ポツンとついた灯りを見て
今日、仕事を終えて帰ろうとすると、外に街路灯がひとつ
ポツンとついているのが見えた。
なんだかその灯りを見たら、就職したての時のことを思い出した。
学校を卒業して就職してはじめて赴任したのが
小さな島だった。
その時の仕事場から帰る直前になって、窓から外を見ると
真っ暗な外の風景の中に、一ヶ所だけポツン、と
街路灯なのだろう、蛍光灯の光が見えた。
やれやれ、何だか遠いところに来てしまったなぁ、と
その灯りを見て思った。
一体これから自分の人生はどうなるんだろう、っていうことも。
つい数日前まで、京都にいて、本屋でいろいろな本を見たり
好きだった河原町三条の「ちきりや」という喫茶店で、
ボーッとしてた自分が、こんな島にやってきたこと。
知り合いがそこここにいて、勝手知った京都の生活から、
もちろん誰も知り合いはいないし、夜は潮騒と風の音しかしない
そんな自分を取り巻く環境のあまりの格差に、正直不安は
大きかった。
そうしていろいろなことがありすぎた島の生活は
3年で終わることになった。
確かに楽しかったこともあったけど、正直しんどいことの
ほうが多かった。いや、多すぎた。
時々、話を聞いていると、「島に住むのが夢。」なんて
言っている人がいる。
謙介はどうなの? 島に住みたい? って訊かれたら、
今の俺でも、即座に「嫌。絶対住みたくない。」って答えると思う。
確かにねぇ、たまに旅で行くのはいいかもしれない。
たまに、ならね。(笑)
それに、そういう旅行で行くとき、ってさ、
気候のいい季節にしか行かないでしょ?
秋の台風シーズンなんか、ニュースを見てると
島に行っていて、台風が来て船が欠航するとか
飛行機が飛ばなくなるとかで、本土から来た人が
困った、って言ってる、っていうニュースを
見るんだけど、でも、島の暮らし、って、正直そういう
ものなんだよ。そういう不便さも含めての島なんだから、、。
台風が来たら、台風が過ぎ去るまで
自然に任せないとね。
過ぎ去るまでは仕方がない。
島の気候は苛酷だ。
特に冬は突風が吹きすさぶ。
窓を横から見ていると、ガラスが風圧で内側にたわんでいるのが
はっきりわかったりする。
そんな風が吹いたら、当然交通機関は途絶して
船は来ない。
1週間くらい船が来ない、なんてことだってある。
船が来ないから、お医者さんも回ってこられない。
そりゃあさ、元気な時はいい。
だけど、病気になったら、本当に大変だ。
海上保安庁に電話をして、警備艇を遣してもらうことになる。
だけど大風が吹いていたら、島の桟橋に接岸できない、なんてことも
起こる。救命胴衣をつけて命がけで船に乗って、病院に運んで
もらう、なんてことにだってなるし。
それから島に住む、っていうことだけどさ。
島のお年よりは気さくで、、なんて旅行で来た人は
言うけど、確かに気さくよ。気さく過ぎて、どこにでも
どかどか入ってくるもの。
プライバシーなんて、まるでない、と思わなきゃ。
もう、人の家だってどんどん入ってきて
こちらの都合なんて考えずにいつまでも世間話してる。
だって、向うは暇を持て余しているから。
そんな人と一緒に延々と自分の時間を削られても
あ、楽しいなぁ、って思える人だったら、
島に住めると思うよ。(笑)
あのね、例えばさ、晩にカーテンなんか閉めて
電気を消して一人で、、何だかをしてた、とするでしょ。
そうしたら、ちゃんと次の日、島のお年よりは
知ってたりするもんね。「にいちゃん、若い盛りやから
たまっとんやなー。」 なんて言われたりするんだよ。
どこで見てるんだか。
でもちゃんと知ってたりする。
恐いでしょ。
もっと恐いのは、そのことを複数のお年寄りが
みんな知ってたりする、ということ。
島、っていうところは、プライベートな空間っていうのは
まず、ないと思ったほうがいい思う。
そうこうしてたら、今度はどこかの家のおばちゃんが
何気なく近くに寄って来たりするんだよ。
そのおばちゃん、っていうのが、これまたすごいおばちゃんでさ。
あだ名がついてるの。
ちょっとどうかと思うんだけど、「公衆便所」っていうの。
どうしてか? そのおばちゃん、いろいろな男のところに
行っては、セックスするんだよ。
だから、言ったら男の精のはけ口みたいなおばちゃん。
島にはそういう人だっている。
昔、韓国映画でさ、「桑の葉」っていう映画があってさ。
イ・ミスクが主演だった、って思うんだけど。
そのイ・ミスク演じるよそんちの奥さんが、村中の男と
関係を持ってしまう、という話で、、。
それは映画だったけど、その映画見た時に、あ、これって
島で普通にあったことじゃないかー、って俺は思った。
(だけど、イ・ミスクなんて、役と全然合ってない名前だよね。
漢字で書いたら李美淑だよー。「貞淑」の淑だもんねー。(笑)
え? 人間関係、ぐちゃぐちゃだねー、って?
