« 批評を求められるのも困るんです | Main | 粉の違いについて »

08. 07. 18

好きか嫌いか

ある有名な人の書いた字をめぐる話の続きね。
その有名な人の字を見せてもらったんだけど
書かれていた字は、うまいか下手か、って聞かれたら
正直言うと「下手」っていうものだった。

ところが、ところがここからが問題でさ。
そういう美術品っていうのは、
うまいか下手か、という評価の仕方と
もうひとつ、別の大きな評価のしかたがあるわけですよ。

それは何かというと「好きか嫌いか」という評価。
人間、顔とか個性がひとりひとり違っているように
好みっていうのも、それは人さまざまでさ。
だから、その有名人の書いた字を見ても
「なんだ? こんなへったくそな字なんて、ただでやる、って
言われたって欲しくない。」っていう人間もいれば、
「もういくら出してもいいから欲しい!!!」っていう
人も出てくるわけで。

でさ、人間、スケベ根性があるものだから、
自分の趣味がどれくらい相対的に価値を持っているのか、
つまり、買った美術品の値段はいくらか
というのも知りたかったりする人も出てくる、と。
本当は「世間的に評価の高いもの」と
「自分の好み」というのは必ずしも一致しないことも
あるのだけど、人間ってやっぱり「おもしろいところ」が
あって、自分の趣味のものは、結構値段もするんだ、
と思いたがるところがあるものね。
そこを見世物にしてテレビ番組として
みせたのが「お宝探偵団」なんだと思うけど。

だけど、俺はやっぱり自分の趣味は自分の趣味だけで
いいや、って思う。そんなのお金に換算できないもの。
思い出とか、愛着とか、そんなもの、○○円なんて俺は
できない、って思うし。

ところがこの「好き嫌い」っていう感情、よくよく
考えてみたら、案外ものすごい問題をはらんでいるんじゃないか、
って俺思ったことがあってね。


というのも、俺、やっぱり元が文学の人間だから
ノンフィクションのさまざまな記録文学を読んだりする。
でね、ちょっと前に映画の「硫黄島からの手紙」を見たときに
それに関連して、太平洋戦争のそういう戦争記録の
本を読んでいたわけですよ。


Sensouhon

そうしたらさ、あっちこっちにあれ? って思うような
記述が出てきた。

どんなのか、って言うと、南方の××部隊の指揮官と○○部隊の
指揮官は陸軍兵学校が同期で仲がよかった、だの、
××部隊の指揮官は△派で、□□部隊の指揮官は○派だったから
敵対関係にあり、だの、っていう記述があったんだ。

でさ、俺、おんなじ謙介でも、
「エバタ」の謙介さんじゃありませんから(笑)
太平洋戦争時の日本軍の戦術なんてのあれこれっていうことは
全然わかんない。だけど、その記述を読んで
そのとき思わず、あ、って思ったわけですよ。

「同期で仲がよかった」「敵対していた」「派閥が違っていた」
これって、平たく言えば「人の好き嫌い」っていうことじゃないか? と。
相性の好き嫌いで作戦やってりゃ、そらあかんわ、
って、気がついた。 と、同時に人の好き嫌いがこうも影響を
及ぼしあうんだ、ということにも気がついたわけですね。

で、このあいだ洞爺湖サミットが
あってさ、まぁアメリカの大統領が日本に来た、と。
ブッシュさん、とっても分かりやすいねぇ。
コイズミさんとブッシュさんのふたりの関係は、
もう首相だとか大統領というような
お互いの立場を越えたものすごい親密な友達だった、
っていうことがブッシュさんの顔見ただけで分かった、よね。

だけど、フクダさんとはどうだろう? コイズミさんと
同じくらい親密な感じがする?
しないでしょ。まぁ口先でオトモダチ、とは言ってるけど、
コイズミさんとが100としたら、80くらいのお友達度でしかないような。

ブッシュさんの顔見てたらさ、そういうの、
すごく分かりやすいねぇ。(笑)

