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08. 05. 30

じょーよー・かんじ

今日仕事場で、パートのおねいさんから、ご質問。
「じょーよーかんじ、って、こないだしんぶんで
よんだんですけど。あれ、っていったいどういう
漢字なんですか? 」

「じょーよー? じょーよーまんじゅうじゃなくて?」
「ちがいます。おまんじゅうじゃなくて、
じょーよーかんじです、ってば。」

「えっとですね。漢字って一体いくつあるか知ってます? 」
「うーん。わかんないです。1万もはないですよね。」
「そんなぁ、1万なんて、、もっとあるんです。」
「え、うそ。(懐かしい反応 笑) そうしたら、2万とか。」
「ぶー。」
「え、いくつあるんですか? 」
「すんごい大きな漢和辞典で、諸橋大漢和辞典って
いうのがあるんですけど、それに収録されてる漢字の数、
5万超えてるんですよ。」
「ひええ、5万ですか。」

「だから、5万もあったら、覚えるの大変でしょ。それで日本では
その中でよく使う漢字だけ、1945字を選んで、それを日常的に
使う字にしましょう、って、1981年にしたんですよ。
それが常用漢字なんです。」
「まぁ5万に比べたら、ずっと少ない、、か。」
「ただね、常用漢字のまえにとーよーかんじっていうのが
あったんです。」
「とーよーのかんじですか? とーよーのかんじって当たり前
じゃないですか。」
「あ、西洋・東洋の東洋じゃなくて、当選の当、
当たる、っていう字に用意の用で当用漢字です。」

「その当用漢字と常用漢字はどう違うんですか? 」
「当用漢字の時は、必ずこの当用漢字の字を遣いなさい、と。
それ以外はダメ、って結構きつい拘束力があったんです。ですが、
常用漢字は、ひとつの目安なんで、まぁ、この字を中心に
遣ってね、っていうふうになってるんです。」
「あ、緩やかなんですね。今のほうが。」

「何で緩やかになったか、って言いますとですね。
実は常用漢字を決めるときに、東京の方の学者さんたちは、
前の当用漢字と同じように拘束力のある、これ以外を
遣っちゃダメ、っていうふうにしたかったんですよ。
東京って、やっぱり中央政府があるから、上から下に、
っていうので規則を守らせたい、規則は従うもの、って
いう意識があるみたいなんです。それに西の方の
学者がかみついたんです。そんな枠を作って規制したら
他の漢字は遣ったらいけないみたいになるじゃないか、って。
そんな規制を作るのはけしからん、って言って
大議論になってしまって、、。」

「はぁ、もめたわけなんですね。」
「ホラ、電車待つ態度見ても、東京は整列乗車する、と。ところが
大阪は、ドア位置って書かれた印の辺りに、ぐちゃっと集まると。
適当、適当、お上の規則なんて、、アホか、ってそもそも全然信用なんて
していない、っていうところもありますし。」
「はぁ。」
「それでまぁもめまくったんですが、いつまでもめてばかりも
いられないので、妥協の産物として、拘束力はないけど、
ひとつの目安にしてね、っていうことになったと。
だけど、元々が東の学者さんはそうは言っても、これ以外は認めない、
っていう意識でしょ。だから、戸籍で、常用漢字と名前用の漢字
以外はダメ、っていうふうにさせたんですね。そういうことで、
折角凝った漢字使って子どもの名前考えて、役所に持って
行っても、この字は遣えません、ダメって突っ返されることが
起こるわけです。 そもそも常用漢字は目安のはずだったのに、
それがいつしか拘束力を持っちゃったわけです。」

「いろいろとあるんですね。」
「それがね、常用漢字って、常用、っていうくせに、結構よく遣う字が
入ってなかったりするんですよ。例えば、福岡とか岡山の「岡」って
入ってないんです。」
「へ?  」
「で、一応原則とすれば、常用漢字に入ってないものはかな書き、
ということなんで、その原則を守ると、「福おか県」とか「おか山県」って
書かなきゃなんないわけです。だけど、俺、去年出張で福岡に
行きましたけど、「福おか市」なんて書いてる看板なんてなかったです。」

