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09. 10. 21

ご生誕80周年記念ツアー

今年はご生誕80周年ですね。


Mukouda11

と、いうことで、10月17日土曜日、
向田邦子先生ご生誕80周年記念
ツアーを敢行してみました。

向田さんの年譜によると、彼女が謙介の実家の街にいたのは
昭和16年の4月から17年の8月までのようです。

市内の寿町(ことぶきちょう)に家があった、ということになっています。
俺ね、それを聞いて、へ? って思ったんですよ。
寿町、ってね、全然住宅地じゃないんです。
県庁とか裁判所とかあるような
官庁街というかオフィス街なわけで。
今は県庁は移転して、その後に電力会社のビルが
建っていますが、それだって大きなオフィスビルですし。

どうしてそんなオフィス街の中に住んでいたのか?
と思ってずっと不思議だったのです。
お父さんが生命保険の会社に勤めていたのは
知っていました。それで、調べてみたら
その生命保険のビルの後ろに社宅があって、
そこに住んでいらっしゃった、ということだったんですね。

おっさんの謙介さんは、家から往復歩くのはしんどいので
ここまでバスに乗りました。市内循環のバスで
200円です。
降りると、目の前にビルが建っています。


Mukouda3


ここが向田さんのお父さんの勤めていたビルの
あった場所です。
向田さんのお父さんの生命保険の会社は
戦前は第一徴兵保険という名前でしたが、戦後は
東邦生○になって、これがちょっと前に経営破たんして
外資系に変わって、GEエジソン生○になってそれがまた
変わって、今はAIGエジソン生○という会社に
なっています。(これもまた近く変わるかもしれない。)


ビルの後ろ、社宅があった、と思われる
場所に行ってみましょう。


  「父の会社が玉藻城のお濠に隣り合って建っており、
  そのうしろに社宅があって」「冬は寒風が上がってくるし、
  夏場は蚊も多い。流しの排水管から、大きな蛇がいきなり
  鎌首を出し(中略)ということもあったが、私はこのうちの
  茶の間の出窓に寄りかかって、お濠を眺めるのが
  好きであった」

 (「父の詫び状」所収「隣りの匂い」から)。


この駐車場の辺に社宅があった、と
思われます。眺めるのが好き、とあった
お濠に近いアングルだとこういう景色ですかね。
お城の北側はすぐ瀬戸内海なので
もちろんこのお濠の水は海水です。
なのでよくみると、鯛やヒラメが泳いでいたりします。
向田さんも社宅の庭に落花生を植えて
育てたようですが、ある日家が床下浸水してしまって、
その落花生を植えていた畑は塩水をかぶって全滅、
ということになってしまった、とあります。

Mukouda1


もちろん左に見えているのはお城の石垣です。
真ん中に、ことでんの電車の線路が見えていますが、
これは戦後の開通ですから、向田さんの見た
景色にこの線路はなかったはずです。

社宅のあったと思われる場所は、
今では駐車場になってしまって、、。

Mukouda2


なんにもありません。


この下の写真(昭和20年代の写真です。
上のお濠の写真の正反対の方向から撮ったものが
これです。)の左端の辺を見てください。
その辺が向田さんの家のあった辺りです。
左端、写真が小さいのでわかりにくいのですが
電車の架線の端っこ、というか一番奥のほう。
向田さんのお父さんが支店長としていらっしゃった
(↓この辺。)生命保険のビルが、かすかに見えています。

Chikkou

そうして今度は彼女が通学した、と思われる
道を歩いて通った小学校に行くのですが、、。
ここで、ちょっと寄り道をしました。

NH○です。
「謙介さん、あなた、こないだから
NHKのことについて延々と文句言ってたじゃありませんかぁぁぁ。」
「だってNHKで大河ドラマの巡回展をやってる、
って言うからさぁ、、。」


で、行ったら実際に使った衣装とか、各出演者の
サインとが飾ってありました。
(会場でポストカードをいただきました。)


Postcard

それにしても、です。
もらったポストカードで改めてこの「天地人」の
タイトルの文字を見ましたが、やっぱり、ちょっと
この字はなぁ、、、って思いました。

加えて、このポストカードを作った人も、
ミスをしています。

それは書道をやっている人間から言わせてもらうと、
絶対に許すことのできないようなミスです。
致命的、と言っても、大げさではないかもしれません。

ご覧のみなさんは、どこが
ミスなのかお分かりになりますか?