アフガン? そんなもの好かん。やっつけてやれー。
オサマ・ビン・なんとか? 嫌いだ。抹殺せんとあかん。
フセイン? 悪! 目にものをいわせてやれ、
自分の嫌いな奴は悪。お友達は善、と。
そんなところじゃないんですかね。

ブッシュさんなんか見てたら、
ホンマあの人、単に「自分の好き嫌い」で価値判断する人
って思う。

俺、それから、毎週月曜にがんセンターに行くけど
そのとき、内科外来の待合室で、週刊誌を読むわけですよ。
そうしたら、その週刊誌の中に、
もう毎週のように何とかという会社では
社長派と会長派に分かれて力の暗闘が行われている、だの
何とかという官庁では、何年採用組の××と何年採用組の
○○の間で、次期の役職をめぐって、争いになっている
だの、そんな話が毎週毎週、よくもまぁ飽きませんねぇ、
っていうくらい出てくる。

もうじき内閣改造があるとかないとか。またぞろ派閥から
人事のことについて、文書が出たのでないの。
派閥なんて、言ったら、仲良しチームでしょうに。
政策集団なんて言ったって、中心人物の政策に共鳴
しているからその派閥に入ったわけで。そう考えると
最初のきっかけは、相手のことが気にいったから、でしょ?

そう考えたら、人事っていうのも、好き嫌いっていうこと
だなぁ、って思う。

こうしてみると、世界政治も好き嫌い、人事も好き嫌い。戦争も好き嫌い。
好みの問題。


人間ってさ、やっぱり感情の動物、って言われるしねぇ。
そんなふうな好き・嫌いがいろいろなものの行方を左右
しているんだ、と気がついて、ちょっと愕然とした、
というわけなんだ。

世の中は好き嫌いで動いている、と。
だからこそ、少しは、まともにやれ、っていうんで
「論理的透明性の確保」が叫ばれるわけですよ。(笑)
逆に、論理的透明性、、っていうふうに
わざわざそういうことを叫ばないといけない、ということは、
いかに日常が論理的透明性なんて全然なくて、、単なる
快不快、とか好き嫌いでものが決まっていっているか、
の証明なんだ、って思う。(笑)

ほら、マスコミだって時々アンケートしてるじゃない?
あなたにとって好きな国は? 嫌いな国は? って。(笑)
好きなタレントは? 好きな政治家は? 好きなタレントは?
親は好き? なんたって「好感度調査」だもの。
ほら、ここにも「好き」の字が、出てくる。
だからさ、もう論理じゃなくて好き嫌いで判断させてる。


好き嫌いの感情っていうのはさ、理屈じゃないから、
こう来たら、こうなる、というのはないものね。
たまたま相手がこう言ったから、負けずに言い返した、
ということは、もしも仮に相手がその時、
反抗的に言わなければ、こちらが
そういう態度を取らなかったかも、
っていうこともあり得るわけだよね。
売り言葉に買い言葉になっていなくて
穏やかに話をしていれば、また違った状況が
生まれていたかもしれない。
逆に暴力まで使いあって、もっと険悪なことに
なっていたかもしれない。
全部その時の、たまたま、の感情。

理屈とか論理なんてなくてその場の成り行きでどんどん変わる。
たまに、「自分はそういうふうに言いたくなかったのに、
相手がわざとそういうふうに言ったから、別の言い方を
しているうちに、どんどん考えが変わった。」なんて
言ってる人もいるくらいで、その場の状況によって
対応なんて変わってくる。
人の心って本当にちょっとしたことで
どっちにだって動くから、分からない。

その好き・嫌いを考えていて、
俺、はっ、と思ったことがあってさ。


よく口うるさいおばさんが
愛想ようにせんとあかんで、
って俺に言ってた意味がやっと
分かった。

とりあえず愛想よくしておけば、人間関係において
角が立たないわけです。世の中の
人間、好き嫌いで動いている、ということは
自分が好意を持つ相手から、
何かを頼まれたりすると、
言われた以上のことをしてあげようとか
少々無理だと思っても、いいや、って
してあげようとするものですよね。

