に必要なことだと思います。古典には
字面や行間だけからでは分からない「何か」が
そこにあるように思います。

高みを下りて、今度は下から舞台を眺めてみます。


Kiyomizu6

清水寺を出て、今度は坂を下り
途中で曲がって三年坂の方にいきます。
途中、枝垂桜が見事でした。(ちょっと写真大きめにしておきます。)

Sannenzaka


坂を下りて、祇園の八坂神社に出ました。
Yasaka


八坂さんにおまいりして、四条通を西に。
夕陽を見ながら歩きます。

ちょうど四条河原町の交差点に来たら、もうそろそろ
たそがれどきになっておりまして、

 あの人の姿懐かしい たそがれの河原町~♪

と、京都慕情の歌詞のようになってしまいました。
まぁ別に「あの人」ってのはいませんが。(笑)

しかし、四条河原町の交差点に立って、改めて頭をめぐらして
みると、ここ数年の間にすっかり店が変わってしまったなぁ、と
その激変ぶりに改めて驚かされてしまいます。

北西角にあったドイツ菓子のユーハイ○はいつの間にか眼鏡屋さんに
なっていましたし、その近くのドン○のパン屋も無くなっていました。
(高島○の地下に移動。)
飲食関係のお店ってやっぱり消長が早いですね。
「あそこもなくなってしもたね。」
「ここ、前、何やったの? 」
そんなことを話しながら、いとこと四条通を西に行きます。
四条高倉の大○前の志津○でカツサンドやいろいろなパンを買いました。
志津○は以前の通りにあって、安心しました。
四条烏丸から地下鉄で京都駅に。

いとこは伊勢○9階の写真室で証明写真を撮るんだ、
と言うので、ここでお別れしました。
謙介は、まだバスの出発までに時間があったので
京都駅のあちこちを写真に撮ってみました。


Shichijyo6

これは京都タワーですね。

Shichijyou7


ホテルぐらんび○の入り口方向です。

いまどきのホテルの中のレストランの食事なんて
冷凍食品の温めなおしばっかりだ、ということに
気づかせてくれたホテルぐらんび○も
盛業中(笑)のようでした。

ここのメインダイニングでお料理の最後に食べた
ケーキ、お口の中でシャリ、って言って
氷がとけたわけです。

何でケーキが凍ってたの? って栄養士の友達に聞いたら
「そんなもの、いまどきのホテルなんて冷凍ものばっかりよ。
まともな調理なんてしてないよ。」ということを聞いて、、
あーあ、ホテルなんかで、もう二度と食事なんてしない、
って謙介が決心するきっかけになったのが、
このホテルぐらんび○でした。

だけど、ここのメインダイニング、ドレスコードなんか
あるんですよね。

利用する客側にドレスコードを要求するような場所であるなら、
加えてホテルのメインダイニングの料理ということで結構な
お値段の設定なのであれば、それに見合ったように
(電子レンジでチンしてお皿に盛って出す、というのではなくて、)
厨房でシェフがちゃんと調理したものを供していただきたいものです。
それが、ファミレスと違って、わざわざドレスコードを設定している
ホテルのメインダイニングの「意味」であると俺は思います。

そんなことなら、注文をうけて、目の前でさっと調理して出してくれる
王○のほうがよほど良心的じゃないですか?
そう思いません? 
この不景気のご時勢にもかかわらず、王○が収益を上げている、
というのは、確かに安い、ということだってあるでしょうが、
冷凍ものを使わないで、一回一回ちゃんと作ってる。
しかもお財布にやさしい。(笑) こうしたお得感が、王○が
人気のある、っていう要素のひとつじゃないかなぁ、って俺は思います。


10分前にバス乗り場に行きましたら
もうバスが来ていました。
後は、バスに乗って、、
バスの中では途中、舞子の辺で、目がさめて
サンドイッチを食べましたが、後はずっと
寝ていました。(笑)

まぁこれが元で、疲れがどっと出て、、
ということに気づかず、そのときは、
ひたすら楽しかったなぁ、と
お気楽に思っていたのでした。(笑)


でも、悠太さんのブログを見てて、ああ行きたい、
と思った王○にも久しぶりに行くことができましたし、
ひさしぶりに双が岡にも登れたし、、
そういう意味では良かった、という
旅だったなぁ、って思いました。

どっと疲れた旅のお話、これにて終了です。

いつものようにながながとした文章にお付き合い
くださいまして、ありがとうございました。

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Comments

 ・・・いや,動き回り過ぎですってば〜;;;
 これだけ移動したら,そりゃ疲れますよ(汗)

 桜の樹は,花を咲かせ終わってしばらくすると,幹からいい匂いを出しますよね〜。そう,桜餅の。
 根が食いしん坊なので,そういうとことで季節の移り変わりを感じてしまったり(笑)

Posted by: Ikuno Hiroshi | 10. 04. 07 PM 9:18

---Ikuno Hiroshi さん
 そうなんです。おそらくこの日一日で10キロは歩いたと思います。(その上に登山も)で、倒れたと、もう自業自得以外の何物でもないです。実は今日、診察日でさっき行ってきたのですが、主治医に「もうあれからはムチャなことはしてないだろうね。」と、言われて、、。「ハイ。していません。とりあえず(この部分小声)」と答えてきました。 桜の香り、本当に桜餅の、、ですね。あ、また食べたくなってきたぞ。明日、和菓子屋さんが開いたら、買いにいこうと思います。

Posted by: 謙介 | 10. 04. 07 PM 9:40

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