数字のトリック
いつもうちのブログをお読みいただき
ありがとうございます。
あ、はじめての方は、どうぞよろしく
お願いします。
このブログをお読みのみなさんのあたりは
気温はいかがですか?
こちらの今日の最高気温が33度。ふう。
先月が確かに35度とか36度行ってましたから
さすがに若干涼しくなった、と言えば
まぁねぇ。(笑)
ですがお天気で雨は全く降らず。
恐らく、俺の今までの経験から行って、
来年の春辺りまで、水が足らない、という
状況はずっと続くのではないか、と
想像します。
ホント、いろんな年がありまして、
ある年は水がない、って言ってたら、
台風が一個来て、「どうだ! 」って言ったら
一夜にしてダムの水が満水になったこともありました。
週末、実家に帰っていたら、
うちのオフクロが、俺が入院してる間に
講演会に行ってきてんで、と言うんです。
誰の? って聞いたら、
内館牧○だそうで。
あらまぁ、とってもタイムリー。(笑)
またその話は「今日のこと」もありますゆえ
日を改めて思ったことを書きたいと思います。
× × ×
月曜日なので、毎度のがんセンターへ。
前回のデータを見せていただく
数値的には大きな変動はない、のだけど
「すい臓が気になる、から
油ものを食べるのは控えてください。」と
先生から。
しかしねぇ、俺、もうほとんど油ものなんて
食べてないもの。
フライとか、てんぷらはほとんど食べないしさぁ。
もう何かさー、枯れたおっさんになれって、いうことなのか?
今だって十分枯れてるぞ。(笑)
明日、データを見せて早速管理栄養士の
友達の意見を聞こうと思う。
診察のあとで、先日出てた新聞広告の話になる。
このあいだ新聞を見ていたら、こんな広告が出ていたわけです。
製薬会社の広告なんだけどさ。
謙介、思わず本当にそうなのか?
っていうことを聞きたくなったね。
広告には約60パーセントの人がなおる
って書いてある。
この療法というのはリパビリンというお薬を毎日2回
飲みつつ、インターフェロンの注射を週一回する、というもの。
これね、この病気に関係のない、普通の人だったら
どう思うかなぁ。
え? 6割の人が治るん?
そうしたら治療しようか、しらん、と。
あのね、うちの主治医の話によると
大体多く見積もって、この薬で治る人って
4割程度なんですよ。
ちなみに俺もかつてやって効かなかった人間です。
でずっと追跡検査してるけど、正直言って悪化しています。
だから、4割しかなおらない、と。
そういう事実がある、ということを
まず知っておいてくださいね。
じゃあ、この6割という数字、どうなって出るのか、
その理由を、ひとつひとつ説明していくと以下のようになるわけですよ。
まずこの療法は非常に体力の負担を強いる
という療法である、といえます。
俺も経験あるけど、もう自分の体力の
4割がたは薬の副作用で持っていかれる、っていう
感じ。 なんたって、薬の使用説明書の冒頭に
赤字枠囲みで「劇薬」って書いてあるんだもん。
で、その薬を飲みはじめると副作用で
熱が出ます。
食欲は全くなくなる。食べると吐いてしまう。
皮膚がかさかさになって、やたらかゆくなる。
頭の毛がワサワサと抜ける。
体力がある程度大丈夫、っていう人が
はじめたとしても、途中で投げ出したくなるの。
そりゃ、嫌にだってなります。
げっそり痩せて、顔色は悪い、食欲はない。
頭の毛ははげかかってくる。
正直、鏡なんか見たくもなくなります、って。
で、実際、この療法って48週間
ずっと続くから、
途中で体力的に無理、となるとか、途中で
薬の副作用が強く出て身体を壊して
実際この治療をあきらめて止める、という人が
多いんです。
それからこの療法、すごくお金がかかる。
注射が1回1万円。3割負担の額で、それです。
お薬が1回1500円。これを一日2回飲みます。
ここまで書くと、え? 肝炎の治療は国の補助が
できたように聞いたけど? という方もいるかもしれないですが。
あの適用が受けられるのは、
初めて肝炎の治療を受ける人だけです。
前に一度、別の治療法をしていて効かなかった、
じゃあ、次はこの療法、という2度目3度目の患者
さんは補助は受けられません。
これは前にお話しましたね。
厚生労働省は、認めてもいい、と言っているのに、
財務省が金がないから、
そんな治る見込みもないやつに
金をかけるのは無駄、と言って反発して
そういう二度目の患者は適用の範囲外です。
ですから二度目以降の治療の人は補助なしです。
そういうことで、この治療を受けるのは、
受ける側の経済的負担が大きいのです。
ですから「支払い能力のない人間は受けられない。」
ということがあります。
つまり問題点の1はここですね。
100分の60ではないんです。
治るで言えば100分の40としましょうか。
すると40パーセントですね。
でも途中であきらめて治療を中止せざるを
得ない人、支払える能力のない人、
の数字を引いてみます。
100-20=80 で、分母が80となりました。
80分の40とします。
すると数字は、ほーら。
80分の40ですから、50パーセント。(笑)
ね。いきなり10パーセント、1割ドーンと上昇しました。
それから次。 算数の問題からいきなり
言語学的解釈の問題に移ります。
「治る」という言葉を聞いて、みなさんは
どう捉えますか?
