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10. 03. 08

とどのつまり、この魚だけは、嫌

今、魚のボラの人気が高くなってる、んだって。
以下引用

  ボラ、マダイ並みのおいしさ!? 
  脂乗って今が食べごろ
  3月6日5時36分配信 時事通信

 冬の寒さで磨かれた上質なボラが各地で
 水揚げされ、消費が伸びている。この時期、
 「真冬の魚以上に脂が乗ったものも多い」(
 神奈川県の漁業者)とあって、量販店など
 がお薦め品として扱う動きが活発化。店頭
 で見かけることが少なかった魚だけに、
 注目され始めている。
  ボラの旬は水が澄んで臭みが少ない冬。
 一方、晩冬から春先も「産卵期をすぎて、
 身においしさが戻っている」(卸会社)と
 評価が高い。
  刺し身にすると「きれいな白身で、天然
 マダイに匹敵するほどおいしい」(鮮魚
 専門店の魚喜)といわれるほど、外見
 からは想像しにくい実力の持ち主だ。
 最初は「どんな味がするの、と客も慎重
 だった」(同)が、今ではリピーターも増
 えているという。 


 引用終わり


なんだか謙介読んでて非常に微妙な物言いをしてる
記事だと思った。


量販店で、、っていうの、なんだか分かる気がする。
たぶんさー、詳しい説明とか一切何もしないで
「今日は、ボラの試食販売で~す。」とか
言いながら、マリネにしてでも売ったんじゃないかなぁ。
「え? 何て言う魚なの? 」
「ボラ、っていうんですよー。」
「ボラ? 聞いたことないなぁ、、で、おいしいの? 」
「いや、それがね、まぁ、食べてみてください。」
とかなんとかいうやり取りがあって、
刺身用に切ったものに、いろいろなスパイスの効いた
マリネの液をかけて、試食販売にでも出したのだろう。
「どうです? 」
「あら、おいしい。」
「しかもとーってもお安いんですよぉぉぉ。」
「じゃ、ひとつくれる? 」
「まいどありー。」

というふうな展開かなぁ。
ボラって、たぶん比較的安い値段で
量販店の売り場に出てるんじゃないかな。

え?
謙介はボラって食べたことあるのか
って?

そりゃ、島に住んでたときに、何度か漁師のおっちゃんから
もらいましたともさ。
でね、どんなふうに食べるかって言えば、
もうね、さっき言ったみたいに刺身みたいにした
上からニンニクだのその他ハーブだのの入った
マリネの液につけて食べるか、後は
濃い目のお味噌汁にしてしまった。

それからお酒の好きな人がよく言う
ものすごい高価な酒のつまみの「からすみ」って、
ボラでつくる、っていうところもある。
瀬戸内では「鰆」で作るけど。

でも、正直言ってボラは食べたくない。
もうね、どうしても他に食べるものがなくて、
これを食べなければ、餓死するしかない、
というふうになったら、わかんないんだけど、、。
俺がかつて島でボラを食べたんだって、
折角いただいたから、もったいなくて、
いただいたのであって、積極的に食べたいか、
と言われたら、絶対に嫌、って答える。

上の記事の中に「店頭で見かけることが少なかった魚だけに」って
あるけど、謙介はそりゃそうだろうよ、と思う。


ボラは、たとえば謙介の実家のある街もそうだけど
海辺の街で、魚を比較的知ってる人間が多いところでは
店頭に並ぶ、っていうことはあんまりなかった。
いや、ボラっていう魚、希少種か、って言ったら
全然そんなことなくてさ。
はっきり言ったらどこにでもいる魚なの。

で、そのどこにでもいるんだけど、そのいる場所が問題でさ。
この魚、ほとんどドブみたいになった汚い川の排水路の辺に
うじゃうじゃいるわけですよ。生活力は旺盛でたくましく
生きる魚だから、工場排水が流れ出るような川の河口でも
結構群れをなして泳いでたりする。
はっきり言っちゃうと、鳥で言えばスズメみたいに
人の生活圏の一番近くに群れている魚。

