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08. 11. 06

午後10時40分・難波・情熱大陸

やあやあということで、まずはAthicoさんご推奨の
うどん屋、笑福亭に行きます。
京都風の味のまろやかなおだしのおうどん。
これもなかなかおいしいのです。

ここのきつねうどんは
甘辛く炊いたおあげさんが載っているのではなくて
京都風のきざんだ油揚げの載ったもの。
久しぶりに、京風のきつねうどんをいただきます。
お店は、嵐電の竜安寺道の電停から、
北に竜安寺のほうに行く途中にあるために
日本人ばかりでなくて西洋人の観光客も多いのだとか。
聞くと、お店のおばちゃんに
お品書きの「英訳」を頼まれているのだそうです。
やっぱりRyoanji temple の Zen Garden を見に行く人も多いわけで、
そうした海外の人も寄ることも多々あるのだろう、と納得です。

athicoさん、おうどん以外に、ここは「焼きめし」もおいしい、
ということで焼きめしもご注文。
しばらくして、おばちゃんが注文したものを持ってきてくださいます。
「焼きめし、少し食べてみません? 」
「いや、まぁ、、」と言っていたら、「ちょっと、どうです? 」と
さらに薦めてくださったので、少しお味見させていただく。
うん、ホンマおいしかったです。 ちょっと和風の焼きめし。

あれこれと話をしつつ、ふたりとも大満足で
店を出ます。 再び電車の線路をまたいで、
南に下がり、一条通に出た。妙心寺の北門を
見て、右折して、御室のほうに行く緩やかな坂道を
上っていきます。
妙心寺の電停の向こうに箸のオーダーをしてくれる
店があるので、「こういう店がありますんですわ。」
と紹介。最近はこの店、すごく人気が出たみたいで
箸の種類にもよるけれど、オーダーをして半年とか
1年待ちなのだそうです。

さらにそこからゆるゆるとあがって、
来たのが「さのわ」。ここがねぇ、
athicoさんに、ぜひ紹介したかったのですよ。
前に、mishimaさんとここに一度来てはいたのですが。

Sanowa1


御室のあたりで、まぁ、おいしいケーキと
お茶、となったら、今のところはここくらいな
ものですし、、。

ここでは津田 陽子さんが作る丹波産の小豆を使ったフロール
と日本茶のセット「御室」がいただけます。
この津田さんの作るお菓子がそれはそれはおいしい。

それがああた、この日は、注文を取りに来てくれる
おにいさん二人が、二人とも、オトコマエでございまして。
あはははは。

「こういうこともあったからですか? 」と
athicoさんからのご下問があったわけなのですが、
この件につきましては
想定の範囲外でございました。
(笑)

お茶をして、玄関前で記念の写真を撮ったりして、
ゆっくりとしたお茶のひと時を過ごしました。
(でも、athicoさんもおっしゃっていたのですが、
ホンマ、ここのイスは、すわり心地が悪かった。)
店を出て、今度は一旦南に下がり、再び妙心寺の
北門に。
一条通は車の往来が激しく、ゆっくり歩きながらの
会話ができないので、ちょっと裏道に入り、
嵐電の線路沿いの道を東に歩きます。

でも人生っていうのは本当に不思議だなぁ、って
思います。ロンドン在住の人と
四国在住の人間が知り合って、
京都でこうしてのんびり話をしながら
歩くなんていう機会を与えてくれるのですから。

こうした偶然のさらに偶然の重なり、
っていうやつがあるから、人生って
分からないものだなぁ、ってつくづく思います。

目指すは白梅町です。
白梅町までの間、いろいろな話をしました。
白梅町も変わりましたねぇ、という話など。
駅の北側に「談」っていう本屋さんがありましたけど
そこものうなってしもうたし、
駅の南は、ながらくミスドだけぽつん、とあって、
えらく寂しかったですよね、という話なんて
しました。

さて、ここから俺はまた大阪に戻ります。
athicoさんは天神さんの市にいらっしゃるとのこと
バスが来ました。握手をしてお別れです。
お会いできてうれしかったです。

バスは円町から右折して丸太町を東に走り、
千本丸太町で右折して、二条駅の前を今度は左折して
神泉苑の脇を通り、御池に出て、市役所のところで
河原町通りに出ました。四条河原町で降りて
阪急で梅田に行きます。

梅田で地下鉄に乗りかえ、難波まで。
難波の淳久堂で、うちのブログに
書き込みをしてくれる真介くんとの待ち合わせです。

難波の人ごみを歩いて、千日前から道路を渡って、
法善寺横町へ。
水掛不動さんを見て、ぶらぶらとお散歩します。
彼はものすごい読書家で、聞くと、本当に正統な
古典を読んでいて、ちょっと驚いてしまいました。
俺とかの若い頃だったら、そういう本の読み方を
する、って普通だったんだけど、今の若い人は
ライトノベルとか読んだだけで、読書家っていう
ことになるそうで。

