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08. 10. 10

最近、え? って思ったこと、いくつか。

最近あちこちで見かけるのが、野生生物の30何パーセントが
絶滅の恐れがあって、、、っていう記事です。

生き物は目に見えるから、個体数が継続した調査で
減っていれば危ないぞ、って注意して
もらえるのですが、実は生き物よりもっと
困った危機的な状況にあるものがあります。

それは言語です。

今、この地球上に大体6000の言語が存在して
いると分類されているのですが、そのうちの
9割は後100年を経ずして絶滅する、
とユネスコが計算しています。
単純に比較をしてはいけないのですが
言語はその90パーセントの種類が絶滅しかかっているのです。


当たり前の話ですが、言語は人間が話すものです、
ですから、話者の数を勘定したり、その民族の人口の
増減率を見れば、意外と簡単にある程度の
近未来の推定が可能です。
少数民族の人口推移を調べると、そこから
将来この言語がどういうふうになっていくか、
を推定することができるわけですね。
今、話し手が60代とか70代以上に限られているような
言語は、恐らく後、20年程度で、この地球上から
姿を消すでしょう。そんなの誰が考えたって、分かります。

生物学の人は「野生生物の絶滅の危険性」なんて
言っていますけれど、こと言語に至っては、そんな「危険な
可能性がある」なんていうような悠長なものではありません。
確実に滅んで行く、ということです。

言葉が消える、ということは、
その言語の持つ文化・考え方といった
文字通りのその民族の持つ大切な文化遺産が
ともに消滅することを意味します。今のうちに
記録を残しておかないと、消滅してからでは遅い、のです。

最初にお話したように生き物なら具体的に生息数で
カウントできます。しかし言語はなかなかそうした
把握ができにくいですよね。そういうこともあって
野生生物の保護とか環境問題というようなことについては
熱心に主張する人も多いのですが、言語については
話題にする人はほとんどいません。

そんな目に見えないものはどうなったっていいですか?
俺は生物だって文化遺産だって同じくらい大切なものだ
って思います。

少数言語のおかれた環境って、ものすごくきつい状況です。
そういう現実だって、今あるんですよね。
生き物はみんな保護を言うのですが、言葉に関しては
ほとんどというか全く話にのぼりません。
それが証拠にみなさん、そんな話を聞いたことって今までに
あまりなかったんじゃないか、って思います。
話にはのぼらないのですが、相当に危ない状況です。
それがひとつ。

「え? 」って思うことのふたつめ。


最近よく目にするんですが、
「あの人は、上から目線でもの言うから嫌。」
と書いてある文章を見たり、誰かがそう言っているのを聞いたりします。
実はこの言葉にも俺、「え? 」って思ったりするんですよ。
あのね。日本語の場合、客観的に言う、とか、客観的に話す、と
いうことは同じ平面でではできません。
対象より一段高いところから俯瞰(ふかん、と読みます)して
話をしたり、論を進めていかないといけないわけです。

つまり対象を突き放して書かないと、
客観的にならないわけです。
そういうふうに客観的に言おうとしたら当然、
「上から見下ろした文章になってしまう」んです。
それはもう仕方のないことというか
日本語で表現しようとすればそうなります。
ならざるを得ないっていうことにだってなります。

だから上から目線が嫌、と言う話を聞くと、
俺、「え? 」って思ってしまうんですよ。
だって、客観的な文章って、
上から目線で書くものですし、、、。 
どうしたらいいんだろう?? とか。

そんなもの、アメリカの大統領候補のオバマさんに
「あんた、皮膚の色黒いわね、なんとかしなさいよ。」
って言ってるようなものなんだもの。

これが「え? 」って思うことのふたつめ。

「え? 」って思ったことのみっつめ。
この間の土曜の朝、NHKのテレビを見ていました。
テレビは高知県からのレポートで、
学校給食のコストの問題がテーマでした。
このところの原材料費の高騰の問題や
産地偽装とか、そのほかの食品のごまかし
の問題がどんどん出てくるというような中で、
学校給食の献立を立てたり、
その材料を調達しているかたがたが
どんなに苦心をしているか、ということを
紹介しているレポートだったわけです。


