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08. 03. 26

ドイツのパン

先日、「っす、って敬語じゃなかったんですか? 」
って言った新人くんのいる球団。

球団としては、今は北海道にあるよね。
あの球団の親会社、今の本社は大阪だけど、
実はもともとあの会社、四国の会社なんだ。
それが証拠に、(会社四季報を見たら分かるけど)
今もあの会社のメインバンクは、都市銀行ではなくて、
香川県の高松に本店のある、銀行の名前に数字のついている
(そういうの、ナンバーバンクっていうけど)地方銀行。
だからお給料もその銀行から振り込まれるらしい。

というのが香川県出身の人が、徳島県でハム作りを
はじめて、次第に大きくなって、大阪に進出したのが
あの会社。だからあのハム屋さん、もともとは四国の
会社だったりする。
だからその先代社長の出身地の香川のとある町には、国道から
見える山の中腹に、巨大なそのハム屋さんの広告塔がそびえている。

先日、入院する前に、徳島のほうに行く用事があったので、
徳島の鳴門に行ってきた。

鳴門は向かいの淡路島との間の
鳴門海峡に渦潮ができる。
だから、その渦潮の模様のかまぼこを
ナルト、というのはもちろんこの鳴門の渦潮から来ているわけだよね。
アニメのNARUTOだって、主人公の男の子のはちまきに
うずしお模様がついてるよね。

ここは前にも話したことがあったけど○塚製薬の創業の地。
だから鳴門の陸上競技場、○カリスェットスタジアムって言うの。
野球場なんて○ロナミンC球場だもん。
鳴門、といえば鳴門海峡の海。
その海の水を汲んで、生理食塩水、と言って売り出して
ぼろもうけ大きな利潤をあげたことが、あの○塚製薬の
基礎になった。

さて。
この鳴門には、ものすごくおいしいパンを作るパン屋さんが
ある。ドイツ軒っていうパン屋さん。
Doitsuken

入院したら、しばらくおいしいパンが食べられないので
徳島に行ったついでに鳴門に行ってドイツ軒でパンを
買ってきた。
Doitsuken2


このパンは、ライ麦発酵のパンで
中に干した無花果が入っている。
干しぶどうではなくて、無花果っていうのが
本格的なドイツパンらしくていいと思う。


切ってみたら、大量生産のパンとは
全然違っていて、ずっしりと重い。
1切れでも十分な食べ応えがある。
小麦の香りと、刻んで入っている
胡桃と無花果がとてもいい香りを添えて
とてもおいしいパンだった。
半分はまだ冷凍庫で保存中。
毎日一枚ずつ食べているところ。


なぜに鳴門にドイツか。
ここはドイツと深いつながりがあってね。

第一次世界大戦が終わって、
この鳴門には、捕虜収容所のひとつが作られた。
そのいきさつはちょっと前に公開になったマツケン主演の映画
「バルトの楽園」にあったから、見たよ、っていう人が
いるかもしれないね。

この鳴門にあった板東捕虜収容所の所長さんは
元会津藩士だった。
会津藩は明治新政府のときは、新政府側の敵になった。
白虎隊の話だってそうだよね。

敗残兵の辛さを十二分に分かっていた所長さんは、
つれてこられた捕虜の人たちを、そうした辛さを
感じさせないように、一人の人間としてきちんと遇した。

確かに当時の日本は
不平等条約を何とか改善しよう、そのためには
一等国になろう、捕虜の扱いだって、ホラ、この通り。
人道的配慮に則ってやってます、っていうふうな他国に対する
デモンストレーションがあった、とも言われるけれど、
やはり所長さんの持っていた、そうした負けた兵隊に対する思いやりの気持ちが
あったことだって確かなことだと俺は思う。

捕虜の人たちは、ここで暮らす間、
ドイツの文化を鳴門の人たちに教えた。
捕虜の人が鳴門の人を招いて歌った
ベートーヴェンの第九の演奏会。
だからその第九の初演もこの鳴門だ、
といわれているし、
その捕虜だったドイツ人のパン職人さんから
ドイツパンの製法を習って
免許皆伝を受けたのが、このドイツ軒のパン屋さんの先々代だった、
ということ。だからこの店には1919年、パンの製法の免許皆伝を
得た、というドイツのマイスターからの免許が店にある。

そうして同じように、ハム作りを習ったのが
そのハム屋さんの前の社長だった。
そして徳島でハムを作り始めて、、やがてその会社が大きくなって、、
あの○ャウエッセンを作る会社になった。


鳴門っていう街は、本当に古い街で
紀貫之の書いた土佐日記にもその古い名前が
出てくる。貫之が任地の土佐から
都に戻る、ちょうど中継地点だったからね。

それから四国八十八箇所の霊場まわりの
第一番の札所、つまりはスタート地点も
この鳴門。 この街は、そうした歴史の中で四国の
起点だった。
平安時代からの由緒を伝える
古い街であるし、そんなドイツ文化の
名残を伝える、ハイカラな匂いも残っていたり。
いろいろなものが行き交い、そして、その街に残って。


そんな街でパンを買ってきた。
あ、そうそう。
ここはね、こういうドイツパンも
おいしいけど、ごく普通のアンパンとか
コッペパンの間にハンバーグをはさんだ
パンとかも、すごくおいしい。
パンの間に挟んであるハンバーグだって
自家製らしいし。 
ひとつひとつのパンの隅々にまで作った人の
注意とか意識がきちんと通っている。
こういうパンを食べたら、
あ、おいしかった、って思うし、
食べた後で「ごちそうさまでした」っていう言葉も
ごく自然に出てくるように思う。

おいしいパン。
ごちそうさまでした。


(今日聴いた音楽 ラヴ・ケイム・フォー・ミー
 歌 小林桂 1999年 
 小林くん20歳のアルバム ソー・ナイス から)

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Comments

美味しいハム(これは言ってないか・笑)に、
美味しいパン。贅沢な組み合わせですね。

ところで画像のパン、とてつもない大きさに見えます。
どれぐらいの大きさなんでしょうか?

