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08. 07. 28

貧乏人のクーラー

暑中お見舞い申し上げます。
今日は北陸から近畿で集中豪雨が降ったとか。
長岡京の友達から昼休みにメールが来て、
「えらいことになってる。近くの道路、水浸し寸前や。」
という話。帰り、がんセンターに向かう車の中でニュースを
聞いていたら、金沢市内ではものすごい被害が出た、って
いうし、京都や神戸でも、濁流に押し流されて、とか
急な増水で孤立してしまった、とか聞いてびっくりした。


お住まいのところではいかがですか。
被害がないことを祈っています。

都会って地面をコンクリートとかアスファルトで覆っている
せいで、熱が全然逃げないで
こもったままになってる、っていう気がする。
晩になっても冷えない。
冷えないままに、また夜があけて日が昇って
もうその繰り返しだから、熱が地表や建物の周辺にとどまった
まま、っていう気がする。
コンクリートとか鉄骨の建造物をたくさん建てる、とか
地面をコンクリートとかアスファルトで覆う
というのは、暑さをためているというのか、そこに
籠もらせているような気がするんだ。
というのも、京都に住んでいたときに、
そういうコンクリートに覆われている外から、一歩
大きなお寺の中に入ると、気温がさーっと下がって
明らかに涼しくなった気がした。
やっぱり地面で、周囲に緑がある、というのは
こうも気温が違うものか、って正直思った。

それから謙介の仕事場の街から南に30キロほどいった
町も先日37.9度まで気温が上昇したのだけど、
晩になると、気温が25度あたりまで下がる。
京都と同じ盆地なので、昼間は熱が盆地に籠もって
そんなところまで上昇するのだけど、あたりは
田園地帯で、森とか林とか田んぼが多いから
たぶんそうした緑が熱を吸収して下げる、という
働きもしているのではないか、って思う。
この都市の熱のかたまり、これだけ大きいのだから
何とかしてもういちどエネルギーに還元するようなことが
できないものなのかしらん。(笑)

なるべくクーラーは使わないように、とは
思ってはいるのだけど、昨日の実家の街の気温が
37.8度。
冬になったらシベリアからの「第一級の寒波」の到来
なんて言っているんだもん。同じように夏は、
南太平洋からの「第一級の熱波」って言っても
いいんじゃないか、って思うけど。

仕事場のアパートのほうは、一人暮らしだし
おしゃれなマンションでもないからさ、
少々汚れたって、全然問題はないのだけど。

映画の「Alwyas 3丁目の夕陽」のせい
なのだろうか。
昭和、がキーワードになって、ひところ
「昭和の懐かしさ」
なんていうのがもてはやされて、ずいぶん
雑誌の特集もあったけど
うちなんか、「普通に現役の昭和がそのまんま状態」だもん。(笑) 
わざとイメージした、ではなくて、そのまま。

実は、最初この街に来た時には一軒家に住んでた。
そこの家の人が、大阪に赴任していて、空き家になっていたので
その家の管理を任されて、また帰ってくるまで、という条件で、
その家を借りてた。

そこに2年半ほど住んだのだけど、ある年の5月の末になって
帰任が決まったので出てくれ、って言われて。
出るのはやぶさかではなかったのだけど、何せ言われたのが
5月という時期で。
それが3月の頭とかであれば、異動の時期で、
部屋もあっただろうと思うのだけど、5月の末
なんていう中途半端な時期で、なかなかこれ、
という物件がなくてさ。不動産屋を8軒くらい回って
ようやく最後に行った不動産屋さんの言うのに
「アパートはボロだけど、閑静で、日当たりが良くて、
しかも旧の国道に近くて、交通の便も悪くない」という
アパートを紹介された。しかし、「ボロだけど。」ってはっきり
言ってしまう不動産屋さんもさぁ。(笑)
正直というか商売っけが全くないというか、、。
いい不動産屋さんだったけど。(笑)