ところが嫌な相手が来たらどう?
まず思うのが、めんどくさい。やってらんない。もっと行けば、
意地でもしてやるか、って思ったりする。(笑)

愛想よくしておく、ということは、相手に自分のことについて
好意を持ってもらっておく、ということだよね。

つまりはそうしたほうが結局は自分の
プラスになるからでもあるわけなんですよね。
相手に好意を持ってもらっておくと、いざというとき
何かしら、無理が聞いてもらえる、ということです。
そこをおばさんは年の功でわかっていて
若かった謙介に、あんさん、愛想ようにしなはれや、
ってまぁ言ってくれたわけなんですが、

だけど若いって、ほら、傲慢だからさぁ。
何で用もないのに、ニコニコしてやらんとあかんのや、
って考えるわけですよ。(笑)
で、ぶーたれた顔をして他人に接する、と。

今でも多いよね。たまにいません?若い人で
何か不機嫌のきわみみたいな顔して歩いている人。
話しかけてみぃ、承知せんねんぞ。って。
歩く不機嫌。
だけど、そういうぶーたれた顔は、
結局、そういう人は自己主張するときにも損だ、
っていうことになったりします。

だけどまで分かるのに、一体何年かかったことやら。
やれやれ。
ほんにおばさんの言うように、
人間愛想のいいのが一番かもしれません。

というようなところで好き嫌いの話、なんとか
まとまりがついた、かな。(笑)


ではみなさまよい連休を。

(今日聴いた音楽 ケルン・コンサート 1975年1月24日
 パート2 B 演奏 キース・ジャレット 一体この
 キース・ジャレットの ケルンコンサート、何回聴いた
 ことでせう。)


|

« 批評を求められるのも困るんです | Main | 粉の違いについて »

おもうこと」カテゴリの記事

Comments

あぅ、、俺の人生、完全に「好きか嫌いか」です(苦笑)
俺はバカなので「論理性透明性」とか、そういう難しそうなコトはさっぱり判らないんですが、とりあえず、好きなモノを好きなだけ!がモットーですw

あ、でもなんていうか、「好きになりたい」と思いながら生きてますね、周りを。せめて、自分が触れるもの全部、「好き」になれたら・・・って。
もし世界中の人がそうやって、それぞれが触れるものを少しずつでも「好き」になれたら、世界は少しでも変わるのかなぁって、単純な発想ですが、やっぱりそう思うのでw


自分のコトや、世界のニュースを聞いて、辛くて悲しくて死にたくなったりします。
それでも生きて、生きたいと願うのは好きになりたいからなんです。
自分自身を、人を、自然を、好きになりたくて生きてます。
俺の「生きる意味」を問われれば、きっとそれだけ。これぞまさしくSimple Life!
自分の「好き」と、誰かの「好き」とを、繋いで、紡いでいけたらなぁ。


うーん、何が言いたいんだかサッパリ・・・まとまりなくてすみません^^;

Posted by: リト | 08. 07. 19 at 오전 7:24

---リトくん
いやいや、よく分かります。まとまっていないことありません。
 好きか嫌いか、ということですが。リトくんの場合は、その好きの範囲を単に好き。ということではなくて、もっと、もっと、っていうんで、拡げていこう、ということですね。それはそれで、りっぱな修行というのか、努力だと思います。 ここで謙介の言っているのは、ホント、狭い範囲の、見た目あ、好き、嫌い、って言ってしまうようなものです。だけどリトくんのは、そうじゃなくてもっといろいろなものを好きになろう、っていうことですね。そのためには、偏見だってないように公正な目で見ようとするでしょうし、いろいろとじっくり見て判断をするようになると思う。簡単に好き・嫌い、なんていうことじゃないですよ。大したものだ、って思います。そうかぁ、そういう目で見て、、っていうことですね。ありがとう。俺のほうもリトくんの話のおかげで視野が広がりましたよ。そうですね。そういう考えもあるね。

Posted by: 謙介 | 08. 07. 19 at 오후 3:12

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91870/41881623

Listed below are links to weblogs that reference 好きか嫌いか:

« 批評を求められるのも困るんです | Main | 粉の違いについて »