Posted by: ヒシ | 08. 03. 26 PM 10:20

徳島の○塚美術館に行ったことあります。
あそこは世界の名画を陶板に焼き付けたもの
専門の美術館なのですが、オロ○インの容器
として陶器を使っているご縁で、窯業のつて
があり、陶板美術館になったとか。
もちろん、食堂のメニューにはボ○カレーが
ありました
別に、伏字にしなくても良かったですかね

Posted by: mishima | 08. 03. 26 PM 10:48

ドイツのライ麦パン美味しいそうですね。
ライ麦だけのパンって言うのは癖があるけど、これは、ライ麦だけじゃないみたいですね?
でも美味しそう…。僕は、癖のあるライ麦だけのパンが好きです。
ドイツとのつながりが…。
パンとは離れるけど、刃物とかペンチやニッパみたいな、細かな作業をする道具って、ドイツ製のものっていいですよね。日本に続いてドイツ製のこういう細かな作業をする道具って、きっちりしていて性能がよくて長持ちするので僕は好きです。
う〜んお国柄が、道具とか食べ物にもやはりでるんでしょうかね…。
(^_^)
しかし、おいしそうなパン。お腹すいてきてしまった…汗(^_^;)
ヽ(^0^)ノ

Posted by: holly | 08. 03. 26 PM 11:17

----ヒシさん
それが、結構大きなパンです。さしわたしが(横の端から端まで)25センチくらいはあります。で、おまけにものすごく重いんです。○マサキとか○キシマみたいな大きなメーカーのパンが標準と思って、このパンを持ったら、もうずしっと持ち重りがします。中身も充実した、という感じです。
神戸に○ロインドリーフって、ここもドイツのパンを売ってる有名な店があるのですが、どちらもおいしいです。

Posted by: 謙介 | 08. 03. 26 PM 11:29

----mishimaさん
去年、徳島県で国民文化祭があって、皇太子さまが、その陶板美術館、見学された、というニュースやってました。
そうですか。mishimaさんもおいでになったんですよね。謙介ったら、もう食い気一方で、(笑)一番の札所も参らず、うずしおも見ず、ドイツ軒、パンだパンだ、といって買って帰りました。そうそう、○ンカレーの初代のパッケージに出てた松山容子さんと伊丹十三は同じ学校の卒業生です。(変なことを思い出すやつ。笑)

Posted by: 謙介 | 08. 03. 26 PM 11:36

美味しそうだなー。
昔、本気でドイツでパン屋になりたい、と、
思ったこともあるくらい、
ドイツパン、大好きです。

生まれて始めて焼いたパンも、
ドイツ式のレシピだったし、
その後、
今や幻のパン屋とも呼ばれる、
小さなパン屋を営業してたときも、
ライ麦入りのパンが、一番好評でした。
神戸育ちなので、
フロインドリーブさんも、
昔から、おなじみでしたしね。
(なのに、何故か、日本の
フランスパン職人の間では、神様!
ともあがめられている、
◯◯さんの店で、バイトしてたんだけどね)

東京には、意外と美味しいドイツパンが
無いような気がします。
暖かくなってきたから、自分で焼くかな?

Posted by: Jean de Tokio | 08. 03. 26 PM 11:39

----hollyさん
さすがですね。お店の方にお伺いしたら、ライ麦だけだと、発酵の状態が不安定になるのと、発酵にものすごく時間がかかるんだそうでライ麦だけ、というパンは、依頼があったら作る、ということだそうでした。
 でも、ドイツの工具がいい、というの、俺も全面的にそれよく分かります。買うときには高いけれど、丁寧に使えば、なかなか壊れませんし、愛着に応えてくれますよね。といっても、そんな大したものを持ってる、っていうことではないんですけど。
ホラ、細かい字を書くので鉛筆、消しゴム
関係は○テッドラーを使うとかはさみ、包丁類は○ンケル、っていうくらいなんですが。
やっぱりドイツのガンコな職人の技術、っていうのは惚れ惚れするし、尊敬しています。やっぱりそういう「きっちり」とする、という国民性とか文化が品物に出るんだと俺も思います。

Posted by: 謙介 | 08. 03. 26 PM 11:44

---- Jean de Tokio さん
お体の具合はいかがでしょうか。
ええ。ホント、帰りの車の中で袋の隙間からパンのおいしい香りがして、何度車を止めて手でちぎって食べたい、と思ったことでしょうか。
(高速道路で帰ったし、途中あるパーキングエリアまで来たら、もうさっさと帰ってゆっくり食べたほうがいいや、と思って泣く泣くガマンし続けました。笑)
そうですよね。○ロインドリーフ(伏字にすることもないか。笑)加納町の移転前のお店、神戸に行ったら、よくうかがってました。あそこに行くときは、にしむら珈琲とセットだったような。(笑)
 俺の実家のある街もフランス人のパン焼き職人さんがいた店があって、フランスパンのおいしいところはあるんですが、ドイツのパンはないです。
 パンを作られた暁には、是非写真アップしてくださいね。楽しみにしていますから。

Posted by: 謙介 | 08. 03. 26 PM 11:54

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