実際行って現物を見て、不動産屋さんが言うほどボロとも
思わなかった。
部屋は北向きの3畳の板張りの部屋と
南向きの和室の6畳と4畳半の3部屋。
それからベランダ、台所、風呂、トイレ。
それと車の駐車スペースがついて、
1ヶ月3万5千円。
それから住み始めてわかったのだけど
大家さんが農家なので、折にふれて作った野菜とか果物を
くれる。(檸檬だってちぎり放題。笑)

たまたま案内されて行ったときに、大家さんが、
他の部屋の補修に来ていて話をさせてもらったのだけど、
すごく親切そうな大家さんであ、この大家さんだったら、
もう絶対いい! という気がしてその部屋に決めた。
こういう契約とか交渉をするときに、相手の人間性が見える、
ということはすごく大切なことだ、と思う。
それが今も住んでいる仕事場の街のアパートなんだ。
その後、一度家賃の値上げがあって、今は1ヶ月4万。
4万といいながら、職場から住居手当が1万9500円
出ているので実質は約2万円というところ。
都会の友達から、ワンルームで家賃が7万だよ、って聞いたり
自分が住んでるマンションの家賃以外に車の駐車場用に
さらに4万も5万も払っていると聞くと、
やっぱり田舎の住宅事情は、そういう点でずいぶん
恵まれているよなぁ、と思う。

古いアパートなので、大家さんからは
どこに釘を打っても、何を変えてもいいからね、って
一応は言われてる。
よくいろんな人のブログを見ていると
その部屋にあった家具とか、ディスプレイを考えて
それはそれはセンスよく住んでいらっしゃる写真が
掲載されていたりする。

だけど俺はね、何かいろいろなところで、暮らしてきたせいか
どうかはよくわかんないんだけど、
何かこうして生活してるの、って仮のもの、っていう
意識がどこかにあるんだ。
今はたまたまこういうふうな生活だけど
これだっていつまで続くかわからない、っていう意識が
ずっとあるの。
持ち物だって、今はとりあえずこれを持ってるけど、
その存在はずっと先まであるとも限らない。
そんな意識がずっとある。
本当に要るもの。たとえば身の回りの、ちょっとしたものだけ
持って生きていけばそれでいいや、って
いつからか思うようになった。
だから、以前はまだ少しは物に対する執着も
あったんだけど島とか、お寺の庫裏の片隅とか、
独立した部屋を持てないような
場所でも住んできたし、
友達の坊さんが起きて半畳寝て一畳の
極力物を排した生活の潔さを見てたりしたこともあった
せいか外国から帰ってきて、
そうした部屋をどういうふうに飾る、とか
自分の周囲のものをどうする、っていうことが
全く考えにのぼらなくなってしまった。

あ、誤解はしないでね。
清潔に整理して住むのは好きなんだよ。
だけど、そこの部屋だけに合ったものを
わざわざそろえるというかコーディネートする、って
いう気がなくなった、ということだと思う。
それなら一冊でも本を買いたいし。
それに部屋をあれこれコーディネートしたとしても、
またいつか引っ越さなきゃなんない。俺がいなくなる、
ということだってあり得るし。
そのときに、その家具を次のところに持っていけるのか? 
っていえば処分しないといけないかもしれない。
「いつまでも」はないもの。いつかは、って言った時、
今のものに「縛られる」のもなぁ、、って思う。
そんなことから、だんだんと、身の回りの最小限の
ものだけでいいや、って思うようになったんだとは思う。

とか言いながら、今や板張りの部屋は、
本や雑誌の置き部屋になってて
今は5つの書棚のそれぞれの棚板に、本が前後ろに
入っていて、置けないので床にあふれている状態ではあるの。
ついでに言うと、実家の書棚も6本あって、そこも同じ状態。