治る、といわれると完治する、って思いません?
でもね、医学のほうでは、どういうのが治ると
というかというと、「完治はしなかったけれども
薬を投与して反応のあった人は、効果があった、
とする。」 という解釈を取って、治った、という人の
カテゴリーに含めます。
ですからこの療法をしはじめて体内にいる肝炎の
ウィルスが除去はできなかった。
けれども、肝臓のGOTとかGPTという数値が
療法開始前に比べて低くなって反応はした、と。
それも薬の効果があった、と解釈されます。
普通の人は、ウィルスが除去されないと効果が
あった、なんていえないんじゃないの? って思いますが
薬会社はそういう数値が動いた人も効き目があった
という範囲に入れてしまいます。
ほら、だからここはおたがいの言葉の解釈の問題ですね。
だもんで謙介は言語学的な問題、と言ったわけです。
で、さらに1割を入れてみましょう。
40+10で50となりますね。
分母は80人とします。80分の50。
0.625です。62.5パーセント。
約6割という数字がここで出てくるわけです。
仮に分母を100にしておいたって、
そういう数値の動いた人の割合を入れたら、
100分の50で、これまた一割は変わってきます。
ね、
6割と書いてありますが、
そういうふうにして出てきた6割です。
実態、というものはそういう程度です。
でも、そういう「説明」はどこにも
ありません。
製薬会社の都合のいい解釈を重ねて
いくと、確かにそうはなるから、あながちうそか、と言われたら、
うそではない。でもまぁその数字を出そうと思えば、
↑に言ったような強引な解釈をしないと出やしません。
分母を80にする。なんとなく数字の変わった人も
全部入れる。そういう操作しまくりでの上のあの数字です。
ですがその説明はありません。
それが実態をきちんと反映した数字といえるでしょうか?
今日は主治医とそんな話を診察のあとでしました。
データが客観的か、といえば、それを解釈するこちらの
「感情」がそこに入って、目をくらませる、ということも
ある、ということです。
やっぱりデータとともに、その実態とか現場に行くとか
できるだけたくさんのいろいろな切り口から書かれた
人の話を集めるとかして客観的な、見方をしないと
本当のことはなかなか分かってこない、っていうこと
あるように思います。
データだって、実際のところ、本当にどうだか?
って思っていたほうがいいかもしれませんね。
そんな話をして採血を終えて会計を済ませて。
ちょっと院内のコンビニに寄りました。
すると、レジで入院患者のおじいさんが
レジのおねいさんの言葉が聞き取れないらしくて
「え? 」「え? 」って何度も聞きなおしていました。
おねいさんは、大学生のバイト、っていう感じ
だったんですが。
歳を取ってくるとねぇ、早口で言葉を
ささっ、と言われちゃうと、言葉の意味が取れなくなって
くるんですよ。
女子高生くらいの歳の子が、よくいろんなところでしゃべってるのを
聞くこともあると思うのですが、あの程度の速さの会話になると、もう
お年寄りには意味が取れなくなるんです。お年寄りの立場で
言えば、「さっぱり意味が分からない。」っていうことになるんですよ。
人間歳を取ると、若いときにはよく聞いた
ロックを聞かなくなる、っていう人がいます。
その理由はまぁ人それぞれでいろいろあるとは思いますが
音声学的に言えば、若い頃だとロック歌手の歌ってる意味がきちんと
取れたものが、だんだん歳とともに、意味が取れなくなってくる、という
事実があります。
お年寄りがロックを聞いて、よく
「何を歌っているのやら、わけが分からない」っていうのは、
そういうことなんですよね。
お年寄り、って言うと、耳の聞こえの問題に
行こうとするのだけど、まぁ確かにそれもあるけど、
一方でやっぱり早口だと意味が取れない。
早口で言ったのでは、理解してもらえない、ということは
知っておいたほうがいいんじゃないかなぁ。
案外その事実、知らない人が多いんじゃないでしょうか。
で、お年寄りが何度も聞き返すから
若い人のほうは、こんなに言ってるのにぃぃぃ!
