正午・嵐電 龍安寺道電停にて。
話を出張の時のことに戻します。
10月25日の朝の話です。
さて。会議も終わりました。
懸案が解決をみたので、ものすごく気が楽に
なりました。
今回の出張では、
土日はお散歩の日と決めて
いました。
朝、ホテルを出て、(いつものように)
梅田から阪急に乗ります。
同じ梅田のターミナルですが、
昨日までは頭の上に石があるような重い気持ちと
すっかり終わった今日とでは気分が全然違います。
ただ、今日は今までとは違う路線です。
今日は京都線。
特急に乗りました。
梅田を出るときは、がらがらでしたが
途中の十三(じゅうそう)からどっと人が乗り込んできて、
車内には立っている人も多く見受けられました。
それでも見ていると、淡路、茨木市、高槻市と停車駅を
経るにつれて、立っているお客さんは
どんどん減っていきます。
高槻市で阪急の特急の大阪府内の停車駅は
終わりなのですが、ここで、とりあえず謙介の
乗っていた車両内で
立っている人はいなくなりました。
高槻までに人の移動が一山あって、それとは別に
京都までの移動の人がいる、と。移動の人の山が
二つあるのだ、ということですね。
仕方のないことだとは思うのですが、
阪急の特急、実は以前に比べて余計に
所要時間がかかるようになっています。
つまり遅くなっています。
以前の特急の停車駅は、梅田を出たら、
途中、十三、大宮、烏丸、で終点河原町だったのですが
いまや、十三、淡路、茨木市、高槻市、長岡天神、桂、
烏丸、終点河原町、と停車駅が増えたために
前より所要時間が余計にかかるようになっています。
これも営業方針の変化、ということなのでしょう。
沿線人口も頭打ちで、営業収益が落ちてきて
いる今は、以前のように最速達で、というより
少しでも多くの客を乗せて稼がないと、というほうに
重きが置かれるようになった、ということなのでしょう。
長岡天神、桂、と進んで、西院の手前で
電車は地下に。
烏丸で降りて、大丸の通路から四条通りに
出ました。朝の烏丸通はまだ人も車も
少なくて、散歩にはいい感じです。
大丸の東側を上がります。
ほどなく錦市場の前に出ます。
さすがに錦もまだ早いので、開いている店は少数でした。
錦は午前中の顔と午後の顔があります。
午前中は旅館とか料亭の料理長が仕入れに来ます。
いわば業務用の仕入れの市場の顔。
午後は観光客とか、一般の家庭の人が買い物に。
この市場はそんな二つの顔を持った市場です。
錦市場を抜けて、寺町に出ました。寺町も抜けて、新京極も抜けて、
河原町通りに出ました。
出たところにビルが建っています。
これが以前の○善京都支店です。
今はカラオケ屋。
本がネットで注文して届く世の中。
本屋に行く人は減っているんでしょうねぇ。
河原町通りで、まともな本屋はとうとう
BALビルの中の淳久〇だけになってしまいました。
河原町通りを北上し、三条通を西に行き、
牛肉の三嶋○の前を右折して寺町を上がっていきます。
鳩居〇の前を通り、本能寺の前を過ぎて、寺町御池、
京都市役所の横をさらに北に上がっていきます。
これが寺町通り。
まだ暑かったので、銀杏も全然色づいて
いません。まだどう見ても夏の風情です。
二条通りを左折して、いつもお茶を買う店に
行きます。
二条御幸町(にじょうごこうまち)のお茶の店。
上洛した時は、いつもここでお茶を買います。
このお店、お茶の店としては、おそらく日本で三本の指に
入る店じゃないですかねぇ。近くにある一〇堂のように
各地方の主要なデパートの地下に
コーナーを持つ、というような
こともほとんどしていません。
外見を見ていただいたら分かりますが
全然目立ったところのない
外見は街のどこにでもあるような店です。
でも実力はすごいんです。
ここのお茶をいただいたら、他のお茶は
今まであれはなんだったのか、というような
気持ちになります。
もちろん茶道の三千家(表、裏、武者小路)
のお家元御用達の店でもあります。
ブログの管理人がイケメンでもなく、
カップルの生活を描いてあるものでもなく。
驚くような写真(笑)があるでなく、
そこにはほとんどテキストしかありません。
地味でパッと見には、
決して目立つようなブログではないけれども
読んでくださった人の中で
何かしらの存在感を持つようになる。
うちのブログもこんなふうで
ありたいなぁ、って思います。
お茶を買って、それから市役所前のバス停に行き、
バスを待ちます。
ほどなくしてバスが来ました。
次に目指すは、北野です。
この日は25日。25日と言えば、天神さんに市が立つ日です。
北野天満宮前でバスを降りました。
いつもは比較的閑散としてる社頭が今日はこんなふうに
にぎやかです。
お参りをして、裏に出ます。
今日は天神さんの日なので、裏の長五郎餅の出店も
営業しています。
ちょっと休憩していきます。お抹茶とお餅をいただきました。
再びいろんな屋台の間を抜けて、今出川通りに戻ります。
今出川を西に。突き当りが嵐電の白梅町の駅です。
この側面に書いてある字のロゴがかわいい。
とりあえずここから電車に乗ります。
行く先は、謙介の昔住んでいた、常盤です。
