« とりあえずの報告 | Main | 山はゆっくりのぼる »

08. 08. 18

滞院報告

相も変らず毎日西日本は暑いです。
今年の夏は例年の甲子園の上に、北京でのオリンピックが
加わったので、なんだか余計にヒートアップしていたように
思えます。

今週半ばには、一時帰宅のご許可もいただけそうです。
この間、更新をお休みにしているにもかかわらず、
気にして見にきてくださった方も、何人もおいでだと
思います。
本当にありがとうございます。

今回は隣のベッドの人は50代の人で
テレビを見るときはイヤホーンをつけてくれたりして
それなりに配慮してくださっているので、静かな
環境です。


Ikunoさんが入院前に言ってくれたみたいに
避暑というか、マスコミがワァワァ言ってる間
静かに過ごしている、というふうになっています。
病院での生活。治療はともかく
問題はやはり食事でしょうか。
入院すると食事くらいしか楽しみが
なくなります。
先進的な病院などでは食事についてもずいぶん
注意が払われているようなのですが、
この辺の病院はまだまだのようです。


謙介の部屋は静かなのですが
どこかの部屋からオリンピックの中継の
音が聞こえてきます。

今回のオリンピックについては、
父方の親類の人が選手で出ていたので、
うちでは、家族で彼を応援をしていました。
(入院前日に試合があって、本人の体調のせいもあって
結局一回戦敗退でしたけど)
世界の壁はやはり厚かった、ということでしょうか。
次のオリンピックはともかく、これからの競技人生の中で
彼自身がどこまで伸びるかという課題にむけて
がんばって欲しいと切に思います。


もうひとつ、今回のオリンピックで言うと
俺が以前上海外語学院に行ったときに、
英文科にツンと澄ましたこわーいおねいさんがいました。
あまりにツンケンしてて、呼んでもまともに返事だってしてくれない。(笑)
ちょっと美人で、実力があるから、と天狗になっている、なんていう
うわさは狭い学校の中のこと、どんどん聞こえてきていました。
みんな言ってました。「態度わる~~」って。
ですがまぁ華もあって目立つ存在ではありました。
外語の中でも英文科はやはりエリートでしたし。

Gaigo

(これは俺が行ったころの上海外語の日本語科の学生です。)

俺のいた日文はどっちかというと和気藹々としてて
みんなおっとり仲良し、っていう感じだったんですが。
その性格悪そうでツンケンしてたおねいさんは
バレーボールがとっても上手でした。

彼女はバレーボールの中国チームの一員となりました。
チームで活躍して引退した後、
いろいろあって彼女は中国を離れることに
なりました。彼女の先鋭的な性格は、、やはり
全体主義のあの国にはなじめなかった、というところも
あったと思います。
そして、彼女は今回のオリンピックで
アメリカのバレーボールチームを率いて監督として北京に現れました。


郎平、と言うと、ご存知の人もいるかもしれませんね。
謙介的には、バレーの選手というより、英文科にいた、ツンケンした
性格きついおねいさん、っていう印象なんですよ。(笑)

しかしそれにしても、久方ぶり、美国チームを引っぱって母国に帰ってきた
彼女の心境やいかに。
鉄壁の彼女の表情からはそんな内面などうかがい知ることは
できませんでしたが。少しは心うごくものがあったのでしょうか。


あのころ一緒だった上海の子たちに言わせると、
みんな、北京なんて辺境の地と思ってて、
口々に気候は悪いわ、住みにくいわ、食べ物は不味いわ、
あんな田舎なんか嫌。上海が一番いい! と口々に言っていたのを
思い出します。
公式的には中国は一国二制度ということになっていますが
上海とか蘇州に住んでみると、
「北京はどうか知らないけど、上海は違う。」
っていうことをみんな言っていました。北京? 何それ? 
そんな連中のことなんて聞かなくっていい、っていう空気でした。
ただし今ではずいぶん、ふーさんが上海派閥を粛清したので
前に比べて北京の言うことも聞くようにはなってきたみたいですが。


しかし、いつも中国、といわれて
一番不思議なことは
俺が中国にいた頃は、
「中国2800年の歴史」の中で、と公式に言っていたのですよ。

それがいつの間にか
最近では、「中国4000年の歴史」と普通に言っています。
知らん間に1200年の加算があったようです。
一体いつの間に1200年が経ったのか?