まぁそんなふうにいっぱい本はあるけど、
いつかまた病院に入る、っていう時期がきたら、
たぶん本は全部処分することに
なると思う。
時々、俺が死んだら、この本どうするかなぁ、
って考えることはあるよ。
最近は図書館はどこも書庫がいっぱいで置き場に
ゆとりがないから、本なんて寄贈しようとしても、
はっきり要りません、って断られるし、
京都の国文学専門の古本屋さんにでも送って
みてもらうかなぁ。
だけど、大半はうーん、きっと紐で結わえて、
紙類収集の日に出す、
っていうことになるだろうな。そんなふうに、
こんな本ともいつかは別れる時がおそらく来るだろう、
そんなことはひそかに思ってる。
でもそれはしかたがないこと、
そうも思ってる。物はいつかは、全て手放して、
っていう時期が来ると思う。だけど、そんな
物より俺は話のできる友達のほうがずっと大切。
だから、大して手を加えずに今の部屋も住んではいる。

あ、そんなことを言いたかったんじゃなくてさ。(笑)
部屋が古いから、大家さんが「何をしてもええのよ。」
って言ってくれてる。おしゃれなマンションだったら
あ、汚れた、とかまた掃除が大変とか、気にすることも
多々あるのだろうけど。そういう気遣いのない建物だ
っていうのが言いたかったんだ、ってば。(笑)

シャワーを浴びて浴室から出てくるでしょ。
で、そのときにびしょびしょの状態で出るわけ。
それで、廊下にバスマットを敷いて、
その上に坐る。この、「びしょびしょの状態で
出てくる。」っていうのが実はすごく大事なの。
びしょびしょで濡れたままの状態で
扇風機の風にあたるわけですよ。
非常に涼しい。気化熱の生活応用ですね。(笑)

もうねぇクーラーなんて要らない。
「はぁ、生き返った~~」なんて思って、、。
しばらくそのままで風に吹かれる。で、また周囲の
熱にさらされてからだが乾いてくると、水で濡らして
冷やす状態を作る。
うちではこれを「貧乏人のクーラー」と呼んでて
夏のよほど暑いときはずっとこれをしてる。

仕事帰りがんセンターへ。
先週はお休みで一回飛んでいるので
今日は少し長めに話をする。
がんは無くならないのだけど、とりあえず
病状をこれ以上悪くさせないような治療方針で
いこう、ということの確認。
それでその方法について3つ方法があるから
選んで欲しいとのこと。
判断をするの、急ぎますか?
と聞いたら、まだ今日明日、っていう切迫情況では
ないから、少し考えてみて、とのこと。
暑いので、頭がなかなか集中できないのだけど
いろいろと資料を集めて、客観的に判断を
出したい、と思いながら帰ってきた。

はてさて毎日暑いですね。今日もこの辺35度でした。
明日は36度だって。やれやれ。
みなさんはどういうふうにして今年の夏を
乗り切ろう、ってされていますか?
また夏の計画・行事とか旅行の話とかあったら
お聞かせください。

(今日聴いた音楽 ガーシュイン作曲 ポーギーとべスから 
“Summer Time”ビル・エヴァンス・トリオ演奏、って、
あまりに直球過ぎます? 笑)


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Comments

 気化熱の応用=貧乏人のクーラーは,かなり効きますよね。
 ただ,やり過ぎると逆に熱が体内に籠りっぱなしになったり(気温が下がったと脳が勘違いして表面の毛細血管を収縮させて熱を逃がさないようにするらしいです),風邪の元になったりするので,気をつけてくださいね(汗)
 僕は仕事中に,腕を濡らして熱発散させてます(笑)

 本とは沖縄移住の時に一度お別れした経験があるので,僕がいなくなったらどうなるかなんてことはもう考えなくなりました(苦笑)

 やっぱり余計に飾ることなく,やたらに物を持つことなく,簡素に生きたいですね。

Posted by: Ikuno Hiroshi | 08. 07. 28 PM 11:30

---Ikuno Hiroshiさん
あ、そういう科学的知識に疎かったので、扇風機の前で裸で「あ゛~~」とか言って涼んでるだけだったんですが、以後気をつけたいと思います。
これも病気をして分かったんですけど、いろいろ自分の周囲に置いたとしても、それをいつまでも持ち続けるわけにもいかない。それは大切にしたいと思ってても、状況で許されなくなったりしますよね。だから必要なものだけ持って、後はいつでもお別れできる覚悟も持って、、、って思っています。簡素に、って本当にそうそう思います。