それと、拡がりがないんですよね。
母校の国文学会なんかがあったときに
後輩の人たちと話をすることが
あるんだけど。
卒論で例えば、漱石をします、っていうのは
いいんだけど、漱石をする、となったら漱石しか
読まないんですよ。

普通さ、漱石をするんだったら、やっぱり同時代の
他の作家も読む必要があるわけですよ。
お互いがどういう影響を及ぼしあったか、って
いうことだってありますからね。
漱石だったら、お友達のマサオカさんちの
子規さんの本くらいは
読まないといけないし、漱石の漢詩って
本当にすごい才能があるから、そういう漢詩の
教養はどうやってつけたか、とか、
禅にも影響されているから、禅と漱石文学の
交渉だって見ないといけないんだけど、
漱石をします、って言ったら、漱石の小説しか
読まないの。
それでは、あかんやろ、って言ったんだけど、、。
そういう拡がりを持って調べるってしないのね。

それでいったら真介くんはそういう古典とか
一通り読んでるんだよね。すごいわぁ、、と、
おぢさんは感心します。
あ、それと、読んでも片っ端から忘れていいと思います。
そんなもの、読んだうちに入らん、という批判は
あるでしょうけど、若いうちはそういう
濫読って許されるんじゃないかなぁ。

濫読の中から、また最終的に自分が好きなもの、
好きな小説家、好きな文体、っていうのが発見できる
でしょうし、、。

ぶらぶらと御堂筋を歩いて、本町あたりまで北上しました。
松尾芭蕉さんの終焉の地の石碑を見にいったりして
もう一度道頓堀に戻り、今井でうどんを(やっぱりうどん!)
食べて、またぶらぶら歩きです。
気がついたら、日本橋の方に来ていました。
大阪って、都会だから、お茶をするカフェだって遅くまで
開いているのかと思ったら、さにあらず。
晩の8時には閉店だそうです。
何だ、四国の田舎と変んないじゃないか。
ゆっくりとお茶をする場所もないまま、ゆるゆる歩いて
もう一度千日前まで戻ってきました。
ここでようやっとお店を見つけて、、。
座っていろいろと話をしました。
気がつくと、もう10時を過ぎています。
そろそろお開きに、ということで
名残惜しいのですが、帰りにかかります。
千日前から歩いて、難波の高島屋の前まで来ました。
誰かが路上ライブをやっています。
リズミカルな「情熱大陸」の曲が聞こえてきました。
ちょうど、その演奏している人の前にさしかかったときに
曲が終わって、聴いていたギャラリーから歓声が
あがっていました。

高島屋の横の通路から地下に降り、通路を通って
JRの難波駅に向かいます。途中、天王寺まで
ご一緒です。
天王寺で降りて、ここで、お別れです。
俺は環状線に乗り換えて、旅館に帰ります。
真介くん、どうもありがとう。

それから、この真介くんのサイトとうちのブログ
リンクをさせていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いします。

こうして土曜の晩も終わったのでした。


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Comments

謙介さんの旅行記は関西弁(といったら謙介さんに叱られるでしょうか)まじりのせいか、ふんわりおっとりした語り口で、私までのんびりと京都・大阪をお散歩している気分に浸らせてくれます。東京からたまに行くとなると、ついつい欲張ってしまってのんびりお散歩とはいかなくなってしまうんです。
今の学生は本どころか漫画さえ面倒で読まないそうですよ、夫が諦めぎみに嘆いております。そういえば娘が生まれたときにマルドリュス版アラビアンナイト全巻を娘にといって頂きましたっけ(訳者の先生が送り主ですが)娘は周りから小学生の頃は北欧神話だのアーサー王物語だのを勧められ、中学にあがった時はオヴィディウスの変身譚を渡されていました。基本の古典の考え方がヨーロッパ文学向きだなあと思っていましたが、何を思ったか全く関係ない理系に進んでおり、夫は少し寂しいようです。

Posted by: アリクイ | 08. 11. 07 PM 6:25

----アリクイさん
そのようですね。文庫と新書の区別はできますか? と聞いても、「はぁ? 」というお答えしかかえってこない、ということを聞いたことがあります。何かを調べるにも、以前であれば、辞書なり参考図書なりで、でしたが今はグーグルでちょちょいのちょい、です。便利というのか、安易すぎ、というのか(笑)意見は分かれるところですが、昔を知る身としては、もうちょっと努力して、調べてみろ、といいたくなります。うーん。これも世の移り変わりなのでしょうか。

Posted by: 謙介 | 08. 11. 07 PM 7:01

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