「店頭で見かけることの少ない」っていうのは
実は海に近い街の人間だと、ボラがどういうところに
棲んでる魚なのか、っていうことはみんな当たり前
に知ってて、だから「食べるのヤダ。」という魚だったから。
だから、流通に乗らなかったんだもん。そんなもの田舎じゃ
出したって売れないもん。
それに良心的な魚屋さんだったら、そんな汚い海域で
獲れた魚を売るか、っていうのも正直言って
あると思う。
上の記事だって微妙にその辺の書いてあるでしょ。
「水が澄んで臭みが少ない冬」って。
それは、↑そういうことだもん。やっぱりあまりきれいな海域に
いる魚じゃないから、どうしても身が臭いの。
俺が刺身にしないでマリネにした、っていうのは
そういう臭みをハーブやお酢とか、大量のスパイスでごまかそうと
したわけ。
味噌汁の実にした、っていうのもそう。実だくさんの
味噌汁というか味噌鍋みたいにして、山椒をどんと入れて
臭いをごまかすっていうことをした。

で、田舎だと何せ身近な魚だから、ボラがどこに棲んでるか
知ってる人間が多いから、売らない、もしくは売れなくて、
(そういうボラの棲んでる場所を知らない)
都会の量販店で売る、ということをしたんだと思う。


まぁねぇ、何でもそうかもしれないけどね。
確かに見なけりゃいい、っていうのは確かにあるんだけど、、。
スーパーで売られている外国産の海老が養殖されてる
ところだってさ、何度かそういう養殖の本を読んだことが
あったけど、なんかドブみたいな水のところで養殖してて
これが日本向けの海老はこういうところで作られている、
ってキャプションがあってさ。しばらくブラックタイガーとか
ハメネイとか食べるの嫌だったけど、、。
でも、大分経ったら、忘れる、というか、まぁいいか、という
気になったりね。

それでこのボラっていう魚は大きくなっていくにつれて
名前が変化していくの。
で、一番大きなものを「トド」っていう。
だから、一番大きくなった形態を指して
「トドの詰まり」というのは、ここから来た、
という語源説もある。
(別の説、っていうのもあるけどね。)


たまに食べるのだったら、魚の中に含まれる有害物質だって
そう蓄積はしないと思うけど、でもさ、無理にそんな魚わざわざ
食べて、そういう物質を蓄積させなくたっていいんじゃないか、
って思った。 
それとそういう水の汚いところにいる魚なんだって、って知らないままに
経済的にお得です、なんて、お金のことだけで安いから、っていって
食べさせられる、って、安全性、っていう面からいけばさ、やっぱり
その点を知らされないままに食べさせられる、っていうのも、ちょっと
フェアじゃないんじゃない? っていう気がしたので、
田舎の人間から見たボラについて書いてみた。
まったくさ、安いから、お得でしょ、って価格につられて、、
買ってると、ほんまに食べても大丈夫か??? っていうようなものだって
平気でつかまされかねないものね、、。恐いです。
やれやれ。商道徳はどうなったのでしょうか。


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Comments

 あ,僕もボラは食べたくない方に一票です(苦笑)
 濁った河口の汽水域とかでぱしゃっと跳ね上がるような魚・・・うぇ〜;;;
 江戸時代とかのきれいな河口で獲れたボラなら賞味してもいいですけど・・・。

 そのうち,都会の高級和食料理店で「ボラの奉書焼き」とかが高価なお値段で(笑)

Posted by: Ikuno Hiroshi | 10. 03. 09 AM 1:02

---Ikuno Hiroshiさん
 瀬戸内沿岸に生活して、そこそこ海にだって遊びにいった、とか、親兄弟のお供で釣りに行った、っていう人なら、ボラはもう大抵の人が知ってますよね。で、当然、どういうところに生息する魚か、っていうのも。やっぱりボラって、国産魚で、それでいてどこにでもいるから価格も安い、しかも安定して漁獲できる、っていうことで都会の量販店に並ぶようになったのですかねぇ、、。何にも言わないで、並んでるとしたら、売り方、ちょっとアコギじゃないですかね。田舎に住む謙介さんとしては、ちょっと避けたいなぁ、っていう魚です。

Posted by: 謙介 | 10. 03. 09 AM 5:58

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