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10. 03. 02

想像力

土曜日、芝居を見て、夕方実家の街に帰るときに
俺、ぼんやりと思ったの。チリで大地震が来たら
日本に津波が来ないのかな、って。
そうして次の日の朝、テレビをつけたら
ちょうど気象庁の地震担当の人が
記者会見を開いていて、日本の津波が来る、
と言っていたので、「あ、やっぱりな。」
って思ったの。
いや、その50年前の同じチリ大地震の
津波に遭遇した、っていうのはなかった(笑)けどさ。

俺ね、日本で過去に起こった大震災とか台風被害とか
津波とかそうした自然災害の歴史を
ずーっと記録した本を以前読んだことがあってさ。
その時に、チリ大地震津波っていうのが伊勢湾台風の
翌年に、わが国まで被害を及ぼした、っていうのを
読んでてさ、その時に、
ひええええ、地球の裏側で、起こった地震の津波が
日本にまではるばる来るんだ、それもものすごい破壊力で
日本のいろいろなところをめちゃめちゃにした、
ということを読んでて、
それがやっぱりものすごく印象に残ってたの。


たとえば今日。
さっきテレビの天気予報を見ていたら、お天気キャスター
の人が、「寒かったですね。」って言ってた。
確かに調べてみると本日の東京の最高気温が7度。
寒い。
だけど、今日の高知の最高気温は20度。(笑)
どこが寒いのさ? 

お天気キャスターみたいに、
広い範囲の気象状況を頭に入れて、それで
コメントを出したりしないといけないような人でさえ、
ついうっかり、自分の住んでいるところが
すべて、って思っちゃうことがあるんだ、と
ふーん、って、興味深くそのコメントを聞いていましたんですが。


で、日曜の津波のことでもさ、
高知とか、静岡とか、そういう海辺の地域に
住んでる人のブログを読んだら、やっぱり
すごく気になって、ずっとテレビとかネットを見てた、
って書いてあった。
だけど、長野とか山梨というような内陸に住んでいる
人が書いたブログなんて津波のことなんか
全く出てこないしさ、、。
多分、そういう内陸に住んでいる人にとっては
海辺に住んでる人間の気持ち、って
想像しきれない部分があるのかもしれない。

今回のことはやっぱり関心の度合いが全然
違うなぁ、って思った。
やっぱり、そういうふうに自分の住んでいる場所が
日本のすべて、って思いこんじゃうのかな、って
改めて思った。
だからこそ、いろいろな場所に住んでいる人の
話を聞かせてもらったり、津波の報告を読んで
少しでも他に対する想像力を働かせるように
したり、幅広いものの見方を養わないと
あかんなぁ、と謙介は改めて思ったのだった。


今回のこの津波の報道、過剰だった、っていう
ふうな言い方をしている人もいるけど、俺は
全然そうは思わない。報道は刻々と変化をする状況を
知らせるのに役にたっていたもの。
自然ってやっぱり「畏れ」の意識を持っておかないと
人間は自然をコントロールできる、なんて
いうふうに、いつか自然を軽視するようなことに
だってなるし。

ほら、だからさー、そんな津波が来る、っていう折に
サーフィンしてた人がいた、
ってニュースにあったよね。
まぁあれほど報道してたって、
「興味が無い」って済ませてしまったり、
うるさいからええわ、で思考停止にして
そういう津波の報道を無視して
聞いていない人はいるわけでさ。

うちの姉じゃ人は例によって、
「あれほど何度も何度も、絶対に海の近くには
いかないでください、って放送してたのに、
そういう場所にわざわざ出かけて行って
それで本人の不注意で死んだって、
そんなんア○の自然淘汰やわ。」
って言ってたけど、、。

それとね、これもよく言われることなんだけど
昔は白い砂浜が広がっていた、と、ところが
今はコンクリートの堤防が出来てしまって、、
あんなもの作って自然破壊だ、、って言う人もいるんだけどさ。
そりゃ、たまに海に行った時に、ずーっとコンクリートの
堤防があったら、興ざめになるかもしれない。
だけどね、荒波の打ち寄せる島に3年間住んだ身としては、
そういう頑丈なコンクリートの堤防があってくれるからこそ、
台風が来ても、大波の勢いをそこでブロックしてもらえるし
今回みたいに津波が来ても、防潮堤を閉めてしまえば
海水が住宅地に浸入してくるのを防げた、というところも
あるわけでさ。
台風は毎年来るからね。台風以外に高潮とか
今回のように津波、っていうのだってあるから、
頑丈なコンクリートの堤防とか防波堤で守る、
というのもそこに住んでいる人の暮らしを守る、
という点では、どうしても必要なものだと思う。

でもね、そういう災害とまでは行かなくても
荒れた天候に遭遇しておくのも
決してよくないこととは思わない。

そういう経験をしておくことで、
テレビやネットの状況報道を見ながら
どの程度の気象状況になったら、
どういうふうにしないといけないのか、
経験から想像することができるようになるもの。

自然に向かうときに、経験から得られた
想像力っていうのは、時と場合によったら
自分の身を退避すべきタイミングに
生かすことができたり、次に同じような
悪天候があった時に、その経験を生かした
行動ができる、ということにつながることだってあるし。

今回の津波の来襲だって、やっぱり50年前の
経験があったから、想像力が働いて、行動に
生きた、っていうこともあるわけでさ。
だから俺は、今回の津波報道は
大仰だったとか、過剰だった、っていうふうには
決して思わないなぁ。

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