驚いたのは、普段はこの嵐電の北野線は、
途中の帷子の辻(かたびらのつじ)
までなのですが、紅葉のシーズンに限って、(だから今)
嵐山まで直行の電車になる、ということでした。
ふーん。ちゃんと営業努力してるやーん。(笑)
電車は家々に囲まれた小さな駅をこまめに
止まっては、西へ西へと
走っていきます。
紅葉のこの時期、西に向かう道路は観光客の
自家用車やバスで
大渋滞。道路に出ても、いつ目的地につくか、
予想がつきません。
ですが電車はそんなこともありません。
しかも10分おきに走ってる。
信頼できる右京区民の足なのです。
さて。電車は常盤に着きました。
山陰線の電化・高架によってすっかり様変わり
してしまった花園駅周辺と違って、
こちらはそう大きな変化ということはなかったのですが
それでも、駅近くの商店とか市場は、すっかり変貌
していました。
住んでいたころにあった、中島書院嵯峨野店とか
お茶の店とか、お豆腐屋さんは
みんな姿を消していました。
人間洗濯機というすごい浴槽のあった
地蔵湯さんも、営業をやめてこんなことに
なっていました。
それより、俺が一番ショックを受けたのがこの場所でした。
知らない人が見たら、単なる空き地にしか見えないのですが
ここには以前小さなお堂があって、伝承ではありましたが
常盤御前のお墓がありました。
そのお墓があったために、ここは常盤という地名だった
わけです。
つまりこのお墓が移動して別の場所に行くことは
常盤が常盤でなくなる、ということを意味するのです。
いつの間にかそんな場所がこんな更地になって
いました。常盤の由来が消滅してしまった!
その場所を見て思ってしまったのでした。
これもご時勢というものなのでしょうか。
やれやれ。
そこから歩いて、丸太町通りに出ました。
丸太町の沿道もすっかり変わりました。
まだ以前は畑があったのに、そうしたものが
すっかりなくなってしまって、
俺が住んでいたころにあった店も何度目か
代替わりをして、そんな店はすっかり
なくなってしまっていました。
思えば、あの当時と変わっていないのは、
沿道のイチョウの街路樹だけです。
あのころと同じ位置に木があることで、
俺は何とか以前との比較で位置関係が
つかめました。
日々うつろっていく人の営みの中で、
この木々だけが世の中のうつりかわりを
じっと眺めてきたのでしょう。
定点観測のような木ですね。(笑)
そんなことを思いながら
双が丘の東側から今度は北に上がっていきます。
御室の手前で東に折れ、妙心寺の北門に出ます。
北門の前の豆菓子屋さんの角を北に。
まっすぐ行くと、嵐電の竜安寺道の電停です。
ここで12時に友達で作家のAthico Ilyeさんと
待ち合わせです。Athicoさんはロンドン在住ですが
目下京都帰省中です。
さらには、俺のサイトとリンクしてくださっているので
これはオフ会ということでもあります。
(とか言いながら、実はその前の週も
お会いしていたのですが。笑)
やぁやぁどもども。
またまた長くなりました。
今日はここまでといたします。
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Comments
嵐山でお会いたのは、もう1年近く前になるんですね。
常盤御前のお墓はどこに行っちゃったんでしょ?
地主さんの都合もあるとは思いますが、地域や行政で保存できなかったのが残念です(´・ω・`)ショボーン
二条御幸町のお茶屋さん探してみますね。朝ドラ「だんだん」で出雲のお祖母ちゃん(三林京子)が抹茶をたてているのをみて、飲んでみたいと思っていたんですよ(゚ー゚)
Posted by: mishima | 08. 11. 06 AM 11:16
---mishimaさん
今日はまたまたご一緒に行った御室のさのわの写真を載せました。本当に楽しかったです。今も、あの時歩いたこと、嵐電に乗って行った嵐山、はっきりと覚えております。中に出てきたお茶の店ですが、京都市役所をまず目標に行ってください。西側の寺町を上がります。すると二条通に出ます。そこを少し行くと京都銀○がありますからその角を左折して、ちょっと行くと道の右側(北側)にあります。土曜は営業しているのですが日曜は休みなので、ご注意を。ここのお茶だったら、ハズレはありません。
Posted by: 謙介 | 08. 11. 06 PM 8:09
最後の竜安寺道電停の写真,なんだか落着いてていいですねえ(微笑)
Posted by: Ikuno Hiroshi | 08. 11. 08 PM 5:51
----Ikuno Hiroshiさん
この嵐電の沿線って、観光路線の電車ではあるのですが、もうひとつやっぱり生活路線の電車、っていうのがあります。(ちょうど江ノ電に似てますかね。)そういう地元の足、っていう雰囲気もあって、落ち着いた風情もあるのだと思います。
以前、右京区・北区・中京区の銭湯めぐりに凝っていた時期がありまして。実はこの駅の近くにもよく行った銭湯があったのですが、この時に久しぶりに通ったら、以前どおりあって、うれしかったです。
Posted by: 謙介 | 08. 11. 10 PM 7:05