それを見ていたら、アナウンサーが
こんなことを言いました。

「少しでも安い材料を探さなければなりません。
従来牛肉を使っていた料理を、豚とか鶏肉にする
ということでコストを抑えたり、デザートの回数を
減らしたりしました。
それから、表面の傷んだ野菜は、
市価の半値の価格で取引され
これはそのすべてが外食産業用に、
使われますが、
結局これは学校給食としては
使えないということになりました。」

え? 表面の傷んだ野菜のすべてが外食用。

だそうです。

ほら、にんじんなんか、
買ってからしばらく冷蔵庫においておくと
表面がちょっとぬるぬるしてくるじゃないですか。
でもまぁ、そのぬるぬる段階だと
皮を剥いたら、大丈夫。中まではいたんでない、と。
そんな程度の野菜ということでしょうか。
キャベツだと表の何枚かが干からびていたり、
腐ってたりします。だけど、中まではそう痛んでいない、と。
それって全部外食用に使われるそうです。

いたんだ野菜は外食用なんだってね、って
栄養士の友達にそのことを話したら、
外食用の材料なんてまぁそんなものでしょう、という
さして驚かない反応でした。

「デパ地下のコロッケなんかどうやって
作ってるか知ってる?」
「知らないよぉ。」
「あんなの一々ジャガイモなんか蒸してつぶして
作ってたりなんかしないからね。」
「どうするの? 」
「芋の粉っていうのが業務用であるからさ。それを使う。
卵だって液卵っていう、もう割って中身だけ取り出して
あるものをどーっと流して使う。
市販のプリンとか茶碗蒸し、とか卵焼きとかケーキは
大抵この安物の液卵使ってるよ。それに芋なんか
いちいち、芋を蒸したり芋の皮を剥いたりしていたら
経費と時間がかかるじゃない? 
芋の粉をばさーっと入れて、それで芋の粉だけだと
粉っぽいからさ、そこにクリーミィにするために
安物の乳製品だの脂肪だのを入れて、口当たりをよく
するわけ。」
「え? じゃあクリーミィなのは、粉っぽいのを
ごまかすため? 」
「まぁそんなところ。 だって考えてよ。
おいしいジャガイモだったら、蒸しただけで
もうホクホクしてて何にもつけないで食べられるじゃない。
でしょ? それにさ、デパ地下でコロッケ、
なんて言ってるのは、もう生地が丸められて、
パン粉がついた状態でしょ。そうしたら、
どういうふうにしてその生地が作られた
なんてわかんないものね。
見てるほうはさ、揚げてあるのを見て
あ、うまそう、っていうことで買うくらいの
ものでしょ。」

「やっぱり、自分で作るのが一番安心、ということ
なの? 」
「あのさ、今の世の中って、他人に自分の食べるご飯を
作るのをゆだねてしまう、ということは、何を食べさせられて
いるのかわからない。そういうリスクだって
背負い込むっていうこと。
いまやそう考えておいたほうがいい、と思う。
確かに食の安全、のチェックとは言うけど、そんなもの、
一々個々のことまでチェック
なんかしないし、できないもの。
もうね、食の安全を追い求めるっていうのなら、
自分で作るしかないように思う。」

やれやれ。そういう時代になっちゃったんですかねぇ。
これもまた俺が「え? 」と思った話です。

さて、みなさん。 最近「え? 」って思ったことって、
何かおありでしょうか?

(え? わたしゃ、あんたに上から目線が嫌、っていうのを、
「え? 」って言われたことよ、ってか?  笑)

(今日聴いた音楽 微笑の法則 柳ジョージと
 レイニーウッド 1979年 )

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くらしのこと」カテゴリの記事

Comments

こんばんは。
初めてコメントさせていただきます。
今夜「ええっ?」と思ったことが謙介さんの記事に書かれていました。

他県ですが給食に給食センターではなく他業者から仕入れた卵焼き(事故米を使った可能性のあるでんぷんを使用)が出された事が新聞に載っていました。
え?卵焼きって給食センターで作ってないの?と最近知って驚いたのですが、