Posted by: 謙介 | 08. 07. 29 AM 6:31

先日「海は山の恋人」(あー恥ずかしい誰がつけたのこのタイトル!)という自然体験のコースので参加者の子供達と一緒に三浦半島の山々を歩いたのですが、森の中は涼しいの!
風が本当に気持ちいいんです。
蝶道を蝶が軽やかに舞い、風の道を風が散歩する。
道端には山百合が芳香を放っていて、子供達の歓声が聞こえる。
望むものは他にありません。

人間の大地を読み直しているのですが、「真の贅沢というものは、ただ一つしかない、それは人間関係の贅沢だ。」というくだりがあります。
わかってはいるのですが、、、。

Posted by: ラジオガール | 08. 07. 29 AM 9:36

先日、京都の某有名寺院の下宿生と食事をする機会がありまして、その寺の庫裏で2次会となりました。「お庭を眺めながら、抹茶を一服」と言うと和服のお嬢様が楚々とお茶をたててるイメージだけど、実は裏で下宿生の兄ちゃん達が汗かきながらたててる、と言った話も聞けて楽しかったです。
天然の涼しさと言うと、夜の寺もなかなかのもんですね。まぁ、住むとなると慣れっこになってしまいそうですが。

Posted by: yasu | 08. 07. 29 AM 9:49

僕は、北陸ですが、集中豪雨もすぐにおさまりました。なんだか、変な気候です。昔と、町中って涼をとる方法がかわりましたね…確かに…。
心臓がびっくりしない程度の水風呂は、僕は夏にやります。けっこういいですよ水風呂。笑。

Posted by: holly | 08. 07. 29 AM 10:22

---ラジオガールさん
毎日暑いことですが、体調崩したりしていらっしゃいませんでしょうか。
俺ね、大学の時に、中世文学研究で「つれづれ草」を取っていたわけです。もう兼好さんの言いたいことと言えば、無駄なものを持たずに執着をなしにして、仏道修行にはげめ、ということだったのですが。それでまだ20代だというのに、そういうのにあこがれていたわけです。だけど、そのときはそういうふうに考えたのですが、やっぱり月日がたったり、いろいろな人や物の出会いがあると、そういう考えだってぐらっとしてしまうことはあります。そんなふうに揺れているからこそ生きている、ともいえるわけで。(笑)大まかな方向で、こっち、っていうのだけはっきりさせていたらいいんじゃないか、と、謙介は思ったりしています。

Posted by: 謙介 | 08. 07. 29 PM 6:53

---yasuさん
あらま! なんというすばらしいご宴席。(笑) お茶のこと、そうかもしれませんね。前に知り合いのお茶の先生が大きなお茶会をするので、手伝って、って言われてお水屋当番(裏方仕事)をお手伝いしたことがあったんですが。表ではお茶の先生がお正客と優雅にお話をしていて、その傍らで一番弟子のおねいさんが、美しい着物姿でお茶を点てていたのですが、その他大勢のお客さん用には、Gパンはいてスタンバイしてるわれわれが茶せんでしゃかしゃかやってたわけです。(笑)まぁそういうものかもしれません。夜のお寺、いいんですよー。でも龍安○の外庭みたいに、カップルがへんなことをする場所になるのも困るんですけどねー。

Posted by: 謙介 | 08. 07. 29 PM 7:00

---hollyさん
こないだから、いろいろ被害があって、hollyさんのほうはどうだろう、って心配してたんですが、被害もなくて安心しました。よかったです。
もうねぇ、今日だってこちらの気温36度です。昨日が37度で。ちょっと用事で外へ出たら、頭がくらくらしてしまいましたよ。そうですね。水風呂です。中でゆっくり本を読んだり、、夏の贅沢ですよね。

Posted by: 謙介 | 08. 07. 29 PM 7:04

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