このことについては、
いずれ稿を改めて書きたいと思います。

(脱線終了。話を元に戻します。)


そうしてふらふら歩いて、着いたのがここ。

Mukouda4


四番丁小学校です。正しい読み方は「よばんちょう」ですが
地元の発音だと、「よばんちょ」に近いかもしれません。
この学校で、向田さんは小学校を卒業します。

実はこの学校は、どうしても今撮っておかなかればなりませんでした。

なぜなら来年の3月には、この小学校は無くなってしまうからです。

どこの街もそうですが、市内の中心部の学校って、
ドーナツ化減少のための人口減で、生徒数が激減し、
学校そのものが成り立たなくなってきています。
ここも同様で市内中心部のいくつかの学校が合併
して別の場所に統合された新しい学校ができつつあります。
なので、この学校も来年の3月までです。

ちなみにこの学校の卒業生には、
文藝春○を作った菊池寛もいます。
(きくちかん、は間違いで、正しくは
きくちひろしです。)
向田さんは後にこの文藝春○がバックアップしてる
直木三十五賞を取りますよね。

向田さんがこの学校にいたときに、その菊池寛が
卒業生として講演をしにきた、と彼女のエッセイにはあります。
ですから向田さんは、菊地寛の講演を聞いているわけで。
これもなかなかおもしろい因縁だなぁ、と思います。

四番丁を卒業した向田さんは、
そこからちょっと南に行った、県立の女学校に入学します。
入ったのは、うちのオフクロの一年下の学年でした。


向田さんが入学した校舎は、当時できたばかりの最新の
鉄筋の校舎でした。うちのオフクロの話によると
「廊下の掃除なんて、ぬか袋で磨かされたんだから。」
と言っていました。髪型も一年はこれ、二年はこれ、と
学年によってびしっと決まっていたとか。
宝塚音楽学校なんて今もそうですよね。

ちょうど戦争中のこと。うちのオフクロの卒業写真には、
みんなが並んでいる前に大きな防空壕の穴の入り口が
見えていました。
この学校は、戦争中、半分を海軍が接収していたそうです。
空襲のときも焼夷弾がばらばらと落ちてきたのですが、
海軍の兵隊が消火活動をして校舎を守った
ために、この校舎は火災焼失を免れました。
この近くで焼け残ったのは、県女の校舎と市役所
くらいだった、と聞きました。

戦火をくぐりぬけて来た校舎もさすがに老朽化したために、
今から10年ちょっと前に新設の校舎が建設されました。

Mukouda6

ただ、この門柱はオフクロの在学時のままの門柱だそうです。
向田さんもこの門をくぐって登校した、
ということでしょう。
(学校の名称は変わりましたけれど。)

この学校、他にあまり例がないと思うのですが
校章が男子用と女子用とそれぞれ別にあります。


Mukouda62

(左が女子用 右が男子用)

もともと旧制の中学校と女学校が
戦後学制改革でひとつの高等学校に
なったのですが、卒業生双方が譲らず、
しょうがないから、両方を校章として採用、
ということで校章がふたつ、ということに
なりました。ついでに言うと、こないだまで
朝の連続テレビ小説に出ていた高畑淳○さんも
この学校の卒業生です。


あちこち歩いたので、
もうお昼近くになりました。
目指すはそう、うどん屋です。(笑)


Matsushita1

中野町の松下製麺○です。
ここは完璧なセルフの店です。
麺をゆでている釜の前にいるおばちゃん
おねいさんに玉数を言うと、打ちあがったばかりのうどんを
丼に入れてくれます。

横にいるおっちゃんに
うどんの玉数と、てんぷらを載せるとか
いなりを取るとか言って、代金を払います。

後は全部自分の好みでうどんを仕上げます。
自分でうどんを温め、丼に戻し、
ネギと天かすを適当に入れて
最後にだしをかけます。

Matsushita

もちもちとしていながら、弾力のある歯ごたえのあるうどんは
いつに変わらないおいしさです。
それとねぎの刻み方と天かすがさらさらで
とても美しい。

うどんといなりずし2個で
(うどんが180円。いなりが120円)
ですからこれでしめて300円です。


この街でマクドナルドが高校生に不人気なのは
こういうことです。マックに入って
300円で、おいしいものがおなか一杯
食べられる、なんて無理なんじゃないですかね。
そういうわけで、この辺では、学校帰りにマックに
寄る高校生なんてほとんど見かけません。

この店は場所柄、観光客というより、近所の会社の人が
お昼になるとやってくる、というのがほとんどです。
上の写真のお店のたたずまいを見てもらっても、観光客が
来そう、っていう感じじゃないでしょ?
近所のお客さん相手だから当然駐車場なんてありませんし。

車で来た人は、店の前に車を停めはしますが、
みんな2,3分でさっと食べて出て行きます。
謙介も3分くらいでうどんをさっと食べて店を出ます。
そうして再びお散歩。

さらに歩いて昼過ぎには家に戻ってきました。
ふう。

こうして向田邦子先生ご生誕80周年記念ツアーは無事に
終了したのでした。

ちなみにかかった総経費は500円でした。(やすぅ。)


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