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10. 03. 01

73回

先々週の月曜のこと。
「謙介さ、芝居好きでしょ? 」
「うん。まぁね。」
「今度さ、芝居見に行かない? 」
「どこへ? 」
同僚は、郊外の劇場で、ずーっとやっている芝居の名を言った。
もちろん、その芝居はここいら辺のあちこちにポスターが
貼ってあったので、上演中、ということは知っていた。

Tsuruchan

(ちなみにポスターの原画は智内兄○さん。
このお話の舞台である今治の出身ですし。)

いや、正直興味はあったのだけど、この劇場は
同じ演目を1年間通しでずーっとするので
何だかいつでも行けるよね、とか思っていたのと、
土日は実家の街に帰っていることがほとんどで
わざわざ、その郊外の劇場まで、、足を運んで、、
という気にならなかったのだ。
そういう意識が何となく絡み合って、足を遠ざけていた、
という感じだった。

「これ、すごくおもしろいんだから。」
「ホントに? 」
「もう保障する。」
「何回見たの? その芝居。」
「73回。」
「へ? 」
「だから、ななじゅうさんかい。」
「7回じゃなくて? 」
「73回。」

聞いたらこの芝居にもう家族中がのめりこんでいるのだそうな。
一人70回で、5人家族がいて、、単純計算で延べ350回。
「350回なの? 」と聞いたら、
「350回は行ってないと思うけど、家族全員で合計300回は
行ってると思う。」
「さんびゃっかい! 」
もう謙介さんも驚愕するしかありませんでした。
まさに、「何が彼をさうせたか。」 ですねぇ。

俺はその芝居がおもしろいのか、どうか、ということより
彼の一家が300回見た、ということと、そこまで一家を
のめりこませるのはどうしてなのか、ということにすごく
興味を持った。
「じゃあ、行きます。」 と返事をした。

で、先週の土曜日。
観劇に行ったのでありました。

この劇場のあるところは、劇場だけでなくて、
横にスーパーがあったり、アウトレットモールがあったり
する。あ、それから温泉もある。
2時開始なので、待ち合わせは1時45分、だった。
だけど、滅多にこんなところまで来ないので、ちょっと
早めに行って、あちこち見学をする。

まず車を駐車場に停める。
入ってすぐのところにスーパーがある。


Hehuji

土曜の昼下がりなのだけど、あんまりお客さんが入っていない。
場所的なものもあるのかもしれないなぁ、、、。
実は写真の奥の白い塀って、刑務所なの。
とりあえず、スーパーの中を見学。
値段は高くもなく、でも安くもなく、、
よく言えば、品揃えはどこのスーパーにでもあるベーシックなものが
平均的に置かれている感じ。悪く言えば、全然個性がない。
さっと見たのだけど、あんまりほしい、という品物もなかったので
今度は横のアウトレットモールに移動。

Minara


よその地方ではアウトレットモール、すごく繁盛してて、、
いくつもいくつも出来ている、という話を聞くのだけど、、
ここのアウトレットモールは、入って、すごく寂しさを感じてしまう。
上の写真見てもらったって、駐車場、がらがらでしょ? 

実は5年くらい前に一度来たことがあったのだけど、
その時にも店が何軒か退店していて空き店舗があった。
だけど、今回来てみたら、さらに空き店舗が増えていて、、
営業してる店も、ほとんどお客さんがいなくて、、
これは大丈夫なのか? と正直思った。

どうしてお客が入らないか、って言えば、ブランドのアウトレットの
店が一軒もないんだもの。 それでも、折角来たのであちこち
観察する。

そのうち、時間が来たので、劇場の玄関に行く。


Bogeki


同僚、すでに来ていて、チケットを渡してくれる。
ここは秋田のわら○座という劇団が運営をしている。
ただ地元に根ざした芝居を、ということで、
この地方の伝説、物語、人、に題材を採ったお話を
芝居にして上演している。
最初の演目は「坊ちゃん」(あーあーあ)
とはいえ、脚本担当はジェームス三○の書き下ろし
で1年間上演していた。
(とはいえ、行くの、何となく面倒だよねー。と思って
そのときも行かなかったのだけど、、。)