そうそう。島の人間関係なんて、もうぐちゃぐちゃです。
おまけに濃いよ。
それからあれこれといろんなことを言われます。
もう箸の上げ下ろしまで、言われたりします。
だけど、たまに旅行に行く、っていうのなら
別にこんなドロドロとした人間関係とか見ないで済むしさ。
きれいなところだけ見てて、景色もいいしさー
「癒されるぅぅぅぅぅぅ。」なんてのんびりしたこと言って
いい思い出だけ作って帰ったらいいだけだし。
だけど、実際にそこで生活するとなったら
やっぱり全然違ってくる、っていうことは覚悟しておかなきゃね。
そう。覚悟が要ると思う。
そこまでの覚悟があって、それでも島に住みたい、
っていうのなら、大丈夫だと思うけど。
だから、正直、島になんか住みたくはない。
こないだ、明石海峡で船の衝突事故があって、
船の油が流失して、そのせいでシーズンだったいかなごが
例年に増して不漁だ、ということになっている。
何であんな場所で船が衝突したのか。
注意を喚起する信号音を発した、っていうんだけど
相手の船は分からなかった、っていうの。
俺さ、カラオケで歌でも歌ってたんじゃないのか、って思うけどさ。
いやさ、その島にいた時に、同僚と二人で仕事をすることが
あったんだよ。同僚は、島の北の端の灯台のところにいてさ。
俺は仕事場の建物のほうにいた。
あの頃なんて、携帯電話なんてなかったから、
トランシーバーで、連絡を取ってたんだ。
で、声の通信ができるようにチューニングしてたら、
突然下手なオッサンの歌が聞こえてきてさ。
歌が終わったら、「今のは何点でしたか、どうぞ。」
っていうの。沖見たら、船が二隻併走しててさ
どうも、このトランシーバー、その二隻の船舶無線の音を
拾ったらしいの。
同僚に聞いたら、「あ、トランシーバーで聴いてたら
船舶無線でようカラオケやってるで。」だって。こらこら。
だからさー、警告の音が聞こえなかった、っていうんでしょ。
そんなもの、「あまぎーーーーごええええええ」とか
調子よく歌ってたから聞こえなかったんじゃないか、って
思うけどねぇ。(笑)
しかし、まぁ、明石海峡とか、来島海峡、関門海峡っていう
辺りでは、カラオケは安全運行のためにも、やめたほうが、、。(笑)
× × ×
話は変わって。
道頓堀の太鼓をたたく人形のある食堂が
とうとう閉店することになったそうな。
このブログでもいつだったか書いたことあるけどさ、
みんなあの店先の人形の前では写真を撮ったりしてるけど
肝心の店の中に入って食事をしよう、って言う人は
すごく少なかった、って思う。
いつだったか、お昼に、入ったら
すごく空いててびっくりしたことがあった。
お昼に道頓堀の食堂でお客さんが入ってへん、なんて
文字通りの「あり得ない話」だと思ったけど。
でも、頼んだBランチだったかが運ばれてきて
食べて、何でこの店が流行っていないか、分かった。
おいしくないの。
魚のフライは油がきちんと切られていなくてベトベトしてたし、
ポテトサラダは、もう自分の店で作るのを止めたのか
業務用だったし。
あ、これじゃあ、店が流行らないのは
仕方がない、って正直思った。
こんなことなら、数軒となりのうどんの今井へ行ったら
値段は高いけど、少なくとも食べてがっかり、っていうような
ものには当たらなかったぞ、って思った。
さすがは大阪。おいしくないものには、
お金は払わへん、っていう意識が徹底してるなぁ、
って思ったし、まずい店はみんなよう知ってるなぁ、とも
食べて正直思った。
太鼓叩く人形、宣伝にはなっても、客がそこで止まって、中に入って
くれなかった。 そんな宣伝だったらやっても
あまり意味がないものね。シビアな言い方かもしれないけど
むしろここまでよく持った、というほうが正確かもしれない。
今日はこの店のことを思ったからなのかは
よく分からないんだけど、朝から謙介の頭の中に
♪京橋は ええとこだっせ、、の音楽がエンドレスで
聞こえてきて、、。
近畿圏以外の方にご説明すると、
大阪の京橋に総合レジャービルの、「グラン・シャ○ー」という
ものがありまして。総合レジャービルって
中華料理店に、サウナ、風呂、パチンコ、カラオケ、キャバレー
といったものがひとつのビルの中に入った施設なんだけどさ。
近畿圏地方の放送局のテレビ見てたら、夜中、天気予報の提供で
ここがスポンサーになってて、そのコマーシャルが流れる。
だけどさーたぶん一度見たら、あの音楽は絶対忘れないような
すんごいインパクトのあるCM。
京橋はええとこだっせ グランシャ○ーがおまっせ、、
っていうんだけど。 もうねぇ、、(笑)
だけど、ノンケさんは、ああいうところに行ったら、楽しいって
思うの、かなぁ。
なんとかチューブ(笑)とやらで
京「橋 グランシャ○ー」ってキーワード入れたら絶対ヒットすると
思うので、時間のある人は見てみてください。
あのCM音楽、すごいんです。
ここにそれを貼るのは、ちょっとなぁ、、って思うので、
貼りはしませんけどね。
(今日聴いた音楽 大阪・京橋 グラン・シャ○ーCM音楽)
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