謎。

開会式を見ていて
改めて「世界の中心だから中国」と名づけた
あの国の名前の由来を思いました。
そりゃ世界の中心ですもんねー。
ここぞとばかりに鼻の穴を膨らませて
ふんふん言わなきゃいけません。
でなければ「大中華」の名折れになる、
という肩肘はった調子が
あの大会の運営のさまざまなところからずっと
見てとれてますね。
ええとれてますとも。

だーれがなんといおうと
わしが世界でいちばんじゃぁぁぁ
ぷんぷん。

次期開催都市はロンドン。
きっと打って変わって落ち着いた
開会式になるような気がします。

しかし、オリンピックの競技に出る
ということは、本当にいくつもの条件が
奇跡的に見事にそろった結果なんだ、
ということも改めて分かりました。


外国に行って、近くによって自分の眼で見て
他の人種と比べると改めてよく分かりますが
日本人って、相当に華奢な身体です。
もっとはっきり言ってしまうと、貧相な身体つきだと思います。
あの室伏選手ですら、です。

それは同じアジア系の韓国人と比べても日本人の身体は
相当に貧相です。骨格が全然違います。
逆に言うと、夏の薄着のシーズンなんて、
ソウルの街を歩いていて
向こうからくる人を見て、その骨格の細さで
あ、あれは日本人だ、って見分けることが俺はできました。
(こんなこと、何の自慢にもなりませんけど)

そんな体格的に他の国の人たちに劣った日本人が
他の国の選手に伍して、それなりの成績を上げようとすれば
本人の才能、本人のやる気、体調、そうして
その競技者に合わせたコーチの才能の伸ばし方、
コーチの国際的な方向感覚、当日の試合運びの要領。


そうしたものすべてが総合力となって
まとまった時に、はじめて大きな力に
なるんだ、ということを改めて思いました。


メダルはともかく、そうした不利な現実を
どうやったら、カバーして伸ばせるか、
それは難しいことではあるけれど、
それでもやっていくことは、
やりがいのある
プロジェクトでしょうね。

でも、文系の謙介は、時々思うんですよ。
無限の可能性って、怖い言葉だなぁ、って。
どこまでも行ける、とは、いうけれど、
あるところに来たら、やはり
自分の限界を知ることになりますよね。
能力的なこと、
年齢的なこと。

そうした限界に来たときに、じゃあ、自分はどうするのか?
いつまでもそこにはいられない。
限界を知ったとき、
自分は一体どうするのか、と
どうすればよいのか、と。
退くときの自分、ですね。
どんなふうに自分の気持ちに整理をつけて、
どんなふうにこれからの人生を歩もうとするのか。
そうしたところに、自分としてはすごく
関心を惹かれます。

そんなことを考えるのも病院にいるせいでしょうか。
はたまた歳のせいでしょうか? (笑)


こちらはまだまだ暑い日が続いています。
みなさんのお住まいのところはいかがですか?

すでに初秋の風情ですか?
まだまだ暑い、ですか?

いずれにしても、夏の疲れが出る頃ですね。
どうぞお体ご自愛ください。
(と、入院患者に言われてもなぁ、、笑)

(今日聴いた音楽 Glory Days
歌 中西圭三 1993年 アルバムStepsから)

|

« とりあえずの報告 | Main | 山はゆっくりのぼる »

くらしのこと」カテゴリの記事

Comments

厳密にいうと通りすがりでもないのですが、今回とりわけ、日本のメディアで誰も黙して語らない「日本人の体格はは貧相で本来体力的に劣る」というあたりを率直にお話しいただいて本当にそうだな、と思いました。結局日本人は知恵を絞って集団でいきていくしかないのかなと思います。「限界」の話も日々の会社生活で最近つとに感じるところです。最後になりますが暑さも続くようですのでどうぞお大事になさってください。お邪魔いたしました。

Posted by: 通りすがり | 08. 08. 18 PM 10:15

----通りすがりの方へ
外国に行くと、つい自分の身体をその国の人と比べてみていたりします。ソウルにいたとき、よく銭湯に行ったのですが、あ、やっぱり、韓国人と自分は、人種が違うんだ、とはっきり了解しました。俺はあの頃、178センチで体重は70キロあたりだったのですが、風呂屋では、やっぱり華奢な感じでした。一体何が違うのか、と思ってみると、骨格が全然違う、という現実に気づきました。身体能力とか。あ、やっぱり、自分は農耕民族の血を引いているのだ、と。日本人と他の民族というか人種の違いを見るようになったのは、そんなことがきっかけでした。そうした日本人が、他の人の中でやっていくには、総合的に「何とか」して近づけるしか方法はないように思うんですけどね。そんなことを改めて強く感じさせられた今回のオリンピックでした。どうもありがとうございました。よろしかったら、たまにのぞいてやってください。これからもよろしくお願いします。

