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09. 01. 15

みーんな仮説

文系の勉強をした俺みたいな人間からすると、
理系の学問とか研究というのは、ちょっと
憧れとか羨望があった。(と、過去の助動詞。笑)

それは何かと言うと、理系はデータに基づいて
実証的な研究がなされていて、クリアに分かる
という学問でないか、と思っていた。

それと言うのも、文系、とりわけ文学なんかを
やっていると、はっきりと明確に、これはこうだ!
と言い切れるようなことがとても少ないんだもん。
たとえば、〇〇地方では「恐い」ということを「きょーとい」と言う。
この言い方は××地方独特の言い方で、、なんて発表したら
すかさず、うちは△△地方だけど、その言い方するよ、
なんていうご意見が提出されたりする。

なので、はっきりとこれはこうです、っていうことは言えない。
言葉の解釈だって、そのとき、その時代、性別に応じて
どうとでも取れる、なんてあるし、、。
言葉の解釈なんてホントいろいろ。

国際交渉の合意文書なんか、ほんまにお互いの都合のいいように
しか解釈されない、というもとに書かれたようなものでしょ? (笑)

何せ、言葉というのは鵺のようなもので、
「そういう解釈もありますねぇ。」の一言で
今までの解釈がころっと変わってしまう、
なんてしょっちゅうだし。


そういう中で鍛えられて(笑)きたもので、
つい理科系に関しては、ちゃんとしたデータが
あって、実証がなされていて、それで、こういう
ことが言えるのだ、としてきたものばかり、と
思っていた。

それが怪しくなってきたのが、俺の主治医との話あたりから、、
というのは、前に書いたと思う。
俺がいつも飲んでいる薬、って、
正直な話、どういうことでその薬が効果があるのか、
実はわかっていない。
結果として、こういう服用の仕方をすれば、
薬効がある、ということは分かってはいるけれども
(その分かったことだって、偶然に分かった、と聞いた。)
体の中で、その薬がどういうふうに作用するのか、
については誰もまだ知らない。

「知らないけど、まぁとりあえず、効いてるし。」
というのが服用の理由だって。(笑)
「え? ちゃんとした実証検査とか、
薬効の理論検証とかしていないのですか?」
って聞いたら、「そりゃまぁ、人体に対する影響
とか副作用についてはきちんと見てはいるけど
どうなって、、なのかは、まだ。」とのお答えだった。

ふーん、そういうものか、、と思っていたところに
入ってきたのが、こないだのノーベル賞のニュースだった。
「〇〇先生の提唱された△△理論は、その後の
研究、検証によって正しいことが証明された。」
というのが受賞理由だった、と。

その時に、謙介、やっと頭の中でいろんなことが
つながったわけですよ。(さすがのザル頭ですが。)
理論研究というのは、あくまで仮説、であって、
それが実際に確かめられたわけでは全然
ないのだ、ということを。


だけどさぁ、文学なんて、そうクリアに分からないことが
山ほどあるわけですよ。

どうしてか、といえば、
「だって昔のことだもん。確かめようがないじゃないか。」
だもん。

誰も紫式部の顔なんか知らない。
清少納言の本名だってわかんない。
ただまぁ彼女の姓が清原さんだったことは確かなようだけど。
と、今、国語を教えている中三の受験生にそのことを話したら、
「そんなら、清原おかめという名前だったかもしれないですね。」
「まぁ、理論上はそういうこともあり、か? 」
「いっそ清原フランソワ、とか。」
「きよはらふらんそわ! 」
まぁ、それは、、、、だけどさぁ。(笑)

文学の、それも、俺のやってる上代の文学なんて
そういうことで言ったら、ほとんど確かめようがないもの。
その中でもまぁ、少なくとも実証的に、と思って
俺なんかは、歴史学とか考古学の資料を
使ったりする。(なので、俺なんかしょっちゅう考古学とか
歴史学の研究室に行ってたんで、お世話になった先生
の半分が史学科の先生だったりする。)
そうすると、純粋お文学研究の連中に決まって言われる。
「謙介は、史学科に行ったら? 」とか。

だってさ、遺跡の発掘の結果とか、歴史学の研究成果っていうのは
まだ遺物とかそうした遺跡の発掘結果を元にしているから、
事実だしさ、分析だって化学機器で分析するから
科学的な部分だってあるでしょ?