>表面の傷んだ野菜は、外食産業用に使われ学校給食としては使えない、

としながらも、巡り巡って給食に出てくる可能性がある、ということですよね。
お友達がおっしゃるとおり完璧な安全って自給自足しかないのでしょうね・・・。

言語についてはちょっと昔の文献なんかを見ると完全に漢文の世界なので、日本語内では予測できたのですが、「その言語の持つ文化・考え方といった文字通りのその民族の持つ大切な文化遺産がともに消滅する」にはハッとさせられました。

最近「え?」っと思った事、ひとつは蒟蒻●の製造中止です。
赤ちゃんもご老人も毎年お餅で窒息死のニュースが流れます。製造側の問題というより食べる方・食べさせる方側の自己責任の問題のような気がするのですが・・・。

もうひとつは(2コ前の記事にするべきか考えたのですがこちらに)長野にはがんセンターがありません。いくつかの大きい病院にがん診療拠点病院の指定を受けているだけです。でも、国立がんセンターのWebサイトを見ると「長野県の低がん死亡率と農作物との関連についての疫学研究」がされているようです。
低率は嬉しいしのですが、がん患者の統計ってどう計測しているんでしょう??
でも研究が進む事に期待しています。

良い週末をお過ごしください。

Posted by: 百 | 08. 10. 10 PM 11:24

----百さん
こんにちは。コメントありがとうございます。うちの実家の近所の中学生に聞きましたら、アイスクレープとか、スイートポテトと言ったようなデザートなんかはもう市販の冷凍ものが解凍されて出てくるようで、そうしたものの中に怪しげなもの(笑)が使われている可能性はありますよね。それから、パンにつくジャムとかそういうものだって、。
 そうですね。長野県、いまや沖縄を抜いて日本一の長寿の県になっています。やはり何といってもそうした日々の生活には食べ物が影響しているでしょうね。長野県の分析が進んで、そうした食事の実態がわかってくれば、、、と俺もお話を伺って思いました。
 コメントどうもありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。

Posted by: 謙介 | 08. 10. 11 PM 2:36

「目線」という言葉にえっ!と思っています。
この言葉が普及したのは15年前くらいではないでしょうか。それまでは視線という言葉しかなかったと思います。テレビの業界用語である「カメラ目線」というのがテレビの電波に乗るようになって、一般的になったのではないでしょうか。
私にはいまだに馴染めない言葉です。

Posted by: mishima | 08. 10. 11 PM 11:42

---mishimaさん
なんかそういう業界用語というのが
出てきてそれを訳知り顔に使うのも
ちょっとなぁ、、、って思うことありますよね。
そうですか、mishimaさんの場合は
目線だったのですね。
俺は「食材」っていうのが、ものすごく
抵抗感がありますね。別に材料で
ええやんか、って思うんです。
後、これも業界ぷんぷんの言葉ですが
「普段づかいの店」っていうの。
何かそういう言葉を心の中で
知ってるのはいいんですが、それを
あんまり日常の中で出して言うのって
すごく抵抗があるんです。
そういう言葉ってありますね。

Posted by: 謙介 | 08. 10. 12 PM 2:49

謙介さんこんばんは。
スーパーねたで言えばスーパーの食品売り場に勤めた知人の朝のお仕事はお魚、お肉の「においをかぐ」事だったそうです。
いわゆるおかしらつき、切り身のお魚、煮たり、焼いたりという風な仕分けを「におい」で仕分けるんだそうです。
決して無駄にはしないそうです。
以来私も必ず「におい」をかぐようになりました。

ラジオガールなんて本当に「えっ!?」の毎日です。
最近「えっ!?」と思ったのは大人さえも靴をなおさなくなった事です。
歯医者さんにいって待合室から診察室に入るときに「抗菌スリッパ」に履き替えるのですが、誰も靴の向きを変えません。
ラジオガール「靴をそろえる。」「ドアは音をさせないで静かに閉める。」はきびしく躾けられましたのでいまだにきちんと守っております。
今はどのご家庭でもそんなこといわないのでしょうか?
哀しいことです。

「えっ!?」の二つ目保険の掛け金が今年から上がるので見直すことに。
訳一万円も上がるというので、掛け金をいままでと同じくらいにしたいと思い保険屋さんと打ち合わせ。
そこで判明した衝撃の事実!
保険屋さん
「60歳からは掛け金は年払いになります。」
ラジオガール
「えっーーーーーーーーーーーーーーー!!
そんなのどこに書いてあるのですか?」
保険屋さん
「ご契約のしおりはごらんになりませんでしたか?どこかに書いてあるはずなんですが、、。」
ラジオガール
「そんなに大事なことならもっとわかるように大きくいつも見る部分に書いておいて欲しいです。」
このやり取りはラジオガールが二回保険屋さんにあって
「じゃ後は保険証書が届くのを待てば良いんですね。」
と帰ってあと数日してから保険屋さんから電話で告げられました。
私が無知?なんでしょうか?

