「択ぶ」ということ
連休中はいかがお過ごしでしたか?
俺のほうは実家に戻っていたのですが
買い物に行くのも、実家から半径1キロ圏内の
ところまでしか
行かず、その外出もすべて徒歩で、でした。
体調が悪かったのです。
ただ、そんなわずかな距離の外出でも、やはり連休、ということは
感じました。ちょっと前なら、普通、
休日ともなれば、うちの近所の道路なんか
交通量が激減していたのです。
それが、この連休中は交通量がまったく減りませんでした。
(それどころか、ものすごく交通量が増えていた気さえします。)
連休中、交差点で止まった車のナンバーを
見たら、4割は県外ナンバーでした。
長崎とか、熊本、から、島根、京都、秋田
札幌、なんていうナンバーの車までいて、
ちょっとびっくりしました。
実は先週の木曜のこと。
主治医の都合で木曜の診察になったので
がんセンターに行きました。
そうしていつものように診察があった後で
主治医が「新しい治療法を試してみませんか? 」と
俺に言ったのです。
主治医は新しい、とことさらに言いましたが
治療法自体は新しいものではありません。
以前やったインターフェロンと薬の併用を
前は1年間やったのですが、それを1年半かけて
しましょう、ということなのです。
要するに投与期間を半年延ばしましょう、と。
半年延ばすことで、治験例としては
治癒した人の割合が数パーセント有意に上がった、と
いう話です。
ですが、俺はその話は「その治療法は
今はしません。」 と即座にはっきりと言いました。
俺は過去にその治療方法を2回しています。
最初にやったとき、
その当時、その療法の期間は半年、と決められて
いました。
ですが、そのときも当時の主治医の判断で
特別に半年を1年間の投与にしました。
ですが効果はありませんでした。
数年前にした時は、その療法の期間は
1年までならいい、ということになっていたので
1年間しました。
その時も効果はありませんでした。
で、今度は1年半しましょう、というのです。
ですが、この療法は非常に身体の負担が大きいのです。
この療法をし始めると、薬の副作用で
体力の半分くらいが吸い取られていってしまう感じに
なります。
階段を1階から2階に上がるのさえ、上がれないのです。
途中で何度か休まないといけません。
5段くらい上がると、目の前が暗くなってしまいます。
日常生活は限られ、目の前の最小限度のことしか
できなくなってしまいます。
他のことをしようと思えば、しばらく休んでからで
ないとできません。
もちろん食欲もなくなって、体重もドーンと減ってしまいます。
以前は、その治療法が終われば、
薬の副作用がなくなり、体力も飛躍的に
元に戻るのが分かりました。
もう、本当に、はっきりと分かったのです。
でも、数年前にした治療が終わっても
体力が元に戻ったという実感は
全くありませんでした。
そうしてその実感は今現在もないまま
です。
しんどくて、何もしたくない体調の日が
週に何日か続きます。
実は連休中、更新をしなかったのは
体調がひどく悪かったからです。
ただでさえ、体調がよくないのに、
この上、その治療法を開始したら
正直、身体が持たないような気がしました。
ですが今の医学で行けば
その治療方法しか、きちんと効果のある方法は
ありません。
主治医は、今の状態だと、悪くなることは
あっても、好転することはないだろう、と
言っています。
今のままだと、がん細胞があり続ける
わけで、やはり叩いておく必要はあるだろう、
そうでないと、将来的にはもっと問題は出てくる
ということは主治医からもちゃんと話を聞いています。
今のところ、この併用という治療方法しか
ない、ということです。
ですが、人の身体は全体の調和があるはずです。
一箇所だけ良くなったところで、
全体の体力が落ちてしまって、日常生活が
何もできないのでは、
俺は本末転倒だと思います。
何のための治療なのか?