で、今回の演目が4作目になる。
一昨年の冬、謙介はしなまみ海道の大三島に行った。
大三島、と言えば、大山祇神社。
ここの宝物館には、西日本にある国宝の甲冑のほとんどが
収蔵されている、というくらい甲冑のコレクションがあるのだけど、、。
その中に1点。女性用の甲冑がある。(ここは事実)

この女性用の甲冑を身につけていたのが
鶴姫という女性だった、という伝説がある。

時は戦国時代。
鶴姫は、この大山祇神社の神官の娘だった。
四国の平定もねらおうとしていた周防の大内氏が
四国の沿岸を攻撃して、土地の河野氏と戦になっていた。
その時、この河野氏の信仰の篤い大三島を
落とせば、河野氏は壊滅状態になるだろうと踏んだ
大内氏が、大三島に近づく。神の島に戦乱を起こしては
ならぬ、と考えた鶴姫は、戦いでなく和睦を、と
思い、自分が好きだった黒鷹を和睦の使者に大内氏の
元に遣ったが、大内氏は和睦をすると見せかけて
その使者の黒鷹を殺してしまった。
愛する黒鷹を殺されてしまった鶴姫は、
大内氏が、黒鷹を殺し、前祝だ、と全員陸に上がって
宴会をしているうちに大内氏の船を係留しているところに行き
船を全て焼き払ってしまった。
大内氏はほうほうの体で逃げ帰り、神の島を焼き払おうと
したことを詫び、再び島に平和が訪れる、という話。

上の上演プログラムの中に「瀬戸内のジャンヌ・ダルク」とあるのは
こうした鶴姫の活躍を指して言ったものだから。

劇場の中に入る。この日は大体3分の2くらいの入りだった。
昨年の4月から上演してきたこのお芝居も、今月の20日が
千秋楽。もう後少しになった。
プログラムを見たら、あれ、とちょっとした発見が。
この芝居の振り付けが、尚すみ○さん、とある。
尚すみ○さんと言えば、俺が宝塚に頻繁に見に行っていたときの
雪組の副組長さん。もちろん宝塚は退団してはいたけれど
今もダンススクールを主宰して後進の指導をされている
と聞いていた。ふうん。尚さんが、、、とちょっと意外な結びつきに
驚く。

芝居は2時間。途中休憩なしで一気に、だった。

で、どうだったのか、と言えば、
確かにおもしろかった。
おもしろかったのだけど、俺的には、
何かいまひとつ、ぎゅーーんと心をわしづかみにされるような
ものが無かったんだよ。
脚本も良かったし、見終わって周囲を見たら、
目がうるうるきていた人が結構いたのも見たんだけど、、
俺の中では、正直いまひとつ、だった。

同僚は「本当に何度見てもいい。」と話してくれた。
そりゃそうでしょう。74回目見て、また感動を新たにしているのだから、、
もうすごくいい!! と言うことなのだろう。
同僚には、「本当に今日は誘ってくれてありがとう。」
と言って、入り口でわかれた。
何でも今から楽屋に差し入れを持っていくのだ、
といっていた。楽屋はフリーパスなんよ、って、
そりゃそうだろう。300回も見に行った一家を
特別に遇しないなんて、、そんなはずはないもの。


車に乗って、実家の街に帰りながら
俺はずーっと考えていた。
ではどうして、それほど自分の中では強い印象が
残らなかったのか。
確かに悪くはない。
悪くはなかったのだけど、、
でも、わしづかみにされるような
それこそ、心をどこかに攫っていかれるような
そんなドキドキがなかったの。
どうしてなのだろう、、、。


いまだその答えは出ていない。


追記

理由が分かった。
芝居全体の要になるような力を持った役者がいなかったから。
みんな同じくらいの力で引き合っているから、なのだと思う。

と、知り合いにメールで知らせたら、
要するに、アンタの好みのタイプの役者さんが
出てなかった、ということでしょ?
そーともいう。
(by のはらしんのす○)

しつれいしましたぁぁぁぁぁ。

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