Posted by: | 08. 10. 15 AM 12:26

どもー^^
野生動物を絶滅させないよーな勉強をしている者です(苦笑)

言語がどんどん減っている・なくなってしまうっていう話は、小学校か中学校かの教科書で習いました。
なんだかその時は、「ふ~ん、そうなんだぁ・・・」くらいしか思わなかったんですが、現実は厳しいようで。。

なんていうか、一つの種が絶滅・減少した時に生態系に与える影響って結構凄まじくて、人類の生存すら脅かす場合もなきにしもあらずで、だからこそみんな必死になってるんですよね。

言語の場合、たとえ少数言語がなくなっても人類の生存自体には関わらないと思うんです。だけど、その「文化」は確実に死ぬ。
結局、『どこに重点を置くか』なんじゃないですかね~。


でも実際、地球環境を考えて、保護・保全して修復していくって考えたとき、それって「人間」も「文化」も含まれてるんです。
だからこそ、地球環境を相手にする分野って厄介。農学部の劣化みたいな授業しかしてないところもあるみたいですが、マジメにやろうとすれば「文」と「理」の両方の面から、広く詳しく学ばないとダメなんです。

環境だけ守っても、文化も伝統も捨てた人間だけが生きてるようじゃ意味無いし、文化や言語を守ろうとして環境保全が手薄になって、言語は守れたけど地球は壊れました、じゃぁ意味が無い。
うーん。。どうしましょう?(苦笑)
ひとりじゃ手に負えないし、今こそ人類手を繋ぐべきだと思うんですけど、、なかなか、難しいみたいです;;

Posted by: リト | 08. 10. 15 AM 9:30

---ラジオガールさん
何かね、うちの近くのスーパーでもある、って聞きました。前日に並べたお刺身、翌日に、一度包装のフタを外して、お刺身を並べ替えるんだそうです。そうすると、それは「加工」したことになって、前日のものが、当日の加工に日にちは変る、という話を聞きました。「だから、開店早々に行ったら前日の売れ残り、つかまされるから、ちょっとしてから行け」とか。(笑)
 それからネットとかクレジットカード申し込むときのあの裏にびっしりと針の先のような細かさの字で書かれた契約書、何とかなりませんかねぇ。 まったく嫌がらせ、としか思えませんよね。だけど、読んでいなかったら、それは書いてあります、とか言われて、一方的に押し切られてしまうし、、。本当にうかうかできない社会になりつつある、と思います。

Posted by: 謙介 | 08. 10. 15 PM 7:12

----リトくん
 お話の通り、地球環境とか、文化を大切にっていうのは、ぜーんぶ相関関係で結びついている、って思います。去年でしたか、ゴアさんの本が何かと話題になりましたよね。だけど、俺ね、正直言うと、怒ってました。大体が大量消費だの、他国に物を売りつけるだの、ガンガン推進したの、ってアメリカじゃないですか。それも、ゴアさんは、副大統領だったわけで、いわば政権の中枢に居た人間でしょ? その人がですよ、無責任に、「こうなったああなった」って写真を本にしてきたって、「あんたの国だって、こうなった責任の何割かはあるんやで。」って、俺、思ってたんですよ。どうしてみんなそのことを言わないで、賞賛ばっかりするんだろう、とか。
 文も理も両方必要、というお話、全くそうですよね。理系の話、とか論理だけでもダメですし、文系の話だけでも、いけない。両方の意見を集約するのって、本当に難しいことだとは思います。けど、これからの社会は、そうしたバランス感覚とか、複眼的な考えが必要と思います。
 どうぞ、これから今、研究していることをフィードバックさせて生かせるようにしてくださいね。ホント、期待しています。

Posted by: 謙介 | 08. 10. 15 PM 7:20

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