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09. 10. 06

明日香村にて(その1)

さて。橿原神宮前。

Kashiharajinngumae


ここで、電車を降りまして(まぁこの電車はここまでですが。)
駅を出て、駅前の貸し自転車屋さんに行く。

で、貸し自転車屋の自転車なんだけどでもさー、
自転車全部普通の自転車しかなくてさ。
電動アシストつき、とまでは言わないけど、せめて
5段変速くらいのギアはついてほしいよなー、
って思った。この辺の地形なんて結構アップダウンが
きついんだもの。だから変速機つきじゃないと
しんどかった。

まぁないので仕方ないんだけど。
休日は1日1000円ということで、
(平日は900円)
早速借りて東に向かって走り始める。今回の愛称は「うまやどごう」(笑)

Umayado

ここまで来ると、さすがに平城京1300年記念のイベントの
ポスターは少なくなってる。

そりゃそうでしょう。この辺は平城京の前の
藤原京があった辺りだから、平城京なんて、
そんなもん関係ないがな、っていうところかも。(笑)

大体が、藤原京は、でかい都だったわけですよ。
推定面積は25平方キロ。
平城京が24平方キロだから
ひとまわり藤原京のほうが大きかった。


それまでの都っていうのは、
明日香の狭い区域の中で、あちこち移動しつつ
都を作っているようなものだった。
天皇が崩御されて、次の新しい天皇が立ったら、それに伴って都も
遷ってた。だからその建物たって、板張りでさ、
恒久的な立派な建物じゃなかったんだ。それが今までの狭い場所から
今度は平野部に出てきて、恒久的な都を作ろうとした。
その都が藤原京だった。


でも、当時の天皇はその藤原京を、たった16年で投げ出して
平城京に行ってしまった。
平城宮跡に去年行った時にも書いたけど、藤原京って
都の地形に構造上の欠陥があってさ。
藤原京は都の真ん中に大極殿なんて作ろうとした。
そうしてこの都は南へ行くほど標高の高い丘陵地だった。


Asuka7

この写真見てもらったら右が三重に連なる山地で
左が大和盆地方向だから、
文字通り右上がりになっていて、逆に左に行くにつれて
土地が低くなっていってるのがお分かりいただけると思う。


なので、水は土地の高い南の端から中心部から
北部の方向へと流れることになった。
そうして大雨が降ると、普段の排水能力を
はるかに越えた川の水やら、生活排水やら汚物が、
土地の低かった大極殿周辺に集まることになった。
これはあきまへん、ということで、都を藤原京から
平城京へと遷すことになった。
それが710年であった、と。
そうして来年が1300周年記念になる、ということで
イベントをする。
それでせんとくんの登場、となったわけ。

だから橿原神宮のあたりは藤原京の場所なので
平城京の遷都記念イベントのポスターは、
あんまりなかったなぁ。


でさ、自転車で東に向かって走り始めたら
早速、上り坂ですよ。

しんどー、と思いながら自転車をこぐ。
汗だって出てくる。
何がさわやかな秋じゃ。奈良なんてちっとも涼しく
なんかないじゃないか。
やたら暑い。ツクツクボウシだって
まだあちこちで鳴いてる。
どこが秋なんだか、と思う。
坂を登りきると、今度はゆるゆるとした坂を下る。
坂を下ると田んぼがあって、立っていたのがこの標識。

Asuka1


明日香村の標識の下のポスターはミュージカル
蘇我馬子だって。ひええええ。

謙介、この日は一日、明日香村を久しぶりにぐるっと回る
つもりで電車に乗って橿原神宮前まで来たのだった。
まず行ったのは、古宮遺跡。

Hurumiya

ここは小墾田宮(おわりだのみや)のあった推定地と
されている場所。
今は何も残っていなくて、ただ木が一本、ここが
昔、天皇の居場所だった、ということを示すのみ。

そこから、もうちょっと行くと飛鳥川の岸に出る。


Hyoshiki


こんなふうに道案内をしてくれる昔の標石が
立っているんだけどさ。
ここで間違えてはいけないことをひとつ、ね。
田舎の人に道を聞いた時とか、こうした標石に
「すぐ」って書いてあるのは、距離的に近くにある、
「すぐ近く」っていう意味ではないんだ。
間違っちゃいけないの。
「この道をまっすぐ行けばいいですよ。」という意味。
まっすぐの「すぐ」なの。
ここもそう。
この地点から岡寺までは5キロ。
ね、近くなんかないでしょ。(笑)