肝臓はよくなりました。
でも日常生活はまともに送ることが
できなくなりました、では、、
正直困ります。
で、実際、前の治療の時も、その前の時も
困ったことになったわけです。
前に俺の恩師が言ったことがあります。
俺の恩師は心臓があまりよくはないのですが
その恩師のかかっているお医者さんも
心臓を良くすることは言うけれど
その人の身体全体を診て、体調を、、というところまでは
考えてくれない、と よくこぼしていました。
俺の主治医もそういうところを、
どうしても感じてしまうわけです。
その先生の専門の臓器は診て
くれるのですが、そこだけ治ったところで
日常生活が満足に送れなければ
生活していこうとしている人間にとっては
困ります。
日常生活をすべて犠牲にして肝臓だけを良くするのか、
まともな日常生活を優先するのか、
俺はそれを択ばなければならないことに
なったわけです。
今回は俺は後者を択びました。
その選択が果たしてどうだったか、
ということは分かりません。
でも、俺は自分の意志として
後者を択ぶ、という選択をしました。
ただ、治療の選択肢は大してありません。
ですが、やはり自分の人生です。
何とか生きている、のよりは
ぎりぎりまでしたいことをする、
という方を択びたいと思います。
分かってはいるけど、それだと
また他のことが犠牲になる、
どちらかを択ぶとしたら、
どちらかは措かないといけない。
そういうことなのでしょう。
文字通りの究極の選択、です。
生きているといろいろな選択を
しないといけない時期が来るなぁ、と
連休中、何度か空を見上げて
ため息混じりに思ったのでした。
(今日聴いた音楽 Someday
歌 佐野元春 1982年 アルバム Someday から
音源はレコード )
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Comments
連休はどこかへお出かけかしらってのんびり考えていました。お身体はいかがですか?お大事になさって下さいね。近かったらお夕飯くらい作るんですが、モニターごしに応援するくらいしかできません、どうぞお元気になられますように。
謙介さんの文章を楽しみに待ってますが、いくらでも待てますので、まずは養生することを第一にお考えになって、ご無理のないようにいろいろなことをたくさん怠けて下さい。謙介さんちょっと良くなったらすぐにあれこれ動き回りそうですもん。
Posted by: アリクイ | 09. 05. 09 AM 8:36
こちらでも最近県外ナンバーの車が増えていて,一瞬「週末1000円効果かっ!」と勘違いしちゃいましたが・・・単なる引っ越しor移住組ですね,沖縄ですもん(苦笑)
それはともかく。
あれだけクォリティ・オブ・ライフなんて言われてながら,やっぱりタコ壺的発想しかしない(できない)医者が多いんですねえ・・・。
謙介さんの選択,たぶん僕もそうすると思います。あまり無理しないでくださいね。
Posted by: Ikuno Hiroshi | 09. 05. 09 AM 11:13
----アリクイさん
ありがとうございます。 この時期って、日ごろ元気な人でさえ、「木の芽時」で体調が思わしくない、っていうこともありますよね。できる範囲で、無理はしてはいけませんが、でも、(ここが、、笑)したいこともありますから、その辺でなんとかバランスを取りながらやっていきたいと思います。お言葉ありがとうございました。うれしかったです。
Posted by: 謙介 | 09. 05. 09 PM 2:06
----Ikuno Hiroshi さん
やっぱり身体ってトータルじゃないですか。胃だけ、心臓だけ良くなっても、身体全体がしんどくなってしまっていたら、何もする気が起こらない、なんていうことになってしまいます。たぶん「ちょっと休みなはれ。」ということだろうと思うので、また、しばらくやすんで、立ち上がっていこうと思います。今、Ikunoさんのブログに出ているバスであっちこっちめぐる話、すごく楽しみにしています。いつもどうもありがとうございます。
Posted by: 謙介 | 09. 05. 09 PM 2:11
誰がなんと言おうと、自分の体なんだし、本人が思うようにするのが一番だと思います。
私は昨年秋からジムに通い、食事も昼の弁当以外は自分で作っていますが、体調に合わせて、運動・食事・睡眠を自分で調節することの大切さを日々実感しています( ̄ー ̄)ニヤリ