「そりゃないでしょうよ。え、でも岡なんて、都道府県名でよく遣う字なのに
入ってないんですか? 静岡だって、静おか県ですか?」
「そうそう。それから奈良県の奈、だって入ってない。だから、な良県。
熊本の「熊」だって、鹿児島の「鹿」だって入ってないんです。」
「なんでこんなにもれてる、っていうか入ってないんですか? 」
「だって、目安ですから。」
「そんなの卑怯じゃないですか。都合のいいときだけ目安って逃げて。」
「かと思ったら「晋」なんて字は入ってる。」
「はい? 」
「この漢字を決めるときに、委員の中にこの字の名前の人が居たんです。」
「まぁ。」
「で、この委員が、会議の中で言ったらしいんです。
ワシの名前の字が入っていないようだが、って。
そうしたら、次の案が出た時には、ちゃーんと入ってた。」
「え? それホントですか?」
「俺の国語学の先生のそのまた先生が、その常用漢字の委員で
その会議の場所に居て、一部始終を見てた、って。」
「じゃあ、間違いないか。........だけど、その程度のものなんですか? 」
「はい、その程度のものです。」
「何だかばかばかしくなっちゃいました。」
「ねぇ。」
「謙介さんが、ねぇ、って言って、どうするんですかぁ。」
「俺だって、ふん、って思ってるし、、。(笑) だって、俺の苗字の字
だって、入ってませんもの。そんなもの許せるわけがない。」
「あ、だから、ふん、なんですね。」
「そうです。」
「ただ、今度の改正では、ちゃんと岡は入るようですから。
はんしんの監督さんも、サッカーの監督さんも
これでめでたしめでたしです。」
「あ、そういえば両方とも、おか田監督ですね。」
「変でしょ。おか田なんて。」
「ねぇ。」
「ねぇ、、って。そんな馬鹿な。」
「だから、さっきも言ったように、鹿は常用漢字に
入ってないから、「馬かな」って書かなきゃならない
んです。」
「まったくアホみたいですね。」
「まったくねぇ、。」

ちゃんちゃん。


しかし、それにしても。
今日のタイトルだって、常用漢字だって。
もうちょっと色っぽい話のひとつでもないのか、
と自分でもこうして書いておいて、しみじみ思った。
やれやれ。

(今日聴いた音楽 フレデリック・フランソワ・ショパン作曲
 夜想曲 第4番 ヘ長調 作品15-1 
 演奏 遠山慶子 1996年 録音)


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Comments

 ・・・盗用/乗用漢字など,端から無視しまくっております(笑)

 それより,新聞などの漢字使用の控え方,こっちを何とかしていただきたいと思う毎日です。気になるネット記事はクリッピングして整理してるんですが,どんだけ平仮名を漢字に直せばいいんやねん(苦笑)

 使わないと,どんどんおバカになってっちゃうのよ〜。廃用萎縮しちゃうのよ〜(笑)

Posted by: Ikuno Hiroshi | 08. 05. 30 at 오후 8:31

---Ikuno Hiroshiさん
 そうですよね。遣わないから、お目にかかれない、かかれないから知らない、知らないから、、、っていう悪循環で、なんてことになってますよね。できるだけ遣ったほうがいいと俺も思います。

Posted by: 謙介 | 08. 05. 30 at 오후 11:12

苗字も常用漢字の私。
たぶん、ってか絶対そう。間違いない。

>俺の苗字の字だって、入ってませんもの。
そんなもの許せるわけがない。
これはチラッと、伏せておいたプライベートゾーンが
見えた感じがしました。チラリズム。
ちょっと驚いちゃったなぁ(笑)。

Posted by: ヒシ | 08. 05. 30 at 오후 11:50

----ヒシさん
ひょっとして熊田さんかもしれないし、鹿谷さんかもしれません。(笑)奈良さんかも。だけど、結構常用漢字に入ってなくて、、っていう字でみんなが結構遣ってる漢字って多いんですよ。オーノ・ススムの「晋」なんて、お義理で入れてる暇があったら(わ、言っちゃった。笑)そっちを何とかせえよ、って思いますです。

Posted by: 謙介 | 08. 05. 31 at 오후 3:37

この前,福田恆存の「私の国語教室」という本を読みました.戦後の国語改革の問題について少し知ることができました.主に仮名遣のことについてでしたが,当用漢字や常用漢字についても触れられてました.よく知らなかったんですが,いろいろともめたみたいですね.ちなみに,僕も名前は,常用漢字に入ってませんでしたよ(笑)

Posted by: ともぞ | 08. 05. 31 at 오후 10:15

----ともぞさん
 仮名遣い、そうですね。前もお話しましたが、「地」は未だに決着がついていませんよね。土地は「とち」なんだけど、「地震」になったら「じしん」ですし、、。でも、というか、おそらくというか、言語学者の頭の中って、まだようやっと明治になった、っていう人が結構います。で、口語体は今からまた変わっていくだろう、と。だから、そういう「ち」「じ」問題も、そのうち解決するんじゃないか、なんて、のんびりしたことを言ってるみたいで、、。
 当用漢字の時は、いっそ漢字かなを廃止してローマ字にしてしまえ、という人もいたみたいですし、常用漢字の時も、目安だいや規則だ、ってもめまくったみたいですね。遣う側の意向ってのと全然かけ離れたところで延々やられてもねぇ、、と思うばかりなんですが。

Posted by: 謙介 | 08. 06. 02 at 오전 6:04

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