飛鳥川を渡るとすぐに水落遺跡。ここは
水時計の遺構が残っている。

Mizuochi


そうして、さらに東へと道をとると
古い家並みがあって、

Asuka2


さらに行くと正面に飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)
の鎮守の森が見えてくる。


Asukaniimasu


この神社をもちょっと南東方向に行くと
中臣鎌足の生まれた場所があるんだよ。
鎌足さん、この辺でお生まれになったらしいの。


この神社の末裔から出たのがあの折口信夫ですね。
神社におまいりをしてから今度は今来た方向を見る。

Amakashi


正面に見えるのが甘樫丘(あまかしのおか)
集落を半分くらいまで戻って今度は左折して南の方向に。

すぐにあるのが飛鳥寺。

Asukadera


ここね、俺、小学校の時に来たんだよ。
その時はまだ仏像なんか見たらこわくてさー。
ここのお寺に安置されている飛鳥大仏見て
怖くて泣いちゃった、っていう記憶がある。

Asukadera2

(この仏さまを作ったとされるのが、法隆寺の釈迦三尊像と同じ
止利佛師だから、やっぱり何となく似てる。)

まだ小さかった時の俺は、この仏さま見て泣いちゃったの。
何か恐かったんだもの。

え? 写真撮っていいのか? って
この寺は撮影どうぞどうぞ、って。横にいた
ご住職さんがそうおっしゃったので、ぱちり。

この寺の西側、田んぼの真ん中に
五輪塔がありまして。

Umako


これが、暗殺された蘇我馬子の首塚、
という伝承がある塔。
(後ろは甘樫丘ね。)

飛鳥寺から自転車でまた少し南に。
今度は酒船石遺跡のところで自転車をとめる。
俺は酒船石を見たかったのだけど、迷って
別のものに入りこんでしまったようだ。 向こうの方に
いたおばちゃんが走ってやってきて、受付をしますから
という。思わず「へ? 酒船石って有料だったっけ? 」
と思う。まぁ仕方がないか、と思ってお金を払って中へ。
入って、あ、なーんだ、と思う。

Kame


ちょっと前に発掘された亀型石造物の遺跡だった。
でも、これも見ることができてよかった、と思った。
そうしてこれを見てから、今度は一度外に出て裏の丘を登る。
雑木林の中を少し登ると、峠の上のようにちょっと平坦な場所が
あって、そこに酒船石があった。

Sakahune


酒を絞るためにこの石は作られて使われたんじゃないか、
という説があって、それで酒船石、っていうんだけどさ。
だけど、俺はこの石は、お酒を絞るため、に
使われたんじゃないと思う。

なぜなら古代のお酒って、そういうふうにお酒を絞る、
っていうような造り方はしなかったから。

どういう造り方か、っていうと、聞いたら、ちょっとなぁ、、
というような造り方でさぁ。まぁ行きがかり上書くけど。

お米を蒸します。
そしてその蒸したお米をお口の中へ入れます。
そうしてよくお口の中でくちゃくちゃと噛みます。
そうしてペッと樽の中に吐き出します。
やがてそのお米が発酵します。
そうして出来たのが古代のお酒です。


だから記紀歌謡では、お酒を造ることを、
酒を醸む(かむ)というものね。
まぁ謙介はお酒は飲めないけどさー、こんなお酒、
もし飲めたとしても、ちょっとなぁ、、(笑)
ご遠慮申し上げたいです。
だから酒袋を絞ったりするような造り方じゃないから
酒船石はきっと別の何かに使われたのだろうとは
思うけど。
さぁて、果たして本当は何に使ったのか?

と、考えながら坂を下りて、次の見学地に。


再び自転車をこぐ。
しばらく行くと、右400メートル、飛鳥板葺宮跡、
という標識があったので、もちろん右折。

ね、この宮殿の名前なんて、板葺宮だよ。
板でとりあえず屋根だって作った、っていう宮殿だったの。
前にも書いたけど、狭いこの飛鳥の地域を
天皇が変るたびに都を移動させてたんだから。
しょっちゅう建物を建てては壊し、してたからさ。
そんな本格的な建物じゃなかった、ということ。

で、宮殿跡の遺跡のことなんだけど。

行くとさー、前に見た時と全然雰囲気が違っていて
ちょっとびっくりした。
こんなの。

Itabuki

というのがこの日の晩に、明日香村のいろいろな遺跡とか
お寺をライトアップする催しがあって、その準備で
こういうふうになっていたらしいんだ。

今回、あちこちでこうした古代史関連のイベントやら
イベントの予告を見たんだけど、、。
それについては、また別の日にまとめて書くね。
そういうイベントで、ちょっと思ってることがあるから。

と、いうことで、今度はさらに南を目指す。

長くなりました。今日はここまでにします。
(でもまだ全行程の3分の1くらい。笑)


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Comments

明日香だ~
飛鳥大仏だ~
懐かしいです。
僕も数年前に
自転車で坂道を
行ったのを思い出します。
続き楽しみにしてます。

Posted by: ともぞう | 09. 10. 07 PM 5:30

---ともぞうさん
 ありがとうございます。
ともぞうさんといつかまたお寺めぐりしたいですよね。明日香村を回りながら、そんなことも思っていました。自転車でお天気のいい日に回ったので、実は後で日焼けが、すごかったのです。でもいい史跡探索ができました。

Posted by: 謙介 | 09. 10. 07 PM 9:18

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