みんな自分の説を言ってるけど、それはあくまでも
比較的多数の人が、「たぶん、それは想像して、そうじゃないか、
と考えても不思議はないか。」ということなんだよね。
本当のところは???? (笑)
さぁ、果たしてどうだか。

前回のエントリーにも書いたのだけど、
そうやって研究が進んでいくうちに
何か研究全体がものすごく詳しくなっていくのは
いいんだけど、そのために、元のお話からえらく
離れていってしまったようなことになってはいないか、
ということを思った。
古事記なんてもともとばあさんの昔語りのような
話だったものが、
なんか知らないけれども分類分けされて、
こういう場合はこの表現は用いられない、
この場合ははじめての発見例とか言ってるの、
ホンマか?って思ったりする。


仮説の上に仮説を、で、ずーっと来てて、
なんか枝がどんどん細くなっていってて、
でもその枝はどんどん伸びていて、
いつかポッキン、と折れてしまうんじゃないか、とか。

そこまで細かく分析して仮説を言っても大丈夫?
ってあるんだけど、、。
でもホントのところ、
誰も生まれていないから、確かめようが、ない。(笑)
だもんで、そういうことだって「言えないことはないかも、、。」
そうしたら、中学生の言った「清原おかめ」と
あんまり変わんない。(笑)


まぁそれで言ったら、数字だってそうだよね。
とりあえずこれは「1」ということで「ひとつ」もしくは「単一のもの」という
「ことにしておこう」でしかないものね。
あくまでもとりあえずのお約束。
お約束というのは、あくまで、そうしましょう、と共通の
取り決め、いうことなんだけど。

文系の人間の算数嫌い、というか、数学苦手という
意識の根本いうのか、俺の場合嫌いの根幹はここにあるように思う。
この「仮に、そうしましょう。」 というのが許せないの。
文系の人間の場合、言葉の意味、というのは、そういうものであって
そりゃ歴史的に長いスパンで見たら、
言葉の意味だって変遷はあるかもしれない
けれども、仮にそうしましょう、というのが許せない。
コロコロ変わるのは許せない(笑)

変数なんて、もうほんまに、と怒り心頭!
なんで「とりあえずこうしましょう」になるんだ。
1なら1の意味はずっとこれでいいじゃないか。
いつだって同じじゃないと困る。急にマイナスがついたから、
っていうんで決まり変更、なんていわれたら、
困る! 

俺の算数苦手意識の根源はたぶん、そこの辺に
あるのだ、と前に分析してみたりした。
ただ文学とか言葉の変化のスパンは何百年単位なんだけど
数学の変化はその都度、とか。(笑)

でもね、
そうしたら、なんだぁ、と思ったわけですよ。
そんなもの中世文学と同じじゃないか、って。
行く川の流れはたえずして、、、
すべてのものは変化をする。
しかも一切とどまったりはしない、と。

で、ここでお釈迦様の話になるわけですね。
「世間皆虚仮」
この世のもののすべては、仮の姿でありますよ、と。
実態なんか何もないのだ、と。


そう思ったら、われわれの人生なんて、
不確かなものばーっかりにかこまれているんだよね。
すべては仮説。
あれまぁ。

そりゃ、そんな不確定なものばっかりに囲まれていたら、
だって実体のないふわふわしたものばかりの中でいたら
心がしんどくなることだってあると思うんだ。
とはいえ、一方で現実、というか、目の前のものは
とりあえず形があって、動いてて、、。
そういう現実もある。だけど、それは一歩引いたら
本当? なんていうような代物でさ。

一体何に頼って自分は生きたらいいのか、と考えて
さっぱりわかんない、なんていう袋小路に入りこんでしまって、、。
どこまでが現実で、どこまでが仮の姿で、、。
いや、しんどくならないほうが不思議な気さえする。
不確かなものばかりの中で、、。
そう思わない?


人が体温を欲しがるのは、
人の体温はうそをつかない、からじゃないかな。

そんなことをぼんやりと考えたりしていました。

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Comments

 文系のくせに数学好きだった変な高校生でした(笑)
 ・・・だって,国語よりも社会よりも論理的だったんだもーん(苦笑)
 論理好きが祟って,説一切有部の解説書とか読んじゃったりして(爆) さすがに,それ読んでからは「行き過ぎてもな〜」と控えるようになりましたが。

 歴史や文化の御本をよく読みますが,仮説に仮説を重ねた上にその論拠がきちんと示されない,なんてのがたまにあって,イラつきます。
 特に東北系(宮澤さんとか蝦夷とか平泉とか)がテーマのものにそれが多いような・・・;;; 意が余り過ぎて贔屓の押し倒しになっちゃうんでしょうか(笑)

>人の体温はうそをつかない

 名言です!
 でも,風邪をひいてる時に触れ合うのはやめた方がいいかと(笑)


 紫式部の本名が「宣子」だっていうのは,本当でしょうか???