Posted by: 謙介 | 08. 08. 19 AM 6:16

謙介さんおはようございます。
病院食からしばし解放されるとの事、良かったですね。
近くでしたら筑前煮の差し入れなんかできましたのに。
辰巳芳子さんの本を参考に時々「野菜コンソメ」なんかをつくるのですが、ビタクラフトの2リットルのお鍋に山ほどつくって飲み干すのはあっという間です。
自家製とキューブのコンソメのお味の違いはどこからくるんでしょう。
栄養がスープの中にまさに溶け出している感じです。
最近腸管免疫が話題になっていますが「自分で食べる。」ってすごいことだと思います。

体型のお話、最近日本人もメタボとかさわがれています。
メタボ検診って「血圧が高い。」「コレルテロールも高い。」「ではウエストサイズを測りましょう。」ではないですよね、、、。
「なんですがこのポニョ体型は。」「ウーン血圧が高いですね。」「コレステロールも高いですね。メタボです。」きっとそうなんだ。
ラジオガール「血圧」は服薬がいやで根性で下げました。
「コレステロールも低いです。」
ただウエストのラインにモザイクをかけないと、、、。
毎年何とかしないとジタバタしていたこの体型、今年こそなんとかしないと。

健康の大切さが一番わかるのは病と戦っている方だと思います。
いまでこそポニョ体型ですが子供時代は「ごぼうのよう」でした。
なんども母が「白桃の缶詰」をスプーンで口に入れてくれました。
今のスイーツなんか問題にならないくらいの美味しさでした。
朝夕に秋の気配を感じるこのごろ、暑い「夏」ももう少しの辛抱ですね。

Posted by: ラジオガール | 08. 08. 19 AM 6:59

体格ですが、体操競技は小柄で短足の方が
重心が安定していて有利らしいですよ。
男子選手も小柄ですし、女子に至っては
大抵が中学生ですからね。
ここ数日、夜が過ごしやすくなってきたよ
うに感じます。とは言え、昼間はまだまだ
暑いので、お体大切になさって下さいね

Posted by: mishima | 08. 08. 19 PM 12:46

----ラジオ・ガールさん
やっぱり、キューブのほうのコンソメは不純なものがいっぱい入っているからではないでしょうか。マ○ーとか、味の○とかのコンソメのパッケージの後ろを見ると、もう一体なんでしょうこれは、というようなもの名前が羅列されていて、さっぱり分からない、というようなものですよね。イリコならイリコ、利尻昆布なら利尻昆布、本枯れのカツオ節ならカツオ節、と、やはりそれだけ、でというのには勝てないと思います。しかし、俺の知り合いのおっちゃんなんか(京都市北区在住)ブイヨンを家で作って、京都市内のホテルに卸す仕事をしています。ということは、いまや京都の主要なホテルはブイヨンすら自家製造していない、ということのようなんです。やれやれですが、どうもそういうことのようです。ですから、辰巳先生のご本を読んで、そのレシピに基づいて家でこしらえたスープのほうが一流ホテルより上等のスープだったりします。
 お心遣いありがとうございます。幸いなことに食べたい、という意欲があるのが救いだと思っています。量は食べられないのですが、意欲は大切ですよね。 いつもどうもありがとうございます。

Posted by: 謙介 | 08. 08. 19 PM 5:52

----mishimaさん
そうですか。やっぱり体操とかがいいんでしょうね。日本人、不利な体格とか体力の中で、結構がんばっているんじゃないか、って思います。中国はもう少年宮なんかで、小さい時から、その競技だけの英才集中指導をやってきたから、ああいう結果なんでしょうけど、、。でも、何だかあそこまでやって、国家の威信というのではいいのかもしれないですが、一人の人間として、その人が生きていく、ということではどうなんでしょうねぇ。何だかすごく人間的に偏りのあるようなものになりはしないでしょうか。そんなこともあの女子の体操選手なんかを見てて、謙介は思ったりしました。 
 お心遣いありがとうございます。主治医の先生も後半だからね、と今日の回診でおっしゃってくれました。もうちょっと、と思って過ごしています。

Posted by: 謙介 | 08. 08. 19 PM 5:59

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 滞院報告:

« とりあえずの報告 | Main | 山はゆっくりのぼる »