って腹をたてる。 そういう齟齬って割によく
あることなんじゃないか、って思います。
まぁ、その一方で、確かに音楽に対する
嗜好が変ってくる、っていうこともあるんですけどね。
だからと言って、幼稚園児に対するみたいに
変に「さぁ何とかかんとかしましょうねぇ。」
なんていう言い方をする必要もないけどね。
何たって人生の先輩なんだから。
普通の口調で、ゆっくりはっきり言えばいいと思います。
多分、その大学生の女の子、普段どおりの
話し方というのか、普段どおりのスピードで
話したんでしょうね。何の疑いもなく。
でも、それじゃ、無理なんですよ。
そういうのって、店員のマニュアルにないのかしらん?
そんなことを思いながら、病院を後にしたのでした。
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Comments
こんばんは、はじめまして。
初めてこのサイトにコメントを
書かせていただきます。
ボクの名前は真介と言います。
何度もこのサイトには来ていて
日記を読ませてもらっています!
勉強になることもあって楽しく読ませてもらって
います。
ボクは大阪に住んでますので今日の気温は
30度少し超えたくらいです。
まだ少し気温の上下の激しい時もあるかと思いますがお体にはお気をつけてください。
それでは失礼します。
Posted by: 真介 | 08. 09. 08 PM 9:13
---真介さん
実は真介さんのサイト、ちょくちょく拝見させていただいていました。(笑)だぶるぴーすの陸くんつながりですよね。
真介さんの読まれた本の中に山口百恵さんの「蒼い時」があったじゃないですか。
あのタイトルを聞いてすごく懐かしかったです。というのが、俺、大学の書道の卒業制作、その山口百恵さんの「蒼い時」のあとがきをそのまま書道の作品で書いたんですよ。だから題名を聞いて、あ、懐かしい、って思ってしまいました。そうですか。大阪はすごしやすかったようですね。
俺もうかがわせていただきます。これからもどうぞよろしくお願いします。
Posted by: 謙介 | 08. 09. 09 AM 12:25
お久しぶりです。
耳のお話、今の私のお仕事にも繋がることが
あって勉強になりました。
お年寄りではありませんが、知的障害者の方
のお手伝いをさせて頂いてます。
もう大人の方なのですが、行動が幼かったり
で、つい赤ちゃん言葉を使ってしまうこと
あります。。
三重は大雨になったり、晴れたり忙しい天気
です。
謙介さんの所は、残暑が厳しいのですね。
お体ご自愛くださいね
Posted by: yoko | 08. 09. 09 AM 9:01
滋賀はまだ暑くて、さっき、デニムのハーフパンツにポロシャツの男の子が歩いてました(゚ー゚)
内館センセ、めっちゃ興味があります。
見る度に、ライオンに似てるなぁって思います。
Posted by: mishima | 08. 09. 09 PM 2:45
----yokoさん
相手に接するときの言葉遣いというのも、結構難しいですね。お年寄りとか、そういう障がいをお持ちの方にどう話をすればいいのか、というのは、自分の仕事の中にはないんですが、それでも言葉を考えるのが好きな性分なので、結構周囲の言い方が気になります。
それから、前に津の友達のところに行ったとき、尾鷲までドライブ(!)しました。帰りに伊勢市の辺で雨が降ってきたのですが、その降り方がもう想像を絶するようなすごい雨粒の直撃で。こちらはひえ~~と驚いていたのですが、友達夫婦は、「え? これが三重では普通よ。」って言って気にもとめていなくて。(それにもびっくりしました!)最近よく東海地方に集中して大雨が降っていますが、被害などはありませんでしたか?
いつもありがとうございます。
Posted by: 謙介 | 08. 09. 09 PM 6:58
----mishimaさん
実はうちの実家、今年度は町内会の班長だかを仰せつかっているんです。実家の街でPTAだか、そういう町内組織だかの全国大会があって、その講演で内館さん呼ばれたそうです。で、講演の依頼は、すでに2月の末だか3月にあったんだそうで。そこに来て、この一連の騒動がまたあって、結果的にタイムリーな人選(笑)になった、というのが真相だそうです。
そうですか。湖国も、まだ暑いですよねぇ。mishimaさんもどうぞお体にお気をつけください。
Posted by: 謙介 | 08. 09. 09 PM 7:03