Posted by: mishima | 09. 05. 09 PM 10:43
謙介さんこんばんは。
連休中大変だったんですね。
病を得て、それと付き合って生きて行くのは本当に大変です。
それが嫌で自死を選んだ人もいます。
私も体調が本当に思わしくない時にふと考えた事があります。
体調が良くないときにドクターが沢山薬を処方して下さいました。ドクターとの付き合いは長く信頼のおける方なのですが、私は薬がないと自分を保てないのが嫌で最低限のお薬しか飲みませんでした。一晩くらい寝なくてもと開き直ったのです。でもドクターはお薬は飲んだ方が体のためよと言われるのです。
ドクターとしての患者さんの治癒力を高める天性のようなものもあるし、自分との相性もあります。
謙介さんはすでになさっていると思いますが、是非セカンドオピニオンをとってみて下さい。
知人友人でセカンドオピニオンをとって良い方向に向かっている方があります。
謙介さんのかかれた文章を楽しみにしています。
ご自愛下さい。
Posted by: ラジオガール | 09. 05. 10 PM 7:57
----mishimaさん
よくギャグであるんですが、患者さんの役の人の身体を診察するふりをしながら叩いて、「痛い! 」と言ったら「わしゃ痛くない。」とボケるヤツがありますよね。究極のところ、やっぱりどれくらいしんどいのか、身体にどれくらい負担が来るか、ということは本人でないとわかんないと思うのです。だからお医者さんの話も聞きはしますが、「でも、センセイ、それは嫌です。」とはっきり言うようにしています。それがあってこその「納得診療」だと思いますし。いつも、お心遣いありがとうございます。
Posted by: 謙介 | 09. 05. 11 PM 7:27
----ラジオガールさん
主治医もね、治してあげたい、という気持ちで新しい治療法を言ってくれるのですが、ただ、やはりmishimaさんのところにも書きましたし、ラジオガールさんもおっしゃっているように、自分の身体は自分でないと分からない部分もありますよね。特に俺の病気って、Aさんにした治療法が謙介に有効か、と言えばそうでないことが多々ある、と何度も聞かされてきました。ですから、身体のこともあるので、自分でやはり考えていきたい、と思っています。
ありがとうございます。ぼつぼつ書きたいことを書いていこうと思いますので、また読んでやってください。よろしくお願いします。
Posted by: 謙介 | 09. 05. 11 PM 7:32
こんばんは。
連休も終わって少し経ちますが、お身体は如何ですか??
俺は病気や治療のコトはよくわかりませんが、例えば学科柄、「農業と医学の融合」や、趣味柄(趣味?笑)「武術を医術の融合」なんてコトを耳にすることが多いんです。
謙介さんはご存知かどうかわかりませんが、月刊「秘伝」という武道系雑誌
の4月号に、「武医一体」を掲げてる流派が特集されてました。
身体の経絡系を刺激することで難病を治してしまったり、独特な指圧で自然治癒力を高めたりと、あまり知られていない特殊な柔術なのですが、西洋医学には無い、なかなか興味深いお話でした。参考までに、気が向いたら是非読んでみてください^^
長文失礼しましたm(_)m
聞き飽きてるかと思いますが、お身体お大事になさってくださいね。謙介さんの記事、楽しみにしてます^^
Posted by: リト | 09. 05. 11 PM 8:34
----リトくん
月刊「秘伝」ですね。お教えありがとうございました。多分近場にはないと思うので、図書館から文献複写で取り寄せたいと思います。それこそ俺も武道のことはよく分からないのですが、俺の禅のお師匠さんだった大森曹玄老師は剣道のお師匠さんでもありまして、「剣と禅」という本も書いています。いつだったかその大森老師さまが、剣の動きもいろいろな身体の所作も正しい姿勢で無駄があってはならない、という話をしてくださったことがあります。正しい姿勢は正しい動きに通じていて、それはまた剣の道にも禅の道にも通じるのだ、というようなことを分かりやすくお話してくださったことがありましたけど、そういう身体の動きとか仕組み、は、心とか身体の抵抗力とかにも関連がありそうですね。
ありがとうございました。また見てみます。
Posted by: 謙介 | 09. 05. 11 PM 10:49