Posted by: Ikuno Hiroshi | 09. 01. 16 at 오전 11:28

大学入試程度の数学は暗記科目に近いそうですよ。娘は得意科目は英語と国語という理系です。娘に言わせれば、本当に才能のある理系の人は整数論とか理論物理とかの人ではないかと、本人は医学なので純粋な理系じゃないと言い張ってます。ただやはり、きちんと理論の通りに進んでいけば、美しく解ける数学とか物理は好きらしいです。数学も予測できないものについて考える、カオス理論のような学問もありますよね、クセナキスみたいに作曲に応用する人もいますし。数学と芸術や哲学ってとても近いところにある気がします。私も文系でしたが数学は嫌いじゃなかったです。でもこれが正解ですってきちんと答えがでない問題を、いじりまわす楽しみっていうのもありますよね。

Posted by: アリクイ | 09. 01. 16 at 오후 4:43

---Ikuno Hiroshiさん

前にも書きましたが、俺の大学の時の国文法通説の先生、太宰治と小学校が同級生だったのですが、もうねぇしょっちゅう「津島はあんな小説なんか書いて! 」って怒っていました。聞くと、作品の質云々を怒っているんじゃなくて、津軽といううちの先生にとっては、すばらしい場所をあんなふうに書いた、という一点が許せない、という感情論みたいな部分で怒っていらっしゃるようでした。たまにそういう贔屓の引き倒しで、きちんとした事実の積み上げとか検証がおざなりになって、「いいんだからいい。」っていうところに流れていっているようなものがありますね。確かに好き、とか、いい、っていうのは分かるんだけど、、、ちょっとその辺がなぁ、、っていうものも確かにありますね。
体温が真実、って、俺のゲイ小説って、つきつめたらこれがテーマだったりするんです。(爆) 紫式部は、どうでしょう。今度中古文学をやってる友だちに聞いてみますです。

Posted by: 謙介 | 09. 01. 16 at 오후 5:16

---アリクイさん
本当に文系の人間から見ると、もう仰ぎ見るようなことですが、数学なんかで本当に凝った方は、解き方が美しい、とか数式の美しさ、ということをおっしゃるんですよね。バッハの音楽も数学的であって非常に整っているのだ、ということを姉から聞いたことがあります。世の中に、数学が好きになる本、っていうのが結構たくさん出てるんですが、あれって数学好きな人が書いているみたいで、その方にしてみたら、ほら、こんな簡単なことが、何の問題があるんだ、って思ってることが、案外つまずき
だったりするんですよね。ともあれ、受験用の数学と、実際の学問としての数学は違うんですよね。アリクイさんのお話を伺っていつか、数学苦手を克服しようと思った謙介でした。ありがとうございました。

Posted by: 謙介 | 09. 01. 16 at 오후 5:22

えーっと、理系の中の文系と呼ばれている数学科卒の百です、こんばんは。
「1」についての考察、楽しく読ませて頂きました。高校時代、数学教師の娘だけど数字を見るだけで鳥肌立つくらい嫌いだッと言っていた友人を思い出しました。謙介さんと同じように微分積分について怒り心頭!って・・・(笑)確かに暗記でできちゃう面もあるんですが、納得いかずに暗記するのが悔しいとも言ってました。
数学と音楽はとても似ています。限られた音符(数字)で有限なる世界を表現しようとするとことか・・・
バッハですが、アルファベットを数字に変換して作曲しており、自分の名前とか奥さんの名前を数字に変えて作った曲もあると言われています。ロマンチックですよね。(え?その感覚がおかしい?まあそこは置いといて)

>しんどくならないほうが不思議な気さえする。不確かなものばかりの中で、、。

そうですね、確かに。人肌もですが、不確かなものに囲まれている、だから人は人との関わりを求めるのでしょうね。。。関ることで自分の存在を確認する、というか。
考えていたら遅コメになってしまいました。長々と失礼しました。

Posted by: 百 | 09. 01. 19 at 오전 12:26

----百さん
ひえええ。数学科のご出身なんですか?
もうそれだけで尊敬のまなざしです。
人、それぞれ、とは申しますが、もう数学の、と伺っただけで、すごいと思います。
でも、人生何が起こるかわかりませんね。
実は前にも書きましたが、謙介、国語の中でも文法だけは大嫌いだったんです。もうねぇ、何でぇ、一々規則なんて、って。
ですが、修士論文はしっかり日本語の語彙、という文法のお話で、、。人生何がどうなってこうなるやら分かりません。
 ですから、いつか謙介が数学が大好きになって、え? 数学が嫌い? 誰のこと?とか言うようになるかもしれ(多分もうここに至ってはないと思いますが)ない、と。(笑) バッハの音楽は、数学との関連で書かれた本が何冊も出ていますよね。
本当に整ったあの美しさは、、息をのむことがありますね。

Posted by: 謙介 | 09. 01. 19 at 오후 10:24

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